ニジボックスで主に受託案件を手掛けているUX・ディレクション室クライアントソリューション部。UXデザインなどの上流工程から携わり、より本質的なクライアントの課題に向き合う部門です。今回は当部門にて部長としてWebディレクターやUXデザイナーのマネジメントを手掛ける上野さんにお時間をいただき、ニジボックスにおけるクライアントワークの特徴や醍醐味、どんなスキルが磨けるのかなど、さまざまな角度から魅力を語っていただきました。

上野さんの過去インタビュー記事も合わせてご覧ください。
『「この先どうする？」人生の逆境に立たされた私を2度も助けてくれたのは、ニジボックスだった。』

会社の経営に責任を持つ、という充足感

ーニジボックスにおける部長職とはどのような仕事になりますか？

組織のマネジメントに加えて経営観点が求められる仕事だと実感しています。会社としての利益について中長期的な目標から逆算した上で、UX・ディレクション室は何ができていないといけないか。どんな準備をすることで事業側の数字達成に貢献できるかを考える機会が増えました。

ーそれまでも管理職でいらっしゃったんですよね

部長職に就いてから3年ほどたつのですが、その前もディレクターとUXデザイナーの組織、さらにプロジェクトマネージャーの組織のマネジメントも兼務していたので管理職歴は比較的長いほうだと思います。ただマネージャーだった時はメンバー育成や案件品質の担保を考えることが中心でした。

ー現在は考えることの領域に変化が？

より責任範囲が広がりましたね。その結果、他の組織や事業部の部長陣との連携も増えました。いままでは比較的自分の組織にのみ意識が向かっていたのですが、経営の話に参加するようになってからは事業側のミッションも見えてきます。すると私たちへの依頼と同時に期待されていることもつかめるので、より協業の視点が持てる。部門間の対立構造が生まれず、みんなでクライアントワークの部門を成長させようというマインドが醸成されるんです。

ー部長職を楽しんでいらっしゃるようですね

何を達成するためにスキルを上げる必要があるのか。あるいは何のために何人採用するのか。会社の経営にちゃんと責任を持つ立場になったという充足感がありますね。経営陣と話せるのも面白くて、いまの課題だけでなくニジボックスがこの先何年も成長していくためには何が必要か議論できるのは貴重な機会だと思います。

以前のインタビューでも「この先、一生仕事を続けていきたい」と話しているんですが、IT業界は職種を問わず若いプレイヤーがどんどん新規参入してくるんですよね。彼ら彼女らは成長速度も早いし最新技術のキャッチアップにもたけています。そんな時間軸の中で中堅層、シニア層へとステップアップした際に会社に何をもって貢献できるか。それはやはり経営にポジティブなインパクトを与えられることではないかと思うんです。事業運営や組織運営の面で貢献することで存在価値を出していけたら、と常日頃から心がけています。

期待を超える提案で、なくてはならない存在に

ークライアントワークについて概要を教えてください

基本的に営業部門からの依頼で仕事がスタートします。営業スタイルとしてはインバウンドが多くて、お問い合わせ経由や、イベントにご参加いただいた方や資料をダウンロードしていただいた方にコンタクトを取るスタイルです。業界の偏りはほとんどなくて金融やメーカー、消費財までさまざまです。ここ数年の傾向としては知名度が高く、規模も大きなナショナルクライアントの案件が増えていることですね。

ー基本的には直接のお取引になりますか？

ニジボックスは2018年ごろに「制作にとどまらず上流工程からのソリューション提供を」との戦略のもと、UXデザインの強化に取り組み始めました。そのあたりから直請け案件が多くなってきましたね。直接やりとりができるとクライアントに対して適切な施策の提案ができ、パートナーシップが結べる点が大きなメリットです。

ーディレクションはどの工程から関わりますか？

実は制作に入る前の営業フェーズから関与することが多いんです。初回のヒアリングは営業サイドだけで実施することが多いですが、具体的な提案は専門知識を持ったメンバーで臨みます。またご相談内容によっては、一気通貫でUXリサーチからやったほうがいい、ということになればリサーチプロセスも含めた提案書をUXデザイナーと連携して用意することもありますね。

ー確かに、そのほうがスムーズですよね

例えば「リニューアルしたいです」というご依頼の際にも、リニューアルのみにスコープを当てるのではなく、「サービスやプロダクトを利用する際の一連のユーザー体験にそった設計をするのはいかがですか？」とご提案するんです。また、第1フェーズではユーザーリサーチを、そして第2フェーズで実制作を、といった具合に適宜フェーズ分けすることで、必然的に案件のスケールも過不足のない適切なものになります。アプローチとしてコンサルティングの要素も多分に含まれていますね。

ー単なるリニューアルで終わらせないということですね

言われたことをこなすだけなら単なる作業だと思うんです。クライアントの想定内に収まるオーダー通りの提案ではなく、リニューアルの効果を最大化するためにはどんなアプローチをすべきか、「期待を超える提案」を理想としているので、そこを目指した人材育成や組織づくりに取り組んでいます。

