株式会社HRXでは、2025年9月より、新卒エージェント事業を正式にリリースします。
本記事では、新卒エージェント事業の立ち上げ背景・目指す姿を紹介します。
▍株式会社HRX
『Human Resourcesの最大化』をミッションに、HRに関連する事業を連続的に立ち上げていく、関西発のコンパウンドHRベンチャー。
経営陣は、レバレジーズ出身者3名。(レバレジーズの新規事業のセールス経験者・新規事業責任者・経営企画責任者・大阪支店リーダー・M&A経験者等、様々なバックグラウンドを有するメンバーで構成。(在籍時の兼務含む))
経営資源において、『ヒト』が重要だと誰よりも信じ、『100年後も存在している会社/組織』を目指す。
目次
人材業界での成果追求の中で、生まれた違和感
1社に深くコミットする事業へ
なぜ再度エージェントを立ち上げることにしたのか
人材紹介で目指すこと
最後に
人材業界での成果追求の中で、生まれた違和感
私のファーストキャリアは、人材のベンチャー企業でした。
正直、就職活動をしていた当時、人材業界そのものに強いこだわりがあったわけではありません。軸としては、「業界/市場の成長性」「若いうちから新規事業に携われる可能性」「従業員との価値観のFIT感」といった、自身の成長に直結するキーワードでした。その中で出会った1社目は、まさに理想の環境で、入社を決めました。
最初に配属されたのは、同社の主力事業の中で新たに立ち上がったばかりの、IT領域における新卒紹介事業。
法人営業として、採用に課題を抱えている企業様の新規開拓~新卒人材紹介サービスの提案~受注後の人材紹介までを一貫して担当していました。
会社/事業部のフェーズによっては、求職者様が一定認知をしている知名度の高い会社との契約がある。すでに過去の成約実績があり、訴求方法/ご支援の型が決まっているなどの場合もありますが、僕が入社したときは立ち上げフェーズだったこともあり、求人数が一桁ほど。求人開拓をほぼゼロからスタートする状態。
この状況では、他社エージェント様と比較して、量で勝負することは不可能でした。その状況下で、エージェントとしてどんな価値を出せるか考え抜いた結果、必然的に、一件一件の「質」を極限まで高めることでした。
創業背景・MVV・業界の全体像・市場成長性・事業内容・競合・競合優位性・事業戦略・組織戦略・具体的な業務内容・やりがい・キャリアパスなど…
Webサイト・採用サイト・口コミの情報だけでは決して見えてこない、その企業の「本質的な魅力」を、人事・人事責任者・ときには経営陣へのヒアリングを通じて徹底的に言語化していく。そして、その一次情報を、一人の求職者様の価値観やキャリアプランと丁寧につなぎ合わせる。このプロセスに、誰よりもこだわりました。
すると、求職者様からは、「外部の情報だけではイメージが湧かなかったけれど、新さんからお話を聞いて、この会社の魅力が分かりました」「自分一人では、決して出会えなかった企業でした」「ファーストキャリアにおける選択肢が広がり、良い意思決定ができました」といった声。企業様からは、「他エージェント様からは紹介が上がってこず、ここ数年採用できなかったのですが、新さんに担当を付いていただいてから紹介数が増え、採用成功に繋がりました」「なぜ自社に応募がこないのか/逆にくるのか、自社を見つめ直すきっかけになりました」といった声を頂くことが次第に増えていき、それが本当にうれしかったです。
まだ大手企業と比較すると、採用市場における知名度は低いが、徹底的にヒアリング/深掘りさせていただくことで、その会社独自の魅力を語れる状態になり、それを求職者様の志向性を理解しながら伝えることで、人と企業の未来が動き出す。これは、「雇用における付加価値」「エージェントにおける付加価値」であると、本気で感じました。
個人としても、チームとしても成果を出し、事業は成長し、メンバーも増えていく。ファーストキャリアで望んだその光景は、誇らしいものでした。しかし、その成長の裏側で、心の中には少しずつ、無視できない”ギャップ”が生まれていたのも事実です。
