※このストーリーは、noteで発信した記事を転載しています。
こんにちは、カンリーの堀部です。 「海外のリテールトレンドには興味がある。でも、それを自社の経営にどう落とし込めばいいのか分からない」 店舗経営に携わる方々から、そんな声を耳にします。 そこで私たちは、世界最先端の小売カンファレンス「National Retail Federation(NRF)」を現地で視察し、その一次情報を軸に、経営者の皆さまと“実践的な気づき”を共有するイベントを企画しました。 本記事では、そのイベント──「店舗DX海外視察2025」の開催レポートをお届けします。 現場と経営、海外と国内。あらゆる境界を越えて、「自社に活かせるヒントが見つかる場」となった本イベントの内容が、「世界の変化を経営に活かしたい」と願う皆さまにとって、気づきを得るきっかけとなれば嬉しいです。
目次 開催の背景 NRF APACとは NRF APAC視察レポート 特別公演:カインズの顧客体験DX 経営者トークセッション:現場課題のリアル 参加者の声(一部抜粋) 3回目の「店舗DX海外視察2025」開催決定! 共催3社について カンリー クロスビット New Commerce Ventures 開催の背景 「海外のトレンドは気になっているが、自社にどう活かせばいいのか分からない」 ──そんな課題を抱える店舗経営者の方々に向けて、2025年7月に「店舗DX海外視察2025」を開催しました。 NRF現地視察で得た一次情報に加え、各社経営トップによる実践的な視点を交えながら、「戦略判断としてのDX」を支援する場を目指して企画。 2025年2月に実施した第1回イベントに続き、今回は第2回の開催です。 「実務に活かせる学びがあった」「他社経営者と本音で話せた」など前回好評だったポイントを引き継ぎながら、今回は特別ゲストとして株式会社カインズ CEO 高家正行氏をお迎えし、NRF APACで得た最新の潮流とリアルな経営現場の事例との融合を深める時間となりました。 イベントでは、学びの共有だけでなく、参加者同士の対話・交流の時間も重視。“つながりの場”としての価値提供も意識しています。
NRF APACとは NRF(全米小売業協会)が主催する「Retail’s Big Show」は、毎年ニューヨークで開催される世界最大級の小売業界イベントです。そのアジア太平洋版として新設されたのが「NRF APAC」。2025年はシンガポールでの開催となりました。 生成AI、リテールメディア、越境EC、フィジカルAIなど、グローバルな視点で語られる最前線の変化が数多く紹介され、アジア市場の可能性と未来像を体感できる場となりました。
NRF APAC視察レポート
世界最大のリテールカンファレンス「NRF」のアジア版として注目されるNRF APAC。 「Retail Unlimited」をテーマに、アジア・小売業の”無限”の可能性について語られました。 APACの市場の位置付け - 小売の未来は東から登る - オープニングでは、「小売の未来は東から登る」という印象的なフレーズとともに、アジアの成長性について語られました。 2030年には、世界の小売市場の売上の約44%、EC市場の売上の約50%がアジアに集中すると予測されています。 加えて、ライブコマースやECサービスのテクノロジートレンドの震源地にもなりつつあると語られており、アジアは「巨大市場」であると同時に、「最先端テクノロジーの震源地」としても注目を集めている、そんな状況が紹介されました。
境界線がなくなる時代へ 〜NRF APACで語られた5つの変化〜 続いて、「Retail Unlimited」というテーマを元に、「あらゆる境界線が曖昧になっていく未来」が語られました。ここでは、現地で共有された5つの変化の軸を、具体事例とともにご紹介します。
1. 人とAIの境界がなくなる 韓国のコンビニGS25では、AIアバターが接客を行う「AI STORE」を展開。センサーやカメラと連動した棚の自動在庫管理なども進化しており、「人の代わりに動くAI」が実用フェーズに入ってきています。
2. 国と国の境界がなくなる グローバル展開は、最初から前提条件に。 韓国発のEC企業Coupang(クーパン)は、アジア圏を中心に“越境EC”を加速。 同じく韓国のロッテは、海外展開を視野に入れたプロダクト・ブランド設計を行い、“世界基準のカテゴリプレイヤー”としての進化を図っています。
