GROVE株式会社
GROVE株式会社は、TwitterやInstagram、YouTubeなどのソーシャルメディア上で活躍するインフルエンサーのプロダクションです。
https://grove.tokyo/
こんにちはCommunications(広報・PR)のカザマです。
AnyMind Group(以下、AnyMind)は2020年1月8日のプレスリリースにおいて、株式会社スペースシャワーネットワーク(以下、SSNW)傘下のインフルエンサープロダクションである株式会社GROVE(以下、GROVE)を子会社化に関するプレスリリースを発表しました。
創業後4期目にして、4社目となる今回のM&A。
今回はAnyMind共同創業者兼CEO十河宏輔、そして、GROVEのCEOである北島 惇起氏の2名を招き、クロストーク形式でのインタビューを実施しました。
プレスリリースでは伝えきれない今回のM&Aのウラ側にあるストーリーをお伝えいたします。
― AnyMindとGROVEの出会いを教えてください。
北島:本当の一番はじめって「問い合わせフォーム」からの連絡ですよね?
十河:そうそう、これに関しては僕が話した方がいいですよね。
まず、日本でのインフルエンサーマーケティング事業の本格展開をやっていくにあたって、日本市場で組めそうな会社をリサーチして、100社リストアップしてたんですよね。
その中でも強く関心を持った企業20社ほどに直接コンタクトを取っていました。
そこにGROVEがあったんです。
それで問い合わせフォームからアポイントを依頼して、打ち合わせの時間をもらったという流れです。
― そうだったんですね。初回打ち合わせはどんな感じでだったんですか?
北島:あれは忘れもしない。十河さんがサイフを無くして、その場ですぐにタクシーに電話してたのを覚えてますね(笑)
部屋に来て、すぐ部屋出て行ったんでしたっけ?
十河:そうそう!いや、もう外にも出ず、部屋の中から電話掛けてましたね。(笑)
今日はなんてツイてない日だと思ってたんですよ。。実はその朝に名刺ケースも無くしていたんですよね。
北島:それがめちゃくちゃ印象的でしたね。
でも、実はそれがよかった!
初対面から、その時にこの人は本当に素直な人だなと思ったんですよね。
その時に人間性が素晴らしいと感じて、好印象でした。(笑)
― なるほど。かなり印象的な初対面ですね(笑)打ち合わせ自体の感触はどうでしたか?
北島:ミーティング直後に同席していたGROVE COOの幸野と一緒にその場で手を組むことを決めましたね!そのくらい良い時間でした。
十河:それで言うと実は GROVEに関して非常に魅力的ではあったものの、ミーティングの前はパートナー候補としての優先順位は高くなかったんです。
たまたまですが、いくつかの企業と会った中でも後半の方でした。
北島:え?それって僕らは下の方のクラスだと思われてたってことですよね?(笑)
十河:いや、そうじゃなくて!トップクラスの候補ではあったんですよ!
でも、”すでにSSNWからの出資を受け入れていたし、日本の中では結構デカいから、やめておいた方がいいのでは?”っていう意見もあったんだけど、事業内容やリサーチの中で良い会社だなと思ったから、バイネームで指名して、アポをとってもらったんですよね。
― 北島さんは直後にもう決めていたとのことでしたが、初回打ち合わせで進むことってあるんですね。
十河:僕はM&Aっていうのは最初が肝心だと思ってます。
実際、打ち合わせが始まったら、単刀直入に本題を話しましたね。
すぐに自分たちのやりたいことを話して、資本参加させてもらって自分たちと一緒にやってくださいっていう感じで。
― 十河さん側からストレートに提案したんですね。
十河:幸いにもいくつかの企業とすでに話していたので、だいたい業界のことがなんとなく分かっていたっていうのもある。
北島:1時間程度の打ち合わせでしたが、2019年で一番濃いミーティングだった覚えがありますね。本当に良かった。
― そこまで良かったと言えるのは、なぜなんでしょうか?
北島:AnyMindの話は、GROVEの持っている課題感ともちょうどマッチしていたんです。
SSNWとの関係性は非常に良好だったのですが、SSNWとのシナジーを生むためには、GROVEとしてもう2ステージほど、上に上がらないと難しいと思っていた。その点、AnyMindであればはすぐにシナジーが期待できそうだったんです。
北島:打ち合わせ後すぐに創業者で株主の森田氏とSSNWに報告しました。
素直に「AnyMindと組みたいです!」と伝えたんです。
反対があっても然るべきタイミングだったんですが、SSNW側も「GROVEがそこまで言うなら。」とその意思を尊重してくださって。この件については本当に恩義を感じていますね。
AnyMindにマジョリティを持ってもらうことでの、GROVEの本当の成長を思っての決断をして頂いたと感じているし、本当に感謝しかないですね。
― 改めて両者ともに直感では、すでにビビッと来ていたとのことでしたが、直感的な部分以外に、改めて今回のディールの決め手はなんだったんでしょうか?
