- PM/PMO
- Webエンジニア/ディレクター
- Webプロデューサー
- Other occupations (24)
- Development
- Business
こんにちは、メンバーズユーエックスワンカンパニーの田尾です。
かれこれ10年以上UXというキーワードを耳にしますが、いざ事業に導入しようとすると、どういったことをすればよいかわからない方も多いのではないでしょうか?
今回はUXリサーチに焦点をあて、私が業務に携わる中でUXリサーチが必要とされた場面とどんなことをしたのかご紹介できればと思います。
改めてUXとは何なのか定義しますと
「ユーザーがプロダクトやサービスを利用する前から利用後に起きる知覚や反応(知覚や反応=体験)
です。
この記事でUXリサーチとは
「ユーザー観察やユーザーからのフィードバックを通して、ユーザーの行動、ニーズ、気持ちを明らかにすること」
と定義します。
そしてUXリサーチは、サービスやプロダクトがお金や時間をかけて作られる前に、「ビジネス側が考えるユーザーのニーズ」と「実際のニーズ」とのギャップを埋めるのに役立ちます。
私が業務をしていく中でUXリサーチが必要とされた場面は主に3つありました。
①サービスのアイデアを考え始める段階
②検討したデザインをブラッシュアップする段階
③提供開始したサービスがうまく運用できているか確認する段階
これからそれぞれの段階でどんなリサーチをしたのかご紹介します。
①サービスのアイデアを考え始める段階
この段階で行ったリサーチは2種類ありまして、1つはユーザーのニーズを明らかにするリサーチ、2つ目は検討中のサービスの受容性を明らかにするリサーチです。
・ユーザーのニーズを明らかにするリサーチ
こちらのリサーチではユーザーの気持ちに寄り添った新たな改善案を検討するために、どういった経緯/心境でサービスを利用しているのか明らかにすることが目的でした。
調査で注意した点としては、サービスを利用する瞬間だけでなく、利用する前、利用した後、それぞれのタイミングでユーザーが期待していたことを明らかにして様々な施策を検討できるようにしました。
また、サービスを利用したカスタマージャーニーを制作し、どの場面でどんな施策を打てばユーザーに貢献できるのかなどのディスカッションをしやすくしました。
上記の結果、サービスを利用しているユーザーはどんなことを期待しているのか明らかにでき、それをサービスの施策に落とし込むことができました。
・検討中のサービスの受容性を明らかにするリサーチ
こちらのリサーチには大きく2つの目的がありました。
1つ目は検討しているサービスによって解決される課題を実際のユーザーが有しているか明らかにすること。
2つ目は検討中のサービスが想定ユーザーにとって必要とされているか明らかにすることです。
こちらのリサーチでは、まだ世に出回っていないアイデアを元にユーザーの意見を聞きたかったため、様々な角度からプロトタイプの制作を試みたり、サービスを利用する理想のシナリオを準備したことが印象に残っています。
本リサーチでは、検討中のサービスが最適に利用される理想のシナリオ(良い体験しか記述していないシナリオ)を被験者に提示するため、被験者に「そのサービスが実装されたら利用したい」と回答されやすいと予想できました。
そのため、こちらの都合の良いように誘導せず、ありのままの意見をヒアリングできるよう注意を払いました。
こういったバイアスも考慮できることがUXリサーチをする上で重要になってきます。
結果、ユーザーの実体験を元にどんなアイデアが受容性がある傾向にあるか明らかにすることができました。
②検討したデザインをブラッシュアップする段階
この段階ではユーザビリティ調査を中心に行いました。ユーザビリティ調査とはプロダクトやサービスをユーザーに試してもらい評価してもらう手法です。
プロダクトやサービスは正しい方向に向かっているか、設計を調整する必要はあるかを実証するのに役立ちます。
ユーザビリティ調査では①の段階で行ったリサーチと同様、ユーザー発言を大切にすることはもちろんなのですが、発言だけでなくプロトタイプを触ったときの行動の観察を注意深く見る必要があります。
なぜなら、言葉では「使いやすい」と発言していても、操作に時間がかかっている場合も多くあるため発言だけを記録すると良いインサイトが得られない場合があるからです。
調査の際は、行動という事実を記録し「なぜそう感じたのか」理由をヒアリングすることで良いインサイトを得ることができ、プロダクトやサービスの適切なブラッシュアップにつながります。
また、この調査結果がどのように使われるか把握し、知りたいことを明確にした上で調査設計を行うことも大切なことの1つだと感じています。それを把握していないとプロトタイプの制作範囲、リサーチ中取得するべき数値、ヒアリング事項等が正しく設定できず、調査終了後、こちらが想定した以上の新しい発見ができない場合があるからです。
③提供開始したサービスがうまく運用できているか確認する段階
この段階では、データ解析士と協力し、ログの分析やABテスト等を行いました。
これらの調査は自分たちが実行した施策が成功したのか明らかにすることが目的で、新規施策を実行した場合は、必ず行うことが多いです。
確立された測定基準によってプロダクトやサービスがユーザーのニーズを満たしていることを検証するために、実装前の段階でデータ解析士と測定基準等を相談をしてサービス実装後、測定ができるように準備することがとても大切になってきます。
データ解析士がいない場合はリサーチャー側がそれを設定できるようなスキルを身に着ける必要もあります。
また、あまり芳しくない検証の結果だった場合、何が問題だったのか仮説をたて、①や②の調査段階に立ち返り、どんどん改善を繰り返してしていくことが大切だと考えています。
以上、実務を通じてUXリサーチが求められた場面を段階に沿ってご紹介させてもらいました。今回紹介した手法、考慮すべき点は、UXリサーチの一部でしたがいかがでしたでしょうか?
少しでも事業の中で導入できそうな箇所の参考になれば幸いです。