順調なキャリア。安定した大企業での13年間。 しかし、彼の心は満たされていなかった。
HRソリューションズ事業部のプロデューサー・牧田成央。
彼のキャリアは、「管理職になった時の“もどかしさ”」から、大きく舵を切り始める。
なぜ彼は、輝かしい経歴を捨て、未知の世界へ飛び込む決断をしたのか。
彼が追い求める、仲間を“同じ苦悩”から解放するための「美しい仕組み」とは。
そして、ストレングスファインダー「親密性」を持つ彼が語る、「目の前の人」を幸せにするという、温かくも力強い哲学。
この記事は、順風満帆に見えるキャリアの裏で、誰もが一度は抱えるであろう葛藤と、誠実に向き合った一人の男の物語である。
ー13年間にわたる大企業での輝かしいキャリアを経て、多くの選択肢があった中で、なぜ『ビジネスコーチングが非常に重要な役割をもつ』と感じ、この世界へ飛び込む決断をされたのでしょうか?
キャリアの大きな分岐点は、管理職になった時の“もどかしさ”でした。 それまでの私は、自分一人の営業成績を追い求める、いわば“独りよがり”なプレイヤー。ですが、商品企画やDX推進など、社内の様々な人を巻き込む仕事が増える中で、『周りの協力がなければ、何も成し遂げられない』という壁にぶつかったんです。
同僚・後輩から『冷たい印象』『話しかけづらい』というフィードバックをもらい、前職時代に自分を変えようと意識的に人に興味を持つようになった経験もあります。その中で、リーダーの接し方一つで、メンバーのモチベーションがいかに変わるかを肌で感じ、常に『自分ならこうする』と反面教師で学んできました。
しかし、いざ自分が課長代理になった時、頭で分かっていたことが全く実践できない自分に気づきました。元々、感覚で生きてきた自分にとって、多様なメンバーを論理的にマネジメントすることの難しさを痛感したんです。
35歳という節目を前に、『このままで、自分は生き残れるのか?』と自問した時、これまで自分が感じてきた組織への課題感を、解決する側に回りたいと強く思いました。それが、人材育成、そしてコーチングという世界に惹かれた原点です。
ー牧田さんは『冷静沈着』で『分析脳』をお持ちでありながら非常に『社交的』ですが、自己分析では『頼ることが苦手』とも書かれていました。その一見、相反する特性は、どのようにご自身の中で共存しているのでしょうか?
実は、私の分析的な側面は、後天的に身につけた“鎧”のようなものなんです。 もともとの性格は、人と楽しく過ごしたい“友好派”。でも、感覚だけでは相手に想いが伝わらない、他部門の協力を得て推進することができない。またたった一つの失敗で信頼を失う経験もありました。相手に伝えるために必死で分析力や思考力を磨いてきたんです。
一方で、社交的な部分は、幼い頃の『自信のなさ』が原点かもしれません。家庭環境もあって、自分に自信が持てなかった。だから、『成果を出す』か、『人に貢献して感謝される』か、その二軸で自分の価値を証明しようとしてきた。誰かが嫌がる企画を率先してやることで、自分の存在価値を感じていたんです。
冷静な分析力は、リスクからチームを守るための武器。そして、根底にある社交性は、チームで成果を出したいという、私の純粋な願い。その両方が、今の自分を形作っているんだと思います。
ーストレングスファインダーの資質TOP5の中で、最も『自分らしい』と感じる資質はどれですか?
(即答で)『親密性』ですね。 私は、あらゆる人ではなく、『目の前にいる人』をまず幸せにしたい、という想いが強いんです。手の届く範囲の家族やチームを幸せにできて、初めてその輪が外に広がっていく。長く、深い関係性を大切にしたい、という価値観は友人関係においても同じです。
プロデューサーとしては、まだこの資質を完全には発揮できていないと感じています。お客様との信頼関係を深く築けて、初めてこの『親密性』が活きてくる。今は、その土台作りの真っ最中ですが、担当させて頂いているお客様とは良いラリーが続けられており、手応えを感じています。
ー資質1位が『最上志向』であることと、『仕組化への想いが強い』という点は、深く繋がっているように感じます。牧田さんが考える“美しい仕組み”とは、どのようなものでしょうか?
