誰も教えてくれない、新ポジションの立ち上げ方|あさみゆうき
こんにちは!浅見です。「良い景気を作ろう。」をミッションに掲げるログラスで、カスタマーサクセス責任者をしています。 ログラスでは5月から新年度ということで、いよいよ5期目が始まっています!お陰様で事業としては順調に成長しており、社員各々も新たなチャレンジをしています。 ...
https://note.com/yukiasami/n/n6ea453850291
※この記事はログラス カスタマーサクセス部 マネージャー・PMM部 マネージャー 浅見が投稿したnote記事です。
こんにちは!浅見です。「良い景気を作ろう。」をミッションに掲げるログラスで、カスタマーサクセス責任者をしています。
ログラスでは5月から新年度ということで、いよいよ5期目が始まっています!お陰様で事業としては順調に成長しており、社員各々も新たなチャレンジをしています。
もれなく私もそのひとりなのですが、5月から兼任してプロダクトマーケティングマネージャー(以下、PMM)を担うことになりました。このポジションはログラスとしては初めてのポジションであり、その立ち上げをさせていただいております。
スタートアップ、ベンチャーでは事業や組織が大きくなっていく中で新たなポジションの必要性が高まることは日常茶飯事かと思いますが、一方で新ポジションができると、下記のような課題もあがりやすくなっています。
かくいう私も過去の職場で新ポジションの組成に関わる中でこのあたりにとても苦労したものです。明確に必要性があるものの、それらを確立させていくアクションはまた別の視点が加わるのだなと痛感しました。
そんな中で今回のPMMの立ち上げにあたってはこれまでの反省を活かしながら、一定の期間をかけて立ち上げの準備をしたところ、かなりよいスタートが切れている感覚があります。
PMMとしての成果としてはこれからつくっていくので是非あたたかく見守っていただければと思うのですが、今回はポジションを立ち上げるにあたってこの2~3ヶ月ほど様々な工夫をしてみたことを書いてみようと思います。
以下のような方に読んでいただけると嬉しいです。
そもそも新ポジションはなぜ必要なのでしょうか?
新ポジションを立ち上げることはあくまで手法でしかありませんので、まずはそのような選択肢がなぜ発生するのか?という部分について触れていきます。
新しいポジションが必要になる背景には、事業の成長に伴う変化が関係しています。一般的に、事業が成長するにつれて、様々な課題や問題が生じます。例えばログラスでは以下のようなことが発生していました。
これらを解決していくためには、それらの課題を解決する仕事をしっかりと定義し、これらに責任をもつ人を決めていくこと(=新ポジションを立ち上げること)がわかりやすい解決策です。
そのため、ログラスでも事業や組織の課題ベースで定期的に新ポジションの必要性を議論、推進するようにしています。
これはログラスに限らず一般的な手法であり、SaaSスタートアップの大先輩であるSmartHRの宮田さんや、同社PMM佐々木さんも組織課題をもとに、その手法として新ポジションを立ち上げる必要性について発信されています。
なお、私はこれまでのキャリアで間に落ちたボールを拾う何でも屋(よく言えばジェネラリスト)をしてきたこともあり、今回もその延長線上でポジション立ち上げに関わることになりました。
※何でも屋が新ポジション立ち上げにも向いていることを書いた記事はこちらをご覧ください!
