はじめに
住宅・不動産業界の企業様から採用のご相談をいただく中で、
非常に多くの企業が共通して抱えている課題があります。
それは、
「人材紹介会社に依頼しているが、採用が思うように進まない」
という状況です。
「まずは数を増やす」という自然な判断
採用がうまくいかないとき、
次に取るアクションとして多くの企業が選ぶのが、
**「人材紹介会社の数を増やす」**という方法です。
実際に現場では、
- 10社、20社と契約している
- 多い企業では50社以上と契約している
といったケースも珍しくありません。
背景には、
- 1社あたりの紹介数が少ない
- どのエージェントが強いのか分からない
- とにかく母数を増やしたい
といった事情があります。
この判断自体は、非常に合理的に見えます。
しかし、現場ではこんな状態が起きています
一方で、実際にご相談いただく企業様の採用状況を見ていくと、
ある“共通した状態”に行き着くことが多くあります。
例えば、
■ケース①:紹介は来るが、採用に繋がらない
- 毎月一定数の紹介はある
- ただし書類通過率が低い
- 面接しても決定に至らない
結果として、
「数はあるが、前に進んでいる実感がない」
という状態になります。
■ケース②:エージェントごとの状況が把握できていない
- どの会社がどれくらい紹介しているのか分からない
- 誰が強いのか判断できない
- 気づけば一部の会社しか動いていない
実際には、
10社契約していても、動いているのは2〜3社だけ
というケースも多く見られます。
■ケース③:採用担当者の工数が増え続ける
- 初回打ち合わせの対応
- 求人説明の繰り返し
- 書類選考・面接調整・フィードバック
これらが積み重なり、
「採用活動そのものが業務過多になっている」
という状態に陥ることもあります。
なぜこのようなことが起きるのか
ここで重要なのは、
この状態が“個別の問題”ではなく、構造的に起きているという点です。
ポイントは、
エージェント側にも優先順位があるということです。
エージェントの視点で見ると
人材紹介会社は、複数の企業を同時に担当しています。
その中で、
- 決まりやすい企業
- 選考がスムーズに進む企業
- フィードバックが明確な企業
に対して、優先的に候補者を紹介する傾向があります。
その結果、何が起きるか
- 優先される企業 → 紹介が集まる
- そうでない企業 → 紹介が減る or 止まる
つまり、
契約しているかどうかではなく、
「優先されているかどうか」で結果が変わるという構造です。
「増やすほど決まらない」が起きる理由
この構造の中でエージェントを増やすと、どうなるか。
- 1社あたりのコミュニケーションが薄くなる
- フィードバックが分散する
- 関係性が構築されにくくなる
結果として、
どのエージェントからも“優先されない状態”に近づいてしまう
というケースが起きます。
見落とされがちな“もう一つのコスト”
採用においては、
- 紹介手数料
- 広告費
といった“見えるコスト”に目が向きがちです。
一方で、
採用できていないことによる影響も考える必要があります。
例えば営業職の場合、
- 1名あたり年間粗利500万円
- 本来3名採用したいが採用できていない
とすると、
単純計算でも事業への影響は小さくありません。
採用はコストであると同時に、
事業成長に直結する投資でもあると言えます。
必要なのは「数」ではなく「構造の見直し」
ここまでの内容をまとめると、
- エージェントを増やす
- 紹介数を増やす
といったアプローチだけでは、
採用が前に進まないケースもあるということです。
その場合、
どのエージェントと、どのように関係を築くのか
という“構造”自体を見直す必要が出てきます。
最後に
今回ご紹介した内容は、
特定の企業だけの話ではなく、
住宅・不動産業界の採用現場で、
比較的多く見られる傾向の一つです。
もし今、
- エージェントは使っているが成果が安定しない
- 紹介はあるが決定に繋がらない
- 採用活動の負荷が高まっている
といった状況があれば、
一度「構造」という視点で整理してみることも有効かもしれません。