こんにちは。
セブンデックスでディレクターとして働いているタクトです。
前職は教育系サブスクのtoCマーケティング責任者をしており、CAC・LTV両方を見ていました。
ただ、CACに偏った施策ばかり行ってしまった失敗経験があり、「広義のマーケティング」を体現できる会社としてセブンデックスを見つけ、2024年1月に入社しました。
そんなキャリアということもあり、この記事では「事業会社の元マーケティング責任者視点で語る広義のマーケの重要性」について書こうと思います。
ちなみに、「広義のマーケティング」を細かく定義とすると、それだけで記事が書けちゃいそうなので今回は省略して、以下の定義で書いています。
狭義のマーケティングを「広告等の集客活動」とすると、
広義のマーケティングは「集客に留まらない、事業成長のための活動」
具体例を出すと、以下のようなイメージです。
狭義のマーケティングは「CAC (顧客獲得単価)」をメインで追うが
広義のマーケティングは「LTV (顧客生涯単価)」も同時に追う
こっちのほうが分かりやすいかも
※CPA・CACという2つの言葉が混在していますが、同じ意味で使っています。
目次
- 社内の対立あるある (Web広告編)
- 「LTV不調だから許容CPA下げるしかねぇ…」
- LTVとCACの改善の考え方の違い
- そして、LTV・CACを本気で同時追うのは事業責任者だけに…
- セブンデックスとの出会い
- CAC・LTV両立のために必要なこと
- 1. 強みのこだわりを捨てる
- 2. 一人でやることを諦める
- 3. 大事なのはスキルではなくスタンス
- 広義のマーケティングを体現することの尊さ
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社内の対立あるある (Web広告編)
まず、Web広告をやっていて、あるあるだよな〜と思う事例を紹介させてください。
Web広告担当:「若干盛っているかもだが、この訴求刺さりそう!!これでCPA (CAC) 大幅改善したる!」
LTV担当:「顧客の期待値上がりすぎて、絶対LTV下がって解約されるからやめてくれ…」
あるあるだよね…?
CACだけを見ていると、プロダクトの提供価値を超えた訴求をしてしまうことがあります。 (コスメ・ゲームの広告でよくありますね。toB SaaSの営業とカスタマーサクセスも似たような構造で対立しがち。)
このくらいの問題であれば、「プロダクトの提供価値を超える訴求の禁止」というレギュレーションを追加すれば解決するので、そこまで大きな問題ではないです。
ただ、マーケ担当がLTV側を意識できていないと、もっと恐ろしい事態になります…。
「LTV不調だから許容CPA下げるしかねぇ…」
LTVが悪化したときに一番困るのは誰か?
実はマーケ担当です (正確に言うと集客の責任者)
基本的に許容CPAはLTVによって決まります。
(ユニットエコノミクスは「LTV ÷ CAC > 3」が目安となると言われており、LTV18,000円なら許容CPAは6,000円になります。)
つまり、LTVが12,000円まで下がったら、許容CPAは4,000円まで下がります。
許容CPAが下がるということは、当然獲得効率を上げないといけないので…獲得は (超) 苦しくなります。
CACとLTVは一見対立構造ですが、実はつながっているということですね。
でも、LTVを考えるのは簡単ではありません。
LTVとCACの改善の考え方の違い
LTVを考えるのが難しいのは、LTVとCACの改善の考え方が違うからです。
▼CAC
広告管理画面やGAで「この広告で、〇〇%増加した」と因果関係が分かりやすい。
▼LTV
プロダクト体験、入会時の訴求、導線の分かりやすさ、CSの対応など…変数が多すぎ。正直なんで増減したのか分からない。
LTV改善難しい…
LTVは「どういう施策によって、どれくらい改善したか」という施策と効果の関係が見えないため、Webマーケ的な「施策Aによって〇〇%改善」みたいな思考が染み付いていると、LTVの考え方を受け入れるのは難しい。
さらに厄介なのが、LTVに関わるのは「プロダクト」「CS」「マーケ」「CRM」などほぼ全部署になり、人を動かす難易度も高いです。
こういったこともあり、「LTVを伸ばせると良い」と思いつつ、結局着手できないままCACだけ追うことになる…というのが多くの会社で起こっているじゃないか、と勝手に思っています。
そして、LTV・CACを本気で同時追うのは事業責任者だけに…
このような構造から、LTVとCACを本気で両方追っているのは事業成長の全責任を持つ事業責任者 (あるいは社長) だけの場合も多いのではと思っています。
LTVとCACを両方見ていた経験からすると、両方完璧に追うのはまあ大変だなという所感です。
プロダクト立ち上げの経験がない人が事業責任者として事業を伸ばそうとしたときには、以下のような状況になると思います。
