こんにちは、アディッシュ杉之原です。
アディッシュでは、四半期に一度、振り返りと目標設定の場があります。その際に使用するフィードバックシートには『キャリア開発プラン』という欄を設けています。上長との面談で、自身がどのようなキャリアを歩んでいきたいかをテーブルに出し、議論できるようにしたいという目的でつくりました。
さて、「どのようなキャリアを築きたいですか?」「中期的にどうなりたいですか?」と問われたら、皆さんは、どのように考えるでしょうか。
ありたい姿が明確にあってキャリアを逆算して考えている人もいれば、将来どうなりたいかは分からないけれど、過去や目の前の状況から考えてやりたいことを積み重ねる人もいると思います。
昨年、管理職対象に実施したコーチング研修で、前者を「ビジョン型」、後者を「価値観型」と呼ぶと教わりました。
そして、日本人の多くが「価値観型」であると。
私はというと、ビジョン型に見られがちですが、価値観型の人間です。おかれた状況や組織の中でやりたいことを見つけ、ミッションを描き、実行することでキャリアを重ねてきました。
今日は、会社を設立した2014年からの5年間を振り返り、キャリア開発プランとして私個人が実行したことについて振り返ってみたいと思います。
2014年 事業推進側から組織基盤側にキャリアチェンジしたい
アディッシュを設立する少し前から、事業推進側から組織基盤側(コーポレート側)にキャリアチェンジをしたいという思いが強くなっていました。インターンのときから新規事業の立ち上げに奔走していましたが、事業を推進する中で、人や組織の課題に興味を持つようになったからです。
しかし、コーポレート側の経験のない私に、誰も、良いね頑張れーと給料を払ってくれません。チャンスを引き寄せるためには行動しなければいけないと思い立ち、30万円近い自己投資をして、慶應丸の内シティキャンパスの『組織・人材プロフェッショナル養成講座』を受講しました。アディッシュ設立の話が具体化していたタイミングでもあり、アディッシュの管理部を立ち上げるのは私でなければいけないと、そう強く思っていました。
勉強したことを経営陣に送ったり、経営陣ディスカッションのファシリテーションを担ったり、私は人事について課題意識を持っているのだ、準備もしてるんです!ということを示し続け、管理部立ち上げのチャンスを自分のものにすることができました。
2015年 フィリピンメンバーと会話出来るようになりたい
アディッシュグループには、フィリピンにadish Internationalという子会社があります。当然、少なからずフィリピンとのコミュニケーションが発生するのですが、私は、英語に苦手意識を持っていました。
とき同じくして、『3カ月間でTOEIC900点を取る』というプロジェクトが立ち上がり、これは良い機会だと猛勉強を開始しました。大学卒業後も、ずるずるとTOEICの勉強をしてはいましたが、900点を目指すとなると埒があかないことを認識し、PRESENCEという英語コーチングスクールに通うことにしました。スクールの方針で、TOEIC900点を取得するために毎週21時間を確保せよというお達しがあり、まあ、ハードな日々でした。断酒などして勉強に明け暮れた結果、905点を獲得。
しかし、皆さんお察しのとおり、900点を取ったからといって英語が話せるようになるかと言えばそうではなく、その後も、PRESENCE英会話コースやオンライン英会話などを続けました。
2016年 自分が会社のボトルネック
アディッシュの管理部をつくっていくにあたり、経理部、財務部、法務部、人事総務部といった各機能の採用を走らせながら、それぞれの会話を理解できるようになる必要がありました。コーポレート側の知識も経験もありませんでしたので、会社を設立してからの数年間は、とにかくインプットに励みました。
どれも1ヶ月程度の勉強時間でしたが、この時期の数年間で取得した資格は以下。
・第二種衛生管理者
・ビジネス実務法務検定3級
・IPO実務検定標準レベル
・個人情報保護士
会計についてもきちんと勉強したことがなかったので、グロービスマネジメントスクールの講座に通いました。資格や講座での勉強は、たしかに手段でしかないですが、概要を手っ取り早くインプットできるという点では気に入ってます。
会社を設立してから数年は、「自分が会社のボトルネックだ」という思いが強かった。最速でインプットしてアウトプットしなければ、管理部を立ち上げることが出来ないという切迫感がありました。
