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【FAST OFFERアンケート前編】外国人材の受け入れは「思ったより大丈夫」外国人採用を行う企業のリアルな声

ASIA to JAPANが運営する、海外トップ⼤学の外国⼈学⽣や⽇本⼈留学⽣を対象とした採⽤⽀援サービス「FAST OFFER」

参加企業は専用サイトから面接したい学生を選び、日本で対面の面接を実施できます。

本記事では、2024年12月開催の「FAST OFFER」面接会に参加した20社、23名に対して行った、外国人材採用に関するアンケート結果をご紹介。

前編では、外国人材の受け入れ前に感じた不安と、実際に入社後生じた具体的な問題について解説します。


目次

  1. 外国人材の受け入れ前の不安と、入社後に生じた問題とは
  2. 外国人材の受け入れ後に生じた「価値観や文化の違い」による問題
  3. 宗教への配慮は見極めが重要。全てに対応する必要はない
  4. これから外国人材を受け入れる企業へ、先行企業が送るアドバイス

外国人材の受け入れ前の不安と、入社後に生じた問題とは

外国人材の受け入れ前に不安だったこととして、回答者の半数以上「早期離職」(65.2%)「相手の文化がわからないゆえの関り方」(56.5%)、「既存社員となじめるか」(56.5%)を挙げました。



これらの入社前の不安は、実際にどのくらい問題になっているのでしょうか。

「外国人材の受け入れ前に不安だったことで、のちに問題になったことは何か」を聞いた結果が、下記グラフです。



受け入れ前に不安だったことと同じく、入社後に問題となったことの1位は「早期離職」でした。

ただ、「入社前に不安だった」と回答した人が65.2%だったのに対し、「入社後に問題になった」と回答したのは34.8%。約30%もの乖離があります。

また、「相手の文化がわからないゆえの関り方」56.5%から21.7%と約35%減り、「既存社員となじめるか」56.5%から8.7%と、50%近くも下がっています。

「特になし」26.1%という結果からも、「事前に想像していたよりも大丈夫だった」ことが見て取れます。

実際に、以下のような意見も寄せられました。

仕事に取り組む姿勢がしっかりしており、日本語も想定以上に理解できるので、入社前に抱いていた不安はなくなりました」

外国籍であることを理由とした問題はない。日本語でのコミュニケーションが求められる場面で苦戦することはあったが、時間が解決した問題ともいえる」

 

一方で、2位の「言葉が通じるか」は入社前、入社後の双方とも30.4%と変化がありません。

言葉の問題に関しては、事前のイメージとのギャップがなかったことが分かります。

 

具体的な問題として、以下コメントが寄せられました。

「教育担当や周りの同僚よりビジネス上の言葉の使い方に少し指摘があった(特にお客さまや上司への丁寧語)」

「入社後の部門ヒアリングにて、スキル面と言語面に支障があるというコメントがあった」

「会社の寮は100%日本語対応のため、自部門からサポート社員をつける必要があった」

会議の内容がその場では分からず、取り残されてしまう」

「言葉の習得状況に個人差があり、業務の習得状況にもそのまま差ができてしまう。集合研修などでは、まったくついていけない人も。日本語の習得については特に注力していただきたいと思います。なお、当社では入社後も本人の希望によって、日本語の外部支援をしています」

日本企業で仕事をする上で、やはり日本語力は重要です。

入社前に日本語でのコミュニケーション力を判断するのは面接官であり、外国人材との対話に慣れていたり、英語が話せたりするケースも多いですが、入社後の配属先には多様な人がいます。

関わる人が増えるからこそ、日本語の問題が生じやすい面も。

あらゆる人や場面に対応できるだけの日本語力を身に付けるには、時間がかかります。

内定期間中にできるだけ日本語力を向上させ、入社後も引き続き日本語力アップへの支援が必要です。

 

外国人材の受け入れ後に生じた「価値観や文化の違い」による問題

外国人材の受け入れにあたって生じた「言葉以外」の問題について、具体的に見ていきましょう。

「国籍によると思いますが、日本人に比べて自分の能力を高く評価してもらうことに余念がなく、また少しでも良い条件を会社から引き出そうと要望をつけてくる方が多い印象です。人事として、困ったなと思うことが時々あります」

外国人材は即戦力として入社したつもりである一方、会社としては長期的に育成を行う方針であり、ミスコミュニケーションが多発した。工場実習として数カ月工場勤務をしてもらった際、『なぜ博士卒の自分が工場勤務をしないといけないのか』『専門性が活きない』などの不満が出た」

 

これらは日本企業の感覚では異質に映るかもしれませんが、世界的にはスタンダードな考え方です。

世界ではジョブ型雇用が主であり、大学の専攻を生かして即戦力として働くのが一般的。

能力をアピールし、給与など高い条件を求めるのも自然な動きと言えます。

それに対し、日本企業はメンバーシップ型雇用を基本とし、終身雇用、年功序列をベースにしてきました。

まずはこういった雇用慣習の方が異色である認識を持つことが重要です。

 

また、最近では日本の若手人材外国人材と似た価値観を持っています。

こういった外国人材の意見に対応することが、日本の若手人材にとってのより良い環境整備にもつながります。

指示の内容を理解していないのに、理解したような返事をすることがあった」

 

「理解したような返事をする」場合の外国人材特有の理由として、日本語が理解できていないケースと、解釈違いが生じているケースの大きく2つが考えられます。

前者については、英語で説明する、本人にどう理解したか説明してもらうなどでクリアできますが、問題は後者

例えば、水曜日までに資料を作るよう依頼した場合、日本人の感覚では水曜日の就業時間中をイメージしますが、外国人材の中には「水曜日の23時59分まで」と捉えてしまう人も。

