スタディストは、創業16年目を迎えた2025年3月に、ミッションを「オペレーションから、働き方と未来を変えていく」に変更しました。ミッションの変更は、創業以来初めてのことです。
今回は、ミッション変更の背景や、そこに込められた想いについて、代表取締役CEOの鈴木悟史に話を聞きました。
ーーーまずは、ミッション変更の背景についてお聞かせください。
スタディストは創業以来、「伝えることを、もっと簡単に。」というミッションのもと、マニュアル作成・共有システム「Teachme Biz」を中心に事業を展開してきました。このミッションは、当時の私たちの事業と完全に一致していました。手順を分かりやすく伝える、作業結果を分かりやすく伝えるという価値を提供することで、お客様の業務効率化をサポートしてきたんです。
しかし、ここ数年で大きな変化がありました。私たちが向き合うべき社会課題である「日本の労働人口の減少」が、より明確に、かつ深刻化してきたのです。
ーーー労働人口減少という社会課題と、当社の事業の関わりについてどのように考えていますか?
日本では今後、労働人口が4割も減少すると予測されています。これは深刻な問題です。特に地方都市では既に、働き手がいないことで店舗の閉鎖や営業時間の短縮、社会インフラの運用停止など、生活の質の低下が始まっています。
2021年末頃から私は「このままTeachme Bizというソフトウェアだけを提供していて良いのだろうか?もっと広く社会に貢献できるのではないか?」と考えるようになりました。そこで私がとった行動は、毎月最低10社のお客様と直接お会いして、現場の声を聞くことでした。
ーーーお客様との対話から得られた気づきはありましたか?
たくさんありました。マニュアルを作成しても読まれない、探せない、作成する人がいない、忙しくて更新できないなど、現場のリアルな課題を知ることができました。そこで気づいたのは、単にソフトウェアを提供するだけでは不十分だということです。
人口ボーナス期に作られた業務プロセスや仕組みは、労働力が豊富にあることを前提としていました。しかし、その前提はもう崩れています。これからの企業は、付加価値を生まない業務手順を減らし、適正な人数でロスなく事業を運営できるよう転換していかなければなりません。
ーーーそれがいわゆる「リーンオペレーション」という概念につながるわけですね。
そうです。2022年10月に「リーンオペレーションの実現を支援する企業」という統合事業コンセプトを設定しました。リーンオペレーションとは、理想の実現に向かい、目的に対してボトルネックとなっているオペレーションの無駄を解消し、価値を最大化する継続的な改善活動のプロセスです。
このコンセプトをもとに2年間かけて事業構造を転換し、プロダクトラインナップも着実に増やしてきました。Teachme AIやTeachme PlayerといったTeachme Bizの関連サービスのほか、デバイスレンタル事業やBPO事業など、新しい動きも活発になっています。これらの新規プロダクトやサービスは、お客様からご評価いただき、収益化にも繋がっています。
しかし、事業領域が広がるにつれ、「伝えることを、もっと簡単に。」というミッションとの乖離が大きくなってきました。これまでの15年間、大切にしてきた素晴らしいミッションでしたが、スタディストの現在と未来を表現するものとしては、限界を感じるようになりました。
ーーー新しいミッション「オペレーションから、働き方と未来を変えていく」には、どのような想いが込められているのでしょうか?