クライアントワークは「大人の社会科見学」

ークライアントワークでやりがいを感じる点は何ですか？

私にとってクライアントワークは大人の社会科見学なんです。いろいろな会社の戦略や、「なぜこの事業を手掛けているのか」「社会に提供している価値は何か」といった話を直接伺う機会って、就職活動以外ではあまりない気がするんです。それがクライアントワークならできる。しかも就活と違ってお給料もいただける（笑）。これが何よりの醍醐味だと思います。

ー確かに、業界も業種もさまざまですもんね

私の場合、好奇心旺盛な性格もあって、より楽しめているという実感があります。事業会社ならひとつのプロダクトを愛し抜いて成長させる、といったやりがいもあるでしょう。でも私はさまざまなプロダクトに関われる点に面白さを感じています。もちろんビジネスですからお客様との交渉事もあれば、さまざまなご意向をくみ取らざるを得ないような場面もあります。ただ、それでも大人の社会科見学の楽しさが勝るんですよね。

ーリクルートグループ内の案件には関わらないのですか？

クライアントソリューション部は主にリクルートグループ以外のクライアントからの受託制作を担当していますが、グループ内の案件を受託という形で請けるケースはあります。リクルートグループの場合、ニジボックスのような共創パートナー企業に対しても同じ仲間という関係性で接してくれるんです。そのため対等に意見を交わすことができるし、その目線での提案を求められます。要件定義も最初から同じ目線で一緒に作成するので、案件の進行もスムーズなんです。

ーニジボックスのクライアントワークで身につく力って？

これは個人的な印象としてリクルートグループにも共通しているなと思うのですが、ニジボックスのカルチャーとして「言われたことをやる」を良しとしないところがいいなと思っています。私も新卒の時に上司から「全ての事象には理由がある」と言われたのですが、何かの作業をやるときには絶対に背景や理由があり、そこに立ち返って考える必要があるということなんですよね。

例えば、とある案件で先行で担当されていた他社様からの業務引き継ぎを受けることになった際も「なんでこの作業なんだろうか」とか「もっと効率よくできる方法はないか」と常に課題意識を持ちながら取り組めるんです。このスタンスが身につくことはニジボックスならではだし、一社会人としても価値発揮できる人材になれるのではないかと思います。

ーリクルートの共創パートナーであることはクライアントワークにもプラスに働いてますね

実際にリクルートのプロダクトグロースを支援してきた経験をクライアントワークで生かせますしね。このことは案件に携わるメンバーの成長にも有益であると同時に、競合に対しても優位性が発揮できるポイントなのではないでしょうか。

ビジネスとクリエイティブを高い次元で融合させる

ーニジボックスならではの仕事のしやすさを感じることは？

まず対クライアントについては先ほどもお話したとおり、近い目線でチーム感高く取り組めている点が挙げられます。さらに社内体制の面では事業本部長がクリエイター出身で、部長もエンジニア出身で、つまり意思決定層がモノを作る側の事情や気持ちをくみ取れる環境です。だから数字の事情があることは分かった上で、どうすれば制作側が納得してくれるかを考えたコミュニケーションを取ってくれるんです。その影響もあって、メンバーも数字を理解しようと勉強を始めたり、ビジネスサイドとクリエイティブサイドがコミュニケーション含めて適切に連携できています。これもニジボックスならではの仕事の進めやすさにつながっている要素だと思います。

ー所属しているメンバーはどんなタイプの方がいらっしゃいますか？

チームのメンバーは皆、すごくまじめで一生懸命。ニジボックスの中でも頑張り屋の集まりじゃないかなと思っています。みんなそれぞれ高い課題意識と解決に向けての行動力を兼ね備えています。たとえ自分で解決できないことでも、上司に相談しながら現場でのオペレーションを設計し、実施に向けて動ける。いわゆる評論家タイプではなく、ボトムアップ的な行動ができる人がそろっているんです。

ー上野さんご自身の今後のキャリアビジョンをお聞かせください

これまではプロジェクトマネジメントを強化してきたことで案件の品質の安定化を図ってきました。
その土台を大切にしつつ、これからは大きなスケールの案件を増やしていきたいです。

そしてグロースに関わるようなプロジェクトに携わる機会が多くなれば、ニジボックス側も受け身ではなく同じ仲間としてのスタンスでコミュニケーションを取らなければならなくなりますよね。そのためにももっと上流工程の力を磨くべきだなと思っています。

制作上の課題を探るところまでは既にできているんですが、もっと上流のクライアントの企画的な領域、クライアントの抱える1つの課題がビジネス戦略の上でどれぐらいのインパクトを持っているのかまでを考えられるようになりたいんです。そして、サービスグロースに関わっていく上で必要な個人の能力として、ビジネス戦略まで踏み込める制作者を目指したいですね。

また、組織としても皆がそれぞれ得意な力を合わせることで、総合力としてクライアントに大きな価値を提供できるように。そして適度な成長痛を伴いながらもメンバー同士でお互いを高め合い、誰がやっている仕事にも意味があると感じられる環境を作っていきたいですね。