日本語は理解できているけれど、両者の間で解釈が異なっています。

こうした事態を防ぐためにも、外国人材の理解力アウトプットの質文化の違いがわからないうちは、マイルストーンを設定しましょう。

途中で確認を挟み、方向性を確認するなど、工夫して曖昧にしないことがお互いのためです。

何時間も費やした資料が見当違いとなってしまっては、本人も上司もストレスや不満がたまってしまい、離職の原因にもなりかねません。


宗教への配慮は見極めが重要。全てに対応する必要はない

続いて、宗教に関する問題について見ていきます。

「会社が定めた休憩時間以外に、モスクにお祈りに行かなければならないが、往復の交通手段等含めるとフレキシブルに対応する必要があり、会議時間等で配慮の必要があった」

 

これは事前に把握しておくべき事案ですが、事前に聞いていた上で追加で依頼があった場合は全て対応する必要はないと考えます。

こういったお祈りへの対応イスラム圏であれば当然かもしれませんが、日本企業ではイレギュラー。

日本人が海外赴任でイスラム圏に行った場合に、ムスリムがお祈りにいく時間帯を変えられないのと同じことです。

入社前に申告がなかったのであれば、それは本人の落ち度であり、「お祈りは休憩時間のみ」で問題ありません。

人によって宗教上の配慮は必要ですが、事前の共有がない事項まで全て対応する必要はなく、対応すべきこと、対応しなくてもいいことの見極めも大事です。

こうしたトラブルを防ぐためにも、選考の段階で「働く上で会社が配慮すべきことはありますか?」という確認はしっかりしましょう。

逆に、事前にお祈りの時間が必要だと企業側が把握していて、対応できないとわかっているのであれば、どれだけ良い人材であっても採用は見送らざるを得ません。

 

「日本のビジネス上では少し派手なシャツを着ていたので注意したところ、自国では(宗教上?)金曜日には華やかな服装をする風習があるとのこと。文化の違いだと理解はしたが、会社の業務上もう少し控え目な色の選択をお願いしました」

本人の習慣を改めてほしい場合は、ただ「ダメです」と注意するのではなく、理由を伝えましょう

「当社のお客さんはこういう人が多く、そのシャツでは嫌がられることもある。服装で印象がマイナスになるのはもったいない」など、意図が分かれば本人も納得しやすくなります。

当社でも香水が強い外国人社員に対し、「オフィスにいる時はいいけど、毎月開催している面接会はさまざまな人が集まる場で、中には香水が苦手な人もいるからやめてほしい」と伝えたことがあります。

頭ごなしに否定するのではなく、駄目な理由をきちんと伝えましょう。

 

これから外国人材を受け入れる企業へ、先行企業が送るアドバイス

最後に、これから外国人材を受け入れる企業に向けて、先行企業からアドバイスをいただきました。

「受入れ職場の課題はあると思いますが、日本経済の発展海外各国との人的交流を通じた相互理解は、日本社会にとって必要不可欠な取り組みと認識しています」

外国籍社員を受け入れることによって変わることもあるので、受け入れる前に過度に不安に思う必要はないと思いますし、何より日本人のダイバーシティも加速しているので、国籍で分けて考える必要はないと思います」

「まずは自社にマッチする外国籍人材の採用からスタートして、徐々に多様化を広げていくのがよいと思っております。世界中にいる素晴らしい人財が日本にきて活躍することを祈っています」

「一人で抱えず、しっかりサポートしてくれる会社を選ぶことが大切だと思います」

「採用の候補を外国人材まで拡げることで優秀な人材の母数が増えるので、トライすべきと思います」

「海外からわざわざ日本で働きたいという人は、日本人よりもモチベーションが高く周囲にも良い影響を与えてくれるので、日本人社員の意識を変えていくことにもつなげていくといいと思います。」

文化の違いの理解をすることと、差別なくコミュニケーションを日常的に行う事でお互い良好な関係が保てると思います」

「3年続けることでようやく良し悪しが判断できる、継続的な採用活動だと考えています」

「採用~入社後まで外国人材採用は大変なことも多いですが、『日本で働きたい』という意思を持った学生を採用できること自体が魅力的だと思います。採用した学生が数年後、海外出向などをして活躍してくれている姿を想像しながら前向きにワクワク仕事ができるといいのではないでしょうか」

言語と文化の壁がある分、そこをどう乗り越えるのかというところに意識が向きがちですが、なじんでしまえば同じ社員ですし、国籍に関わらず結局は人それぞれ個性があります。国籍に関係なく、フラットに、誰にでも敬意を持ってお付き合いをすることに尽きると思います」

「日本語のレベルアップサポートが必要ではありますが、とてもやる気のある学生が多い印象です」

「配属先に対して、なぜ会社として外国人材を迎え入れるのか方針説明を明確にし、配属先に送り出すことが非常に重要だと思います。やはりコミュニケーションという点で、配属後に部署に対してさまざまな配慮をお願いすることになるので、納得感を持ってサポートいただけるような説明は丁寧に行うべきだと思っています」

「素直さ、明るさ、勉強好きの方は国籍関係なく活躍できると感じます。日本人では採用できないスペックの方も外国人材だと採用でき、受け入れ時の不安はあると思いますが、得られるものは大きいと思います」

「外国人材の方は、我々が想定している以上に不安だと思います。その分、しっかり対応すればそれだけ会社のことを信頼してくださるので、やりすぎくらい親切にフォローすべきだと思いました」

 

初めて外国人材を受け入れる場合、大なり小なり問題は起こるもの。それでも外国人材採用を行う意義があると、各社が実感していることが見て取れます。

後編では、外国人材を受け入れるにあたって各社がどのような工夫をしているのか、具体的な取り組みについて紹介します。

後編はこちら


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