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創業から5年間で累計人材支援数1,642名のうち、約32%がハイレイヤー、幹部クラスを支援したフォースタ。成長産業支援は私の使命
2021年6月より、取締役から常務取締役となり、既存の事業だけではなく、よりフォースタートアップス(以下、フォースタ)の未来をアップデートするというところに責任を持つようになったのだと捉えています。
一社員として入社して5年余りですが、とにかくよく働きました。やっていることは変わっていなくて、日本を代表するスタートアップ経営陣と向き合い続け、HR支援という武器を使い、彼ら・彼女らの課題を解決し続けています。1社ごとに課題も経営スタイルや価値観もまったく違うので、過去の経験は参考になりますが、それだけで解決はできません。常に難しく、乗り越えなければいけない課題があり、やりきったと感じることはありません。きっと次の5年、10年もここから卒業したいという気持ちにはなっていないでしょう。
一方で、大きく変わったと感じるのはスタートアップ市場。とても盛り上がっています。5年前と比べて資金調達は活況で、1社あたりの調達金額も増えています。ということは、より大きなチャレンジをするチームが増えているということ。マーケット全体でより大きなお金を集め、より大きなチャレンジをするようになりました。それを実行するのは人なので、私たちタレントエージェンシー事業は、共に成長しています。
フォースタは、この5年間で累計人材支援数1,642名のうち、約32%がハイレイヤー、幹部クラスのご支援ができました。ご支援した時点では、入社を決めたということでしかありませんが、その方たちが会社の進化のための大きな役割を担う。それが5年間で明確になりました。プレイド、ウェルスナビ、ヤプリ、ココナラと2020年末から2021年にかけて、私たちがご支援した会社の上場ラッシュでした。シリーズDで約156億円を調達しユニコーン企業となったSmartHRも、No.1 HRパートナーとして表彰いただいてます。みんなが知っているあのスタートアップのあのキーパーソンを、フォースタがご支援したと誇ることができる状態になってきました。それを公の場で発信してくださる起業家も増え、彼ら・彼女らが認めているからフォースタにお願いしたいと、スタートアップの起業家が集まってくる良い循環が生まれています。
反面、全然足りないと思うところもあります。私は、いいことをしたけど日本の未来は変わらなかったとなるのが怖いし、絶対に避けたいので、もっと速く成長したいし、もっと本質的なサービスを提供していきたい。
私を駆り立てるものは、スタートアップの起業家が向き合う社会問題。彼らは、常に何かにチャレンジしている人たちです。5年間、彼らに向き合い続け、彼らが見ている社会問題を一緒に考えていたら、私も解像度が上がり、そんな未来はイヤだ、私も解決したいと心の底から思うようになりました。成長産業支援は私の使命だと思えるところまできました。だから、モチベーションの上がり下がりなんてありません。だって、私はそのために生きているとまで思うから。自分自身がマグマのようなものです。つくづく、志とは思い込みなのだなと実感しています。
日本の未来は知れば知るほど大変です。2050年は労働人口が半分になります。現時点でも平均年収は約400万円で、先進国では最下位。それでもこの20年はデフレで、物価が上がっていないから生きてくることができましたが、それは豊かな国と言えるのかというと疑問を感じます。私は、日本の未来を自分たちの力でアップデートしたい。これまでに出会ってきた素晴らしい起業家たちと一緒に問題解決したい。そのためにも、フォースタを成長させることが私の使命だと思っています。
誰よりも人の無限大の可能性を信じる。それがヒューマンキャピタリスト
人材紹介をやりたいわけではない。それがフォースタの起源であったと思います。たまたまスタートアップの経営陣が、誰もが「いい人がほしい」と言い、なぜかと理由を聞くと「経営課題があるから、解決するために人が必要だ」と。それがスタートアップの切なるニーズでした。それで、タレントエージェンシー事業が始まりました。
以来、私たちは、ずっと「ヒューマンキャピタリスト」と名乗ってきました。私たちが、ヒューマンキャピタリストという職業を創っていくのだと決意して。誰よりも人の無限大の可能性を信じ、その人によって会社の未来は変わるはずだと信じているのが、ヒューマンキャピタリスト。そして今、私たちはやっていることが間違っていないという自信があるので、これからも、5年10年とスタートアップへのHR支援をやり続けます。
これから上場を目指すチームからは、ある程度「フォースタにお願いしたい」と言っていただける信頼は勝ち得てきた感触を持っています。ただし、期待の大きさに対して応えられているのは10%くらい。ボトルネックは、ヒューマンキャピタリストのリソース不足です。現在、しっかりとサービスクオリティーを保とうとすると顧客を広げきれず、支援できるチームが限定されてしまっています。そのことが悔しく、大きな課題だと思っているので、タレントエージェンシー事業は、まず組織として拡大していかなくてはいけません。
