「日本の就職活動は、65年間も大きな変化がなかったそうです。」
そう語るのは、株式会社BaseMeでマーケティングマネージャーを務める金 載範(キム・ジェボム、以下金)氏。新卒でDMM.comに入社後、多様なキャリアを経て、2024年4月にBaseMeへジョインしました。
彼が次なる挑戦の場として選んだのは、組織がまだ小さく、これからカルチャーを創り上げていくアーリーフェーズのスタートアップBaseMe。数々の選択肢があった中で、なぜ彼はBaseMeに惹かれたのでしょうか。
そこには、「この人となら本当に世界を変えられる」 と確信した代表勝見の存在と、市場の「文法」そのものを変革する壮大な挑戦への魅力がありました。今回は、金さんの視点を通して、BaseMeが挑む社会課題、プロダクトの無限の可能性、そして「仕事が最高に楽しいチーム」を目指す彼の想いに迫ります。
エンタメからSaaSまで。多様な経験を経て見出した「新たな挑戦」
インタビュアー(以下、Q):今までの経歴など自己紹介をお願いします。
金(以下、A): はい、よろしくお願いいたします。私のキャリアは、韓国での大学生活を終え、新卒で日本に来たことから始まります。BaseMeを含めて4社を経験し、その道のりは多岐にわたります。
新卒でDMM.comに入社し、英会話事業を中心に複数の事業でマーケティングを担当しました。デジタルマーケティングはもちろん、テレビCM、メディアの立ち上げやリニューアル、新規事業の立ち上げまで、本当に色々な経験をさせていただきました。
その後、エンターテインメントの世界へ。2社目では、Advertisement&CRM Managerとして、アーティストのプロモーションや社内DXプロジェクトを立ち上げるなど、音楽業界の最前線で手腕を振るいました。
そして、初めてのスタートアップとして選んだのが、株式会社カミナシです。カミナシでは、マーケティングのリーダーシップを担う傍ら、特に『展示会』というチャネルのスケールに力を入れてきました。私が入社したときは50人目の社員で、退職する頃には150人前後と、組織が3倍に成長するフェーズを経験しましたね。
カミナシで一通りの役割を全うし、「新しいチャレンジをしてみたい」と考え始めました。視野にあったのは、カミナシよりも早いフェーズの企業で、カオスを楽しみながら事業をスケールさせるという経験でした。アーリーフェーズから事業のスケールを経験できれば、将来的に自分のマーケティングスキルがもっと色々な場所で活かせるようになるのではないかと考えました。様々なスタートアップを見る中で、あるVCの方から「こういう会社があるよ」と紹介されたのがBaseMeでした。
決め手は「人」と「市場」世界を変える挑戦への確信
Q:BaseMeへ入社の理由を教えてください。
A:数ある選択肢の中から、BaseMeへの入社を決意した最大の理由、それは事業のフェーズや市場規模以上に、代表・勝見の人物像が大きかったです。
この人となら本当に世界を変えられるんじゃないかという、ある種の確信のようなものが持てたんです。彼らが挑戦している市場も、一見ニッチに見えるかもしれませんが、実は市場の概念そのものを変えていけるような、非常に魅力的なポジションだと感じました。
もう一つ感じた魅力に「難易度の高さ」もありました。強い競合に対してどう立ち向かっていくかを考えるのは、ものすごく難易度の高い課題です。しかし、それが達成できた時の達成感は、他では絶対に経験できないものだと感じました。
前職のカミナシも素晴らしい会社でしたが、50人規模で入社した当時から組織は比較的整っており、どうやってスケールしていくかに焦点が当たっていました。一方のBaseMeは、それよりもさらに小さい組織でまさに自分たちが持つカルチャーをどう浸透させ、新しい仲間にも共有していくかを強く意識しなければならないフェーズです。
