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海外で経験した"事業創造の場"を日本でも

▼プロフィール

桑田 靖章 I 1998年、大阪大学大学院基礎工学研究科博士前期課程を修了後、大手OA機器メーカに入社。大手医療機器メーカを含め、研究開発から生まれた自社技術の商品化、新規事業の立ち上げに従事。自社の販売チャネルが無い市場への参入をはじめ、技術のQCDから販売まで広い視野で自社のビジネスを考える事業開発を経験(経験した製品カテゴリ:液晶ディスプレイ、半導体レーザ、体外診断薬、他)。転機を迎えている日本の製造業の活性化に係りたいという想いが強くなり、香港政府系機関に転じ、日本企業の海外進出、輸出入、ビジネスマッチングの支援に従事。2018年6月より01Boosterに参画し、大学研究技術の社会還元支援に従事。現執行役員。

━━ゼロワンに入社するきっかけはなんでしたか。

もともと私は日本のものづくり産業を活性化させたいと思っていました。そういう中で支援した方が町工場とかの中小企業さんだったんですね。そういうのをやる中で、スタートアップというカテゴリーのところで接点ができて、今後を作っていくとしたらスタートアップなんだなあと思うようになりました。そういうときにゼロワンブースターと出会って、ゼロワンのイベントなどに出させていただくようになりました。その縁で一緒に働かないかと声をかけていただいて入社しました。

━━入社の決め手はなんでしたか。

前職の香港政府系機関だと、香港側の立場でものを語らなければいけないので日本人としては少し物足りませんでした。また公的な機関であるので、あまり踏み込んだことはできませんでした。他にも選択肢があると思っていたときにたまたま声がかかったということもありますが、正しいと思ったことを愚直にやるというスタイルがいいなと思いました。ゼロワンブースターはあまり我慢するというより、大人の事情に縛られずに正しいことを実行することを大事にしていて、そこに惹かれました。自分に素直に仕事してみることに魅力を感じたことがきっかけです。


━━香港の政府系の仕事ではどんなことをされていたんですか。

香港は貿易や金融において、世界のハブのような存在になっています。香港経由でいろんな企業が取引をしてくれれば合理的なんですね。また、香港では色んな会社が本社を構えていたり、展示会などにも多くの人々が参加しに来たりします。日本で一番大きいエレクトロニクス系の展示会である「CEATEC」での来場者は約2~3万人と言われています。それに対して香港での展示会は、十万人程度の来場者がいます。このように香港の人の集まり方は尋常じゃないです。来場者も日本では日本人が中心なのに対して、香港では大半が外国人です。そのため向こうに行って商談が始まると、すぐ国際取引に発展するんですね。私が働いていた香港政府系機関はそういう貿易振興を一番の目的としていました。

━━香港をハブにするメリットはなんですか。

これは日本人の多くが勘違いするところなんですが、アクセスできる拠点が日本とは比にならないくらい多いんです。香港はほとんどの主要都市と直行便でつながっています。船も、日本では寄港に制限がかかっているような船でも香港は寄港できたりもします。あとはその土地のタレントですね。日本人は不思議なことに海外の拠点を選ぶときに安さで選びがちです。しかし、良い人材がいなければ良い事業はできません。香港の人口は700万人にも関わらず、東大よりも世界ランクが上位である大学が何個もあります。またバイリンガルも多く、そのような環境なので優秀な人材を採用しやすいというメリットが実はあるんです。

━━桑田さんが経験されてきたことを踏まえて、日本のスタートアップに対する課題は何だと思いますか。

海外のピッチコンテストやアクセラレーションプログラムなどのファイナリストで残って来る人は、大体がテック系企業です。それに対して日本はアプリが多いので、あまり迫力がないなと感じます。だからといって迫力があれば良いスタートアップであるというわけないんですが、少し偏りがあるように思えます。アプリという仕組みを通じて便利なツールをどんどん作ろうという人は多いです。その発想はすごいと思うんですが、根本的にテクノロジーで解決するというところまで踏み込めていないところが少し課題のように感じています。その原因は、ゼロワンの事業を通じて思案しているところです。地域事業とは離れてしまいますが、そういう部分はこれから新しく入ってくださる方たちとも考えていきたいです。

海外のアクセラレーションプログラム自体にあまり参加したことはないのですが、プログラムに参加するグループと参加せずに独立して頑張るグループがいて、つながっている人たちどうしの顔ぶれがいつも変わらないというような問題もあります。

また、スタートアップ自体というよりスタートアップ支援環境に対する意識にも問題があります。日本のスタートアップ支援プログラムは「畑」を作ろうとしているような気がしています。つまり、とある地域にある、とある特定の属性を持つスタートアップを他の場所でも増やしたいという流れがあるように思うんです。例えば、IT系がほしいのでIT系のスタートアップを中心に育成したい、というような流れがあります。地元を耕して、種を蒔いて、栄養を与え続けて育成する、という雰囲気を感じます。しかし、スタートアップが成長していくには、そのような存在よりも「ジャングル」のような存在が必要です。例えば、人参を畑で育てようとしたら人参が育つような土壌に成分に整えて行くと思います。そこでもしも、人参以外の知らない植物の芽が出てくればすぐに摘まれてしまうでしょう。また、手入れをする人がいなくなった瞬間に畑が荒れていって人参も枯れていってしまいます。しかし、それでは見たこともないような新種は現れません。それに対してジャングルがどうやってできているかメタファーで考えたときに、放置してできていると思うんですよね。そこで死んでいった生物が土になって栄養になっていきます。それがいわゆるエコシステムだと思います。ある程度、水や土があれば、放置しても生きていける、つまり新種が出てきても摘まれずに、その中で生き残り力による新種の生存が決まっていく。それが正しい姿だと思います。しかし実際は、「畑」を作ろうとしている地方自治体が多いです。地域がどこかうまく行ったところを真似しようと、世話をし過ぎているのが現状です。そこが日本全体としての弱さにつながっている部分だと思っています。そこからどうしていくかは今いるメンバーとも、これから入ってくる方々とも一緒にチャレンジしていきたいです。

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