作るのが難しいのは、ロジックを明確にする機能。
WEBシステム開発において、ユーザーインターフェースやデータベース設計以上に難しいのが、ビジネスロジックを明確にする機能の実装です。特に、学校法人が運営する学生管理システムのような業務システムでは、ロジックの複雑さが開発の難易度を大きく左右します。
今回は、学生管理システムを例に、なぜビジネスロジックが重要なのか、そして、日本教育クリエイトの開発チームがどのような視点で取り組んでいるのかをお伝えします。
学生管理システムにおけるビジネスロジックの難しさ
学生管理システムは、学生情報の登録・更新・削除だけでなく、以下のような複雑な業務ロジックを含みます。
✅ 進級・卒業判定
- 各学年ごとに取得単位の条件が異なる
- 留年や再履修のルールが学校ごとに異なる
- 一部の授業は単位換算の例外がある
✅ 授業の履修登録
- 必修科目と選択科目のルール
- 履修制限(人数上限や事前履修条件)
- 教員の負荷分散を考慮した調整
✅ 学費の請求管理
- 分割払い、奨学金適用、返還ルール
- 休学・退学時の返金規定
- 期日ごとの請求処理
これらのルールは、単なるデータのやり取りではなく、人間の判断や例外処理が加味されたロジックになっています。
なぜビジネスロジックが重要なのか?
1. システムの正確性を保証する
シンプルなCRUD(Create, Read, Update, Delete)操作だけでは、実際の業務フローを適切に反映できません。例えば、卒業判定の処理が誤っていれば、不正確な通知が学生や教務担当に送られる可能性があります。
2. 業務の自動化を実現する
手作業で行われていた業務をシステム化することで、人的ミスを防ぎ、業務の効率を向上させます。ただし、現場の業務ルールがあいまいなままシステムを作ると、「結局手作業の確認が必要」という状況になりかねません。
3. 拡張性と保守性を確保する
ビジネスロジックが適切に設計されていれば、将来的な制度変更や新しいルールの追加にも柔軟に対応できます。例えば、新しい履修ルールを追加する際に、既存のロジックを大幅に改修する必要があるとしたら、保守負担が増大します。
開発エンジニアが意識すべき視点
1. 業務フローを正確に理解する
システムを設計する前に、現場の担当者と密に連携し、業務の流れを細かくヒアリングすることが重要です。時には、担当者が「感覚的にやっている」業務をロジックに落とし込む必要があります。
2. ルールの例外を考慮する
ビジネスロジックは、単純な「もし~ならば」では表現できないケースが多々あります。例えば、学生が特定の条件を満たした場合に限り、例外的に進級を認めるといったルールが存在することもあります。
3. システムの柔軟性を確保する
学校の運営方針や制度は頻繁に変更されることがあります。そのため、ハードコーディング(コードに直接ルールを記述する)を避け、設定ファイルやデータベースで管理できる設計を採用することが望ましいです。
まとめ
「動くシステム」を作ることはできても、「業務を正しく効率化するシステム」を作るのは簡単ではありません。特に、ロジックを明確にする機能の実装は、エンジニアの技術力だけでなく、業務理解の深さも求められます。
開発においては、 ✅ 業務ルールを正確に把握する ✅ 例外処理を考慮する ✅ 柔軟な設計を意識する
日本教育クリエイトの開発チームでは、学生管理システムに限らず、これらのポイントを押さえ、実際の業務に即したシステム構築を心がけています🐈