スタメンでは、12月1日〜25日まで note relay 2025 を実施しています🎄
今回はその企画の中で投稿されている記事を転載します。
スタメンの人や組織、事業など、リアルが詰まっている内容になりますので、ぜひ御覧くださいませ。
はじめまして。株式会社スタメンでUNION事業本部 UNION CS部の部長を務めている佐々木と申します。
前職では、イオングループの金融事業会社にて銀行業務を5年間経験し、住宅ローンや資産運用業務(投資信託・NISA・外貨預金など)を担当していました。 その後、労働組合にて専従(中央執行書記長)として5年間、労使交渉、組織運営、教育研修、広報、レク企画、組織化、政策推進(政治活動)など、非常に幅広い業務に携わりました。また1年のみですが、上部団体(労連)との兼任も経験させていただきました。
特に専従時代は、「労働組合の価値向上」「組織の活性化」「活動の見える化」の必要性を強く感じていました。 そこで、エンゲージメント経営プラットフォーム「TUNAG」の導入を提案。自ら管理責任者として「毎日1記事/365日配信」を行い、組合員へ活動の魅力を伝えるべく日々奮闘していました。
そして現在。私はSaaS(Software as a Service)企業である株式会社スタメンに転職し、CS(カスタマーサクセス)部門の部長を務めています。 これまでの知見と、スタメンの強みであるIT・デザインの力を掛け合わせ、約300を超える労働組合様の支援に従事しています。
この記事を届けたい人
この記事を読んでくださっている皆さんは、今まさに労働組合の執行部で重要な役割を担っている方、あるいは長年の活動を終え、次のキャリアを模索している方々ではないでしょうか。
後述しますが、「労働組合役員のキャリア」に関する調査や研究、また実体験を基にしたエピソードは世の中にほとんど出回っていません。
そのため、少々仰々しいですが「新キャリア」と題しました。
- 漠然としたキャリアの不安がある
- もっと成長したいけれど、方法が分からない
そんな悩みを持つ組合役員の皆さんへ。 N=1(私個人の事例)にはなりますが、キャリアチェンジした私だからこそ伝えられることを、お話ししたいと思います。
労働組合役員の退任後のキャリア(先行研究はほぼ皆無)
労働組合の役員経験、特に専従経験は、企業社会において極めて特殊なキャリアパスです。多くの組合役員は、活動期間を終えると「元の職場」に戻ることが一般的だからです。
しかし、この「労働組合役員から他企業への転職」というキャリアパスについては、残念ながらビジネス書やキャリア論の先行研究がほとんど存在しません。労働組合や労使関係をテーマにした研究はあっても、役員個人のキャリア論に踏み込んだものは稀です。
少し古い1995年の研究データですが、委員長退任後は約9割が会社の仕事に戻り、その際、半数近くが管理職または役員として復帰しています。残りの1割が上部団体に行く、という内訳でした。
これは、日本の労働組合が終身雇用制度を前提とした「企業内組合」中心であったため、「組合役員 → 転職」という流れが長らく非主流派だったことに起因します。そのため、多くの役員経験者が、退任後に「自分の経験が転職市場でどう評価されるか」という視点や危機感を持たないまま、キャリアチェンジ(または帰任)を迎えるのが現状です。
私自身、転職活動を始めた当初は非常に苦労しました。 これまで取り組んできた「労使折衝」や「団体交渉」といった単語を、職務経歴書にどう書けばビジネススキルとして正しく評価されるのか、分からなかったです。 この「言語化の難しさ」こそが、組合役員のキャリア不安をさらに大きくしている要因の一つだと感じています。
組合役員が抱える「3つのキャリア不安」
労働組合の役員、特に専従として長期間活動された方は、長年培った経験への自信を持つ反面、特有のキャリア不安を抱えやすい傾向にあります。
A. 実務スキルへの懸念(ブランクの恐怖)
専従役員は、長期間、本来の会社の業務から離れます。ITツールの進化や業界知識は日進月歩。「自分が戻るべき職場で、即戦力として通用するのか」という不安は根深いものです。転職時においても、面接官(あるいは帰任時の受入部署)が抱く「ブランク」への懸念をどう払拭するかは、大きな課題となります。
B. 経験の「ビジネス翻訳」の壁
前述の通り、組合活動で培ったスキルは非常に高度です。しかし、それらは「労働法規の専門家」「労使交渉のプロ」という枠組みでしか語られず、「新規事業の立ち上げ」「顧客へのソリューション提供」といったビジネスの共通言語に変換できていないことが多いです。 結果として、自分の価値を過小評価されたり、採用側との認識のミスマッチが生じやすくなります。
C. 自己認知と市場評価のズレ
