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ミラティブの新たな挑戦。AIで"コミュニケーションの解"に挑戦するAI技術部発足

2019年10月8日、当社よりAI技術部発足を発表いたしました。

ライブ配信プラットフォーム「Mirrativ」を運営するミラティブ、AI技術部発足。AIアドバイザーにABEJA元取締役 長谷直達氏が就任
AI技術部発足の背景 ミラティブは「わかりあう願いをつなごう」をミッションに、これまでにもコミュニケーションを加速するための技術投資を行ってきました。その中で代表的なものが「エモモ」、そして現在リリース準備中の超低遅延ライブ配信です。 ...
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000033025.html

改めて発足の経緯やミラティブ×AIの未来像などをAI技術部長 横手良太とAIアドバイザーに就任した長谷直達氏に語っていただきます。

長谷 直達(はせ なおたつ)

株式会社ミクシィに新卒入社。SNS「mixi」プロダクトオーナー従事、2014年12月より社長室に配属。M&A関連業務を遂行。2015年1月からミクシィ・リサーチの取締役に就任して、営業、プロダクト、マーケティング、労務、経理・財務と幅広く携わる。 同会社を2016年4月にクロス・マーケティング社へ売却後、クロス・マーケティング社のPMIをサポート。
2016年8月から株式会社ABEJAに参画。人事部責任者やAI、IoT、Big Dataをベースにした小売業向けのSaaS事業責任者、マーケティング責任者も経験。2018年4月に執行役員、2018年11月より取締役に就任し、国内事業を管掌。2019年6月に退任し、熊本に移住後、フェローに就任。事業に関する助言や、最先端テクノロジーからビジネスを生み出すエコシステムの拡大支援に関与。

横手 良太(よこて りょうた)

早稲田大学 基幹理工学部 情報理工学科に進学。4年次からは、機械学習で情報理論、アルゴリズムなどの基礎理論から、画像処理、自然言語処理などの応用分野までの研究を行い、同大学大学院へ進学。修士を飛び級し、2012年にPhD(博士号)を取得。助手として研究活動、論文執筆を行う。
2014年より株式会社Donutsにてエンジニアとしてスマートフォンゲーム開発に従事する。2017年技術部部長就任。2018年ミラティブに参画。Unityエンジニア0人のところからエモモ(アバター)の開発を担当し、リリースまで導く。2019年10月より、AI技術部長に就任。

コミュニケーションを大切にしてきたミラティブ×AI

ミラティブでのAI技術部が発足について、背景を教えて下さい。

横手:実は自分が関わる前からAIについての思想は密かにあったので、私から言うのはしっくりこないのですが(笑)そもそも「Mirrativ」から説明すると、最近タグラインを発表しましたが「あつまる、つながる、一緒にあそぶ スマホゲームのおともに」としてサービスを展開してきました。スマートフォン1台あれば、数タップでゲーム配信ができて、一緒にゲームで遊ぶ友達がみつかってワイワイできるというものです。

Mirrativの技術的な前提を話すと、とてもテクノロジーを大切にしているんですね。元々ライブ配信が技術力を要するものですが、ここ1,2年でアバター機能である「エモモ」や、現在リリース準備中の「超低遅延ライブ配信」、「ボイスチェンジャー」などコミュニケーションをより活性化させるための技術投資を行ってきました。エモモで顔を出して配信しなくても身近な存在に感じることができ、ボイスチェンジャーで自分の声に自信がなくても配信ができる。配信のラグを少なくすることでよりレスポンシブルなコミュニケーションができる、などです。

AI技術に投資をするのもただ流行しているからというわけではない。上記の流れから「スマホゲームのおとも」としてのMirrativに対して、AIが強くコミュニケーションに役に立つだろうと思って技術部を発足させました。

過去「ゲーム推定」の技術実装もありましたよね?

横手:そうです。AIを今までやってこなかったかというと、そういうわけではないんです。ゲーム推定とは、Mirrativの配信画面を解析して何のタイトルかをAIで推定して、「このユーザーさんは、このゲームで遊んでいる」とタグ付けしてあげる機能です。

そうすると、同じゲームを好きな人同士がつながりやすくなるわけです。もちろんユーザーさん側でもタグ付けは設定できますが、間違っていることも多いんですね。そもそもタグ付けを忘れている人もいるし。配信内容は実際に配信に入って見てみないとわからないので、その前にAIで推定して内容を見せてあげるというのが重要になってくるわけです。

※「ゲーム推定」の詳細はこちらの技術ブログをご覧ください(https://tech.mirrativ.stream/entry/mirrativ-game-detector)

AIには銀の弾丸なんてない、いかに早くやりとげるか

長谷さんはどういうきっかけでAIアドバイザーに就任することになったのでしょうか。

長谷:最初はもともと同期だった友人との飲み会に偶然赤川さんがいて、それがきっかけでした。その後赤川さんとカフェでお会いして、「やってみないか」とお誘いいただき、「やります」と(笑)。

前述の通り、ミラティブはずっとAIについては取り組みたい思いがあり、小さく導入はしてきたけれど、なかなか本腰を入れて開発できない。AI部を作ろうにも1人目が見つからない、と。ただ現実的に中国を中心に動画配信市場でAI活用が盛んになってきており、注力ポイントであることは見えているので僕に相談が来たという話でした。

基本的にAIって中長期の投資になるんですね。そのためベンチャーで短期的な成功を収めて継続的な投資を判断するのが中々難しいんです。そこで、どう戦略を作っていけばいいのか、組織におけるAIのプレゼンスをどう高めていけるのか、というところに関して、一緒にやっていこうというのが最初のお題でした。

やっていこう、と思っていただけた理由はなんですか?

