電話やメール、ときには手紙を介して見込み顧客にアプローチし、商談機会を創出するインサイドセールス。コロナ禍の影響で、対面での営業活動が難しくなるなか、日本でもインサイドセールス(内勤営業)に注目が集まっています。Salesforceは、1999年の創業以来、世界15万社以上に対して、クラウドベースのCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)、MA(マーケティングオートメーション)の提供を通じ、洗練されたインサイドセールスの仕組みを確立。いまもその手法に磨きをかけ続けています。今回は、こうしたインサイドセールスで培ったノウハウを、スタートアップ企業を中心としたコミュニティに展開する「スタートアップ戦略部」の取り組みをご紹介します。
セールスディベロップメント本部 スタートアップ戦略部 事業部長 小林敬之
商社の海外営業を経て、2013年にSalesforceに入社。インサイドセールスとして2年間、外勤営業として3年半多くの中堅・中小企業の担当営業として、さまざまな提案やプロジェクトを経験。現在は、セールスディベロップメント本部にて事業部長を務める。
セールスディベロップメント本部 スタートアップ戦略部 スタートアップスペシャリスト 阿部華奈
2018年に新卒としてSalesforceに入社。反響型インサイドセールスとして中小企業様を担当。現在は、スタートアップ戦略部で、オンラインイベントの企画・運営のほか、スタートアップ企業の成長支援に携わる。
スタートアップ支援、成長の後押しを最大の使命とする「スタートアップ戦略部」 ——インサイドセールスは、潜在顧客のキーマンにアプローチし、商談機会を生み出す役割を担っていると思いますが、「スタートアップ戦略部」のミッション・役割を教えてください。
小林 :Salesforceのインサイドセールスには、すでに弊社に関心を持ってくださっている方に対する反響営業(インバウンド)と、当社から戦略的にアプローチする新規開拓営業(アウトバウンド)の2つがあります。私たちスタートアップ戦略部はこれらのインサイドセールスとは別に、スタートアップのビジネスを支援することを目的に活動しているチームです。最終的なゴールは私たちの活動をきっかけに、弊社製品に興味を持っていただき、導入していただくことではあるものの、 事業拡大を目的とした成長の後押しを最大のミッションと して活動しています。
——具体的にはどのような活動を行っているのですか?
小林 :スタートアップを対象とした社外イベントへの参加や、自主企画のイベント、勉強会、ワークショップなどを通じて、ビジネスの成長につながる有益な情報提供を行っています。このほかにも当社のビジネスを支える「The Model(※)」に関心を持つ方々が集う、「The Model Academia」の活動サポートも大切な役割のひとつです。私たちスタートアップ戦略部の活動内容を一言で表すと「コミュニティマーケティングによる見込み顧客のナーチャリング(育成)」となりますが、一番大切にしているのは、これから成長期に入るであろう「未来のお客様」に対し、有益な情報をお届けし、Salesforceの 「ファンになっていただく」 こと。製品マーケティングや売上目標を持つセールスとは、また違った角度から、顧客との接点を見出すことが私たちの仕事です。
(※)The Modelとは、潜在顧客の獲得から案件発掘・受注・活用支援に至るまでの各プロセスを分業し、各段階の情報を可視化・数値化し、部門を超えた連携を軸に売上の増大を図る考え方。スタートアップ戦略部の立ち位置は、マーケティングとインサイドセールスのちょうど中間に位置する
阿部 :Salesforceの「ファンになっていただく」という特別なミッションを持って活動しているだけに、提供する情報も単に製品の機能や事例紹介に留まりません。数多くのスタートアップの皆様とコミュニケーションを取りながら、どのような情報をどのような形態、タイミングでお伝えすべきかを考え、イベントや勉強会、ワークショップの企画にまとめ、準備と運営までを担当しています。
——たとえばどのような情報を提供するのでしょうか?