また、支援のゴールは上場ではありません。時価総額1兆円になると日本の中でも大変な存在感のあるチームになります。この5年間の歩みによって「上場を目指すチームならフォースタ」という評価は定着してきましたが、ぜひその先へ、1兆円企業を目指してほしいし、私たちはずっとご支援を続けたいと考えています。「日本を代表する会社」と聞くとみんなが、私たちが支援してきた会社を思いつくような、それほどのチームでありたいです。挑戦に終わりはありません。上場後も、私たちずっと伴走し、ご支援を続けていきます。
採用が喫緊の課題。振り返ったときに「村人1」ではない名前が残る仕事をしよう
といっても、私たちのチームこそ人が足りないという状況に陥っています。私は、採用は経営者の仕事だと思っています。私たちのパートナー企業に対してもそうお伝えしていて、私自身もフォースタの採用にコミットしています。カジュアル面談から出ていきます。
素敵な人は、やはりみんながほしいし、実際、どこに行っても活躍します。その素敵な人がフォースタにいる理由が必要で、1つはフォースタにしかできない仕事をつくること。ここで活躍し続けたい、貢献し続けたいと思ってもらうことです。私が考える他社にないものは、顧客リストのチャネルの美しさと広さ・深さです。こんなに応援したい会社しか顧客にいない会社って、日本でほかにあるのかというと私たちだけだと思っています。だから気持ちよく、やらされるのではなくやりたくて働いています。
もう1点は、登る山の解像度を上げること。「山」とはビジョン。フォースタはビジョン「for Startups(すべては、スタートアップスのために。)」を社名にしている珍しい会社です。すべては日本のため、成長産業のために。これはとてもわかりやすいですが、一方で「日経平均は高いほうがいい」くらいに当たり前のこと。イヤという人はいません。これを自分事として捉えて、その美しい山に登りたいと思えるように本人がやりたいことに落とし込み、解像度を上げることはとても重要です。私がやりたいだけではなく、メンバー全員がそう思えるように、一人一人の志とフォースタのビジョンをつなげる。全員に対してできているかわかりませんが、そうやろうと努力しています。
採用の段階では、ミッション、ビジョン、バリュー、つまりどんな世界をつくりたくて、何のために集っていて、こういう価値観をもって私たちは事業運営している―この3つに共感してくれさえすればいいと考えています。だから、面接で「見極め」はしません。今できるか・できないかは関係ないのです。私たちは人を信じているから。人は成長します。だからミッション、ビジョン、バリューに向かって一緒にやりたいと思ったら採用したい。ただ、なぜ共感したと思うのか、ご自身の体験と紐づける作業は必要です。「なぜ」に答えられるようにすると、自分のやりたいこととフォースタのやりたいことが重なると思います。
私たちは日本の未来を変えると決意してやっています。今いるメンバーも、これから仲間になる人もフォロワーになったらダメ。振り返ったときに「村人1」ではなく、名前が残る仕事をしないといけません。仕事を通じて何者かになってほしい。
成熟期の事業では、「あなたが辞めても会社が回るようにしなさい」と言います。成熟産業はフォーマット化、オペレーション化された世界なので、それが正しい。一方、急成長期のスタートアップ市場は、フォーマット化ではなく付加価値をつくることこそ重要です。それは「あなたらしくやっていい」ということ。ただ自由にしていいのではなく、あなたらしくやることが、フォースタが向き合っているマーケットや戦略との整合性がとれているのです。全力で何者かになってほしいですね。
そもそも、日本を代表する起業家、投資家がこんなに集まってくれる会社はありません。今は半分くらいがオンライン勉強会ですが、コロナ前は年間130回、週2回から3回も起業家が来て、ロックスターのように熱いプレゼンをしてくれていました。そんな熱量をシャワーのように浴びる。日常の仕事で、そんな機会がある会社はそうないでしょう。これは日本一だと思います。
チャレンジして失敗して人は育つ。私の責任は山を登った先にきれいな景色があると証明すること
私は、成長欲求がとても強いんです。ただ本音は、取締役になったときも常務になった今回も、自分がキャップになるのが怖い。自分が成長せずに来年も再来年も同じことを言っていたら、この会社は本当に止まってしまうから怖い。だから、個人としてはすごく勉強をしないといけないと思っています。学んで、自分が果てしなく成長することにより、日本の未来もフォースタの未来もアップデートしたいです。
社内では、よく「きびだんごの数」と言っています。きびだんごとは、チャレンジのこと。私は、人は仕事でしか育たないと思っています。育つのは失敗したときで、失敗はチャレンジがあってこそ経験できるもの。会社としてチャレンジの数をどれだけ用意できるかが、とても重要です。
