皆さま、お久しぶりです!
長期インターンをさせてもらっているホワイトヘッド ニコラです。
来年の3月までイギリスに留学予定で、現在はオンラインで記事の作成や採用向けTYL公式Instagramの運用などをやらせていただいています!
今回は先月崩御された英国のエリザベス2世女王と、女王が生前愛したコーギー犬との関係と、コーギー犬についてご紹介していきます!
エリザベス女王の長年の相棒、コーギー
エリザベス2世女王は長年に渡ってコーギーを飼育していたことで有名で、コーギーはロイヤルドッグとして親しまれ、イギリスの英国王室関連のお土産コーナーにはコーギーがモチーフの商品が多く並んでいるほどです。
70年の在位期間でなんと約30匹のコーギーとダックスフンドとコーギーのミックス犬、ドーギーと過ごしてきました。
そんなコーギーとエリザベス2世女王との出会いは、即位前、まだ王女だった頃にまで遡ります。
妹のマーガレット王女と訪れたあるイギリス貴族の家で飼育されていたコーギーを見た2人はたちまちコーギーの虜になってしまい、その後すぐに2人の両親がドゥーキーという名のコーギーを連れてきました。このドゥーキーに加え、ジェーンというコーギー、そしてジェーンが後に産む子どものクラッカーと共にエリザベス王女とマーガレット王女は幸せな時を送っていたそうです。
第二次世界大戦終了間近の1944年、エリザベス王女の18歳の誕生日プレゼントとしてスーザンというコーギー犬が贈られました。
以前ご紹介したように、イギリスでは「誰のペットか」ということを非常に重要視します。私の祖父母の家も長年にわたって猫や犬や飼育していたのですが、写真を見て説明してもらっている時、「この子は私のパパの犬だった」「この猫は祖父の」というように、お世話をしているのは家族みんなであっても、誰のペットなのかというのを明確に示すのです。
18歳の誕生日の贈り物としてエリザベス王女の元にやってきたスーザンは、「正真正銘のエリザベス王女の初めてのコーギー犬」だったのです。スーザンは1959年まで生き、その15年という長い一生の中で良き相棒として支え続けました。
エリザベス王女は1947年にフィリップ殿下と結婚、1952年には即位しエリザベス2世女王となりました。スーザンは結婚と即位という人生における大きな節目を共にした愛犬であり、その存在はきっと何ものにも代えがたかったのでしょう。
スーザン以降に女王が飼育したコーギーは、フィリップ殿下の入院時に女王を慰めるために息子のアンドルー王子から贈られた2匹とその後に飼育した1匹を除いては、そのすべての犬が女王がブリードしたスーザンの血を引く犬たちだったというから驚きです。
フィリップ殿下とのハネムーンにも同行した女王の愛犬スーザンは死後、ビクトリア女王のペットたちもまつられている墓地に埋葬されました。
その後スーザンの子ども、孫、ひ孫…とスーザンの血を引くコーギーたちは女王の愛犬でありながら、さらには女王の4人の子どもたち、孫にあたるウィリアム王子、ヘンリー王子良き友人としてロイヤルファミリーのバッキンガム宮殿、そしてウィンザー城での生活を彩っていました。家族写真や旅行中の写真には度々コーギーたちが映り込んでいて、コーギーたちがエリザベス女王のみならず、ロイヤルファミリーにとって欠かせない存在だったことがわかります。
ロイヤルドッグたちは、ステーキやチキンといった正にロイヤルな豪華なご飯を食べていて、それも各犬の体調や年齢ごとに異なったメニューが出ていたといいますからエリザベス女王の愛犬家っぷりには驚きます。
今から10年前の2012年、「自分が繁殖させた犬を残してこの世を去りたくない」という理由からエリザベス女王は60年弱にわたって続けた繁殖をやめることを決意します。飼い主として、ブリーダーとして、自分の余生と天秤にかけてスーザンの血を引く犬の繁殖をやめるという決断は本当に犬たちを愛しているからこそできることだと本当に尊敬します。
エリザベス女王のコーギー愛はイギリス国民周知の事実で、2012年のロンドンオリンピックの開会式の映像には女王とその愛犬のコーギーが出演し、今年の6月におこなわれたプラチナ・ジュビリー(在位70周年を祝う式典)では、馬ならずコーギーダービーがおこなわれました。
長年にわたって親しまれたロイヤルドッグ、コーギーたちとエリザベス女王の物語は先日穏やかな終わりを迎えました。スーザンを含む先代のコーギーたちと安らかな時を送っていることを願い、改めてご冥福をお祈りします。
コーギーってどんな犬?
