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01Boosterにはさまざまなキャリアを持つ人々が集まっています。2022年9月に入社した矢野口聡さんは理系の研究職からキャリアをスタートしたものの、「地方にイノベーションを起こしたい」という思いで01Boosterに転職。現在はアクセラレータープログラムのプロジェクトマネジメントや民間企業の新規事業創出の支援に取り組んでいます。矢野口さんに01Boosterに転職した経緯や魅力に感じていることを聞きました。
矢野口聡
▼プロフィール
長野県出身。東京農工大学工学部生命工学科、東京大学大学院工学系研究科で人工心臓弁や人工血管などの研究に携わる。卒業後は富士フイルムにてスマホ材料部品を扱う部署に配属。その後、地域の中小企業向けコンサルティング会社に転職。スタートアップ支援を通して地域を盛り上げたいと考え、2022年9月より01Boosterに参画。現在はアクセラレータープログラムのプロジェクトマネジメントなどに携わる。
「地方を変えていきたい」と考え、研究職からキャリアチェンジ
——01Boosterに入社するまでのキャリアを教えてください。
大学院で医療材料の研究をしていて、卒業後は研究者としてのキャリアを進もうと富士フイルムに入社したのですが、バイタリティとスタミナが評価され、それまでの専門とは大きく異なるスマホ部材を扱う部署で働くことになりました。会社への売上貢献の大きい花形チームで刺激的な研究開発の日々を送る一方で、自身の適性にギャップがあり、改めて自身が本当にやりたいことを見極めようと転職をしました。
2社目に選んだのは日本全国をフィールドに地域の中小企業の経営支援を行うコンサルティング会社でした。入社当時は社員5名の会社だったこともあり、このキャリアチェンジは周囲に驚かれましたね。私は長野出身で、いずれは地元に戻って地域に貢献できる仕事をしたいと考えていまして、自分にできることを探す意味も含めて転職しました。
ただ、2年半ほど中小企業のコンサルティングに従事する中で、中小企業から地方を変えていくことの難しさを感じるようになりました。日本の企業の99%を占める中小企業ですが、地域のしがらみや昔からの会社の慣習などに縛られてしまいがちで、新しい取り組みにチャレンジしにくい現状があると気がついたんです。
一方で、行政やスタートアップ企業を巻き込んだ地域連携での取り組みの中では、地域に新しい変化をもたらしているケースも見ました。こうした中で、しがらみが少ないベンチャー企業を支援する仕組みをつくることが、本当の意味で地域の活性化につなげるのではと考えるようになりました。
——01Boosterとはどのような出会いだったのですか?
学生時代から付き合いのある友人からたまたま、「そういう話なら、取引先に矢野口が興味あることに取り組んでいる会社があるよ」と教えてもらったのが、01Boosterでした。紹介してもらって話を聞いてみたら、01Boosterではスタートアップのエコシステムづくりに取り組んでいて、まさに自分がやりたいことがこの会社でなら実現できると感じました。
スタートアップ支援に取り組む大手企業の面接も受けたのですが、大手の場合はどうしても組織化された中で仕事を与えられる形になりやすいと思うんです。それよりは、成長フェーズで新しいことにどんどんチャレンジしている企業で自分自身も主体的に業務に取り組んでいきたいと考え、01Boosterへの入社を決めました。
民間企業と自治体のアプローチを学び、横展開していく
———入社後はどんな仕事に携わっているのですか?
今は民間大手企業や自治体のアクセラレータープログラムの運営に関わっています。もともとは地方の活性化に貢献したいという思いで入社したのですが、都内大手企業のプログラムにも関わることで、相違点や共通点を見出しながら、良い部分は相互に取り入れて活かしていければと考えています。
民間企業のプログラムでは、社内起業家向けの新規事業創出プログラムとスタートアップとの共創プログラムに関わっています。理系のバックグラウンドを活かして、メーカーやディープテック系のスタートアップ、研究機関の支援に特化したサービスを立ち上げるお手伝いも社内で取り組んでいます。
地域プログラムのほうでは、地域の事業者とスタートアップをつないで、共同で行う実証実験をサポートするほか、行政や地域の事業者にスタートアップのマインドやノウハウを浸透させる取り組みなどを行っています。
——民間企業と自治体、考え方や業務の進め方が大きく違うと思いますが、兼務することのメリットは何ですか?