日本を代表する起業家がもっと増えれば、向き合えるヒューマンキャピタリストが増え、チャレンジのチャンス=きびだんごが増えます。私がアップデートをかけてフォースタの未来を広げることによって、チャンスを無限につくっていかないといけないし、そのきびだんごをこれから入る仲間にも渡し続けたい。フォースタは恐らく、普通の会社よりきびだんごを多く作れる場だと思います。
私だけでなく、私の直轄のグループマネージャーも、その下のメンバーにきびだんごを渡します。しかし、きびだんごの数はまだまだ足りていません。というのも、きびだんごを作って渡し続けることはとても大変だから。ただ、作業を渡すのでは意味がないし、会社が用意した仕事をあげることも、半分に切り分けているだけでチャレンジではない。やはり仕事を通じて何者かになることで、「〇〇さんにお願いしたい」とマーケットから指名が入り、そうやって得たチャンスを分け与えるのです。
過酷だけれども、それくらい私に見えている山はきれいだと思うからやれます。そうまでしてその山に登ってみたいし、登った先にある景色を見たい。いちばん不幸なのは、頑張ったわりに、登った先に何もなかったということ。だから私の責任は、「本当にきれいな景色を10年後に見せることができますか」ということだと思っています。
フォースタの課題はタイムスパン。掲げていることは何十年後かに達成されます。例えば30年後に、フォースタのやっていたことが、本当に意味があったのかわかります。でも、20代には30年後はもちろん、「5年後、君はね」というのも通じません。「今年ほしいです」となりますよね。それが課題。ヒューマンキャピタリストには、簡単にはなれないし、何年後になれるというものでもありません。起業家に向き合い続け、「あなたのおかげでこの会社は進化できました」と言ってもらうまで、とても大変だけどやるしかない。やってよかったと思えるまでがちょっと遠いのです。
だから、きれいな景色は、私自身が証明し続けるしかないと思っています。私はこの会社に一社員として入り、経営まで上がりました。これは一つの証明だし、証明している人の数を増やせば、「信じてください」と口に出して言わなくていい。「あの会社に入ったら成長して幸せそうになっているね」という信頼ができる。おびただしいチャレンジと失敗を繰り返して、何者でもなかった人が何者かになるのだと実績で証明するしかありません。
ハイブリッドキャピタルとして飛躍へ。思い込みの志をもって突き進む
第17回グロービス アルムナイ・アワード「創造部門」を受賞
企業価値には、PL、BS、キャッシュフロー計算書の財務三表に載らないものがあります。例えば会社を買収するときに、売上や利益だけでは判断できないブランド、従業員のロイヤリティ、テクノロジー、データ、今ならSDGsなど。この財務三表に載らない企業価値が競争優位性になります。私たちなら営業チャネルの美しさと深さに加えて人の力。人件費と考えると、フォースタの従業員も他社の従業員も金額は一緒かもしれません。でも熱量の高さが圧倒的に違う。これが、財務三表に載らない企業価値だと思います。
このビジョンに向かって狂信的に突き進んでいくのだというカルチャーが、我々の競争優位です。他社が明日からこのテンションで、同じ人数、同じテーマ、同じビジネスモデルでやろうとしても絶対に無理。模倣する気持ちが失せるほどの競争優位になるでしょう。私たちが企業を応援するのは、ユニコーンだから、SaaSだからといった理由ではなく、この起業家と事業が好きだから。だからやる。「好き」に勝てるものはありません。
実は月1回くらい、フォースタを倒す方法を考えてみます。自分が間違った選択をしていないか、進んでいる方向性は間違っていないかと検証するのですが、でも結局、ここまで「好きだから」で信じてやってきたことだから、例え違ったとしてもそれはそれで「悔いなし!」と思うんです。「このほうが成功しそうだ」と人から言われることはあります。でも、言われたことをやって失敗して後悔するよりも、信じてやっていることを貫いて後悔しないほうがいい。
次の5年で楽しみなことは、人もお金も支援する掛け算の新しいビジネスモデルである「ハイブリットキャピタル」。ようやく今年からスタートします。出資も絡めた真のHRパートナーになることを、ちゃんとビジネスとしてやっていきます。これがどうリターンするか。結果が出るには5年ほどかかりますが、それが返ってきたとき、ヒューマンキャピタリストの本当の付加価値を証明できると思います。人材紹介のビジネスモデルだけでなく、その人が入社後に生み出した価値も金額に換算されて返ってくるわけです。
これは単なるお金儲けではなく、ヒューマンキャピタリストという仕事がとても付加価値のある仕事だという証明をしたいという思うからです。人もお金もというハイブリッドキャピタルのチームは、今の日本にはありません。今までにないチャレンジには、逆風も吹くかもしれませんが、新しいマーケットをつくっていきたいと思います。
常務になり何をするのか、取締役と何が違うのか。今も考え中です。でも結局のところ思うのは、シンプルに自分の人生を生きるしかないということ。ロールモデルもない。誰かが示してくれるものではない。思い込みの志をもって突き進んで行くのみです。
7/20 に実施した新ミッション発表イベントでの1枚