今回のインタビューでは代表取締役社長の高山に、スイッチメディアへ参画した動機や当社の魅力ついて語ってもらいました。
※本記事は、2020年に実施したインタビューに基づき作成しています。
ー 今までの経歴を教えてください。
大学院を修了後、外資系コンサルティング会社に入り約9年間、戦略コンサルタントとして新規事業の立ち上げや中期事業計画策定、グローバル展開戦略や法人営業戦略などのプロジェクトをお客さまと並走する形で実行していました。やりがいを強く感じていたものの、最終的な意思決定時には「お客さま社内の役員会議での決議」を待つといったような受け身になることが多く、いつかは事業会社でやってみたいという思いが日々強くなっていったのを覚えています。
その後、モバイルゲームが主力事業のメガベンチャーに入社し、事業の中核サービスを支えるプラットフォーム部で、数百万人ものお客さまに向けたサービスを提供しているWebプロダクトの運営に携わりました。ビッグデータを扱ってKPIを上げるべくPDCAを回すというカルチャーはありましたが、分析はチームごとに行われていて体系化されていない状況だったので、事業部を横断して分析を行う新部署の立ち上げを責任者として行いました。
その後、マーケティング部長として広告宣伝に携わりました。モバイルゲームが主な事業だったので、インターネット広告が定常的なプロモーションの中心ではあったのですが、あるゲームが非常に伸びてきたタイミングで会社からプロモーションのアクセルをもっと踏むべきだ、となりました。それで、大々的にテレビCMを打ったのですが、ダッシュボードでKPIのグラフを見ていると驚くような角度でお客さまの数や売上が右肩上がりになり、月間売上は一気に数倍になりました。そのときに実体験としてテレビCMのインパクトの大きさを目の当たりにしましたね。
ー その後、転職を考えるわけですが、どんなところをポイントにされたのでしょうか。
転職するにあたり、BtoB SaaS企業を軸に、自身が会社により大きく貢献できるであろうスタートアップ企業に絞り、その中で「市場の選択」と「人と組織」の2点を大切にしていました。
前職のメガベンチャーでは事業部長として新規事業の立ち上げを経験したこともあり、その際に「市場の選択」がいかに大切かを学んだからです。今、多くのスタートアップ企業が「レガシーな領域をテクノロジーで変革する」というテーマを掲げています。製造業や建設業、農業などの非効率な業務をテクノロジーでダイナミックに変革しようとしたり、バックオフィスの紙で行われていた業務をオンライン化するなど「効率化」が進められていることがそれにあたります。スイッチメディアはテレビCMというレガシーな領域において、データ分析を駆使して変革し効率化を図るサービスを提供しているという点で興味を持ちました。またテック企業では物理的な製品があるわけではなく、価値を生み出す源泉はとにかく「人」なので「人と組織」は特に重要だと考えていました。入社した今でもそのことを痛感しています。
ー どんな視点で市場を選択されたのでしょうか?
市場の選択をする際には、市場規模が十分に大きく、成長が見込めることや競合に対して優位性を確立できること、参入障壁がある程度高くレッドオーシャンになりにくいことが、良い市場だと言われています。
その観点で見た時、テレビ広告市場は2兆円の規模があって大きく減少しておらず、「広告宣伝費」はBtoB事業で狙う法人のお客さまの費目の中で非常に金額が大きく、攻めの費用なので必ずしもコスト削減一辺倒ではないこともあり、狙い目として非常に良いと思っていました。また、テレビ視聴データ分析市場は、業界構造的にはそれなりに参入障壁が高く、さらにこれから立ち上がる市場であることも面白い点です。従来は、テレビCMだと数億円を払ってプロモーションするにもかかわらず、データに基づいた意思決定をすることが難しく、効率化が遅れている領域でした。メガベンチャー時代にマーケティング責任者としてテレビCMを担当した際にも、恥ずかしながらかなりの金額規模の投資判断をするのにそれに足る判断材料を揃えられたかというと、全くできていなかったという反省があります。今ではそれこそ「テレビCMの最適化」を謳ったスタートアップ企業のテレビCMを目にすることがあるように、盛り上がってきている領域だと感じています。
ー なるほど。効率化という話からすると、テレビCMよりインターネット広告のほうが効率が良さそうに聞こえますが……。
まず原則として、テレビCMは目に見えやすい効率よりも規模を求める手段ではあります。最近では、オンライン事業が中心であるテック系スタートアップも資金調達ができたらテレビCMを打つことが多いのです。世の中に認知を広げるために、いつかはテレビCMを打ちたいと考えるスタートアップ経営者は多いと思います。インターネット広告市場がテレビ広告市場を規模で抜いたというニュースがセンセーショナルであったために、テレビCMの意義や影響力に関して誤解が生じていると感じることがあります。
インターネット広告はPDCAを回しやすかったり、細かくターゲティングして獲得効率が良かったりとメリットもありますが、認知の規模感を求めると、どうしてもテレビCMとは圧倒的な差があって到底かなわないのです。短期間に数百、数千万人にリーチしたいときには、インターネット広告では難しく、テレビCMしか選択肢がありません。私は自身で体験したからこそ知っていますが、この点は広告がインターネット広告にシフトしていくと言われて久しい中でもテレビCMの重要性が揺るがない理由になっています。
ー そんなテレビCM業界において、自分たちの強みは何だと考えていますか?
