はじめに:正規化時代のソフトウェア
業務システムは、長らく「正規化の時代」の上に成り立ってきました。
私は以前、UPSIDERのNoteでこう書きました。
これまでの業務システムというのは、多くの場合、業務データをあつかうデータベースを中心にシステムが設計されてきたと思います。
なので、稟議データはワークフローシステム、経費精算情報は経費システムというように、その時代では当たり前と考えられていた業務の単位でシステムは区切られ、その断絶を運用設計によって最適化していたように思います。
これが、技術の進化によって、これまでシステムによって隔てられていた業務の境目が、一連のコミュニケーションの流れ・フローによって再構築されつつあると私は考えています。
(“テックカンパニー UPSIDER”の挑戦と面白さ #UPSIDER春のTech祭り より引用)
会計システムであれば、人間が受け取る領収書や請求書のような「雑多で構造化されていない情報」を、SaaSの入力フォーマットに合わせ直す=正規化することが求められてきました。そしてその正規化プロセスを丁寧にやればやるほど、システムは効果的に働き、業務は効率化される。
しかし、すべての企業にとってそれが最適だったのでしょうか?
必ずしもすべての企業がSaaSを使いこなし、その恩恵を得られるわけではない
たしかに、下記のような機能・能力を組織に持つ企業は大きな恩恵を得たでしょう。
- 経理部門が組織されており
- 複雑な業務ルールを整備・運用できる
- 属人的な判断も制度化できる
しかし、私たちUPSIDERが向き合ってきたのは、そんな体制をまだ持てていない挑戦者たち──たとえばスタートアップや創業間もないチームです。
- 事業に集中しなければならない
- でも税務や融資などで経理処理は不可避
- しかし「経理がわかる人」が社内にいない
この構造的なギャップこそが、SaaSと現場を隔てる大きな溝だったと感じています。このような「体制をまだ持てていない挑戦者」がSaaSを導入すると、なんとか自分なりに努力して仕訳処理をしてみたものの、会計基準を正しく理解していなくて、あとから大量の修正が必要になってしまったとか、自分だけがわかるルールで業務処理を行ってしまって、マニュアルもなにもないので、誰かに手渡すことが難しいとか、人数が増えたときにそれに対応できる仕組みをまたゼロから考え直さなければいけない、というような課題が高い確率で発生してしまいます。
だから私達は「AI経理BPO」という挑戦を始めた
私たちは問い直しました。
「正規化できること」が前提のSaaSは、すべての企業を救えるのか?
そして出した答えが、救うことは難しいということ。ただし、「AI×BPO」のハイブリッドというアプローチであれば、それが可能になるのではないかということです。
正規化の“手前”にある情報や、業務フローの“隙間”にこそ、本質的な課題がある。
そこにAIと人の力で入り込み、システムのインターフェースそのものを再設計する──これが「UPSIDER AI経理」の始まりでした。
業務システムの再構築:1年前の問いかけから
約1年前、私はUPSIDERのNoteでこう書きました。
技術の進化によって、これまでシステムによって隔てられていた業務の境目が、一連のコミュニケーションの流れ・フローによって再構築されつつある。
つまり、「経理業務」もまた、請求書や領収書のような証憑を、会計システムのDBに対して、人間が情報を正規化して投入するという作業ではなく、
- 証憑の受け取り
- 担当者間の業務情報の伝達
- AIによる仕訳提案と人によるレビュー
- 月次処理・決算処理
といった人と人が自然に行うコミュニケーションと意思決定の連鎖の中で、に業務情報は必要に応じて自然に正規化され、複雑なルールを意識せずとも正しい処理が行われる。人間は正規化マシーンとしての労働から開放される世界が現実になってきているのです。
UPSIDER AI経理が実現したこと
この考え方の延長線上にあるのが、私たちが提供する「UPSIDER AI経理」です。
- チャットを起点に、人とAIが自然なフローの中で業務を進める
- 顧客は経理の専門知識なしで、必要な帳簿や申請情報が整う
- AIと人の連携で、業務構造そのものが再設計される
しかも、これを月額9,480円(税込10,428円)からという、スタートアップでも無理なく導入できる価格で提供している。これは、経理処理や月次の締めが低価格のアウトソースで実現できるようになったという意味だけでなく、銀行からの融資が必要な場面で試算表をすぐに提出することができ、計画通りに融資を受けることができた。投資家から毎月求められる経営のレポートを作成するために徹夜しなくて良くなった、など、まさにUPSIDERがミッションとして掲げているような、挑戦者からお金の不安をなくすことにも貢献ができているという実感があります。
AIとは「間」に存在する技術である
AIが真に力を発揮するのは、「何かと何かの“あいだ”に介在する」ときだと考えています。
- 人と情報の間にAIが介在すれば、検索や整理の手間を省き、要点を瞬時に届けられる
- 企業と会計システムの間にAIが入れば、経理知識がない人でも自然なフローで正確な帳簿ができる
私たちはAIを「情報の仲介者」ではなく「業務の構造そのものを再構築する存在」として活用してきました。
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