給与・業務・働く環境、ほとんどの条件が希望とマッチした転職をして、スバラシイ人生になりそうと思っても、いずれその気持ちが薄れていくのは何故なのだろう?
希望の年収・リモートワークが出来る・やりたい仕事のスキルが身に着く
これらの文字を連ねるだけで、すごい『モチベーション』を得たような気持ちになる
でも、なぜだろう?
しばらくは新しい環境や条件にワクワクしてたけど、時間が経つと「もっと貰ってもいいんじゃないか」「他で役に立つスキルになっているか」「出社してるメンバーの方がチームワークがいい」
そんな想いがわいてきて、最終的にやりがいを感じられなくなる。そんな体感した人も少なくないんじゃないだろうか。
「就業条件」に大満足してた。でもその先に待ってるのは…
とにかく売り手市場。特に若手なんかは、引く手あまたすぎて最初と2週間後では軸がブレブレになっている応募者に出会う事がある。これは本人の責任じゃなくて、社会人の先輩である我々や、とくに採用する側・最終的に決定する側の責任も大きいなぁと、身につまされることがある。
最初は『挑戦』や『成長』をテーマに活動していたけれど、応募企業に、年収や業務内容で調整がきくような話をもらって「なんとなく、こっちの方が良さそう…きっといいに違いない」となって、初心がどこかに飛んでしまい、根本の軸がブレる。するとだんだん分からなくなってきてリモートとか年種うが高いとか、そんな表側の条件で決めることになる。
ここがドンピシャはまったら、めちゃくちゃラッキーだけど、転職活動に迷った人は「これでやっと落ち着く」なんていう、安心感を得たくなるのではないのかと感じる。
そして、しばらくすると、あれだけ満足していた条件が、だんだんと物足りなくなってくる。例えば、新しい服を買っても、最初は「これカッコイイ!」と思ってたけど、何回か着るうちに、なんだか飽きてきて「もうちょっと別のデザインが良かったかな」って感じるのと同じ。
それが転職でも同じことは起こる。条件は、最初は良くても、そのうち「本当にこれで満足なのか?」っとなって、そのうち愚痴を言う自分が現れる。条件だけで選んだ転職先では、このパターンにハマりやすいらしい。(と、ウチを蹴った元求職者から聞いた)
愚痴が出た時、次に来るのはまた転職なのか?
「給与が良くて、業務内容もまあまあだけど、何か物足りない」と感じている時、次に出てくるのは「もっと〇〇だったら…」といった心なんじゃないだろうか。
最初は「ありがたい」と思っていた給料も、だんだん普通になってくる。さらには世間じゃなくて社内の誰かと比較して、「もっと貰えるはずだ」と思うようになったり…。そうなると、また「この職場はダメだ」「次はもっとやりたいことができる場所に行こう」と思うようになる。
そして今度こそ『挑戦』『やりがい』『成長』を掲げてみるのだが、今の職場より多く出してくれるところは、カンタンに見つからず、最終的にまた条件を見て転職先を選ぶ。
それが、条件重視の転職の無限ループになってしまう。
人事採用の大きな責任
会社の採用活動は、単に「条件に合う人を見つけること」では終わらない。むしろ本当のスタートはその先にある。
応募者が「給与も業務も悪くない」と言って入社してくれたとしても、数か月後に「やっぱり違うかも」と思ってしまうなら、それは本人だけの責任ではなく、採用した会社側の責任も大きい。
とくに最近よくあるのが──
最初は「チャレンジしたい」という気持ちで転職活動を始めたものの、企業側の「ぜひ来てほしい」という思いに引っ張られて、気づけば初心とズレた条件で入社を決めてしまうケースだ。
やりたいことと微妙に違うのに、面接でニュアンスを “できそう” に寄せてもらって、さらに給与や就業条件まで良く提示される。もちろんそれが本人のためになることもある。けれど結果的に、本人が当初抱いていた「挑戦」や「成長」の軸がぼやけてしまい、後に「思っていたのと違う」となることも少なくないようだ。
私はここに、人事としての責任を感じる。
最近は、売り手市場の勢いが強すぎて、求職者自身がキャリアや将来について深く「思考をめぐらす」機会や時間が減っているらしい。
だったら…いや、だからこそ人事採用担当が、求職者に『立ち止まって考えるタイミング』を与えられる存在でありたい。初心と条件を天秤にかけたときに、流されずに本当に大切なものを考え抜く機会を渡すこと──
それは結果的に本人にとっても企業にとっても、そして社会にとってもプラスになる。
採用は「入口」を整える仕事であると同時に、未来の組織を形づくる大きな責任でもある。だからこそ条件だけに頼らず、興味や共感という軸を見抜くこと。そして求職者の「考える機会」を守ること。それこそが人事採用の本当の責任だと思っている。
興味が持てる会社でこそ、長く働ける
結局、条件だけで転職しても、興味が持てない会社だとやりがいが感じられない。どれだけ高い年収をもらっていても、どんなに働きやすい環境だったとしても、興味が持てる会社で働かなければ、次はまた転職したくなる。条件をクリアしたからといって、その先に興味が持てなければ、いつまでも満足することはない。
興味を持てる会社で働くことが、最終的には一番長く、仕事にもやりがいを感じられる。
自分の手掛けている事業や会社の未来にワクワクできれば、多少の困難はなんとも思わない。むしろほとんどの事が「自分のこと」として捉え、苦痛を伴わずに乗り越えられる。そして成果を感じながら成長できる。
一方、条件には魅力があるけれど、会社そのものに興味はそんなにない場合、何かネガティブな事が起こったら、真っ先に「会社を乗り換える」か頭に浮かぶのではないだろうか?
その会社で働く自分をイメージしたい。自分はこんな仕事がしたい。御社では叶えられますか?と面接で聞てもといい。それをはじき返したり・失笑するような会社は、やめておけ。
この人面白いな思ってくれた会社なら、多少無理をしてでもアナタを受け入れる。
時間を無駄にする事はべつに悪くはない。失敗から学ぶ事の方が大きい。失敗したことが自分の責任と感じられるなら次の成長につながる。でも会社に興味がないと「会社のせい」と脳が判断する(らしい)。そこに成長は出来ないんじゃないのか?
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転職は条件だけで選ぶべきではない。
条件が整っていても、その会社に興味を持てるかどうかが大切だ。興味を持てる仕事をして、長期的に成果を出し、充実感を得ることが、本当に満足できるキャリアを作る鍵になる。
と、思う。。。