「まずは信じたらいい。信じないことにメリットはない」働く人に欠かせない言葉と考え方|福岡でコツコツまじめにやってる会社の平凡な日常
普段はコウダプロ代表の幸田さんが朝礼で講話をしてくださいますが、今回は幸田さんが出張のため不在。その代わりに、新卒7年目で管理職を務める原口水月さんが代理としてお話をしてくれました。 ...
https://note.com/koudapro/n/n6f506b2e58e2
10月初旬に行われたコウダプロの朝礼では、社長の幸田八州雄さんから3つのテーマが語られました。概要をお伝えすると、「性善説に基づいた組織づくり」「4ゲ主義」「立場の違う者同士リスペクトし合う」という内容です。
今回これらの話題が取り上げられた背景には、新入社員が入社して半年を迎えた節目がありました。コウダプロには「コウダプロ憲法」という独自の指針が存在し、社員は皆この憲法を土台に日々の仕事に向き合っています。
コウダプロ憲法は企業理念・社是・クレド・行動指針を融合させた存在であり、まさに組織の根幹を成すものです。メンバーはコウダプロ憲法に共感しているからこそ、この場所で働いています。半年を迎えた今、新入社員にとっても原点に立ち返り、改めて理解と実践を深めるタイミングとなりました。
組織の純度を高めながらも外からの刺激を取り入れる重要性、経営者的な視点で物事を確かめる習慣、そして多様な人々へのリスペクト――いずれも、働く私たち一人ひとりに、普遍的かつ大切な姿勢を問いかけるテーマだったと思います。
こんにちは、プレスラボ(@presslabo)の池田園子です。月1回「コウダプロ朝礼レポート」を担当させていただいています。
前回(2025年9月)の朝礼noteはこちらから。
幸田さんは、人は本来「性善説」で接することができると信じています。そのためには「人を信じて心を開く」という前提を整えることが欠かせないと語りました。これは、コウダプロ憲法や朝礼の講話でもたびたび登場する「柔らかい心」にも通じる基本的価値観(※)です。この前提があるからこそ、本音で語り合える純度の高い組織文化が成立します。
(※基本的価値観については、性善説の記事も別途読んでいただきたいです)
社内は「無菌室」のように純度の高い環境として設計されています。しかし、無菌状態のままでは外に出たときに弱くなってしまう。そこで、あえて外部刺激に触れる仕組みを意識的に取り入れているといいます。
具体的には、他社文化や異なる価値観、厳しい意見や摩擦など。完全に守られた環境だけでなく、適度に外部刺激を受けることで、人も組織も強く健全に育つのです。
ただし、純度の高い組織には特有のリスクもあると幸田さんは冷静に語ります。純度の高い集団ほど内部での対立(いわゆる「内ゲバ」)が起きやすく、本来は外に向かうべきエネルギーが内側に向かってしまうことがあります。これは、歴史を振り返ってもたびたび見られる現象です。高い求心力と一体感は外部競争での強みになる一方、その純度ゆえに閉鎖性や慢心に陥るリスクをはらんでいます。
特に新卒社員のように他社を知らないメンバーは「自分たちは特別だ」「この組織はすごいんだ」と思い込みやすい傾向があります。だからこそ、外部の世界にあえて触れることで、純度と開放性のバランスを取ることが重要なのです。
性善説のもとに心を開く——これは、まず社内の仲間と本音で語り合うための前提です。社外の方々とは立場や文化が違うからこそ、互いに尊重し合いながら信頼関係を丁寧に築いていくことが欠かせません。大切なのは相手を理解しながら、誠実に安心できる関係性を育んでいくことだと考えています。
コウダプロで大事にされている考え方のひとつに、コウダプロ憲法 第三十四条「4ゲ主義(現地・現物・原典・ゲリラ)」があります。これは、「実際に事が遂行されるまでは、すべて仮説である」という徹底したスタンスを示しています。
たとえば「〇日に5,000万円が入金される」という予定があっても、その段階ではまだ「仮説」にすぎません。5,000万円が確実に売上になる、とは言い切れません。実際に着金して初めて「事実」になります。現実には振込忘れや資金繰りの悪化による延期、最悪の場合は会社が消えてしまうことも起こり得る。そうしたリスクを想定しておくことが4ゲ主義の基本だと幸田さんはいいます。
「社長が〇日に入金すると言っていたから大丈夫」と思ってしまうのは、4ゲ主義の本質を理解していないとも言い換えられます。雇用される立場の人は予定や言葉を「事実」と受け取る傾向がありますが、多くの経営者は「現物確認できた事実」だけを基点に判断します。この視点の違いこそが、当事者意識や視座の高さの差を生むのです。
4ゲ主義を実践することで、「起こるまでは仮説」と捉える感覚が育ち、社員一人ひとりが経営者的な視点に近づくことができます。
最後に、幸田さんは朝礼前々日に行われた総裁選や昨今の社会情勢にも触れながら、「立場や属性の違いが対立や断絶を生みやすくなっている現代社会」に対する考えを述べました。
それを和らげるカギは、「違う立場の人に敬意を払うこと」。英語で言うと“Respect Each Other”の姿勢です。コウダプロ憲法でいうと第十八条や第二十四条に関わる考え方です。
たとえばスポーツやエンターテインメントの世界では、最も注目されるのは選手や演者ですが、実際には企画・運営・清掃・チケット管理・飲食販売など、さまざまな役割を持つ人々の仕事があってこそ成り立っています。そこに関わる全員が尊敬の対象であるべきだと幸田さんはいいます。
一方で、人にラベルやレッテルを貼ってしまうと、その瞬間に見方が固定化され、それ以上の関係や成長が止まる、偏見や断絶につながるリスクが大きいという指摘もありました。
コウダプロという組織も、多様な役割を持つ人々が集まって成り立つチームです。お互いの役割を尊重する姿勢は、組織だけでなく社会をより良くしていくための普遍的な考え方といえるでしょう。
今回の朝礼では、「性善説」「4ゲ主義」「違いへの敬意」という3つの視点から、働くうえでの原点を改めて考えさせられました。
まず、「無菌室と外部刺激」の話。守られた環境だけでは外の現実に対応できなくなるからこそ、あえて揺さぶりや摩擦を受け入れることが必要です。心理的安全性が確保された組織だからこそ、そのバランス感覚がより大切になると感じました。
また「4ゲ主義」の徹底は、コウダプロのメンバーに限らず、働くすべての人が大事にしたい姿勢だと思います。仮説と事実を峻別する感覚は当事者意識を育て、働く視座を高め、仕事をより楽しくしてくれるのではないでしょうか。
最後に「違う立場への敬意」は、社会全体でも忘れがちな価値観です。誰かに何かをしてもらったときに感謝を抱き、自分も自分の役割で貢献する。その循環が、より幸せな職場や社会をつくる基盤になるのだと感じました。
Text/池田園子