今回のプロセスを振り返る前に、まずは新ポジションを立ち上げる際にやりがちな失敗を実体験からまとめていきます。
※新ポジションの職務内容については、Job Description(以下、JD)として表現をしていきます
新ポジションの機運が高まってくると、とにかく早く動きたくなりがちです。また、始めたばかりで不確実性が高いので、立ち上げて走りながら考えていくべし、というスタンスの取り方もあります。
これは半分正解ではあるのですが、一方で組織というのは非常に複雑なものであり、1度混乱が発生してしまうとその修正には大きなコストがかかります。
現場での混乱によるタイムロスや機会損失、繰り返しの目線合わせMTGが発生することで組織や責任者に大きな負担をかけてしまうことになります。
ポジションはただのラベル。
まずはJDをしっかり考えるところから。
大前提として、先人の皆さんから学んでいくことはとても重要な取り組みです。(後述しますが私も多くの方にヒアリングさせていただきました)
一方で各機能が担うべきミッションやJDは事業や会社によって当然ながら異なります。
例えば、他社が自社開発で行っているプロジェクト管理業務を、自社が外部委託する場合を考えてみましょう。その場合、他社のプロジェクトマネージャーのJDをそのまま自社のポジションに転用することは、自社の状況に合わない可能性があります。自社では外部委託先が多数あり、各々のプロジェクトを把握する必要がある場合、他社と異なるJDが必要となるかもしれません。
なので、他社の取り組みをそのまま鵜呑みにせず、自社に合ったJDを関係者と議論し設定していくことが大切です。
あるべきJDは自分たちの中にしかない。
自社としてのこだわりをもち、何を言われようが信じて決めよう。
これは実は1番やっちゃいけないことだと思います。
新ポジションは一般的にこれまで宙に浮きがちだったタスクを担うことが多く、立ち上げ前は既存のポジションが一部を担ってくれていたり、各ポジションを跨って推進されていることがあります。
まさに今回立ち上げたPMMのポジションはビジネス・開発のほぼ全ポジションと連携が必要でしたので、ここの連携を明確にしないことには前に進めないものでした。例えば以下のようなものがあります。
各ポジションでも様々なチャレンジ、変化が起きている中で、自分のポジションとしてどうありたいかだけを考えていては事業の成長に貢献することはできません。場合によっては、混乱を招き逆に迷惑をかけてしまうことだってあります。
そういった意味では「自ポジションとしてどうありたいか?」ではなく、「どうあると各ポジションにとって嬉しいか?」という視点であるべき姿を考えるといいかもしれません。
ポジションが生まれることで、むしろ全体の複雑性は増す。
それ以上のバリューを出すための仕組みを考えよう。
では、本題となる私がログラスでPMMを立ち上げた時のプロセスを紹介します。
なお、これらはあくまでログラスのPMMポジションにおいて一定当てはまったやり方なので、鵜呑みにはせずぜひ自社にあったプロセスを模索してみてください!
とにもかくにも、まずはインプットをしないと確からしい仮説が立てられません。特にPMMは国内でもまだまだベストプラクティスが少なく、書籍等のコンテンツもかなり不足しておりましたので、まずは先人の皆さまに話を聞いて解像度をあげていかねば!という気持ちでヒアリングを依頼しました。
なお、ヒアリングでは目的を事前にお伝えした上で、以下のような項目でお伺いをしました。
ヒアリング時のドキュメント一部
ポイントは、単純に取り組んでいることを聞くだけでなく、ポジション立ち上げから現在に至るまでの変遷や、設置やJDの意思決定を聞くことです。
背景情報を得ることで自社にも置き換えて考えやすくなり、「では自社の場合は、こういう風に進めるのがよさそうだ」という仮説を立てられるようになります。そういう意味で特に「1人目からの立ち上げをどのように進めたか、組織で浸透させたか」を聞くのはめちゃくちゃおすすめです。
また、複数社のお話を聞くことで本当に1つのポジションでも多様な捉え方、運用の仕方があるんだということに気づきます。ヒアリングも実施する場合、できれば複数の方に依頼することをおすすめします。
ヒアリングは知人経由でご紹介いただいたり、自らTwitterでDMを送って依頼するなどの活動を行い実施しました。ヒアリングをさせていただいた皆さんにこの記事で改めて御礼を申し伝えさせてください。(エンドロール風にお送りいたします)
ご協力いただいた方々(順不同)
SmartHR:佐々木さん
freee:伊関さん
LayerX:飯沼さん
Salesforce:早川さん
皆さま、本当にありがとうございました!!!!
私自身も近い環境にいる方のお力になれればと思っていますので、何かできることがあればぜひお気軽にご連絡ください!