確かに民間の事業と自治体の事業では、目指すべきゴールや関係者とのコミュニケーションの取り方で違いを感じることがあります。自治体の場合は福祉的な観点や、中長期で市内の事業者のためになるかという点を大事にしていると感じますね。
民間大手企業からイノベーションを起こすのと、自治体からイノベーションを起こすのとではアプローチがまったく異なります。それぞれを学んでいきたいですし、得た知見を横展開していくことが重要だと思います。
周囲を巻き込んでプロジェクトを進めていくことが面白い
——仕事でやりがいを感じるのはどんなときですか?
アクセラレータープログラムって、関わる方が非常に多いんですね。例えば、自治体のアクセラレータープログラムの場合、行政やスタートアップ、協業する地元の事業者、支援する企業などが関わっていて、多くの方からフィードバックが寄せられます。こうしたさまざまな方と連携し、調整しながらプロジェクトを進めていく中で、同じゴールに向かう仲間が増えていく実感や、やり切ったときの達成感などが面白いなと日々感じています。
また、イノベーションの主役はあくまで顧客であり、サポート側として、第三者の立場だからこそ言えること、提供できる価値があると思うので、「ゼロワンがいてくれるからやりやすいよ」、「ゼロワンが一緒にやってくれて良かった」と言ってもらえるのはすごく嬉しいですね。
——逆に、大変なことは?
関わる方が多いということはその分進捗が複雑になります。1つのプログラムで採択されるスタートアップが10社くらいあって、各スタートアップが複数の地元事業者と交渉していきますし、我々はこうしたプログラムをいくつも同時進行することになるので、大変な部分はあります。
プロジクトマネージャーとして全体を適切に調整していくためには、キャッチアップしなければならない情報が多いですし、マルチタスクで対応していくことが求められていると感じますね。
——業務をスムーズに進めるために、どんな工夫をしているのですか?
1人で抱え込むと対応しきれないので、何かあったらすぐに周囲の人に相談して巻き込むようにしています。01Boosterの社内にはいろいろな知見を持つ人がいるので、得意な人にアドバイスをもらったり、逆に自分が提供できることがあれば率先して協力するようにしたり、という点はすごく意識しています。
これは、社内だけでなく顧客やパートナーといった社外との協力も同様だと思います。
——お互いに助けあう雰囲気が社内にあるんですね。
そうですね。01Boosterには、いい意味でおせっかいな人が多いなと感じています。相談すると親身になって教えてくれる人が多いので、お客様に対してもそういう姿勢が現れているのかなと思います。
この会社のいいところの1つに、自主的にメンバーが集まって「こんなサービスがあったら面白そうだよね」と相談して、アイデアがまとまった段階で会社やお客様に提案するカルチャーが根付いていることがあります。皆さん受け身ではなく、自発的に取り組んでいるんですよね。
社員の一人ひとりがやりたいことを明確に持っていて、チャレンジしやすい環境があるというのは、すごく魅力的だと思います。
地方で挑戦する人が増える仕組みをつくっていきたい
——今後はどんなことに取り組んでいきたいですか?
私は自分のキャリアを通して地域に貢献し、そこで暮らす人たちのくらしがより豊かになるような取り組みを行っていきたいという気持ちを強く持っています。中でも、地域で新たな挑戦をする人が増えていく仕組みづくりに携わっていきたい。
その1つが、今取り組んでいる自治体のアクセラレータープログラム支援です。まずは、ここから生まれたアイデアをしっかりと実現させ、一過性ではなく地域に定着するように支援していきたいと考えています。
将来的にはプログラムをブラッシュアップする、あるいは新しいプログラムをつくることも必要だと考えています。地域で挑戦する人材がもっともっと増えていく、そのスタンダードになるようなプログラムや仕組みをつくっていきたいと思います。