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事業部全体を巻き込む「デザイン指針」の作り方。ゼロからイチを生み出すデザイナーに聞いてみた【社員インタビュー】

“専門家をもっと身近に”を目指す、法律業界のリーディングカンパニー・弁護士ドットコム。運営サービスの一つ「税理士ドットコム」は、日本最大級の税務相談ポータルサイトです。

今回は、税理士ドットコムを運営する、税理士ドットコム事業部のデザイナーとして入社された、菅野(すげの)さんに話を聞きました。入社後すぐにデザイン指針の制作に着手。事業部全体を巻き込んだデザイナーとしてのあり方をラフなトークでインタビューします。

インタビュイー:菅野 隆弘(税理士ドットコム事業部 デザイナー 入社2年目)
Web制作会社、自社サービス運営会社を経て、税理士ドットコムのデザイナーとして入社。2児の父親であり、弁護士ドットコムデザイナーのお兄さん的な存在。

インタビュアー:笛田 満里奈(クラウドサイン事業部 デザイナー 入社2年目)
鹿児島県出身。社会問題を学ぶため、大学で上京を決意。玩具メーカーや広告制作会社を経て、クラウドサインのデザイナーとして入社。プライベートでは漫画執筆をしている。

制作:藤江 陽子(弁護士ドットコム本部)
制作:石原 由起(人事室)

※本インタビューは2019年に実施いたしました。

デザイン指針の作成に着手した理由

笛田さん(以下、笛田):菅野さんは、入社してすぐに事業部のデザイン指針を作られましたよね!大変だったろうな……と思うのですが、すぐに取り組もうと思った理由は何ですか?

菅野さん(以下、菅野):正直、デザインに一貫性がなかったんですよね。

もちろん、今まで携わったメンバーがそれぞれ責任を果たしながら作っていたのですが、ページ単位だと違和感がなくても、サイト全体で見ると違和感がありました。

そのときデザイナーは自分だけだったので、まずは「状況把握が必要」と思ったのですが、把握するところから大変でした。外注や他事業部からのヘルプで多くの方が関わってきたという事情もあり、経緯を知っている人がいないという状況だったんです。長年やっているサービスにはありがちなんですけどね……(笑)。

さらに、強引にパーツを使い回してしまうという事態も起きていたので、一刻も早く、全体のルールを作ろうと思いました。

菅野:状況を把握しようと調べていくと、デザイン指針はなかったんですが、スタイルガイドはありました。ただ、これも更新されていない状態だったので、結果としてページごとに別のデザインになっていたんです。

そして、ディレクター、エンジニア、ライター、コーディネーターなど、職種を問わずヒアリングを重ねていくと、それぞれ「デザインに対する課題」を持っていたということがわかりました。

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「言葉」の定義にこだわった

笛田:そんな状態から、実際にはどうやって作り上げていったんですか?

菅野:スタートはあくまで“Webサイト開発に関わる人”のための「デザイン指針」を作るつもりでした。でも、『税理士ドットコム』というサービスはWebサイト開発(デザイナーやエンジニア)以外のメンバーも関わって運営されていて、サービス全体の話まで広げて考えるべきだと気づいたんです。最終的には、“サービスを作る全てのメンバー”と一緒になって、指針を作り上げました。

その結果、デザイナーやエンジニアだけが使う指針というよりも、メンバーみんなが心に留める「行動指針」のようなものが完成したんです。

笛田:たしかに!サービスってみんなで作りあげるものですよね。

菅野:ちなみに、ここで言う「デザイン指針」とは、次の内容を定義しています。

・経営理念とプロダクトをつなぐもの
・プロダクトの方向性を「言葉」で定義するもの
・プロダクトやサービスの方向性を定めるための共通の基準

まず、ビジュアルでの定義ではなく、チームメンバーがわかりやすい言葉で方向性を定義しようと考えました。そのために、シンプルで覚えやすく、使えるワードである必要があったんです。

デザインに一貫性がない、ルールが欲しい……というところからのスタートでしたが、進め方としては、言葉での定義→ビジュアルでの定義→具体的なUIという順番になりましたね。

笛田:なるほど。「言葉」というのが大事なポイントになるんでしょうか?