私が考える“美しい仕組み”とは、『全員が、同じ苦悩を味わう必要がなくなること』です。 もちろん経験は大切ですが、過去の成功体験や失敗談を形式知化し、これから入ってくる仲間が、悩むことに時間を使わず、最短で成果にたどり着けるようにする。それが、組織のポテンシャルを最大化させる『仕組み』だと考えています。
特に、今のコーポレートコーチのような成長期の組織では、やらなくていいことを排除し、それぞれが得意なことに集中できる環境を整えることが不可欠。『やり方に悩む』という、一番無駄な時間をなくす。それが、私の目指す“美しい仕組み”ですね。
ー社内では『おしゃれ番長』として知られている牧田さん。ファッションへのこだわりが、仕事に与える影響はありますか?
一番は、自分の気持ちを高めるためですね。『今日はこの仕事を頑張るぞ!』という日に、お気に入りのジャケットを着ていく。そうやって、自分で自分を肯定し、モチベートするんです。(日々自分自身を肯定し、小さいな自信を持つにつながるかもしれません、、)
あとは、ゲン担ぎで靴を選ぶこともあります。大きな受注が決まった時や、思い入れの強い商談の時に履いていた靴、というのがあるんですよ(笑)。
ー牧田さんの“完璧な休日”を教えてください。朝起きてから夜寝るまで、仕事は一切なしで、どんな風に過ごしますか?
完璧な休日、ですか。うーん…面白いことに、一日の大まかなスケジュールだけは、きっちり決めるんです。でも、その中身は決めない。その時々の気分で、気になったことを自由にやるのが私のスタイルですね。
午前中は、池尻あたりのお気に入りのサウナでリフレッシュして。 午後は、洋服が好きなので、気の置けない友人とゆっくり買い物を楽しみます。家族とだと、どうしても時間が限られてしまうので(笑)。
そして、仲間と集まって、美味しいお酒を飲む。昼からのお酒は、やっぱり最高ですね!
ー仕事の流儀を、ファッションコーディネートで表現するとしたら?
『ネクタイ』ですかね。 まず、私の仕事の基本は『型』から入ること。これは、オーソドックスな結び方にあたります。その上で、他の人とは違う『柄』、例えばペイズリーなどで、自分らしさを表現する。
これは、武道や芸術における『守破離』の考え方に近いかもしれません。まずは基本の『守』を徹底し、その上で自分なりの工夫を加えていく。ネクタイというフォーマルなアイテムが、私の仕事の進め方に一番しっくりきますね。
ー今後、プロデューサーとして、どのような『仕組み』を社会に実装していきたいですか?
正直に言うと、まだ壮大なミッションステートメントのようなものは、見つかっていません。これまで、長期的な目標を決めてこなかったことが、今の自分の課題だと感じていて、本当はどうしたいのかを探求している最中です。
だからこそ今は、目の前のお客様の課題を解消すること、そしてチームの中で『個人の成長』にフォーカスすることに、一番の関心があります。
個人の成長実感と、会社の業績目標。その二つが、どうすればポジティブに連動するのか。その『紐付け』こそが、人的資本経営の土台になるはずです。 まずは、その土台となる仕組みを、このチームで徹底的に探求していきたい。その先に、きっといろいろな可能性が広がっていくのだと信じています。
ー最後に、未来の仲間へメッセージをお願いします。
当社で活躍している人に共通しているのは、『小さな自信を見つけられる人』だと思います。新しい挑戦の中では、誰もが不安になる。だからこそ、自分を信じるための小さな成功体験を、主体的に見つけにいくことが大切です。
どんな価値観やスタイルであっても、自分自身に対して小さな自信を見つけ、それぞれのやり方で顧客と対峙し、自分の成長とともに顧客へ最高の価値提供を目指していけるのが当社の特徴だと思います。そんなあなたを、心からお待ちしています。