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カスタマーサポート全体の負を解消するプレイドの新会社。その立ち上げにエンジニアとしてコミットする理由

※この記事は、2023年7月RightTouch公式note』に掲載した記事を転載しています。

プレイド初の子会社設立となる、株式会社RightTouchが10月27日に設立され、問い合わせをする前の顧客をオンライン上で自己解決に導く「KARTE RightSupport」のβ版提供が開始されました。

KARTEの強みを活かしながら、カスタマーサポート領域に特化した挑戦。エンジニアとして新会社の立ち上げに参画している取締役の籔に、これまでの歩みを聞きました。
(本インタビューは、2021年12月に公開したものを、一部編集・更新して掲載しています)

<プロフィール>
籔悠一(やぶ ゆういち)
2008年にNECに入社し、防衛事業のシステムエンジニアとして従事。その後、エンジニアとしてベンチャー企業を2社経て、2019年11月にプレイドに入社。新しいサイト運営体験を実現する「KARTE Blocks」の開発に従事。現在は、プレイド初の子会社設立となる株式会社RightTouchの一人目エンジニアとして、KARTE RightSupportの設計・開発に携わる。

入社後すぐ、新プロダクトの開発にアサイン

── プレイドに入社したきっかけを教えてください。
2019年に転職ドラフトに応募しました。当時、転職する気はなかったんですが、競争入札という仕組みが面白いなと思って。プレイドから指名があり、話を聞いていたら「これは面白そうだぞ」と。

── そのとき、面白いと感じたのはどういった部分でした?
個人的に、攻殻機動隊のようなサイバーパンクな世界観がとても好きなんです。プレイドの「データで人の価値を最大化する」というミッションは、自分が惹かれている未来とつながると感じました。最初に話を聞いたときは、KARTEについてはまだ詳しくなかったので、会社のビジョンに惹かれた感じでしたね。

プレイドのビジョンは壮大なので、ビジョンを実現するための方法はひとつではなく、具体的なアプローチのひとつがKARTEなんだなと。KARTE自体も非常にポテンシャルが大きいプロダクトですが、入社してビジョンを達成するためのいろんなアプローチを試したいと思いました。

── 入社後はどんな業務を?
入社したのは、2021年9月にリリースした「KARTE Blocks」の開発がはじまるタイミング。入社後にCPOの柴山と1on1があり、「新しいことがやりたい」と伝えたところチームにアサインされました。

当時はまだ真っ白なページがあるだけ。そこからエンジニア2人でゼロから作っていきました。KARTE本体にはあまり関わらず、KARTE Blocksにどっぷりつかって開発していました。

Webサイト管理の「負」を一気に解消し、圧倒的にシンプルに。KARTE Blocksの設計思想と目指す未来 | KARTE Blocks Blog
2020年7月、プレイドがクローズドβ版を発表した「KARTE Blocks」は、Webサイトにおける課題を一気に解決するためのプロダクト。サイトの構成要素をブロックで管理していく「BMS(Block Management System)」で圧倒的にシンプルなWebサイトの管理を実現しようとしています。
https://blocks.karte.io/blog/bms_01/


KARTE Blocksのリリース後すぐ、次のプロダクトの立ち上げに

── カスタマーサポート領域にコミットすることになった背景はどういったものだったんでしょうか?
今のチームに関わるようになったのは今年の春くらいからですね。チャット機能を提供する「KARTE Talk」というプロダクトを改善する動きがあり、KARTE Blocksをメインで担当しながらTalkの話し合いに参加するようになりました。

その過程で「チャットってカスタマーサポートが強く関係するよね」という話が出て。社内で別プロジェクトとして動いていたカスタマーサポート関連のチームと合同で意見交換をする機会があったんです。

その会議のなかで、現在のRightTouch代表の野村に「カスタマーサポートについて語りたいんだよ!」と誘われて、議論していたら次の週も呼ばれて。いつのまにかカスタマーサポート側のチームに入っていましたね。

カスタマーサポートの課題や解決方法のアイデアを聞いて、「たしかにその課題は大きい」と感じると同時に、ビジネスとしてもチャンスがあると思いましたね。カスタマーサポートの課題解決にコミットしたいという気持ちは開発チームのなかでも共有していきました。

KARTE Blocksが9月リリースだったので、チームが明確に切り替わったのは9月ですが、それより前から半分くらいの稼働をカスタマーサポートのほうに割いていました。KARTE Blocksがリリースされてから新しいプロダクト「KARTE RightSupport」にフルコミットするようになり、10月27日に子会社化し、そこに参画しました。


カスタマーサポート全体の負を解消する

── 新会社として、どんなことに取り組む予定ですか?

カスタマーサポートといえば、問い合わせの対応が思い浮かびますよね。語弊を恐れずいうと私たちが目指しているのは、人が対応する必要のある価値のある問い合わせを増やすことです。

本当なら適切なコンテンツへの案内をするなどの方法で、問い合わせじゃなくても解消できる困りごともあります。問い合わせをする前の顧客をオンライン上で解決に導くことで、企業にとっても顧客にとってもハッピーな状態を実現したいと考えています。

問い合わせ前の課題解決を支援したとしても、最終的には人が対応しないと解決できない問題も残るはずです。また、簡単に解決できることだったとしても、人が対応することで良い顧客体験になることもあります。

私たちがファーストステップとして目指している問い合わせ前の課題解決と、人が対応することで良い顧客体験になるという話は、一見相反するように見えると思います。ですが、問合せを受けるコンタクトセンターには良い顧客体験を産み出すための施策を打つ余裕がないのが現状です。