「まさに自分が求めていた環境そのものだと感じています。」
65年間変わらなかった就活の「文法」を、AIと共に変えていく
Q:金さんが思うBaseMeのプロダクトの良さを教えてください。
A:私たちが掲げている「価値観マッチング」という言葉は、響きは壮大ですが、実はその響きより本質の方が非常に重要です。日本の就活市場は65年間も大きな変化がなく、学生たちは「自分が本当に何をしたいのか」という価値観が定まらないまま、決まった時間軸で一斉に就活をスタートさせなければなりませんでした。この画一的な仕組みが、結果として入社後のミスマッチや早期離職といった社会課題につながっているのではないかと考えています。
BaseMeは、その構造に一石を投じます。個人が「本当にやるべきこと」と、企業が「重要視していること」を深く理解し合い、価値観で繋がれる場所を提供すること。つまり、「今まであった就活の文法を変える」という点がBaseMeの目指す世界です。そして、その就活の文法を変えるのを力強く後押しするのが「AI」の存在です。
大学生の間でAIの利用が広がっていることはニュースで知っていましたが、BaseMeは、それによって市場がどう変わり、学生がどこに課題を感じているかを的確に捉えていました。特に、就活生が「めんどくさい」「時間がかかる」と感じているエントリーシート作成の課題を、私たちのプロダクトは見事に解決しています。
言語化が苦手な学生にとって、自身の経験を数百字にまとめる作業は至難の業です。BaseMeのAIは、ユーザーとの対話を通じてその人の一番の強みを客観的に引き出し、企業に最も伝えるべき内容をピンポイントでまとめる手助けをします。
何通もESを作るのではなく、自分の活動の中で本当に伝えるべきことをしっかりと伝えられるようになります。さらに言えば、私たちのプラットフォーム上ではESを受け付けず、書類選考で候補者をふるい落とすのではなく、企業が一人ひとりとしっかり向き合い、マッチングが生まれる新しい形の就活もサポートしています。この仕組みは非常に魅力的でした。
就活から、生涯のキャリアパートナーへ。BaseMeが見据える未来
Q:BaseMeのプロダクトの今後の未来についても教えてください。
A:BaseMeの挑戦は、就活市場の変革だけにとどまりません。私たちのプラットフォームは、SNS感覚で自分の活動や価値観について語れる機能を持っています。これに対して、他のユーザーや企業が反応できる仕組みです。この機能が、将来的に素晴らしい価値を生むと考えています。
例えば、小学校1年生の子が、日記のように自分の好きなことや経験を記録していくとします。そうすると、彼がいざ就活をするタイミングになった時、AIのレコメンドエンジンが「あなたに最もマッチしている企業はここですが、どう思いますか?」と、ごく自然に推薦できるようになるんです。自分の人生を俯瞰したときに、AIが客観的な強みを捉え、最適なキャリアを提示してくれる。これこそが「真のマッチング」であり、就活のための就活をなくすことに繋がると考えています。
この仕組みは、転職やキャリアアップの場面でも応用が可能です。膨大なライフログデータが蓄積されれば、キャリアチェンジの最適な方向性を示唆したり、AIとの対話を通じてキャリアに関する悩みを解消したりすることもできるでしょう。
キャリアは、人生において最も重きを置くべきものの一つと考えています。BaseMeは、その人の生涯にわたるキャリアプランを一緒に考えられるようなプロダクトに成長できるポテンシャルを秘めていると考えています。従来のサービスで、私たちと同じような価値観を持ってビジネスをされている企業はありません。これこそが、BaseMeだけが持つ独自の魅力です。
ユーザー理解こそが原動力。BaseMeのカルチャーとマーケティングの楽しさ
Q:金さんが入社されてどのような場面でユーザー視点のプロダクト開発をしていると感じましたか?
