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「東京で就職するのが当たり前」──そう考えて、なんとなく上京を目指している方も多いかもしれません。でも、本当にそれだけが選択肢なのでしょうか。
デジタルエージェンシーTAMは、そんな問いかけをするかのように、2025年6月、北海道・札幌に新たな拠点を立ち上げました。地方に住みながら、日本中の仕事に関わる。地域の人と自然につながり、雑談から新しいプロジェクトが生まれる。そんな「地方と共創する」チームづくりが、静かに、でも確実に動き出しています。
話を聞いたのは、TAMで広報戦略と組織づくりにも携わる加藤洋さんと、札幌在住で実際に北海道拠点の立ち上げを担った田中航さん。
なぜ、TAMは北海道を選んだのか。そこには、事業戦略だけでなく、働く一人ひとりの思いや、これからの働き方に対する考え方がありました。
なぜTAMは“あえて”北海道を選んだのか
── 今回はTAMの北海道拠点についてお話を伺います。まずは、どんなきっかけで札幌に拠点を作ることになったのか教えてください。
加藤:きっかけは、札幌市さんとご縁があり、首都圏のIT企業を誘致しようという動きを知ったことでした。実はその前から、北海道に拠点を作りたいという思いはずっとあったんです。ただ、東京や大阪の業務が落ち着いてからじゃないと難しいなと思っていて。ようやく機が熟したという感じです。
しゃかいか!代表取締役 加藤さん
田中:僕はもともと札幌在住で、TAMに入社した当初から「札幌に事務所ができたらいいな」と思っていました。ただ、北海道に社員が僕しかいなかったので、正直それは夢物語だろうなとも感じていました。関東や関西の案件を担当しながら地道に働いていたところに、加藤さんから「札幌視察に行くから会おう」と連絡があって。そこから動き出したという流れです。
ディレクター田中さん
── タイミングがぴったり重なったんですね。
加藤:住友商事さんが運営しているオープン・イノベーション拠点「MIRAI LAB PALETTE」で、札幌市と北九州市の企業誘致をテーマにしたピッチイベントのような場がありました。そこで札幌側のプレゼンに登場していたのが、のちに関わることになるインキュベーション施設「エア・ウォーターの森」でした。
その後、「しゃかいか!」で「エア・ウォーターの森」を取材する機会があり、現地を訪問。施設の雰囲気や関わる人たちとのやりとりの中で、「ここに入居しちゃうのもアリだな」と感じ、そのまま本当に入居することになりました。
── あえて“地方”でやる意味について、もう少し詳しく聞かせてください。
加藤:TAMは2030年までに300人規模を目指しているんですが、今の東京・大阪だけでは案件の幅に限界があります。SNS広告や企業サイトといった、いわゆる “大企業の仕事” が多くて、それも悪くはないけれど、そういった仕事だけで300人というのはイメージ出来なくって。あと個人的にはちょっと面白みに欠けるなあと思ってました。
そこで、札幌のような土地であれば、クライアントも仕事のテーマも多様になる。TAMの中に “新しい視点 ”や “文化の揺らぎ” が入りやすくなると思いました。 “組織のエントロピーを上げる” 、という言い方をしていますが、簡単に言えば「あえてカオスを生み出して活性化する状態」を作りたいんです。
企業も大学も個人も。“まざる場”が地方にはある
── 拠点を開くにあたって、場所選びはどのように考えたのでしょうか?
加藤:札幌に拠点を作ると決めた時点で、「立ち上げはスピードを重視してコワーキングスペースかインキュベーション施設に入居するのがいいな」と思っていました。色々な施設を見てまわった中で、エア・ウォーターの森さんが圧倒的に面白かったんです。
── どんな点が面白かったんですか?
加藤:「エア・ウォーターの森」を運営しているエア・ウォーター北海道さんは北海道全域でインフラ事業を展開している企業で、地域にすごく根を張っているんです。だから、札幌にいながら道内全域に広がっていく可能性があると感じました。さらに、農業や食といった一次産業との接点もある。僕たちのAIやデジタルの知見と掛け合わせて、新しいプロジェクトが生まれるかもしれない、と思ったんです。
── 入居してみて、実際にどうでしたか?
田中:想像以上に “まざる場所” ですね。コワーキングって聞くと、フリーランスが集まって黙々と作業しているような印象があるかもしれません。でもここは違っていて、他社の人とも自然と会話が生まれるんです。エア・ウォーターさんの社員の方とも同じフロアで働いていて、「お疲れさまです」って声をかけあったり、すれ違ったときに軽く話したり。すごく自然な関係です。
── 面白いですね。仕事にもつながっているんですか?
田中:はい、実際にイベントで話した相手と、「一緒に何かやれそうですね」という話になることもあります。たとえば、エア・ウォーターさんが北海道大学の学生さんと開発した “クラフトビール” を飲みながらAIを触るイベントがあって、そこからのつながりも生まれました。
自治体や大学とも近くて、地方の課題に一緒に向き合うような流れも自然に起きています。
── 「提案書を持って行って、プレゼンして…」というような関係とは違う?