また、2016年は、社外のコミュニティにおいて自分が発揮できる価値についても気づきがあった年でした。IHLヘルスケアリーダーシップ研究会の8期生として活動を始め、ヘルスケアという異業界に飛び込み、時間をともに過ごした同期に大いなる刺激を受けました。そのなかで、自分の強みは、どのコミュニティに所属しても発揮される、逆に、強みでないことが突然強みになることはないことを実感しました。
2017年 腰を据えて学びたい
体当たりの3年が経過したこの頃になると、経営を体系立てて学びたい、基盤となる引き出しを増やしたいという思いが強くなりました。夜間のMBAを探していた中、数年ぶりに読んだダニエル・ピンクの『ハイ・コンセプト』を読み、ぎゅいんと方向転換することになります。
読んだことがある方も多いと思いますが、『ハイ・コンセプト』は、「新しい時代を動かしていく力は、これまでとは違った新しい思考やアプローチであり、そこで重要になるのが『ハイ・コンセプト』『ハイ・タッチ』である」という考え方を軸に、左脳と右脳の違いが論じられ、これから時代を切り開いていく役割・スキルであるデザインについて展開されています。
「経営はアートだ」「これから求められるのはデザイン思考だ」といったフレーズが飛び交っていた時期でもあり、自分自身が経営分野におけるデザイナーでありたいと思い、京都造形芸術大学通信教育部芸術教養学科(現 京都芸術大学)に編入することにしました。
2018年 大学の勉強と仕事がつながる、学びが楽しい
2018年も引き続き、仕事が終わったあとにオンラインで授業を受講し、レポートを書きまくる日々でした。自分の頭にこんなにも空きスペースがあったのかと思うほど、授業がめちゃくちゃ楽しい。これまで触れてこなかった芸術領域を勉強しているのですが、アウトプットは仕事のことばかり。仕事とは違う分野と、実際の仕事が結びつく面白さを感じていました。
そして2018年は、事業部長の大西が、自身のコーチングの資格を社内で活かそうと活動していたこともあり、少しずつコーチングに興味を持ち始めていた時期でもありました。
2019年 コーチングを勉強したい
3月に大学を卒業。2つ目の学位「芸術」を取得することができました。そのタイミングで、社会人生活を振り返りました。
振り返る中で、これまでの私は、自分が置かれている環境や組織の中でミッションを表現し、それを実現しようと活動してきましたが、これからは、社会に対してミッションを実現できる人間になりたいという思いを持っていることに気がつきました。未来を考える時間を確保するため、月1回、プライベートでコーチングを受けるようになり、1年経った今も続けています。
同時期に、ZaPASSコーチ養成講座の存在を知り、コーチとしての勉強も始めることにしました。上場準備業務も山場に差し掛かっていたため、両立するのはかなりしんどかった。オンライン講座受講中、疲労のあまりイスに真っすぐ座ることができず、ビデオをオフにしていたこともありましたが、同期の仲間たちの姿に支えられ、無事修了することができました。コーチとしてのミッションを「挑戦する人の寄港地になりたい」と掲げたのですが、今年は、社内外問わず修行を積んでいきたいと考えています。
会社を設立してからの5年間を振り返ってみると、おかれた状況や組織の中でやりたいことを積み上げていた価値観型から、少しずつ、社会においてどのような人間でありたいのかという問いと向き合うビジョン型に脱皮しようとしているのかなと思います。
会社が成長していく中で、「自分のOSを丸ごと入れ替えないと、ボトルネックになるのではないか」という思いは強くなるばかりですが、自分自身の中にあるビジョンと向き合い、これまでの点と点が線になる、それが私のキャリアとなる日を心待ちにしながら、学び続けたいと思っています。
(アディッシュには、研修受講・資格取得補助制度/英語学習補助制度があります。業務に紐づくもしくは業務に貢献が見込まれる研修や自助努力に対して、それぞれ年5万円までサポートしてもらえるのですが、毎年、補助対象の学びについては最大限活用しています。地味に嬉しい制度です。)
プロフィール
杉之原明子
2008年に株式会社ガイアックスにインターンとして入社。学校非公式サイト対策の「スクールガーディアン」事業の立ち上げ及び責任者を経て、2014年、アディッシュ株式会社設立とともに取締役に就任。管理本部の立ち上げを担い、2020年に東証マザーズ上場。早稲田大学教育学部卒。