A:BaseMeのプロダクト開発を支えているのが、徹底した「ユーザー視点」のカルチャーです。入社してから様々な場面で感じますが、最も象徴的なのは、ユーザーインタビューが非常に頻繁に行われていることです。私自身、入社して5ヶ月ほどですが、すでに100人近い方々と1on1でインタビューを行いました。
ユーザーが悩んでいるポイントをいかに速やかにプロダクトに反映していくか。これはチーム全員が常に考えていることです。このユーザー理解こそが、私たちの原動力になっています。
さらに、その手法もユニークです。 新機能の開発などでは、まずインターン生を対象に体験会を行い、仮説を固めます。次に、私たちのコミュニティに参加している熱量の高い方々からフィードバックをもらい、最後に一般の会員層へと広げていく。関係値が濃いところから率直な意見をもらい、それが本当に市場に受け入れられる機能なのかを丁寧に検証していきます。このプロセスこそが、プロダクトを本当にユーザーのためになるものへと昇華させています。
Q:ユーザー視点を意識しながらのプロダクト開発がある中での、マーケティングの重要なポイントを教えてください。
A:私たちが求めているのは、広告運用などのスキルを持つ「技術者」ではありません。マーケティング的な思考をどこまで拡張できるか、という点が重要です。管理画面と睨めっこするだけでは、その先にいる顧客のことは決して理解できません。
BaseMeのマーケティング組織は、広告などのダイレクトマーケティングから、SNS、メディア、イベントやアンバサダーコミュニティの運営まで、多岐にわたります。しかし、どのポジションにおいても共通して求められるのは、「顧客を理解し、その態度変容を起こすための思考」です。
特に私たちのような、まだ認知が十分に取れていないスタートアップでは、ただ広告を流すだけでは誰も振り向いてくれません。顧客が抱える課題に深く寄り添わなければ、反応は起きにくいのです。BaseMeには、そうした深い思考を実践する機会が豊富にあります。
また、広告担当として入社しても、他の領域にチャレンジできるのがスタートアップの魅力です。BaseMeでは、全部署に「徹底したユーザー理解」という共通言語があるため、誰もが挑戦しやすい環境が整っています。また、BtoBとBtoC、両方にチャレンジできるのも大きな魅力です。現在はユーザー(toC)獲得に注力していますが、企業(toB)向けにZ世代のインサイトを提供するセミナーや記事発信も行っています。BtoBマーケの経験者がBtoCに、BtoCの経験者がBtoBに挑戦できるので幅広く経験を積むことができるのはメリットかと思います。
目指すは「仕事が最高に楽しいチーム」。共に未来を切り拓く仲間へ
Q:金さんはマーケティングマネージャーとして今後どのような組織を作っていきたいですか?
A:BaseMeが挑むのは、65年間変わらなかった市場の変革という壮大な社会課題です。そのためには、施策ドリブンなマーケティングだけでは不十分だと考えます。
市場を変えるには、学生から企業、さらにはアカデミックな領域まで、全てのドメインで態度変容を起こさなければなりません。だからこそ、今我々がやるべきなのは、ポジティブなイメージで、いかに早く認知を広げられるかという勝負です。各方面と丁寧にコミュニケーションを取り、私たちの世界観を伝えていく。それが最も重要な姿勢だと考えています。
Q:金さんはそんな大きな挑戦を前にこれからどんなチームを作っていきたいと考えているのでしょうか。
A:私自身が仕事をすごく楽しんでやっているので、メンバーにも『仕事が楽しくて仕方ない』と思ってもらえるチームを作りたいですね。このカオスな環境をいかに楽しめるかが重要です。個々人のチャレンジを尊重したり、ミッションの与え方を工夫したりすることで、誰もが仕事の楽しさを実感できる。そんなチームを目指しています。
一緒に働きたい人物像は責任感が強い方ですね。同じ目標、同じ使命感を持って戦える仲間がいることで、一人よりも二人の方が大きな力を出せます。スキルが突出していなくても、強い責任感さえあれば、一緒に未来を切り拓いていけると信じています。