このミッションには、旧来のオペレーションをアップデートして、永続性が保てるように仕組み化する。そして適正な人数で従来以上の価値を創造し、そこで働く人と企業の未来をより良い方向へと導くという思いが込められています。
具体的には、プロセス・手順が可視化・標準化・単純化され、必要な能力を持った必要最小限の人員で、効率的かつ手戻りが少なく業務が行われる状態を目指します。そしてその結果生まれた余力を、従業員への還元や新たな挑戦のための投資に回せるようにすることで、企業と社会全体の活力を高めていきたいのです。
リーンオペレーションのステップと、スタディストが提供するサービス
ーーーお客様の反応はいかがでしょうか
多くのお客様から「まさに今、私たちが直面している課題そのものだ」というご共感をいただいています。労働人口減少という課題に対して、リーンオペレーションの実現が一つの解となること、そしてスタディストがその支援のためにプロダクトやサービスを提供していくという姿勢に、期待の声をいただいています。
ーーースタディストの社員や、これから入社を考える方々にとって、この新ミッションはどのような意味を持つのでしょうか
私たちスタディストのメンバーには、「リーンオペレーションの実現のために、お客様から頼られるプロフェッショナルを目指そう」と伝えています。社会課題の解決に直接貢献できる仕事であり、自分たちの行動が企業の未来、そして日本社会の未来を変えていくという大きなやりがいがあります。
新しく入社される方にとっても、明確な社会的意義を持った事業に携われることは、大きな魅力だと思います。私たちはチャレンジングな課題に、様々な専門性を持ったメンバーと一緒に取り組める環境を整えています。多様なバックグラウンドを持つ人材が互いに刺激し合いながら成長できる場所です。
ーーービジョンである「知的活力みなぎる社会をつくる」と、新ミッションの関係性はどのようにお考えですか?
ビジョンに変化はありません。「知的活力みなぎる社会をつくる」というビジョンを実現するために、私たちは新しいミッションを掲げました。知的活力みなぎる社会を実現するためには、非効率なことに割く時間を減らし、企業が新しいことに挑戦するための「資金」「時間」「人員」という余力を生み出す必要があります。
リーンオペレーションの実現によって生まれた余力が、企業の新たな挑戦を可能にし、それが社会全体の知的活力を高める。このサイクルを広げていくことが、私たちの目指す姿です。
ーーー今後のスタディストの展望についてもお聞かせください
「リーンオペレーションを実現する支援・実行を担うリーディングカンパニー」としての挑戦は始まったばかりです。これからも新たなプロダクト、サービスの開発を続けていきます。また、「支援」にとどまらず、自らも「実行」する企業へと進化していく計画です。
具体的には、リーンオペレーション実現のステップとして「現状の可視化」「標準化」「単純化」「徹底化」という4段階を定義しています。お客様の事業の状態や部門、事業ステージによって必要なアプローチは異なりますが、この枠組みに沿って、最適なソリューションを提供していきます。
また、生成AIの進化が私たちの事業にも大きな影響を与えています。最新技術を積極的に取り入れ、お客様に提供できる価値の幅を広げていきたいと考えています。
ーーー最後に、スタディストの社員や、これから入社を検討している方々へのメッセージをお願いします。
スタディストは創業以来、「伝えることを、もっと簡単に。」というミッションのもと、多くの企業の業務効率化を支援してきました。そして今、私たちは「オペレーションから、働き方と未来を変えていく」という新たなミッションを掲げ、より大きな社会課題に挑戦します。
これは単なるキャッチフレーズの変更ではなく、変化する社会に合わせて私たち自身も進化し、より大きな価値を提供していきたいという決意の表れです。
今、日本は労働人口減少という大きな課題に直面しています。しかし、これを乗り越え、新しい働き方やビジネスモデルを創出することができれば、日本だけでなく、同様の課題に直面する他の国々にとってもモデルケースとなります。そのような社会的インパクトの大きい挑戦に、一緒に取り組める仲間を私たちは求めています。
スタディストのメンバーには、自分たちの仕事が社会にどう貢献しているのかを実感できる機会が数多くあります。お客様から直接感謝の声をいただいたり、業務効率化によって生まれた時間で新しいプロジェクトが立ち上がったりする瞬間に立ち会えるのは、何物にも代えがたい喜びです。
新しいミッションのもと、私たちは今後もお客様と二人三脚で、リーンオペレーションの実現に向けて歩みを進めます。その道のりで、様々な専門性や視点を持つ仲間と共に成長し、社会に価値を提供し続ける組織でありたいと思っています。
未来を変えていく挑戦に、ぜひ一緒に取り組んでいきましょう。