いぬのパグ|note
Webディレクター1年目のパグ。 業界未経験、デザイン・ディレクション猛特訓中。 スタジオスプーン株式会社在籍(https://studio-spoon.co.jp/)
https://note.com/spoon_pug
こんにちは!
スタジオスプーン広報担当です。
スタジオスプーンがWantedlyで採用活動を始めて半年。
多くの方にエントリーをしていただき、お話をする機会を設けることができた結果、5名の仲間を新たに迎えることができました!
今回は採用活動を振り返りながら、これからの組織作りについて代表の中村明史さんに話を伺いました。少々長いですが、スタジオスプーンの核心に触れる内容になっているかも?
どうぞご覧ください!
中村 明史(なかむら あきふみ)
代表取締役 / クリエイティブディレクター / テクニカルディレクター / 制作・人事責任者
1984年福井県生まれ。2008年武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業。
好きな食べ物:豆腐とトマトと発酵食品。お酒は焼酎以外の全て。
将来の夢:ゲストハウスを運営し、みんなで食卓を囲むこと。
スタジオスプーン広報担当
インタビュアー
業務委託を受けて対外的な情報発信を行う。現在はWantedlyの運用を担当。
客観的な立場から、スタジオスプーンの魅力を伝えていくために奮闘中。
ーーあっという間に半年が経ちましたね。以前のインタビューで「2027年には、会社を50人規模にすることが目標」と仰っていましたが、少しずつ前に進んでいるように思います。
本当にあっという間ですね。今まで情報発信をほとんどしてこなかった私たちにとっては、このWantedlyでの活動はとても貴重なものです。スタジオスプーンの価値観に共感をしてくれた方々との出会いにとても感謝しています。
ーー中途採用ではスキルよりも、行動理念「当たり前のことをきっちりと」に合っているか?というスタンスを重視していました。そのため、未経験からエントリーをされた方も多くいましたね。実際にディレクター職として入社をされた「いぬのパグ」さんも未経験でした。4月に入社をしてまだ2週間程ですが、状況はいかがでしょうか。
パグさんは業界自体が未経験で、本当にまっさらな状態からのスタートとなりました。Macや各種ツールの基本的な使い方から始まり、ディレクターとしてのあれこれではなく、まずはデザインとエンジニアリングの基礎から学んでもらっています。
パグさんによる研修の記録「伸びしろだらけの未経験ディレクター」
ーーこの業界では、募集要項に「実務経験3年以上」といった書かれ方を多く見かけるため、珍しく感じました。
そうですね。私たちは制作業なので、スキルは本当に大切です。どのように言葉を並べてもこれをなくして成立させることは不可能です。ただ、スキル至上主義の様な思考でいてしまうと、どうしても「今、何ができるか・できないか」といった価値観が優先され、それぞれの業務や関わりにおける自己評価や他者に感じる視点も、悪気なく「できる or できない」に偏ってしまうリスクを感じます。
一方、感じ方や考え方・接し方をベースにできれば、「大切にしていること・反対にしてはいけないと感じること・守るべきこと・無理をしなくてもよいこと」といった共感し合える価値観に基づいて行動をともにすることができ、スキルはあくまで目的に向かう為の素地や道具として捉えることができます。
ーースキルが最優先事項ではないということでしょうか。
制作業における最重要項目のひとつではありますが、目的や目標ではありません。また、そのことに得意になって不必要なシーンで乱用したり、ふりかざすようなことは最も似つかわしくありません。「スキルはマナー」であると思います。
「美しいこと・品質高くあること・堅牢であること・信頼がおけること」、こうした作り手として携えるべきマナーの上に、顧客が必要としている価値や表現をいかに構築できるか、その過程をどのようなコミュニケーションを通してともに歩めるかが最も重要なことであり、これを支えてくれるのはスキルではなく、感じ方・考え方・接し方であると感じています。
