※この記事はログラス公式noteにて投稿されたnote記事です。
ログラスでは現在『Loglass Tech Blog Sprint』というテックブログを運営しているほか、多くのエンジニアが強固な開発カルチャーの魅力を発信しています。
しかし、エンジニア個人の魅力にフォーカスした発信はこれまで少なく、各人のバックグラウンドを深堀りするべく本連載を開始しました。
この記事では、2020年12月に入社した佐藤有斗さんに光を当て、これまでの活動や、大切にしている価値観について紐解いていきます。
▼登場人物
株式会社ログラス エンジニア 佐藤 有斗
早稲田大学社会科学部を卒業後、2017年に新卒でVisional(ビズリーチ)に入社。同社のHRテック領域の新規サービスのテックリードを務める。2021年12月から株式会社ログラスにジョイン。現在は経営データを柔軟に高速に分析できるレポート機能の開発を行なっている。
執筆記事:YupでZodのようなスキーマファーストなバリデーションを目指す
未経験のエンジニアインターンからキャリアをスタート
――佐藤さんの学生時代は社会科学部ということで、文系のご出身なのがとても意外でした。まずは、プログラミングとの出会いについて教えてください。
佐藤:確かに学生時代は社会科学部だったのですが、文理問わず受講できる「オープン授業」というものがあったんです。
そこでプログラミングの授業を見つけ、「かっこよさそう!」と思って受講したのが、プログラミングとの最初の出会いでした。
Visual Basicが想像以上に難しく、その授業は結局、C評価だったのですが(笑)。
佐藤:とりあえず単位は取れたものの、オープン授業が終わった後は、再びプログラミングとは縁遠い学生生活に戻ってしまいました。
ただ、当時は経済系のゼミに入っていたこともあり、統計や数学と向き合うことが多く、文系の中でも理系寄りの学生だったのではないでしょうか。
――エンジニアを志した直接的なきっかけについても教えてください。
佐藤:大学3年生の夏にアメリカに1年間留学していたのですが、とある夜に、映画『ソーシャル・ネットワーク』(※Facebookの創業者であるマーク・ザッカーバーグを主人公とした映画)を観たんです。
その映画をきっかけに「プログラミングを通してアプリを作るのって面白そうだな」と思い立ち、日本に帰った後に、未経験エンジニアを雇ってくれるインターンを探したんです。
そこで、教育系のITベンチャー企業からインターンの内定をいただき、大学4年生の夏からエンジニアとしての人生が0からスタートしました。
――インターンではどのような開発に携わっていたのでしょうか?
佐藤:当時流行っていたRuby on Railsで、教材システムの開発をしていました。サイトの申し込みフォームや、教材内で新しい単語が出てくると自動で辞書に単語登録されるといった機能を作りながら、「エンジニア1年生」としていろいろな経験を積んでいきました。
――その後、新卒でVisional(ビズリーチ)に就職されましたが、どういう経緯でVisionalを選んだのでしょうか?
佐藤:紆余曲折あるので、かいつまんでお話しさせてください。
実は就活では、総合職かエンジニアの道に進むかで迷っていたんです。
その上で、Visional(エンジニア職)の内定、大手人材系企業(総合職)の内定、どちらもいただいていたのですが、当時内定式に出席したのは大手人材系企業のほうでした。
というのも、当時はスキルの世界で戦っていくのは苦しいものだと思っていて。自分より若くてもスキルがあるエンジニアはたくさんいますし‥。そんな理由で、一時期はエンジニアの道を選択肢から外していたんです。
――そこからなぜ、エンジニアの道へと方向転換したのでしょうか?
佐藤:よく考えてみれば「『スキルの世界で戦っていくのが苦しい』ってどんな職種でもそうだよな」と気づいたんです。今思えば、自信がなくて逃げていただけだったんですよね。
それからは、未来のことを考えて悩み続けるのではなく、純粋にやっていて楽しいと思える方を仕事にしようと考えました。
それで、Visionalの人事に頭を下げて再び試験を受けさせてもらい、再度Visionalのエンジニア職として内定をいただくことができました。
Visional在籍当時の佐藤さん
チームで成果を出す。Visionalで身につけた、エンジニアとしての礎
――Visional在籍時代の技術的なチャレンジについて教えてください。
佐藤:当時は採用管理システムの「HRMOS 採用」の開発に携わっており、DDDやスクラム、ドメインモデリングなどにチャレンジしていました。DDDについては、Visionalで同僚だった松岡さん(※現在はログラスEM)に話を聞きながらトライしていました。
また、当時はインフラ、フロントエンド、バックエンドすべてを担当しており、インハウスでインフラのリソースも担保していました。そのときは「HRMOS 採用」事業部の中にSREの方がいらっしゃったので、その方に教えていただきながら、Terraformのコードを書くなどもしていました。
エンジニアとして、フロントエンドからインフラまで全部関わるのは初めてだったので、とても面白かった覚えがありますね。
――身につけた考えについても教えてください。
佐藤:大きく2つあります。
まずは、「泥臭くテスト観点を考えること」です。あらゆるユースケースやテスト観点を考え抜き、何度も何度もテストし、どんな手段でもいいから高品質を担保してる状態でお客様に提供する。このように、エンジニアはお洒落な仕事ではないということを教わりました。
また、「チームで仕事すること」を覚えたのは僕自身の大きな変化でした。
というのも、僕はもともと傲慢な新卒だったと思っていて(笑)、「自分が成長すればいい」とか「自分が、自分が」みたいなことばかり言って、チームのことを考えないような人間でした。
ですが、最後の方は「チームとして勝つには?」について考えを巡らせるようになりましたね。この考え方は、ログラスに入社した後もずっと大切にしています。
「自分の思考を保存しておきたい」から始まった発信活動
――佐藤さんはログラスにいる現在もKotlin Festへの登壇やテックブログの牽引をはじめ、精力的な発信活動をされています。発信をはじめた経緯についても聞かせてください。
佐藤:前職で発信をはじめたころは、Qiitaにて「Scalaの限界に挑む」というテーマで書いていました。
Scalaのエラーハンドリングや、トランザクションモナドをScalaで実装したという記事はニッチすぎて全く読まれなかったのですが(笑)。一方で、日本のScalaの第一人者の方が読んでくださっており、コアな方に読んでもらえるのが楽しかったのを覚えてますね。読まれるのが楽しい・バズるのが楽しいというより、ただ自分の思考を保存しておきたいというモチベーションが強かったです。
――登壇やOSS活動等についてはいかがですか?