当社は、すでにテレビ視聴データを取得する体制を構築しています。今後、インターネット広告へのシフトを検討するニーズが高まることは間違いありませんが、データに基づいてPDCAを回すということがテレビCMの領域ではなかなか実現できませんでした。テレビもインターネットも含めた広告全体をデータに基づいて最適化していくことは、まさに近年立ち上がったばかりの領域です。今後、分析に特化したサービスは出てくるでしょうが、自社で独自のデータを取得して自由に分析できることは当社の強みになると考えています。データの種類も量も質もさらに強化して当社にしかできないような分析と最適なCMプランニングを提供していきたいと考えています。
ー 転職の際のポイントについて、「人と組織」の観点についてもお聞きしたいです。
ちょっと言いづらいのですが(笑)、上層部の体制が固まりきっていない点は私にとっては魅力的でした。多くのスタートアップ企業は創業期のメンバーで経営陣が固められていたり、ベンチャーキャピタルから出資を受けていてマネジメント体制の自由がきかなかったりするところが多いのではないかと思います。その場合はマネジメント体制がしっかりしている分、成功確率は高いと言えるのかもしれませんが、自身の貢献度がどこまで高められるのかという懸念がありました。当社に入社してみると、上位マネジメントも含めて、まだまだこれから組織が成長していく過程にあるなと感じます。自分が貢献した分「良い会社」になっていくという手応えがあります。これから入社される方にも、そういう意味ではチャンスがたくさんあるのでより良い会社の運営の仕方を一緒に考えていける方、そういうところを面白がっていただける方に入社していただきたいですね。
ー これからどんな会社にするために、どんな人に入ってきてほしいですか?
スタートアップ経営は人集めのゲームだ、と言っても過言ではないほど、いかに優秀な人を集めるかが勝負だと思っています。幸運なことに、すでに一定規模の売上があり市場とニーズがあることは確かめられています。これからやるべきこともある程度見えているので、あとはそれを実現していく優秀な方々を集め、その方々が安心して突っ走れる環境を作ることができれば成功できると考えています。優秀な「人」を集めることと、その方々が「働きやすい環境」を作ること、厳密に定義するのは難しいですが「良い会社」にしていくことが重要だと思っています。
どんな会社であっても、ずっと右肩上がりに成長し続けることはありえませんし、何かネガティブな事象が起こらないまま成長し続けた会社はおそらくこれまでにないでしょう。常に良いフェーズではないので、悪い状態になった時でもずっと「この会社で働きたい」と思えるような会社にしていきたいですね。「良い会社」の要件を明確に定義するのは難しく言語化しにくいですが、正しいと思うことが言いやすい雰囲気だったり、がんばって出した成果を周りが理解して褒めてくれることだったり、職種の違う人同士が阿吽の呼吸で連携できるといったことかもしれません。良い上司がいて自身の成長が感じられたり、目標とする人が同じ職場にいるということかもしれません。
抽象的な話になりますが、会社のビジョンや事業の戦略といったことだけでなく、そういうことが会社が成功するためには必要なんだろうと思っています。これからご入社いただける方々とそういう会社を一緒に作っていきたいですね。