ーーだからこそ、中途採用でもスキルより行動理念の響き合いを優先されていたのですね。
はい。パグさんとの面接の中で触れたお人柄やものごとの捉え方・向き合い方には共感することが多く、「この方と一緒に仕事をしたい!」と素直に心が動きました。また、「自分には伸びしろしかない」という言葉にも胸を打たれ、そうした本人の気持ちをできるだけフォローできるよう、自分自身の成長を実感でき、楽しめるリズムや環境・関係づくりに注力したいとも思いました。
ーー採用に対する考え方がこれからも大きく変化しなければ、パグさんの他にも未経験の方を仲間に迎えることが増えそうですね。
今一緒に仕事している仲間もWEB業界経験者は1名のみで、ほぼ全員が未経験からのスタートであり、それぞれに成長してきての今があります。スキルはお互いにフォローし合うことができても、感じ方や接し方を意図的に調整するのは不可能です。制作業である限り、個人のスキルや作品性は代えがたい大きな価値ですが、せっかくスプーンという場に集ったチームなので、個が生かされる場であり続ける為に、「今何ができるか」より「何に対して心が動き、他者とどのように関わりを持つのか」といったそれぞれのキャラクターやその組み合わせから生まれるエネルギーを最も大切に考えています。
ーー入社した際に、オンボーディングやマニュアルはないのでしょうか。
はい、今はありません。これまではその時その時の当人の状況に合わせて、いつもリセットして考えながら行っていました。ただ、そのことに限界や不都合を感じるようになり、パグさんとの研修時間をより充実した時間にすることと、次に仲間になっていただける方への資産とすることを目的として、研修の記録と発信を始めました。特に発信についてはパグさん本人の合意あってこその活動でしたが、おかげさまでOJTに頼りすぎていたところを脱し、これまでのインプット・アウトプットのあり方を変えていく良い機会や影響をたくさんいただいています。
ーー学びを発信することは、周りも多くの気付きを得られそうですね。広報として一緒に取り組んでいきたいです。スプーンでは、研修を経て一人前になるまでの道のりをどのように考えているのでしょうか。
デザイナーやエンジニアといった制作実務職と、進行や管理・コミュニケーションを担当するディレクター職では、一人前に対する定義を分けて考えています。例えば、ひとつの職種に求められるスキルが10項目あり、その習熟度をそれぞれ10段階あると仮定します。
デザイナーやエンジニアの場合は、平均的にどれもが7割になるようなステップアップの歩みではなく、それぞれ5割程度の最低限の基礎力を身に付けた上で、とあるひとつの領域をきちんと10割に高められることが非常に大切だと感じています。そうすることで「この領域は◯◯さんにお任せすることができる」という信頼関係が生まれ、お互いを尊重し合いながらチームワークを育みやすくなると感じている為です。
一方でディレクターの場合は、それぞれのスキル習熟度は高くなくとも、まずはその数を増やしていくことが望ましい様に感じています。今まで社内外で多くのPMやディレクター職務の方とご一緒してきた中で、本人のバックグラウンドやキャラクターを活かしてスキルの幅を増やしていくことが、プロジェクトやチームワークの組み立てと進行に大きなメリットをもたらすことを肌で感じてきました。
不足するそれぞれの習熟度は、チームメンバーに良い意味で頼り、フォローしてもらうコミュニケーションを丁寧にとることで、補うことができます。「生兵法は大怪我のもと」ということわざがあるように、「知らないことを知ったかぶって進める」ことはもちろんNGですが、「知らないこと・不足することを丁寧な姿勢を持って仲間に頼る」ことで、達成されるべきクオリティを担保していけると考えています。
ーー10の項目を10段階として仮定していたはずが、このイメージは横が突き抜けていますね。