3. 業種の境界がなくなる 小売は「売る場所」から「体験・学びの場」へ。 コスメブランドSephoraは、自社が発信力のあるメディアとなるべく、SNSライブやTikTokでの情報発信を強化。 韓国のThe Edit Lでは、商品販売に加えて**セルフケアや教育要素を取り入れた“ラボ型店舗”を展開するなど、業種横断が進んでいます。
4. オンラインとオフラインの境界がなくなる OMOやユニファイドコマースは、すでに前提。 韓国のEmart24では、アプリと連動したNFCタグ付き商品により、店舗でもオンラインと同様の購入体験が可能に。 商品タッチだけで会員認証・購入履歴と連動できるなど、リアルとデジタルの垣根が急速に解消されつつあります。
5. 顧客体験と従業員体験の境界がなくなる “いい接客”は、スタッフの働きやすさから。 現場スタッフ向けにAIアシスタントを導入し、業務効率化とストレス軽減を実現。意見やフィードバックをリアルタイムで集め、店舗改善に活かす文化が根付き始めています。
以上のように、NRF APACは「これからの店舗経営をどうつくるか?」の実践知が詰まった場所でした。 日本の経営者にとっても、明日から使えるヒントがいくつもあったと感じています。
特別公演:カインズの顧客体験DX
イベントでは、株式会社カインズ代表取締役社長 CEO 高家正行氏による特別講演を実施。 「全社DXを成功に導くには、どこに焦点を当てるべきか?」という問いに対し、実体験をもとにした極めて実践的な内容が語られました。
未来を見据えて、ボトムアップではなくトップダウンでデジタル施策を推進 デジタル施策=「効率化」ではなく「顧客価値向上」 「やらないことを明確化」し、顧客接点 の革新にリソースを集中 “リアル店舗の魅力 ”を磨く手段として、デジタルがある 現場と経営の間にある構造そのものを設計し続けている姿勢に、参加者から多くの共感が集まりました。
経営者トークセッション:現場課題のリアル
後半には、高家氏、カンリー代表の辰巳、クロスビット代表の小久保氏によるトークセッションも実施。 採用・組織・理念など実際に参加者から寄せられた問いをもとに、店舗経営の核心に迫る実践的な議論が展開されました。 どれも現場目線と経営目線を往復しながら語られ、実践に落とし込める内容ばかりでした。
参加者の声(一部抜粋) 「アメリカとアジアの流通DXの進み方の違いについて、とても参考になりました」 「聞くだけじゃなく、実践できる内容でした」 「経営者同士の交流で、様々な知見を得ることができました」
おわりに:視察報告を、思考を深める“場”に変える 今回も大盛況で幕を閉じた本イベント。 私たちは、単なる視察報告で終わらせるのではなく、 思考が深まるきっかけとなる場づくり を、今後も継続していきます。 海外の変化を、現場に落とし込める視点で翻訳し、実行できる形に変える── そのための一歩を、皆さまと共に考え続けていきたいと考えています。
3回目の「店舗DX海外視察2025」開催決定! 2025年11月、 NRF 2025: Retail's Big Show Europe 視察報告会イベントの開催が決定いたしました! 今回は長年続く「Paris Retail Week」と初めて連携し、ヨーロッパと北米を結ぶ国際的なプラットフォームとして実現されます。 テーマは「Retail Together」。どのような気づきや学びが得られるのか、私自身とてもワクワクしています。 そして3回目も、 特別ゲストによる基調講演を企画中です。 詳細情報は近日中に告知いたします。皆さまのご参加をお待ちしております!
共催3社について カンリー 「店舗経営を支える、世界的なインフラを創る」 このミッションのもと、GoogleマップやSNSを一元管理する『カンリー店舗集客』やHR領域の 『カンリー福利厚生』を提供しています。 現在は導入店舗数約11万店舗のビックデータを活かしたAIエージェントによる分析体制の強化にも取り組んでいます。
代表の辰巳
クロスビット クラウド型シフト管理システム「らくしふ」を主軸に、サービス・小売業の現場支援を行っています。 約100万ユーザーのデータを活かし、離職率改善や現場の声の可視化に挑戦中。 「働く先の最高」をビジョンに掲げ、EX(従業員体験)の向上を支援しています。
代表の小久保さん
New Commerce Ventures 国内唯一の小売・流通特化VCとして、大手とスタートアップの共創を支援しています。 現場密着のレポートやピッチイベントも多数開催し、業界の「変革のハブ」として活動中です。
代表の大久保さん