特に労使交渉や人事制度関連の折衝に携わる役員が陥りやすいのが、このズレです。 具体的には「組合として人事制度の刷新を人事部と協議した」という経験から、自身も「人事のプロフェッショナルである」と誤認してしまうケースです。 事実、人事部が作った制度案に対して意見を言うだけでは、人材市場ではなかなか評価されません。考えてみれば当然ですが、市場で評価されるのは「人事制度設計・改修・採用・労務などの実務経験」そのものだからです。
キャリアに悩む組合役員がすべき、2つのステップ
これらの不安を乗り越え、SaaS企業のような成長市場で新たなキャリアを築くために、私が実践して最も効果的だと感じた2つのステップをご紹介します。
① 自身の価値観の言語化:「なぜ働くのか」を再定義する
組合役員としての活動は、「誰かの役に立つ」「公正さを守る」といった高い倫理観や強い使命感に支えられています。この「働く上での価値観」を曖昧なままにせず、徹底的に言語化し、新しい職場でどう実現したいかを明確にすることが第一歩です。
例えば、以下のような変換が可能です。
【組合活動の価値観】
「組合員一人ひとりの課題を解決して安心を提供したい」
↓
【SaaS(カスタマーサクセス)のミッション】
「顧客の潜在的な課題を解決し、LTV(顧客生涯価値)を最大化したい」
【組合活動の価値観】
「組織全体の不平等を是正したい」
↓
【経営企画・人事DXの動機】
「データに基づいて制度の歪みを特定し、より効率的で公平な組織を設計したい」
自分の「情熱の源」をビジネスの言葉で再定義することで、面接官に伝わる「なぜこの会社で働きたいのか」という理由が、単なる志望動機を超えた説得力を持ちます。
② 職務経歴書を書いてみる(「ビジネス成果」への翻訳)
次に、これまでの組合活動を、一般的なビジネスで通用する「職務経歴書」のフォーマットに落とし込んでみてください。 ポイントは、「労働組合」という単語を極力排除し、活動を「プロジェクト」として抽象化して捉え直すことです。
▼翻訳例 1:団体交渉
- 組合活動での表現: 団体交渉の責任者として経営側と折衝した
- ビジネス翻訳: 大規模プロジェクトの責任者として、経営層レベルのステークホルダーと交渉し、双方にメリットのある結論を導出した
- 該当するスキル: 交渉術、リスクマネジメント、合意形成力
▼翻訳例 2:予算管理
- 組合活動での表現: 組合費の予算策定と執行を行った
- ビジネス翻訳: 年間〇〇百万円の非営利予算を策定し、限られたリソース(人的・金銭的)で活動効果を最大化した
- 該当するスキル: 予算管理、リソース最適化、コスト意識
▼翻訳例 3:研修・イベント
- 組合活動での表現: 全組合員対象の研修を企画・実施した
- ビジネス翻訳: 会社が定める全従業員向けの新方針を企画・実行し、組織全体への浸透率〇〇%を実現した
- 該当するスキル: プロジェクト計画、組織浸透力、教育企画
この作業を通じて、あなたのスキルは「労働組合の専門スキル」から、「組織を動かし、成果を出す汎用性の高いマネジメントスキル」へと進化します。 それはすなわち、SaaS企業が求める「即戦力」「変化適応力」「執行強度の高さ(実行力)」としての資格を得ることに他なりません。
最後に
私自身、労働組合の専従を数年経験した頃、ふとこう思いました。 「いまの自分は、人材市場でどれくらいの評価なのだろう?」
それを知りたくて、「3ヶ月、本気で転職活動をしてみよう」と動き出したのがすべてのきっかけでした。
実際に面接を受けてみると、多くの企業では「専従の時に注力したこと」はほとんど聞かれず、大半は「専従になる前の業務」に関する確認ばかりでした。 採用・評価者から見ても、労働組合というのは「中身がよく分からない」「評価しにくい」のです。
この組合役員経験者特有のぶつかる壁、そして苦しみは、経験した者にしか分からない、なんとも言えない気持ちになるものだと思います。(特に上昇志向の高い人ほど、悔しい思いをするはずです)
しかし、諦めないでください。 SaaS企業で働くことは、「社会や業界の非効率をテクノロジーで解決する」という、社会的意義のある、ポジティブでやりがいのある仕事です。
そして、もしその次のキャリアの舞台が「スタメン」であったなら、私としてこれほど嬉しいことはありません。
なぜなら、スタメンが提供する「TUNAG」こそ、皆さんが組合活動で悩み、実現しようとしてきた「組織の活性化」や「人と人との繋がり」を、テクノロジーで実現するプロダクトだからです。 皆さんの「組合役員として培った経験」は、ここでは最強の武器になります。
あなたのその稀有で、市場価値の高いスキルセットを、ぜひ私たちと一緒に発揮してみませんか?
不安を抱えることもあると思いますが、まずはその経験を正しく「翻訳(言語化)」することから始めましょう。 もし、その翻訳の壁打ち相手が必要なら、いつでも私に声をかけてください。
同じバックグラウンドを持つ仲間として、あなたとお話しできることを楽しみにしています。