いきなり仮定を破ってしまい、すみません(笑) 幅広く垣根なく、周辺知識は全て吸収しコミュニケーションの引き出しに繋げていけたらという思いが、横軸を突き抜けさせてしまいました。自分自身が作り手としてこれまでの約10年間を過ごしてきた中で、デザイン・フロントエンド・サーバーサイド・インフラ・ネットワーク・体系的なプロジェクトマネジメントやフレームワークといった、それぞれの業務領域における経験や知識・スキルが、現在のディレクション業務・社内外のコミュニケーション・チームワークに活かされていることを強く感じているためです。パグさんには、そうした幅広い視野や経験をしてもらった上で、本人の興味関心に基づいた得意とする分野のレベルアップをフォローしていきたいと考えています。
ーースキルに対する考え方がよくわかりました。この考え方は、社内で体系化をして伝えているのでしょうか。
それがまだできていないので、これから取り組んでいきます。例えば、このようにスキルセットを体系化したロードマップを作成したいと考えています。これはフロントエンドエンジニアのもので、Kamran Ahmedさんが作成、オープンソースとして公開されているものになります。
ーー会社としてのロードマップがあると、自分の現在地やその職務で身に付けるべきスキルがよく分かりますね。私は新入社員の頃にそれが分からず迷子になっていたことがありました。自分なりに努力していたのですが、その対象がずれていたようで上司からは注意されることばかり……。次第に仕事の意味を見出せず、やる気を失ってしまったことがありました。渦中にいる時には、どこでどう迷子になっているかが分からない。
ありますよね。私もまさにそうでした。その経験からか「やみくもに迷子になることも必要であり、考え方や工夫をする為の訓練」という考え方を持っていましたが、今は変わりました。迷子になることはあっても、コンパスを持った上で迷子になってもらいたい。一般的に成長が早いと言われる方は、自分自身でそうした指針を作ることができたり、どこからか見つけてきて持ち歩くことが自然と出来る方なのかもしれません。その上で色々と迷いながら進んでいる。
ただ、それがない場合はそもそも北に行くべきところを南に進むかもしれない。せっかくスプーンという場に集い・仲間になることができ、そこに共有できるコンパスがあるならば、本人がそれを見つけることをいたずらに待つような真似はせず、素直に共有すべきだと感じるようになりました。そして、幅を広く持たせたレールを敷くことを自分の役割にしていきたいと感じています。
ーーどの程度の幅を持たせるかなど、この話は奥が深そうですね。しっかりとまとめると、一冊の本になりそうです。考え方が変化したというのも気になりました。以前に会社経営についても考えの変化があったと仰っていたと思います。その話を改めて伺えないでしょうか。
創業当初は、社会に影響力のある何者かになりたい気持ちが強くありましたが、今は「過程を楽しめる人であり、チームでありたい」と思うようになりました。これは、自分自身が成果や結果や影響力といった「大いなるなにか」を目標に据えたことで、日々のひとつひとつの喜びを感じづらくなったり、結果に対して払われる苦労や犠牲が多くなりすぎて、幸せを感じづらくなったことから変化した部分です。
スタジオスプーンを社会的に影響力のある存在にする意気込みはもちろんありますが、それを大前提にしてしまうと崩れてしまうバランスが多くあると感じています。結果や成果を基準にするのではなく、制作の過程ひとつひとつの道のりに誠心誠意を尽くし、スキルによって担保されるクオリティをマナーとして携え、向き合ったその結果が巡り巡って評価や影響力となり、つくることの幸せを感じ続けられるチームでありたいと思っています。
ーー企業理念を見直そうという話もありましたが、この考え方はベースになりそうですね。これから煮詰めていくことが必要だと思います。
そうですね。そして、その過程をしっかりと楽しんでいきたいです。
ーーそうですね! それを発信していくことも検討したいです。やりたいことが色々と見えてきて、これからが楽しみです。本日はありがとうございました。
いかがだったでしょうか。
このインタビューを通して、スタジオスプーンに少しでも興味を持っていただけると嬉しいです。
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