長谷:ミラティブがやっている事業領域とそのバリューに興味があったからです。もともと新卒で入ったミクシィへ入社した理由も「人と人をつなげる」ことに興味があったからなんですね。ここ最近の短い動画であったり、位置情報であったり断片的な情報から人同士がつながっていく風潮のなかで、Mirrativは画面をそのまま共有して「ずっとつながってる」ことに注目したサービスですよね。その"逆張り"が、ゆるく新しいつながりを生み出すんじゃないかなと感じたのがポイントです。


長谷さんのミッションについてもう少し詳しく教えて下さい。

長谷:もともと僕はエンジニアではありません。技術の概要は理解できているものの、「それが実装できるのか?実用可能性がどこまであるのか?」ということをうまく判断できないのは事実です。じゃあ僕ができることは何かというと、事業拡大期のAIベンチャーABEJAにいて得た経験と知識です。8年間AIに投資している企業にいたわけですから、「これどうやって実用化する?」と悩むタイミングも判断自体も死ぬほど一緒に経験してきたし、失敗もしてきました。それを踏まえて得た成功パターンもあるので、それを抽象化して、ほか企業に伝播させていくことがABEJAフェローとしての僕のもう一つのミッションだと思っています。

実際、AIのR&D的側面と事業の紐付けっていうのは本当に難しくてですね…ABEJAでも各分野における著名大学の教授の方々と顧問契約を締結し、"アカデミックで最先端な技術とビジネスをどうマッチさせていくか"をずっとチャレンジしてきたんです。でも結局「技術としては面白いけどどう使うの?」みたいな議論も多く…。

トップダウンとボトムアップの両側面が必要なんですよね。最近のテクノロジーは◯◯なんだけど、運用できるレベルまで落ちてるか?運用してみてどうか?のPDCAを回していかないと見えない部分が多いんですよ。AIには銀の弾丸なんてないので、とにかく早くやってラーニングして学習精度を上げて高めていくことが大切なんです。そのPDCAの積み上げのやり方や、組織づくりの部分で僕はミラティブにお手伝いできるかなと思っています。

AI技術部の発足にあたっては、僕の知識・経験と、技術のプロである横手さんの舵取りがあってはじめて成立するんだろうなと思っています。

「AIのためのAI」をつくることにならないよう探索的なアプローチを

体制づくりと戦略づくりを長谷さん、技術のアプローチを横手さん、とそれぞれ役割があるなかで、まず第一歩は何を始めていくのでしょうか?

横手:まず第一歩を考えることからですね。

長谷:まさにやりながらなんですよね(笑)。とにかくMirrativの配信というリアルタイム性ゲームの頻繁なアップデートMirrativ 上のコミュニケーションはどうあるべきか等、難しい要素がたくさんあるんです。「ディープラーニングをそもそも本当に活用するべきなのか?」といった話も含めて柔軟さをもってやっていかないとAIのためのAIをつくることになりかねない。どこが一番おもしろくて注力すべき領域なのかをこれから触りながら考えていくことになると思っています。

横手:まずR&Dってゴールを定めて進んでいくということができないんですよね。適切な目標設定に至るまでのプロセスが命だったりするんです。「そもそも何をやれば正しいんだっけ?」を探るのが7割を占めているように感じていて。しかもそのなかで開発のPDCAを素早く繰り返しながら「ここに投資すればいいんだろうな」を見つけて初めて進んでいく。ゴールはサクッと言えないんですよね。

長谷:本当に探索的なアプローチになりますよね。

横手:とはいえ具体的にこれやろうかな、というものはいくつかイメージできていて。リアルタイムの画像、自然言語処理、オーディオ、グラフなど…。

そのなかでもまずは画像の分野でチャレンジしてみようと考えています。理由は前述の「ゲーム推定」でやってみているということと、今のMirrativのコンセプトである「あつまる、つながる、一緒にあそぶ」を体現できるんじゃないかなという感覚があるんです。まずはそれを仮目標としておいてみようと思っています。

実際の今のMirrativは週に1回以上必ずリリースがあるような開発速度感です。それに沿った短期的な動きと、とはいえの中期的な視点両方を大切にしていきたいですね。短期的なものをみていくだけではAI技術部を発足してチャレンジしていく意味がないので。実際、1ヶ月で成果だそう、という目標の場合AIなんて使わないほうがいいですから。