組織が拡大し、再現性のある成功モデルが求められるようになると、事業の舵が必然的に「効率」へと切られていったように感じました。採用人数が多く知名度も高い大手企業や、既に支援の「型」が確立された企業への注力度が高まるのは、事業成長のためには当然であり、極めて合理的な戦略でした。会社の方針は、決して間違っていなかったと思います。
ですが、その「事業/組織としての正しさ」と、僕が現場で感じていた「一社一社の企業、一人ひとりの求職者様に、どこまでも深く向き合いたい」という個人的なスタンスとの間に、少しずつ距離が生まれていったのです。
変化は、求職者様への向き合い方にも現れ始めていたように感じます。キャリア支援に真摯にコミットする素晴らしいメンバーがいる一方で、組織の拡大は、どうしても支援スタンスに濃淡を生み出します。目標達成を優先するあまり、学生一人ひとりの個性やキャリアプランよりも、いかにして内定を承諾させるかという「寄せる」「クロージング」といった言葉が使われることも増えていたような気がします。
「企業様/求職者様に心から誠実と言えるか」「売上よりも大切な何かが抜け落ちていないか」「エージェントとしての介在価値が本当にあるのか」「自分の好きな人にも心の底からおすすめできるサービスなのか」という内なる問いが大きくなっていきました。
売上を追求すること。雇用/働くという人生の中でも大きな意思決定に向き合うこと。採用に本当に困っている企業様に本気で向き合うこと。このバランスを、会社や上司の方針に合わせるのではなく、自分が心の底から正しいと信じられるスタンスで、自分の手で、ゼロから創り上げたい。
そういう想いも1つの要因で、前職を退職し、起業というに進みました。
※注釈※
上記はあくまで個人的な所感になります。
会社全体/事業部全体で、上記方針を明確化していたわけではないです。
あくまで、仕事をする上での価値観/スタンスの違い、感じ方の違いになりますし、前職は成長率/サービス/メンバーなど、素晴らしい会社だと思っています。
1社に深くコミットする事業へ
前職を退職後、私が次なる挑戦して選んだのが、RPO(採用代行)事業でした。
エージェント時代、1人で100社弱もの企業様を担当させていただき、数多くの採用に貢献できたことに大きなやりがいを感じていました。しかしその一方で、「もっと一社一社に深く入り込みたい/コミットしたい」という想いが、強くなっていきました。
RPOとエージェントは、時に混同されがちですが、その本質は大きく異なると感じます。
エージェントが「最適な候補者様を見つける」ことに主眼を置くとすれば、RPOは「そもそも、どんな人材を、どのように採用すれば、事業が伸びるのか」という、より経営の根幹に近い問いから思考をスタートします。
「提案できるソリューションの幅の広さ」と、事業の根幹までを考え抜く「思考の深さ」。その両方を同時に求められることこそ、RPOという仕事に感じている、最大のやりがいです。
なぜ再度エージェントを立ち上げることにしたのか
RPO事業を通じて、一社一社の企業と深く向き合う中で、前職とは異なるやりがいを感じていました。ではなぜ、一度離れたはずの「人材紹介(エージェント)」という事業を、このタイミングで、しかも「新卒」という領域で、再び立ち上げる決断をしたのか。
それは、一度、外から業界を客観的に眺めたからこそ見えてきた、私たちが担うべき明確な使命を感じたからです。
RPO事業を進める中で、数多くの人材紹介会社様とパートナーとして協業する機会に恵まれました。前職時代には知ることのなかった、各社それぞれの哲学や強みに触れ、そのクオリティの高さに感銘を受けることも多々ありました。
しかし、その一方で、かつて抱いた”違和感”を、再認識させられる場面にも直面します。
「申し訳ありませんが、採用人数が●●名以下の企業様は、ご紹介が難しくて…」
「新規企業様の場合、Feeはこのラインからでしかないとお受けしておらずでして…」
「やはりベンチャー企業だと、学生様の応募意思がなかなか得られず…」