田中:そうですね。もっとカジュアルで、雑談の中から生まれる仕事が多いです。「それ、面白いですね」から話が膨らんで、気づいたら一緒にプロジェクトやってる、みたいな。会社対会社というより、人対人の関係で動いています。だからこそ、熱量もそろいやすくて、楽しいんです。
地方にいても、全国の仕事に深く関われる
── TAMでは、北海道に住みながら東京など首都圏の案件にも関われるそうですね。
田中:はい。今も関西や関東のクライアントの仕事をしています。
TAMの特徴はそこだと思っていて、地方に住んでいるからといって、地方の仕事だけになるわけじゃないんです。クライアントと一緒に企画の段階から入っていく。ちゃんと向き合えるし、影響も与えられる。それを北海道に住みながらできるというのが、自分にとってはすごく大きいです。
── “北海道から全国へ”というのは、一方向ではないんですね。
田中:そうです。TAMが全国の案件に関わりながら、北海道の課題にも関われる。どちらか一方じゃない。たとえば「北海道で面白いことやってるね」って言ってくれる首都圏のクライアントと何か一緒に始めることもありますし。
単に“遠隔で仕事ができる”という話ではなくて、「地元に暮らしながら、視野は広く持てる」というのがTAMの強みだと感じています。
── TAMとしても、そういう働き方を推進しているのでしょうか?
加藤:そうですね。東京にいないと面白い仕事ができない時代じゃないし、実際に航さんが札幌から上流で関わって成果を出してくれているのは、TAMの可能性そのものだと感じています。
地方の課題と資源に、AIで挑む
── TAMではAIにも力を入れていますよね。北海道という土地とAI、どのように結びつくと考えていますか?
加藤:北海道って、人口減少や高齢化がとにかく速いんです。全179自治体のうち、およそ6割が「2040年までに消滅可能性がある」と言われているほどで、日本全体がこれから直面する“課題先進地”なんですよね。
でも一方で、観光・農業・自然資源など、国内外から注目されるポテンシャルもものすごく大きい。そういう場所だからこそ、僕らのAIやデジタルの力を使って、新しい価値や仕事が生まれるんじゃないかと感じています。
── 「地域課題×AI」という掛け合わせですね。
加藤:はい。TAMにはAI活用に強いメンバーがいますし、課題解決のためのフレームワークもある。
北海道には、たとえば、気象と絡んだ農作物データ、漁業の生態情報、きのこの発生条件みたいな一次情報が豊富に取れる可能性があって。AIにとっても「知る喜び」がある土地というか(笑)、人間では扱いきれない複雑さと広がりをもったデータが揃っている場所なので、分析や生成の対象としても魅力があると思っています。
── 「技術を使っているけれど、ちゃんと地域と向き合っている」感じがします。
田中:まさにそうです。今は、北海道で、リアルな地域課題に技術やデザインを使って関われる実感がある。
しかも、「仕事を取りに行く」というよりは、「一緒に悩んでいたら始まっていた」みたいな流れが多いんです。だから押しつけがましくないし、温度がそろっていて心地いいんですよね。
“東京就職”だけじゃない働き方に、興味があるなら
── この記事を読んで「自分もやってみたい」と思った学生や若手社会人に、何か接点はありますか?
田中:今はまだ、決まった募集の枠があるわけではないんですが、興味を持ってくれた人がいれば、ぜひご連絡いただきたいですね。Wantedlyでも北海道拠点の募集ページをこれから準備するので、そちらを見てもらえるといいと思います。
加藤:北海道の学生で「北海道で働いて、地方ならではの課題に向き合って地元に貢献したいなあ」って思っている人とか、大歓迎です。大学の延長線上みたいな感覚で、いきなり現場の最前線に入ってこれる環境があると思います。
田中:TAMなら北海道に住みながら、全国の仕事にも関われるし、北海道の地域課題にも直接関われる。そういう意味で「二度おいしい」働き方ができるんです。
地方に人が残らないと、経済がまわっていかないですし、“地元で仕事して、地元に還元する人”がもっと増えていく必要があると思っています。
── TAMの北海道チームとして、これからどう育てていきたいですか?
加藤:理想を言えば、北海道だけで15〜20人くらいのチームに育てたいですね。300人規模のTAMの中で、外国人が40~50人、沖縄にも15人くらいいるようなチームになったら、すごくかっこいい。
北海道の中に3カ所くらいサテライト的な小屋をつくって、夏休みの間だけ家族で暮らしながら仕事をするとか、そういう未来をイメージすると楽しいですね
── 加藤さん自身、すでにそういう働き方をされてますよね。
加藤:はい。東京や横浜の仕事もしつつ、夏はできるだけ北海道にいたいと思っています。自分が楽しいと思える場所で、気持ちよく働くというのを試しながら、ちょっとずつ広げている感じです。
── TAMの地方拠点は、オフィスというより「暮らしと働き方の実験場」にも見えます。
加藤:まさにそうですね。仕事をつくろうとするよりも、面白がって動いていたら、いつの間にか仕事になってた── そんな風に働く人が集まると、TAM全体としても、きっと面白くなるんじゃないかなと思っています。
[取材・文] 岡徳之 [撮影] 篠原豪太