佐藤:Visionalの頃は、Scalaのミートアップで関数型エラーハンドリングについてのLTをしたり、新卒の研修リーダーをやった経験についての話を外部登壇でお話ししました。あとは、著者の一人と面識があったことから「実践Scala入門」のレビューをさせていただいたのも良い経験でした。Angularのakitaというフレームワークについて使い方の発表をしたこともあり、そこで出会ったのが現在ログラスでも業務委託で手伝っていただいている近藤さんだったりします。
ログラスで1番のコミット数。これまでやってきたことは?
――ログラスの創業フェーズから在籍している社員として、数多くの実績を残されてきた佐藤さん。ここからは、入社後の取り組みについて教えてください。
佐藤:ログラスへ入社した後は、まず最初にフロントエンドのイネーブリングに取り組んできました。最初はAngularの書き方を教えたり、サンプルコードを作っていましたね。
もちろん、通常の開発にも関わっており、バックエンド・フロントエンドを問わず対応し、配賦に関わる機能を作っていました。
その後は、AngularからReactへのリプレイスを行ったり、コメント機能を作ったりと様々な開発に関わり、現在は新規モジュールの開発に関わっています。
――現在、佐藤さんはLoglassのGitHubリポジトリへのコミット数が2位以下に圧倒的な差をつけて1位です。なぜ、そこまで圧倒的にコミットできているのでしょうか。
佐藤:2つの「執着」があるからだと思っています。
1つめは、時間意識への執着です。
ログラスには「開発集中タイム」という仕組みがあるのですが、そこにはかつて、ベロシティが安定していなかったという背景がありました。創業初期はとにかくミーティングが多く、細切れに予定が入っていたことで、みんなの集中力が下がってしまっていたんです。
それを見て、「会議を一切入れず、全員が4時間自由に開発できる時間を作れば、開発生産性は絶対に変わる」と思ったんです。そのような経緯を経て、2022年の初めから、エンジニア全員のカレンダーに「開発集中タイム」がセットされています。
月〜金の14時〜18時に毎週設定されている開発集中タイム
2つめは、良い文化をつくることへの執着です。
会社の規模が大きくなればなるほど、文化は根付かせにくくなります。そのため「初手でどんな文化を実装しにいくか?」は、入社当初特に考えていました。
たとえばログラスでは毎週月・火・木に「10分勉強会」という勉強会を開催しているのですが、これを始めたのは、学び続ける文化をどうしても初手で実装したかったからです。
「学び続ける文化だけは絶対に組織に必要だ!」と思っており、創業初期にゴリ押しで実装したことを覚えています(笑)。なぜこうした文化を自分から率先して作りにいったかというと、文化は自然発生するのではなく、目的をもって作り上げていくものだと思うからです。
自分の仕事を心待ちにしてくれている“お客様”を好きであり続けたい
――仕事を進める上で大切にしてるスタンスを教えてください。
佐藤:「お客様を好きになること」です。
エンジニアとしてログラスで働くことの面白さのひとつに「お客様の熱量が高い」ことがあります。
まず、直近では新規モジュールの開発にあたって、自分が直接商談に出向くことも多いのですが、一度も会ったこともないエンジニアのヒアリングに快く協力してくださいます。
また、開発途中の機能について頭出しすると、「早く作ってください!」「心待ちにしています」とおっしゃってくださることも多いです。
エンジニアが作る新機能を楽しみにしてくれて、自分の仕事を心待ちにしてくれている。
そんな方たちのことをちゃんと好きでいられることは、自分の人生において大変ありがたく、身に余る幸せだとも思います。
――素敵ですね。お客様を好きになれば、「好きな相手には良いものを届けたい」という気持ちが生まれて、仕事が楽しくなるということでしょうか?
佐藤:まさしくそう思います。
実は、その「お客様を好きになる」という感覚が芽生えたのは、ログラスに入社してからなんです。
今までは「美しいものを作りたい」といったモチベーションのほうが強かったのですが、それ以上に自分の仕事を待ってくれている人がいると、より仕事が楽しくなるなと思いますね。