「もし可能なら、選考プロセスを短く、採用ハードルを下げてはいただけないでしょうか…」
エージェント様から、そのような言葉をいただくたびに、私たちの心にはもどかしい思いが込み上げました。その言葉の裏側で、無限の可能性を秘めた素晴らしい中小・ベンチャー企業が、既存の市場構造の中で機会を失っていく。その現実を、痛いほど感じていました。
企業の採用人数や知名度、手数料の多寡で、提供されるべき価値に差が生まれてはならない。世の中に知られていない企業の本当の魅力を、誰よりも深く理解し、それを雇用市場に届けることで、新たな価値を生む。それこそが、エージェントの本質的な役割であると感じており、私たちが心の底から実現したいことでした。
そして、その想いは、会社の存在意義そのものである、MVVとも完全に一致していました。
ミッション:Human Resourceの最大化
ビジョン:HR × Business strategy
RPO事業は、まさにこのビジョンを体現し、企業の採用力を最大化する(to B)ためのサービスです。しかし、企業のHRをどれだけ最大化しても、その機会を掴む「個人」のポテンシャルが最大化されなければ、HRXのミッションは半分しか達成できません。
キャリアの「原点」であるファーストキャリアにも、質の高い支援が必要不可欠だと感じましたし、最初のキャリア選択は、その後の人生を大きく左右するほどのインパクトを持ちます。この重要で、最も迷いやすい時期に、自分たちのスタンスとノウハウを提供できれば、価値があるなと思いました。
RPO事業で1社1社に深く入り込み、事業/組織の上流の理解度が高まってきている実感もあったため、自分たちであれば、前職とはまた異なる価値のあるエージェントを創れると思い、立ち上げることにしました。
to B(RPO事業)で企業の採用力を最大化する。そして、to C(エージェント事業)で個人の可能性を最大化する。この両輪が揃って初めて、HRXのミッションである『Human Resourceの最大化』は、本当の意味で実現へと向かうと感じています。
人材紹介で目指すこと
HRXが、この人材紹介事業を通じて成し遂げたいこと。それは、採用、そしてキャリアという重大な決断に向き合うすべての企業、そして学生の皆様に対し、どこまでも誠実な存在であり続けることです。
その中でも、新卒採用市場に存在する「情報の非対称性」という課題をまずはエージェントという手段で解決していきたと思っています。
「●●業界に興味があります」
「営業職で、早くから成長したいです」
多くの学生が抱く、こうした希望や想い。しかし、その言葉の解像度は、まだまだ低いことが多いのが現実です。それは決して、学生のせいではありません。「●●業界/●●職種」という一つの言葉の裏に、無数の選択肢とキャリアが広がっている。その複雑性を、たった一人で理解するのは、あまりにも困難だと思います。
例えば、一口に「営業」と言っても、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスがあったり、コンサル業界といっても様々な領域があったり。「マーケティング」「デザイナー」も同様です。それをひとくくりにしまっていることもあり、言葉の定義が曖昧なまま、それが正しいと思ったり…
【業界 × 職種 × 業務スコープ × 企業フェーズ × キャリアパス…】
これらの無数の変数を掛け合わせることで、キャリアの選択肢は無限に広がります。にもかかわらず、多くの学生が、これらの言葉を曖昧なイメージのまま捉え、人生を左右する決断を下そうとしています。
HRXの本質的な価値は、各社様の【業界 × 職種 × 業務スコープ × 企業フェーズ × キャリアパス…】などを高いクオリティで理解し、この複雑に絡み合ったキャリアの選択肢を、一つ一つ丁寧にコミュニケーションを取り、情報の非対称性を解消していくことにあります。
