very50では四半期に一度会報を発行しています。先月発行した会報にて、副代表の谷弘望とvery50に携わっていただいた社会人との対談企画を実施しました。読者にvery50がメインで行っている高校生向けプログラムMoG(Mission on the Ground)の熱量を伝えたいとの思いで始めたこの企画。very50に興味を持っていただいた方にもぜひ読んでいただきたく、こちらにも掲載します。
谷弘:今回は、この3月にカンボジアMoGに携わっていただいた市川さんにお越しいただきました。まず市川さんがどんな方なのかお聞きしたいのですが、学生自体はどう過ごされていましたか。
市川:幼稚園年中から大学まで18年間サッカーをしていました。が、小6で怪我をして、その手術が、成長が止まる中学卒業までできなくて。高校からまた本格的にサッカーができるようになりました。キャプテンにもなって、サッカー命って感じでした。大学もプロ選手を目指してサッカー部に入りましたが、4年間怪我ばっかりで、サッカーができたのは10か月でした。
谷弘:じゃあ、ある意味ハイライトは、高校3年間のサッカー部?
市川:逆に大学の時10か月しかサッカーができなかったのは、自分の中でハイライトだったのかなと。“底”を知れた経験で。今のビジネスマンとしての働き方、自分のできる範囲で最善を尽くすしかないというスタンスはその時の経験が元にあると思っています。
谷弘:前職の先輩でMoGのフェローをした方の話で興味を持っていただいたとお聞きしました。参加の理由は何ですか?
市川:一つ目は、今後マネジメント層に成長していく中で、業務の棚卸しや自分のマネジメントを測る上でいい機会だと思って参加しました。2点目は、将来やりたいことの先に教育ってありそうだというのを感じていて。父親が塾を経営していた影響もあって、自分の経験を後輩や後続の方々にどう伝えるかということに関心があったので参加しました。
谷弘:今回引率したMoGの概要を教えてください。
市川:今回のプロジェクトは、2人の社会起業家さんへのプレゼンワークでした。各起業家さんに生徒15〜20人で1チーム、全体で30〜40人の高校生が参加しました。起業家さんのうち、一つはMorodock Ceramicsという陶器などを扱う社会起業家さん、もう一つは主に私が入らせていただいたSRAMAYというカンボジアの織物を提供する企業さんでした。生徒のチームの上にメンターと呼ばれる大学生が1名ずつ、その上に私みたいな社会人フェローが1名ずつという体制で、計9日間のプロジェクトでした。
谷弘:現地期間を序盤、中盤、後半に分けると、どんな感じでしたか。
市川:序盤はなぜこれをやってるのかという目的が定まっていなくて、モチベーションが低い状態でした。なので序盤はHOWの部分を取っ払って、何でやるのかのWHYの部分、上段の部分を話し合いました。中盤はみんなモチベーション高く主体的に動いてくれて。終盤は少しエモーショナルな感じで、もちろん頑張りも続いてるんですけど、これが終わるのが寂しいっていう雰囲気がありました。
谷弘:序盤で言うと、「なんでこれをしているか」って投げ込むのは意外と難しいと思います。不安はなかったですか?
市川:今振り返るとそこが一番、僕が下手くそだったところで。社会人だと仕事だからやるしかないってなるけど、高校生はそうじゃない。そこは本当に大学生メンターの力を借りるところが多かったです。壮大な話ばっかりだと、すぐやるためのモチベートにならないので、一旦これやってみようっていう具体の動きと混ぜ合わせてビジョンや目的を伝えるというのはマネジメントという意味でも学びになったなと。
谷弘:印象的だった生徒はいますか?
市川:たくさんいます。それこそ一人一人語りたいぐらいなんですが…2人ぐらい話すと、1人はOくん。全く英語喋れなくて、シャイで人と話すのも得意じゃないっていう子だったんですが、法人営業を任せた時、1日30件電話営業かけてきたっていうことがあって。一言も発さなかった最初から比べて、ものすごい成長だなって感じたのと、やっぱりビジネスにおける適材適所ってあるなと感じました。
もう一人はYくん。彼は自ら希望してリーダーをしてたんですが、自分の性格や学校でのキャラクター含め、なかなかみんなを統率できなくて。結果的には、リーダー交代になりました。みんなはすごく彼をフォローしてくれて、新しいリーダーも「Yのためにもプロジェクトを成功させたい」って熱い感じだったんですが、その上での気づきは、リーダーにも色んな像があるということ。自分も含め改めて勉強になりました。あと、こういう挫折を高校生のうちにできるのはすごく貴重だなと。今回のプロジェクトでは、ほぼ全員が何かしら挫折をしたと思うんですが、MoGって挫折する環境としてすごい整ってる。挫折の乗り越え方とか色んな助言をしてくれる方が周りにいるし、そのままほっとかれることもないですし。確実に成長に繋がる挫折をさせてくれるっていうのは、このプロジェクトの醍醐味だと思います。
谷弘:今回、カンボジアで社会起業家の方々と関わられたことは、市川さんにとってどういう体験になりましたか。
市川:発展途上国へあまり行ったことがなく、行けたことがまず大きな経験でしたし、その中で、社会起業家さんと直に接することができたのは貴重な体験でした。
谷弘:彼女、彼らも当然お金稼ぐために事業をしてますが、また違うエネルギーもたくさん持たれてますよね。
市川:社会起業家さんを含め、very50に関わってる方全員に共通することだなと思っています。very50のメンバーの方も、社会起業家さんも「自立した優しい挑戦者」というミッションを体現できている方々だなと。将来、ビジネスマンとしてどう歩んでいくかに関して、色んなインプレッションをいただきました。
谷弘:そう言っていただけてすごくありがたいです。今回はインタビューを受けていただきありがとうございました!
市川:ありがとうございました!