そのため、まずは簡単な問い合わせを減らすことで、カスタマーサポートや、コンタクトセンターに余裕を作り、そこから人が介在するより良い顧客体験やその他のさまざまな施策が打てるような状態にしたいと思っています。

── これまでにもKARTEを実現できている部分もあるかと思いますが、具体的にはどのような事例を増やしていきたいですか?
例えば、証券会社のウェブサイトで顧客が株式を購入しようとしたとき、リテラシーが高くない人だと難しいと感じる部分もあります。その瞬間に解決をサポートするコンテンツが表示されれば、問い合わせすることなく解決できます。

これまでにKARTEの機能をつかって実現したところ、FAQの閲覧数も高くなり、問い合わせ件数も減った事例がありました。その施策の結果をみたときに、カスタマーサポートに投資ができるだけのリソースのある会社じゃないと実現が難しいのではと感じたんです。

FAQの閲覧数を高め、問い合わせ件数を減らすためのアプローチを、どんなカスタマーサポートでも再現可能な形でパッケージ化する。KARTE RightSupportでは、その状態を目指しています。

SBI証券のサイトが顧客の自己解決を促せる理由 | プレイド | 東洋経済オンライン
SBI証券は、店舗を持たずにインターネット取引サービスのみを行っており、顧客との唯一の接点はカスタマーサービス部門が担う。同部門では、電話やメール、有人チャットで問い合わせに対応。ここ数年は、顧客の「...
https://toyokeizai.net/articles/-/585151


── 事業として立ち上げるにあたり、カスタマーサポートの課題はもともと関心があったのでしょうか?

いえ、最初は解像度はあまり高くなかったですね。自分はエンジニアなので、カスタマーサポート業務の経験はありません。ですが、エンドユーザーとしての目線から見れば、負が多いのはわかります。私だけでなく、そう感じたことのある方は多いのではないでしょうか。

カスタマーサポート自体は昔からあるのに、なかなか改善が進んでいない。かつ、この領域はKARTEと相性がいいなと。まだまだ解像度は高めていかなければなりませんが、カスタマーサポート全体の負を解消するというイシューはやりがいがあります。

── エンジニアの方がカスタマーサポートの領域を面白がっている印象は強くないのですが、どのあたりがやりがいのポイントですか?
カスタマーサポート部門で働いていたメンバーや顧客の声を聞いていると、カスタマーサポートがコストセンターと認識され、KPIがコストになっており、目標がコストを下げることになっているという状況があります。これは勤務している人の体験としても、やりがいを持ちにくいのではないかと考えています。

「減らす」には限度がありますが、「増やす」は青天井。カスタマーサポートの指標を反転させられると、どんどん社内でも評価されていくはず。カスタマーサポートは顧客の貴重なデータが集積する場所なので、プロダクトを通じて社内の他部署がデータを扱えるようになり、カスタマーサポートがプロフィットセンターにできたら、従業員体験も上げられると思います。


拡張性高いコアプロダクトを活かした事業の立ち上げ

── KARTEは汎用的なプロダクトだという話が社内ではよく出ますが、そのプロダクトを特定の領域に切り出すことの難しさはないのでしょうか?
KARTEを活かして開発するといっても、昔ほどKARTEをキャッチアップしなくても良くなっています。現在、KARTEでは元々の汎用性を残しつつ、マイクロサービス化を進めているので、連携したいときは最小限のシステム理解で対応できるようになっています。

── そうすると、KARTEを活かして開発するのもやりやすくなっているんですね。
そう思います。私たちのチャレンジは、特定の事業ドメインに合わせて、汎用性をあえて落としていく動きだと言えます。

特定の事業ドメインに絞り込むことで、KARTEのように幅広い領域をカバーしなくてよくなることが利点でもあると考えています。

── 既存のプロダクトを無視できることが利点というのは面白いですね。

KARTEはエンジニアの自分から見ても、難しいプロダクトだと思います。ただ、KARTEの事例を見ていて、汎用性を下げることで広める動きは必要だろうなと確信しています。KARTEを使って柔軟に対応することで実現できた価値をどうパッケージ化して、広められるようにするかは面白いチャレンジですね。

── 子会社化もプレイドにとっては新たなチャレンジかと思いますが、どんな心境ですか?
プレイドはそもそも、かなり自由に動ける会社なので、子会社になって大きく変わることはないかと思います。それでも、「やってやるぞ」と覚悟が強くなった感覚はありますね。

── すると、これまでとはあまり変わらず?
そうですね。プレイドに入社して感じたのは、エンジニアへの裁量が大きいことでした。コードに対してだけでなく、プロダクトの理想がどうあるべきか、どういう順序で作っていけばいいかも含めて、本来はPdMがやるようなことであっても、エンジニアがオーナーシップを持って開発しています。

良いプロダクトを作るためには、事業としてどう成長するかも重要ですし、そのためには採用など組織面での取り組みも重要です。それらにコミットしないと、良いプロダクトにはなりません。だから、プロダクトの成長のために必要なことは全部やるべきです。

元々、プレイドの新しいプロダクトの開発現場にはそういうカオスがあったので、子会社での新しいチャレンジとなっても、あまり変わらないとは思いますね。

── 子会社として挑戦する上で、メンバーも必要かと思いますが、どんな人におすすめしたいですか?
カオスを楽しめる人ですね。自由に考えて、自由に行動できる、自走できる人にとってはフィットする環境だと思います。

カスタマーサポートと一言でまとめても、業種業態によってかなり異なります。私たちは、すべての業界のカスタマーサポートを変えていきたいと考えているので、とにかくプロダクトを早くつくって顧客に使ってもらうフェーズです。

スタートアップとしてスピーディに開発を進めながらも、必要なことをなんでもやろうと前向きに取り組める人はぜひ一緒に働きたいですね。

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