阿部 :当社における弊社製品の活用方法や、The Modelに基づくインサイドセールスの舞台裏もご紹介します。必要に応じて、セールスやマーケティング、カスタマーサクセスなどのメンバーや役員を起用して勉強会を開いたり、コロナ禍の前はユースケースの当事者であるお客様先に一緒に訪問したりする機会がたびたびありました。決まったフォーマットがあるわけではないので、 スタートアップの皆様が必要とされること、知りたいとお考えになっていることを起点に、臨機応変に対応 しています。 自身のアイデア次第でいろいろなチャレンジができる点が、この仕事の面白いところ だと思います。
小林 :とくにこの1年、コロナ禍の影響でビジネスを取り巻く環境が激変しました。こうした変化が求められる環境だからこそ、私たちのような多くのお客様と接点を持つ企業が、スタートアップの皆様が熱望される情報やノウハウを提供することに大きな意義があるのだと思います。対面でのコミュニケーションが難しくなってしまった分、ウェブセミナーの開催に力を入れた結果、東京や大阪以外の地域に地盤を持つスタートアップの方々とも接点を増やせたのは新しい発見でした。昨今のコロナ禍がもたらした大きな変化のひとつに、時間や場所に囚われない働き方の実現があります。スタートアップ戦略部にとっていまの状況は、逆風ばかりではないのです。
さまざまな角度から寄せられる要望に応える仕事 ——阿部さんは、以前中小企業を対象としたインサイドセールスに携わっていらっしゃったそうですね。その当時といまとでは、仕事内容は大きく変わったと思います。いまはどのような点に仕事のやりがいを感じますか?
阿部 :「お客様のビジネスの成長に貢献する」という意味においては、インサイドセールスもいまの仕事も大きな違いはありません。しかし、やりがいを感じるポイントは少し変わりました。たとえば、私たちのもとには「インサイドセールスを立ち上げたいけど、何から手を付ければ良いかわからない」、「ベンチャーキャピタルを紹介してもらえないか」、「インサイドセールスで活躍しているメンバーやマネージャーの話を聞いてみたい」といった多岐にわたるご相談が寄せられます。こうしたご要望を受け止め、イベント、勉強会、ワークショップなどに仕立てて実施した結果、多くの方々に喜んでいただけた時が、いま一番やりがいを感じる瞬間です。また、皆様のご期待に応えるために、他部署のメンバーや役員の協力を求めることもしばしばです。職種や立場が異なる皆様と交流を持つことは、新しい視点や発想を得るきっかけにもなるので、それ自体が私自身のやりがいになっています。
小林 :私たちがサービスを提供するお客様は、スタートアップの皆様です。過去に前例がないような取り組みであっても、必要とされる方が存在する限り、どんどん前に進め実現するのが私たちのやり方。つまり大企業ならではの豊富な人脈や経験、蓄積された情報をフル活用しながら、変化の速いスタートアップの期待に応えています。一見、相反するようなメリットを享受できるのは、スタートアップ戦略部ならではの魅力です。
阿部 :お客様への寄り添い方、伴走の仕方もお客様の状況によって大きく変わります。昨年だけでも80を超えるイベントを実施し、どれも実りあるものにできたのは、周囲の期待と協力が噛み合っていたからこそ。Salesforceの「顔」として見られることも多いので、難しさを感じることも少なくありませんが、これまでの営業経験で培ったコミュニケーション力が活かせる環境なのは確かです。日々成長の実感を味わいながら仕事に打ち込んでいます。
求めるのはスタートアップに寄り添い、成長を後押ししたい人 ——最後にお二人にうかがいます。どのような志向を持つ方々と一緒に働きたいと思われますか?
小林 : スタートアップの成功を後押ししたいという熱意 と同じくらい、 その熱意を形にするスピード感も大事 になってくるので、このふたつを兼ね備えた方と一緒に働きたいですね。インサイドセールスの実務に携わってから、スタートアップ戦略部にジョインしていただく方もいれば、最初からスタートアップ戦略部にチャレンジしていただく方もいると思います。セールスマインドを持ちながらも、セールスとは少し異なる立場、観点からマーケットにアプローチできる仕事なので、未来あるスタートアップのみなさんと一緒に成長したい方にピッタリの仕事だと思います。
阿部 :ひとつとして同じ内容がないくらい、変化に富んだ仕事です。求められることも多岐にわたるので、この環境を楽しみながらアイデアを出し、形にすることに喜びを感じる方と一緒に働ければうれしいですね。たとえ同じ内容をお伝えするにしても、企画の切り口や、どなたに協力を仰ぐかによって、見え方や受け取られ方が180度変わります。それがこの仕事の面白い部分でもあり難しい部分。とはいえ興味と熱意があれば、誰でもスタートラインに立つことができます。ぜひ多くの方にチャレンジしてほしいです。
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