・どんな戦略に基づき動いていけば良いか分からない (プロダクトの勝ち筋が描けない)
・長期的な戦略を考えたいが、日々の業務に忙殺されて考えることができない
・同じ視座で語れる人がおらず、一緒に戦略を考えてくれる人もいない
事業責任者ではないですが、自分も近い悩みを持っていました
自分の経験としても、こういった状況で頼れる人・会社が思い浮かばず、結局一人で進めていました。
(一定成果はありましたが、理想的な成果とは言い難い…)
セブンデックスとの出会い
LTV・CAC両面の改善ができていないことから、「集客だけではない全体最適によって事業成長させられるようになりたいな〜」と思っていたところ、セブンデックスの以下の記事を呼んで、「まさに!!!!」と思いました
全てに当てはまる話ではないですが、短期的にCACを改善するデザインの中には、LTVにポジティブな影響を及ぼさないものも存在します。
なぜなら、新規顧客の獲得効率に最適化されたデザインが、長期的な顧客との関係構築に最適化されているとは限らないからです。すると、顧客の中ではCACとLTV、どちらを優先させるべきかで組織内対立が起こってしまっていたんです。
しかし、本来はCACとLTVは両方を目標として同時に追って、総和を高めていくべきもの。そのためにUI / UXがあり、最終的に顧客の事業の営業利益を最大化するためのプロセス全体をマーケティングと呼ぶと考えています。なので、顧客にはまずその前提を説明し、理解してもらう必要があることに気づきました。それが今のセブンデックスの事業に至るきっかけになっているんです。
一部抜粋
マーケティング支援会社は「SEO」「Web広告」「CRM」「テレビCM]などの各施策の専門家集団という認識を持っていたため、「マーケの全体最適ができる支援会社」があるなんて、と驚きました。
ここでならCAC・LTVの両面にアプローチできる方法が身につくかもしれない、そう思って入社しました。
CAC・LTV両立のために必要なこと
入社してみて、LTVとCACを両方見れるようになるため必要だと思った観点は主に3つです。 (実際にはもっと意識すべきことはあると思います。)
1. 強みのこだわりを捨てる
誰しも強みがあると思います。ただ、その強みへのこだわりが強すぎると、考え方が偏ります。(マーケ歴が長い人はCACを重視して集客施策がちだったり)
自分の強みは評価にも紐づくし、パーソナリティにも紐づくので切り離しづらいですが、しがみつかず「道具の1つ」として軽く握るべき。
「プロセス」ではなく「成果」であるという意識を忘れないことがなにより大事だと思っています。
2. 一人でやることを諦める
特にLTV改善は複数の領域にまたがる施策です。
ですが、全領域について深い知見を持つことは難しいし、一人だとどうしても自分の思考の癖に引っ張られます。
だからこそ、複数人で取り組めるチームを作る必要があると思っています。
3. 大事なのはスキルではなくスタンス
例えば、開発のことはめっちゃ詳しいけど、事業成長についてはフラットに話せない開発部長がいるとします。
その方はアイデア出しの参考にはなりますが、一緒にチームとして取り組むのは難しいですよね。
新卒2年目でまだ経験は浅いけど、やる気があり視座は高い人のほうが対等に議論できるのではないでしょうか。
大事なのはスタンス (視座を高く保とうとする姿勢) だと思います。
広義のマーケティングを体現することの尊さ
色々脱線してきましたが、改めて最初のテーマ「広義のマーケティングを体現することの尊さ」とは何か?
一言でいうと、「会社が部門最適ではなく、全体最適で動ける状態になる」ことだと思っています。
CACの最適化によって、LTVがむしろ悪化するリスクがあるように、「部門の最適」だけでは超えられない壁があります。
社員それぞれが「部門最適」ではなく、「全体最適」を考えられる組織は、とても尊く、良い組織だと思います。
最後に
広義のマーケティングを体現することは簡単なことではないですが、重要なことはスキルというよりスタンスだと思っています。
ただ、スタンスが大事だからといって、明日から一人でできるかというと、そうではない。仲間が必要だと思います。
社内に同じスタンスを持つそういう仲間が見つけられたら何よりですが、議論できる仲間がいない方もいると思います。
手前味噌ですが、セブンデックスはそういった視座を持てている数少ない支援会社だと思うので、頼れる先が欲しい方はぜひお声がけください。
だいぶ偏った意見かもしれないですが、、、一意見として見てもらえると嬉しいです。
長くなりましたが、この記事を読んで「広義のマーケティング (=全体最適)の尊さ」が1人でも多くの方に伝わっていると嬉しいな。
僕も広義のマーケティングを体現できるよう、引き続き頑張るぞ〜
【引用元note】https://note.com/takuto_shimokura/n/n3e8efb1d395c?magazine_key=me42c547e0d93