インプットが進んでやるべきことが見えてきたら、次にログラスのPMMが担うべき責務や指標を整理しました。ここからは自分のみでなく、PdMやBizdevはじめ、各部門と連携しながら進めていくことになります。
言語化するにあたっては、文面に起こす前に全体像をdiagrams.netやMiroで整理しておくと会話がしやすいです。特にログラスのPMMの場合は、これまで各セクションが一部担っていたものをバトンを受け取るような形で進めていくものだったので、関係者が理解できるような進め方を意識しました。
PMMが担うKPIの整理 ※社内資料のためモザイクあり
図に起こすことで「ここ役割被っていないか?」、「この観点が漏れているのではないか?」という部分についても触れやすくなりとても整理が捗ったのでおすすめです。
整理が進むといよいよ新ポジションとしての動き出し機運が高まってくるのですが、PMMの場合は、まずポジションをβ版としてリリース(=組織図に入れる前に仮運用)をすることにしました。
これが今振り返るととてもいい意思決定だったと思います。
なお、β版といえども、内容は以下のように誰がみてもわかるレベルでまとめることを意識しました。
PMMのJD(β版) ※社内資料のため一部モザイクあり
立ち上げ前に様々な整理を行ったとしても、新ポジションとしての役割を果たし始めてから、新たなニーズや課題は発生する可能性は高いです。(実際今回のPMMでもめちゃくちゃ発生しました)
そのため、いきなり新ポジションをアクセル全開で進めるのではなく、β版(仮運用)として設定することで見直し、軌道修正が効きやすい体制をつくることができます。
そもそもスタートアップでは事業フェーズが3ヶ月もすればガラッと変わりますし、それに応じて役割も変わるので、そういった意味では既存ポジションも含めて永遠のβ版ではあるのですが・・・(笑)
特にPMMは事業戦略の策定や意思決定にも大きく関わるポジションであり役割も膨らみがちだったので、どこまでをカバー範囲とするか?責任を持つのか?という部分は走り出さないと絞れないポイントでした。
なので、このβ版(仮運用)はとてもやりやすい運用だったと思います。
最後にβ版が走りはじめてしばらくしてから、各部門からフィードバックをいただく機会を設けました。内容は以下のようなものです。
めちゃくちゃシンプルな問いではあるのですが、新ポジションは各部門がこれまで十分にできていなかった役割を推進するために立ち上げるため、どれだけ組織の期待値を満たせているかを一定理解することができます。
すべての部門からの期待を10点にすることは難しいですし、リソースに限界はあるのでいきなりすべてに応える必要はないのですが、この問いかけから新ポジションの中期的な成長戦略や、組織化に向けて採用すべき人材が誰か?という少し先のイメージをもつことも可能なのでおすすめです。
以上をもって、一定の手応えをもって新ポジションの立ち上げができました。
最後におまけと言いつつ地味に重要なポイントなのですが、新ポジションは定着がとても大事になってくるので、組織の中で最短でバリューを発揮する取り組みをすることでモメンタムが生まれ、周囲からの協力が得られやすくなってきます。
私の場合はPMMのミッションであるプロダクトマーケティング(プロダクト価値を言語化し、マーケットに届けること)を、まずは社内でやるところから始めました。
事業が変化していく中でプロダクトの価値を定量的に表すことは結構難しく、社内でも共通認識をつくりにくくなることがあるため、下記のようにLoglassの活用による工数削減インパクトをまとめてみたりしました。
※Loglassは経営管理領域のSaaSであり、予算策定や予実管理の効率化や高度化に期待があります
Loglassの工数削減インパクト ※社内資料のためモザイクあり
アウトプットを見てくださった皆さんのコメント
新ポジションは成果を出すまでのプロセスが長いこともあるのですが、こんな感じで短期的にでも社内でバリューを発揮したりすると、早期に組織内の信頼を構築でき、かなり動きやすくなります!
みんなに身近になり"ぷむむ"という愛称がつくように(かわいい)
最後に突然僕の大好きな漫画のひとつである、NARUTOの話をします。人気キャラのうちはイタチが主人公・ナルトに残した名言として以下のような言葉があります。
”火影になった者”が皆から認められるんじゃない
”皆から認められた者”が火影になるんだ
(NARUTO 552話 「火影の条件・・・!!」より)
これは新ポジションもまさにそうだと思っています。
新しいポジションを立ち上げる際には、単に必要性を感じて設定するのではなく、その活動が本当に価値あるものであるかどうかをしっかりと検討する必要があります。
「皆から認められた者」が火影になるように、新ポジションも単に必要性を感じて設置するだけでは価値はなく、その活動が本当に価値あるものになって初めて立ち上がったと言えるのです。
よって、以下の言葉をもってこの記事を締めくくらせていただきます!
"新ポジション"が価値があるわけではない
価値のある活動から"新ポジション"が生まれるんだ
いつもの宣伝コーナーです。
代表の布川は、常日頃から「ログラスマフィアをどんどん輩出したい!」という言葉を繰り返し社員にメッセージとして伝えています。
これは、ペイパルマフィアになぞらえて、社会にインパクトを与える人材をログラスから生み出していきたいという想いが言葉になっています。
現在もビジネス・開発・コーポレートなど多くのポジションで募集をしており、まだまだ組成フェーズのチームもあるので、ジェネラリストの活躍ポイントがたくさんあります!
今回立ち上げたPMMについても早速募集中です!!!
ミッションへの共感はもちろん、何か大きなことを成し遂げたい!そのためのキャリアを歩んでいきたい!と考えている方の募集を熱狂的にお待ちしております!(待つだけでなく、僕らからお声がけもします!)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!