企業の人事は、自社の代弁者です。口コミサイトは、有用ですが断片的な「点」の情報だと思います。HRXは、そのどちらでもありません。中立的な立場で、無数の「点」の情報を、キャリアという文脈に沿った「線」と「面」に翻訳していく。それこそが、キャリアのミスマッチを無くすための、エージェントが果たすべき1つの使命だと確信しています。
この役割を全うするため、HRXはステークホルダーに対して、スタンスを確立すべきだと考えています。
- 企業様軸:徹底的な企業理解
知名度などの表面的な情報ではありません。業界 × 職種 × 業務スコープ × 企業フェーズ × キャリアパス…事業/組織を深く理解するスタンスを持ち、HRXだからこそ知っている情報を持つことで、初めて意味のあるご紹介が可能になると信じています。「HRXから紹介されると、企業の解像度が全く違う」。そう言っていただける関係性を築きます。
- 学生様軸:業界/職種の解像度&中長期なキャリアパス
HRXのゴールは、内定数や売上ではありません。価値観に合わない企業を無理に薦めること、無理なクロージングをすること、こういう本質から逸れることはしないです。自己理解/自己適性の理解を進めていただき、サポートさせていただきながら、業界/職種に対する解像度高い情報を提供する。その結果、学生が私たちのサービスを通じて、心から納得のいくキャリアの第一歩を踏み出すこと。その一点です。
3. 自社メンバー軸:最高の仕事を、最高の仲間と、最高の環境で
そして、この二つの約束を永続的に守り続けるために、自らの組織/カルチャーにこだわります。
「キャリア支援を志したはずが、いつしか売上至上主義に染まってしまった」「ハードワークで、将来のライフプランが描けない」「売上を上げているが還元されない」
これでは、プロフェッショナルは育ちません。HRXでは、「優秀な人材が育ち、報われ、定着したいと思っていただけるような組織」を創ります。属人性の高いスキルを組織の力に変え、フェアな評価と報酬で、社員が誇りを持って働ける環境を整える。
優秀な人材が、安心してその専門性を磨き続けられる場所。エージェント以外の他領域も兼務し、さらなる自己成長ができる場所を創ります。それが、巡り巡ってお客様への提供価値を最大化する唯一の道だと、信じています。
最後に
HRXの目的は、短期的な売上や事業規模の拡大ではありません。
組織の成功を考える上で、道標となる一つのフレームワークに、マッキンゼーが提唱する「7S」があります。これは、組織を「戦略」や「組織構造」といった変更が比較的容易な"ハードの要素"と、「価値観」や「人材」「組織文化」といった、変えるのに時間がかかり、模倣することが困難な“ソフトの要素”で捉える考え方です。
この目に見えにくく、しかし組織の魂となる「ソフト」な部分を築き上げることが最も重要だと考えています。
- Shared Value(共通の価値観): 『顧客への誠実さ』を、何よりも尊ぶこと。
- Style(経営スタイル): その価値観を、経営陣自らが誰よりも体現し、背中で示すこと。
- Staff(人材): 同じ価値観を共有し、進化させ続けるプロフェッショナルな仲間たちが集うこと。
- Skills(組織としての能力): そして、メンバーそれぞれが持つスキルが、個人の力に留まらず、組織全体のアウトプットになること。
これら時間のかかる「ソフト」な要素を、粘り強く、丁寧に、愛情を込めて育んでいく。それこそが、「質の高い新卒エージェントと言えばHRX」という、誰にも真似のできないブランドを創り上げると、強く信じています。
なぜなら、HRXが本当に創りたいのは、単なる事業ではないからです。 それは、一つの「カルチャー」そのものです。
この想いに共感し、新しい新卒エージェントの歴史を、私たちと一緒に創っていきたい。 そんな情熱を持つ未来の仲間と出会えることを、心から楽しみにしています。
100年後も存在している事業/組織を一緒に創りましょう!
※補足
RPO・新卒エージェント以外の事業構想もございます。
そのあたりは別途記事を出す予定ですが、面談でお話させていただけますと幸いです!
それぞれ、『Human Resourcesの最大化』を目的にした、to B/to Cのサービスです。