ナマステ~
この夏、インド・バンガロールにあるiTips技能訓練校を訪問してまいりました。今回の記事では訓練校の様子や訓練生の声をたっぷりお届けします!
「iTipsで学ぶと、若者はどう成長するのか?」「彼らはどんな想いで日本を目指すのか?」
――この記事を読めば、その答えがきっと見つかるはずです。
iTipsが自社で運営する技能訓練校は、ケンペゴウダ国際空港から車で約1時間半の距離のホスールという町にあり、周囲には工場や学校が点在する、インドの田園風景に囲まれています。この環境の中で、現在25名の訓練生が学んでいます(※2025年8月現在)
クラスは入学時期と日本語能力に応じて4つに分かれ、入学後はまず日本語を集中して学び、その後「特定技能(建設分野)」に関する専門知識の習得へと進んでいきます。
朝礼から始まる一日
朝は8時50分、全員が整列し朝礼がスタートします。内容は挨拶、ラジオ体操、校訓の唱和、そして施設内のランニング。
驚いたのはその規律の高さと声の大きさ。整列した姿は日本の中学校の体育祭のようで、ピリッとした空気が漂います。「日本式」という感覚を私たち日本人はあまり意識していませんが、実は小中学校の頃から自然に身についていたものなのかもしれません。
インド人訓練生たちも堂々と、そして誇りを持って朝礼に参加しているように感じました。
声を出しながらジョギング!施設内を4周。中学の野球部を思い出します。
授業の様子
さて、朝礼が終わると授業開始です。Classroom1 一番レベルの高いクラスの本日の時間割はこちら。
※実際のスケジュールからの抜粋です。
建築について専門用語が飛び交います。学生たちは真剣に耳を傾けて、専門用語を復唱し頭に叩き込んでいる様子でした。
日本語初学クラスの様子です。ひらがな・カタカナの勉強中。
授業中に日本語でインタビューすると、「日本のアニメが好き!特にピカチュウとナルト!」と笑顔で答えてくれました。中にはナルトのノートを使っている学生も。
午後は安全講習の授業も行われ、将来の現場に備えた学びが続きます。
iTips流の企業説明会
私が訪問した日は通常授業でしたが、半月に一度程度日本企業による説明会も実施されます。
iTipsでは、まず学生が企業の説明を直接聞き、その上で双方が納得した場合のみ契約を進める仕組みをとっています。つまり「企業が一方的に選抜する」ものでもなければ、「学生がただ従う」だけの関係でもありません。むしろ、両者が対等な立場で真剣に向き合い、お互いの未来を一緒に描いていく。このプロセスを大切にしています。
両者がイーブンな立場で向き合うこと。日本を目指す若者を単なる「労働力」として捉えるのではなく、一人の人間として、その人生と真剣に向き合うという、私たちの覚悟の表れでもあります。この対等な関係性があってこそ、私たちの掲げる理念「すべてのがんばる人に、幸せを」を実現することができると信じています。
精鋭5名との座談会
ここからは、これから企業面接を控える精鋭5名の訓練生に登場していただきます。もちろん今回のインタビューはすべて日本語です!
お話をしていてまず私が感じたのは、みんな日本語が話したくてしょうがないという積極性と、自分のことを知ってほしいという熱意。そして日本語レベルの高さ。
左からセルバさん、スンハルさん、ムケシュさん、トリロックさん、カランさん
それでは座談会スタートです。
iTipsに出会ったきっかけ
スンハル:私は北に1800キロ離れたインドール出身です。現地で日本語を勉強していて、もっと学びたくてここに来ました。
トリロック:ここにいる4人はインドール出身です。ここにいる仲間や日本語学校の情報からiTipsを知り、挑戦しました。勉強していた日本語を使うことができる、日本人に会うことができるという期待でいっぱいでした。
(小西)そんなに遠くから!まさに人生をかけた挑戦!
ちなみに、そんな皆さんが、日本語に興味を持ったきっかけは、日本の漫画、ナルト・ピカチュウ・忍者ハットリくん(これはかなり古い 笑)だそうです。
ご両親の思い
セルバ:両親は最初とても心配していましたが、日本で活躍する友人の話をしたので今は安心してくれています。
スンハル:僕の両親は否定的な意見です。でも僕は日本で働く夢をあきらめません。
(小西)今回バンガロールに滞在した数日間のうち、現地では日本の情報がほとんど入ってこず、日本人と接する機会も非常に限られていました。ほとんど何も知らない日本に子どもを向かわせる…私も子どもがいるので、学生皆さんのご両親の気持ちはよく理解できました。大事な家族の人生を預かっているのだと、私たちの事業の責任の重大さを改めて感じる機会になりました。
日本語学習で苦労したこと
全員が口を揃えて「漢字!」と答えました。
中には「漢字は意味が理解できるので便利」と前向きな意見も。レベルの高さを感じます。
また、訓練校の授業以外でも「iTipsのカリキュラムである日本在住の内藤先生とのグループレッスン」や「YouTubeのあかね的日本語教室」を使って積極的に学習しているとのことです。
iTips訓練校で感じた日本とインドの違い
トリロック:時間を守る感覚が違います。前に通っていた日本語学校でも、iTipsでもとにかく時間を守ることを教えられました。
カラン:iTipsでは日本式の時間感覚を身につけました。
セルバ:iTipsは時間を守ることが厳しいのと、掃除が大変です。
(小西)日本では、電車が数分遅れるだけでも謝罪するほど時間に厳格な社会です。初めて来日すると驚くかもしれませんが、iTipsで身につけた習慣があればきっと大丈夫です。
iTips訓練校の思い出
スンハル:僕は在籍期間が長いので、みなさんのコミュニケーションリーダーのような役割をしていました。
ムケシュ:厳しい授業の中でも、土曜日はゲーム大会をしたり、うどんやおにぎりを食べたり楽しかったです。
トリロック・カラン:安全講習の授業の厳しさが印象的です。
(小西)皆さん秩序ある訓練校の生活において楽しみを見つけ、日本の文化や食生活を体験できているんですね。
これからの夢
スンハル:日本で建設のスキルアップをしチームリーダーとして活躍したいです。
ムケシュ:僕は経験を積みスーパーバイザーとなる。そして貯金をしたいです。
トリロック:日本人のお友達をつくり旅行をしたいです。
セルバ:技術、日本語の試験をさらに受け日本語のレベルをもっと上げたいです。
カラン:会社に勤め、東京、特に夜景を見てみたい、パンダも見てみたいです。
(小西)どの学生からも、日本への強い憧れと未来への意欲が伝わってきました。
インタビューを終えて
短いインタビューでしたが、それぞれの個性や熱意をしっかりと感じることができました。皆さんが自分の思いを伝えようとする熱意こそが、彼らの個性を鮮明に浮かび上がらせているように感じます。
今回インタビューに応じてくれた5名には、心から成功を祈っています。そして、いつか日本で再会し、彼らの体験や感想を直接聞ける日を楽しみにしています。そして頑張る彼らの思いに、私たち日本人がしっかり応えていきたい、そう素直に感じた今回の訪問となりました。
彼らのように、ひたむきに努力する若者たちが、日本で評価され、幸せな未来を築くことができるように。 iTipsはこれからも、企業と、そしてインドの若者たち双方にとって、最高の架け橋であり続けることを約束します。