十河:ぶっちゃけると、インフルエンサーマーケティングの企業においては、ビジネスドリブンなところとクリエイタードリブンのところがある。GROVEはそこのバランスが優れていた。実際にあってきた企業の中にも、クリエイター側に強みを持つ人材に偏り、ビジネスサイドが心配なケースも多かったので、良いなと思いました。
北島:それで言うとGROVEはCOOの幸野と自分の2人で経営しているので、うまく分業ができていて、うまくバランスを保てているんですよね。
僕が元お笑い芸人としての経歴があるだけにわかるんですが、クリエイター側と向き合う時に、オトナすぎる(ビジネス感が強すぎる)と「我々とはフィールドが違う」と壁を張られてしまうんです。
そこで、自分はクリエイターの気持ちもわかるので、そちらにしっかりと向き合い、COOの幸野にはビジネスサイドをカバーしてもらい、ある意味、戦略的にバランスをとって事業を進めてきました。
― 北島さんにお伺いしたいのですが、AnyMindにはどんな期待をしていますか?
北島:僕の優先順位では、“クリエイターがより価値を発揮するために、どのようなサポートが出来るか”というところが重要で、それが企業としての成長に直結すると考えています。
Tech、MCNのノウハウや知見を持っているAnyMindの傘下に入ることで、クリエイターの成長に対して、今まで以上にコミットしていけることに期待しています。
具体的にはセールスなども含めた“人”、そして“プラットフォーム”の強さを感じていますね。
売上のトップラインもまだまだ上がって行くと思う。
そして、何よりも日本国内において、少数のトッププレイヤーだけが寡占している、今のインフルエンサー・クリエイタープロダクション業界をAnyMindとGROVEの2社で崩したいですね。
― AnyMindの強みである グローバル展開に関してはいかがでしょうか?
北島:もちろん、間違いなく興味はありますね。
東南アジアは当たり前ですが、日本よりも人口が多いですよね。特に若者が多い。
僕は自分もそうだったのですが、14〜19歳の思春期の時期に触れた“エンターテイメント”から受けた、カルチャー的なものが人格を形成して、それが若者の幸せを形成していくと考えています。
自分のビジョンとして、若者に向けて責任を持って良いもの・情報を届けたい思いがあったので、海外に進出することでより多くの人に喜びを与えて、力になりたいと考えています。その観点で言うと、単純に人口が多いと言うだけで大きな魅力ですね。
― 逆に十河さんはGROVEに対して、どんなメリットをもたらせると考えていますか?またAnyMindとして、GROVEとの連携で、どうビジネスを伸ばしていきたいですか?
十河:さっき北島さんも言ってくれたけど、Tech面とMCNとしてのサポート、海外連携などはもちろん、メリットになると思いますね。
現在は広告モデルとしてのビジネスが基本で、これは引き続き伸ばしていきたい。
でも、今後を考えるとインフルエンサーの活躍は、ECやコミュニケーションなどにも広がっていく。
そうすると、クリエイターとファンのつながりも増える。クリエイターを起点にして、これからも新しいエリアを攻めていきます。
― 北島さんにお伺いしたいのですが、今回の子会社化に伴うCEOとしての葛藤などはありましたか?
北島:この観点で言うと、2つのポイントがあると思っています。
(1) 単純に影響力を自分以外の人が持ちうる体制となることへの葛藤
これは全くなかった。
GROVEにとってベストな道であれば、全く問題ないですね。
(2) 親会社であったSSNWに対しての恩義・義理
先ほども話した通り、SSNWとの関係は良好でした。
自分たちに期待もしてもらっていた中で、過度な干渉もなく、本当にフラットにアドバイスももらっていました。だから、ある種の仁義的な葛藤があった。
でも、ここに関してはSSNWも依然49%の株を所有しているので、早い速度で成長して、GROVEが大きくなることでSSNWに対してはリターンを返していきたい。
しっかりそこで恩返しはしていきたいですね。
― 一方で不安な点はありますか?