前段でかなり長くエリザベス女王とコーギーについて書きましたが、そういえばコーギーってどんな犬種?ということで、コーギーについてご紹介します。
とは言ってもコーギーはかなり有名な犬種。皆さん名前だけ聞けばすぐにあの愛らしいフォルムを思い出せることでしょう。
コーギーの呼び名で親しまれるコーギー犬の正式名称は「ウェルシュ・コーギー」英語表記)Welsh Corgi です。
▲この子は、カラーがセーブルの子犬です
ウェルシュ・コーギーまでは耳慣れた名前だと思うのですが、実はコーギー、「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」と「ウェルシュ・コーギー・カーディガン」という2種類に分かれていることはご存知でしょうか?
ペンブロークは南ウェールズが原産の犬種で、牧羊犬として長きに渡り農家で重宝されてきました。一方、カーディガンは中央ヨーロッパから南ウェールズに渡った犬種と言われており、主に番犬や狩猟犬、そして後に牧羊犬として飼育されていた犬種です。元々は異なる犬種なのですが、ペンブロークとカーディガンの交配が繰り返されたことで、現在では2種は非常に似た犬種となっています。
そんな2種類の主な違いは「毛の色」と「体格」です。ペンブロークの毛の色でスタンダードとして規定されているのは、
レッド(いわゆるコーギーの薄茶色)
セーブル(大部分はレッドカラーの毛先が少し黒い)
フォーン(フォーンとは小鹿という意味で子鹿のような黄色味のあるベージュ)
ブラック・タン(ブラック、黒とタン、黄褐色のミックス)
の4種類です。
一方、カーディガンの毛の色は上記の4種類に加えて、
イエロー、シルバー、グレーなどさまざまな毛の色がスタンダードとして認められていることが特徴です。
また、体格も少しし違い、
ペンブロークの標準体重は10~12kg
カーディガンの標準体重は10~15kg
と、カーディガンの方が少し大きい傾向にあります。日本で飼育されているコーギーのほとんどはペンブロークのため、皆さんが見慣れているのはウェルシュコーギーペンブロークの方でしょう。
ペンブローク、カーディガンに関わらず、コーギー犬の魅力と言えば愛らしい笑顔と、あのもっちりとしたフォルムではないでしょうか。
口を開けた時のニコニコしたコーギーの表情は万人を引き付ける可愛さです。
短足で寸胴な体にもちもちの質感、そしてなんと言っても可愛すぎる後ろ姿もコーギーのチャームポイントです。
元々牧羊犬として飼われていた過去を持つコーギーは、飼い主に忠実な犬としても有名です。
好奇心も旺盛で活発で愛情深く、愛らしい笑顔そのもののような性格なのです。
ただ、好奇心も旺盛な分食欲も旺盛で肥満気味になりやすく、少し太ったフォルムが可愛いこともたたっていつの間にか腰や関節に負担がかかってしまっているということがあるため、継続的な体重管理、運動と健康管理には注意が必要です。
TYL所属の獣医師さんと狂犬病接種のお仕事を手伝わせていただいた際、犬の採血は主に足の1番太い血管か足が短い犬種では首の血管からおこなうのですが、「コーギーは短足な上に肉厚なため採血がかなり難しい。」と仰っていました。
コーギー以外にも言えることですが、動物を飼う際にはそれぞれ可愛いチャームポイントを持つからこそ、注意しなければならない点があることを忘れず、それを理解した上で飼育することが大事ですね。
エリザベス2世女王の崩御という歴史的な瞬間にイギリス、ロンドンにいたことに勝手に縁を感じるというのも不躾な話ですが、ある種大変貴重な機会ということで、エリザベス2世女王とコーギーの歴史、そしてコーギー犬についてまとめさせていただきました。
4日間に渡っておこなわれた公開弔問の列は一時は14時間待ちになるほどで、バッキンガム宮殿、そして近くの公園には今まで見たことがないほどの花が手向けられていました。
これだけの人々に愛された人物が長年に渡って愛し続けたコーギーの魅力はなんとも凄まじいものです…!
次回は、イギリスのペット保険事情、そしてスーパーなどで販売されている餌の事情などについてご紹介させていただく予定です。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。