菅野:そうですね。一般的にデザイン指針は、デザインやメッセージの基準を決めて、プロダクトとユーザー体験の一貫性を長期間保つために作ります。一貫性を保つことができれば、プロダクトに対するユーザーの迷いや学習コストを減らせるので、的確に課題解決へ導けます。

それに加え、基準を“共通言語化”することはプロダクト開発の効率化につながり、短時間で精度の高い判断が可能になると考えています。だからこそ、「言葉」で定義することにこだわりました。

メンバーを巻き込み、情報を集約してカタチに

笛田:こういうのって、作り始めるタイミングとかすごく難しいですよね。

菅野:そう思ってたんですけど、意外とすんなり進められました。事業部長と関係するメンバーを集めて相談したらすぐに快諾を得られて、早々に着手できたんです。職種に関わらずみんながデザインに対して課題を感じていたので、アクセルを踏みやすかったんです。

笛田:チームの課題を解決するスピード感が素敵ですね。

菅野:そもそも、デザインに対する課題があるということは、サービスを使うお客様に対して適切な価値を届けられているか、わからない状態だということです。そして、適切な価値を届けられているかどうかは、お客様の声から推し量るしかないんですよね。

だからこそ、「お客様にとって何が価値となり得るのか」を、お客様とメンバーのやり取りや問い合わせ内容から汲み取った上で、サービスに反映させる必要があると思ったんです。

そこで、毎月行われる事業部会で発表する時間をもらい、全体に対して協力を仰ぐところからスタートしました。その後、サービスをよく知るメンバーに対してヒアリングしたり、アンケートを取ったりして、一つずつ情報を拾い上げていったんです。

笛田:大変な作業だったと思いますが、作り上げる過程で一番苦労したのはどこですか?

菅野:一番大変だったのは、決めるときです。最終決定(=言葉を選ぶこと)は自分で行う必要がありますので。でも、メンバーからの意見を集約していった過程を通して作り上げた結果だと自信を持って言えます。「事業部全体で作り上げた」という方が感覚としては近いですね。メンバーに「自分が関わった」と思ってもらうことも狙いの一つでした。

笛田:わかります!自分で関わっていくのって組織文化みたいなものをつくるのに必要ですよね。

菅野:以下が実際に定義した言葉です。

事業部全体のカルチャーとして根付く未来

笛田:デザイン指針を作った後は、どんな変化がありましたか?

菅野:デザイナーとしてはもちろん、デザイン制作するときの拠り所になりました。個人的には「言葉」を使う職業ではないので、「言葉」で定義できたうれしさもありましたね。

ただ、10年以上続いていたサービスでもありました。カルチャーとして残すべきものと刷新していくべきものをそれぞれ見つめ直した上で、受け入れてもらえるかという不安はありました。

実際の変化としては、例えばライターでいうと、執筆するときに参照してくれるようになりました。だからといって大きく記事の書き方が変わるというわけではないんですが(笑)。ディレクターであれば、施策を検討するときやレビューの評価軸として使ってくれています。

笛田:でもそれって、けっこう大きな変化ですよね。

菅野:そう思います。「これは税理士ドットコムに合う、合わない」という判断軸として使えるということですから。事業部全体のカルチャーとして、徐々に根付きつつあるなと思います。サービスに対しての捉え方とか、一番大事な根本の掴み方が「言葉」で統一されたことは強いですよね。

「越境するデザイナー」の歩き方

笛田:デザイナーとして、あえてUIとUXで分けるとすれば、菅野さんはどちらのほうが得意ですか?