長谷:おっしゃるとおりですね。

横手:今回AI技術部としてプロダクトと敢えてチームを分けたということは、ミラティブ企業全体としての意思の表れだと思っています。

おふたりともR&D的なAIの難しさを理解されているのか、すごく冷静に俯瞰して見られている印象です。

横手:私は元々機械学習を専門として研究をしていたのですが、「世の中の役に立っていない」感覚がコンプレックスだったんです。世の中に対するインパクトがあまりに小さすぎるなと思ってて。最先端なことをやっていることと、世の中の役に立たないことって紙一重だと思っているんです。だから卒業後toCのサービスを経験しようとゲーム企業のエンジニアになったんですよね。
AIだけではないですが、最先端技術と事業、社会性のバランスは冷静に見ていきたいです。

長谷:なるほど。なぜ横手さんがミラティブに入社されたのかが一番気になっていたので聞けてよかったです(笑)。CTOの夏さんから横手さんのお話を聞き、AIや機械学習に関する見解メモなどを拝見して、その凄さに「僕いらないじゃないですか」って冗談で言っていたんです(笑)。そういう考えがあって今があるんですね。

ミラティブの価値が色濃く出るプロジェクトになる

今後二人三脚で技術部を推進していくお二人ですが、それぞれに期待することなどはありますか?

横手:そうですね…大学院を卒業後エンジニアとしてのキャリアは積んできましたが、流れの早い機械学習、AI分野のキャッチアップがまだまだなので、フォローをしていただきたいです。あとは、事業としてどうビジョンを描いて機能として着地させるのか。正解はないとは思うのですが、アドバイス頂けたらとっても嬉しいです。

長谷:なるほどですね。後者はすごく面白いと僕は思っているんです。Mirrativの扱うものが"コミュニケーション"じゃないですか。だから正解ってなんだ!?っていうのがすごく難しくて。ミラティブがコミュニケーションを定義していく必要があると思っています。

例えばグラフ側のシーズをテーマに上げたときに「どういう状態が適しているのか?」とか、「誰と誰をコミュニケーションさせたらいいのか」とか、グラフの中身の話のような質へと話を転化していくと、多様な価値観が入ってきますよね。

AIは結局、最後には倫理観やサービスビジョンといった価値観が重要になるんですよ。学習させるデータによってどんなモデルができるか変わるわけなので、どのデータを正解として扱いますか?ということを考えたときに「コミュニケーション」はすごく面白いなと感じます。ミラティブの企業としての価値観が色濃く出てくると思いますね。

長谷さんから横手さんへの期待はどんな部分でしょうか?

長谷:ミラティブがAIプロジェクトの山を登るためには、乗り越えなければならないことが沢山あると思っています。それを「どういう風に、どの順番で超えていきますか?」という、山の登り方に関しては助けていただきたいですね。Mirrativのリアルタイムな配信データをもの凄いスピードでエンコードして、解析をかけて、その結果に対してUI上で表示して…と。しかも更にそれを全配信のデータに適用すると半端ないコストになっていくので、「ミラティブにおける最適な運用基盤ってどんな状態なの?」を一緒に考えていきたいです。

横手:基本的にプロダクトアウトさせるのが私の仕事だと思っていますので。

長谷:まさに。その上で僕は「早く出す」ということを大事にしていきたいですし、「諦めの悪さ」というのも一緒にこだわっていきたいと思っています(笑)。というのもABEJA時代、ある機能の新規開発を行っていたのですが、精度が上がらず早々に引き上げたことがありました。けれどのち中国企業が同様の機能を出したんです。初期は精度は低かったはずなのですが、チューニングをしていって、今はそれなりのものに出来上がってるんですよ。それを見てると、「これは絶対に行けるはずだ」と強いビジョンを描いたら、覚悟を持っていくのもすごく大事だなと思っているんです。最初から完璧さを求めないのが大切ですね。

最後に、もし関連領域の方がこれをご覧になってるとして、その方々にぜひ「わくわくポイント」を宣伝してください

横手:スペシャルな働きができると思いますよ。凡庸なアウトプットはいらないので、圧倒的な技術で圧倒的に突き抜けられるチャンスがあると思います。とはいえ、やはりAIのためのAIはいらないんですよね。開発全体のスタンスが「それってユーザーが喜ぶの?」という視点で進んでいるので、常に目的や社会的意義に沿ったチャレンジができると思います。

長谷:まさに先程話した「完璧に出さない」スピード感であるとか、早く学ぶ姿勢はすごく面白いと思っています。Mirrativの運営も、完璧というよりもユーザーに寄り添うことを重要視しているように僕は感じていて、そこもいいなと思っています。

人類の不変的な問いの一つである「コミュニケーション」を基軸にテーマ設定をして、データも膨大にある。そのうえで早く学ぶ文化もあるので一つの「実験場」としてミラティブを捉えられるし、面白い土壌が揃っているな!と思います。今まで培ってきたスペシャルな知見、技術を最大限活用できる場がミラティブにはありますよ。

確約カジュアル面談実施中

ミラティブでは現在AI技術部メンバーを募集しています。横手によるカジュアル面談も確約で行いますので、AI技術部にご興味ある方はぜひご応募ください。

https://connpass.com/event/150548/

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