北島:今までも暗中模索でやってきたので、不安を挙げればキリがないが、
自分で決めたことが間違ってなかったと思えるように、今後のことを考えて行くことで
十河さんとのあの打ち合わせが運命の日だった、正解だった、と言えるような日が来ると思う。
本当にそう思っているし、何よりもそうなるように動いていきます。
十河:グループで言うと、4社目のM&Aなのでノウハウや体制も整ってきているが、気をつけたいことは信頼関係ですね。
経営陣はもちろん、メンバーに関してもグループ間での連携が大事だと考えています。
今のGROVEメンバーが "AnyMind Groupに入ってよかった!"
と思えるように進めていきたいし、それがパフォーマンスにも繋がっていく。
やるべきことはたくさんあるけど、一つずつしっかりやっていく。
これに尽きますね。
― これからの5年〜10年、インフルエンサー・クリエイターたちのポジショニングはどう変化すると考えていますか?また、その中でインフルエンサービジネスはどうなっていくと考えていますか?
十河:個が強くなる時代は加速していきます。その筆頭がインフルエンサー・クリエイター。表現の仕方は様々です。
Instagram、YouTube、TikTokに留まらず表現方法も多様化する中で、“こういうタイプはYouTuber”、”こういう人はEC”、”Twitterが強い人はオンラインサロン“。
今後、表現や活躍の場はさらに多角化していきます。
プラットフォームがグローバルなので、国を越えた活動ができるようになっていく。
アフリカのダンサーの動画がWEBでバズっていたり、言語に頼らないものなども表現として多くあるので、発信する場所も増えると思う。
北島:基本的には同じ意見ですね。
“個”が自分で自分を表現するし、中でも情報量の多い“動画”はしばらく主流であり続けると思いますね。それから、動画には2つのパターンがあると思うんですよね。
1. 番組・動画の内容自体が面白い:情報の発信
2. 動画を通して自分にファンをつけていく:ファンがつけば次のビジネスがなんでもやりやすい。これは過去のエンタメが証明している。
マルチクリエイターとして、1人がエンタメを全て出来る時代になってきている。
コンテンツの大半が動画になっていく中で、さらに影響力を持ち、活躍できる場所が増えていくと思います。
十河:5Gの時代において、動画は間違いない。
北島:ところで十河さんは10年後のことって考えますか?
十河:10年後は見ないね。
北島:ですよね、、本当にわからない。
10年単位で考えるよりも、2年、3年を見据えながら少し先を歩む方がいいと思うんですよね。
10年前はおそらく、iPhone3が出た頃で、その時に10年後、ここまでのアプリ産業の成長は誰も見越せなかった。
十河:誰が最初の一歩を打てるか。
変化なしに成長し続けられるものはないから、常に時代の半歩〜数歩先を進んで行きたいですね。
― 改めて、お二人にお伺いします。今後、成し遂げていきたいことはありますか?
十河:繰り返しにはなるけど、ファンとクリエイターのタッチポイントをどれだけ網羅していけるかだね。
広告・グッズ・オンラインサロンなど、個に対するプラットホームの提供を実現していく。
そうすると、ここでグローバルでやっている強みが発揮できる。
物販における、アジアの工場ネットワークなど、今持っているグローバルな素材を強みに、ベストなものをそれぞれに提供して行くことでプレゼンスを最大化したいです。
北島:インフルエンサーを起点に、十河さんが考える先をAnyMindと一緒に走っていくことですね。
全方面でのビジネスを網羅し、エンターテインメントスターを作っていければ本望です。
エンターテインメントに関わる仕事をする中で、いかに多く、その人の人生に影響を与えて行くかが一番のやりがいですね。
思春期を中心にポジティブな影響を与えるところの数を増やして行きたい。
実体験からエンタメの力を信じていて、そこを伸ばして行きたいですね。
― 今回のインタビューは外向きはもちろん、社員向けにも伝えていきたい思っています。最後にAnyMindとGROVEの社員にメッセージがあれば、お願いします。
十河:日本でインフルエンサービジネスでといえばAnyMindもしくはGROVEという体制を作りたい。
このビジネスドメインを垂直統合で"全て"カバーするからこそ、すべての関係者、お客様、インフルエンサー、クリエイターに最高の価値を提供できるようになると思っています。
北島:少数のトッププロダクションの牙城を崩せるのはうちだぞという認識を持って欲しいですね。
十河:流れの早いインフルエンサービジネスの業界、特に日本において、僕はもっと健全な競争を起こすべきだと思っていて、僕らはすでにその変化を起こせる立ち位置にいる。
机上の空論ではなく実現できるぞと言う期待を持って欲しいですね。
僕らは本気でできると思っているから、みんなにもその意気込みで走って欲しいですね。
(聞き手・文:Motohiro Kazama / Communications, AnyMind Group)