日本合同ファイナンス株式会社(現・株式会社ジャフコグループ) / 投資・株式公開支援→企画部
米国の実情を知って痛感した「違い」
米国で取材して痛感したのは、日本のVCやそれをめぐる環境との大きな違いでした。 「米国のVCはこんな考えでこんなことをしている」「日本でこの言葉はこのような意味だけど、アメリカでは意味がちがった」「企業価値(バリュエーション)という考え方が浸透しているぞ」「上場時の株価形成方法がぜんぜん違う! ブックビルディングとか凄い!」などなど。 米国のシステムは、すべて日本とは比べ物にならないほどのプロフェッショナルたちが働く前提で成り立っていました。 日本も近い将来のうちに米国流のやり方になっていくに違いないと確信し、それを踏まえた実践を考えたり試したりする日々でした。 その後も何回か米国出張の機会があり、現地の凄さを体感したことを覚えています。特に、Netscape Communicationsの上場直前に居合わせることができたのはとても幸福な偶然でした。 そんな中で、「日本のVCで出世しても、本当の意味でのベンチャーキャピタリストにはなれないんじゃないか」という思いが日々強まりました。 自分はベンチャーキャピタリストになりたかったんじゃないのか?という思いが沸々と湧き上がってきて、「ベンチャー企業に転職して経験を積みたい」「ベンチャーキャピタリストになるための武者修行をしたい」と思うようになりました。 ある日、企画部長にそのことを話したら、またニヤッと笑って「いつかそう言うと思っていたよ」。 彼のアドバイスも受けて、数カ月後にジャフコを退職しました。 実はこの企画部長が、後にご自身もジャフコを退職してベンチャーキャピタルをつくり、日本ベンチャーキャピタル協会の会長になる尾崎一法さんでした。 あのタイミングで彼に出会えたのは私の一生の宝です。改めてご冥福をお祈りします。