菅野:「お客様との接点をデザインする」という意味では、UIの設計が得意なデザイナーだと思っています。とはいえ、UX(エクスペリエンス)をベースとしてUI(インターフェース)を設計しているので、結局は「どちらも」なのかな、と。

笛田:みんなを巻き込んで進めた、という点では今注目されている「越境するデザイナー」という感じでしょうか?

菅野:最近の流れで言えば、そうかもしれません(笑)。でも、自分では“越境している”感覚はないんですよ。必要に迫られてというか、自然な流れというか。全体に関わる指針を作りたいと思った時点で、デザイナーだけでは完成できないですから。

今回は、お客様との接点においても重要となる指針を作ったわけですが、一番接点が多いのはデザイナーではなく、税理士ドットコム事業部としては、税理士紹介サービスを担当するコーディネーターやセールスです。だからもちろん、コーディネーターにもヒアリングをしました。実際のところ、一番最初に返信をくれたのはコーディネーターでした。デザインという枠を越えて、サービスに対する意識の高さみたいなものを感じましたね。

笛田:まさしく「越境」ですね。

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お客様との接点をデザインするために必要なこと

笛田:過去にデザイン指針を作ったことがあったんですか?

菅野:今まで作ったことがあったかどうかでいうと、ここまでしっかりしたものは初めてでした。前職まではWeb制作会社や自社サービスの運営を経験していたものの、受託制作も多く、その場合はクライアント側や代理店が方針を決めますので。ガイドラインを提案した程度です。

ただ、当時から日ごとに異なるクライアントや社長に対して「実際に何がやりたいのか?」をヒアリングして、キャッチアップできたことをデザインに落とす……そんな日々を繰り返していたので、自然と鍛えられたんだと思います。

ビジネスサイドと動くことが多く、ディレクターとセットで商談する機会も多くありました。「デザイン(見た目)に落とす前のヒアリングはとても大事」という学びが、今のスタンスを作っているかもしれませんね。

ゼロからイチを生み出せる環境の楽しさ

笛田:弊社は事業部ごとにカラーが異なるように思いますが、菅野さんにとって、税理士ドットコム事業部はどんな環境ですか?

菅野:税理士ドットコム事業部においては、デザイン面に関して、デザイナーがリードしています。僕が全体を巻き込んでデザイン指針を作れたように、メンバーがみんな協力してくれます。動き方も割と自由で、1on1などで、メンバーがやりたいことをヒアリングして施策に落とし込む仕組みもあります。

古いものを捨てて新しいものを作れる、ゼロからイチに立ち会える、という点はとてもやりがいがありますし、楽しいですね。自分でアクティブに動ければ、サービスが変わっていくフェーズをより楽しめると思います。

笛田:私の事業部(クラウドサイン事業部)もそんな感じです。

菅野:どちらもまだまだ成長フェーズなので、事業部長の考え方も組織体制も柔軟ですよね。デザイナー陣が部署を越えて連携して、デザイナー勉強会を開くこともありますし。会社全体として、進化させていく雰囲気があると思います。

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全員でミッションを追いかけ、より良いサービスを目指していく

笛田:では最後に。菅野さんは、どんな人と働きたいと思いますか?

菅野:違う考え方を持ったメンバーが入社することで、事業部全体の守備範囲を広げていきたいですね。デザイナーの考え方や守備範囲は人によって違いますし、できることも違っていていいと思っています。

何より実は僕、コードを書くのが苦手なんですよ(!)。今思い返しても、お互いにとってチャレンジングな採用だったと思います。でも、エンジニアのメンバーと協力することで、グラフィックもコードも、サービスにとってより良いものを作れていると感じています。これも成長フェーズだからできることでしょうか(笑)。

考え方としては、お客様の体験をデザインする、その手法としてコーディングがあるので、メンバーと連携してトータルで実現できればいいと思うんです。僕よりも得意なプロフェッショナルがいれば、その領域は任せればいいですし、チームとして協力して一つのものにできればいいと思います。そうやって、事業部全体として成長していきたいですね。

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