こんにちは。メディフォンでCTO(技術責任者)を務めている田畑です。
この夏メディフォンでは、開発チームにアメリカのスタンフォード大学からインターン生としてVivianaさんをお迎えしました。
今回は、彼女がmediPhoneの開発チームと共に過ごした10週間の記録をお届けします。
受け入れの背景と経緯
メディフォン は以前からスタンフォード夏期インターンシッププログラムに参加していました。プログラムの担当者が Viviana さんの関心や志向を踏まえ、メディフォンをご紹介くださいました。面談を経て双方が良いマッチングだと判断し、この夏、インターンとしてお迎えすることになりました。
期間中は、メンターが技術面やチーム活動のサポートを担当し、Viviana さんが安心して挑戦・成長できるよう伴走しました。
Vivianaさんのご紹介
Viviana さんはスタンフォード大学でコンピューターサイエンスを専攻する学部生で、2年次を終え3年次に進級する前の夏休みを利用してのインターンでした。
アメリカとメキシコ、両方の文化に触れながら育ち、英語とスペイン語を自在に操るバイリンガルです。過去には、スペイン語しか話せない方の病院受診に付き添い、通訳を務めた経験もあったため、医療における言語の壁をなくすメディフォンの取り組みに共感してくれました。
インターン中の取り組み
最初のプロジェクトでは、医療通訳サービス「mediPhone」を支える Go 言語に入門するため、死活監視システムの機能追加を担当していただきました。これは独立した小規模プログラムでありながらも、ネットワーク処理や並行処理といった Go の強みを実践的に学ぶには適した題材でした。
続いて、通訳予約システムやメール送信システムの機能拡張に取り組みました。SQL を用いたデータベース操作、GraphQL を通じたデータ通信、TypeScript と React を活用した UI 開発など、Web アプリ開発の幅広い技術を経験してもらいました。これらは実務的な意義も大きいものでした。
さらに、機械翻訳の会話履歴を LLM で要約する新機能のプロトタイプを開発してもらいました。ここでは外部 API を呼び出してサービスに組み込むプロセスを体験しました。
これらの活動を通じて、Git を用いたチーム開発、コードレビュー、テスト作成、AWS 上でのサーバー構築など、モダンな開発の流れを一通り経験してもらえたと感じています。
また、毎週のチームミーティングや、チーム間/全社の会議にも参加してもらいました。専門用語や略語が日本語で飛び交う環境では、理解が容易ではなかったと思いますが、リアルタイム文字起こしや翻訳ツールを駆使しながら積極的に取り組んでくれました。ランチタイムには多くの社員と交流し、部署を超えたつながりも築いてくれました。
最終報告会
最終プロジェクトでは LLM を活用した新しい翻訳チャットを iOS アプリに実装しました。
サーバーサイドは Go で API を構築し、アプリは SwiftUI で画面を作成。音声入力にも対応させ、既存の機械翻訳と LLM 翻訳の比較実験(ブラインドテスト)を行いました。
報告会では、このプロジェクトについてプレゼンとライブデモを実施しました。発表は英語でも問題ないと伝えていたにも関わらず、自ら原稿を準備し、全て日本語で堂々と発表してくれました。
まとめと気づき
わずか10週間の間に Viviana さんは新しい技術を次々と吸収し、実務にも確かな貢献をしてくれました。その背景には、ご本人の高い能力に加え、LLM の存在が学びのハードルを下げたこともあると感じます。
学習の場面では、まず自分なりの考えを書いたり試した上で LLM を補助的に活用する一方で、実務タスクでは LLM に土台を作らせて効率を高めるというような、自然な使い分けが印象的でした。
LLM が学生の学び方や次世代エンジニアの成長に与える影響については、一部では悲観的な意見もあります。しかし今回の受け入れを通じて、主体的に学ぶ意欲を持つ人にとってはむしろ大きな追い風になるのだと実感しました。
また、日本語を学習中のインターン生が加わったことで、社内コミュニケーションに英語が自然と混ざるようになったのも新鮮な体験でした。もともと多国籍なメンバーが在籍するメディフォン ですが、普段の業務言語は日本語です。そこでいつもは当たり前のように使っている表現を英語で伝えようとして言葉に詰まってしまう。そんな瞬間は、言語障壁を解消するという メディフォンの価値を身近に再認識できる時間でもあったと思います。
▲Vivianaさん成果発表会後の集合写真
Vivianaさんからのメッセージ
今回のプログラム終了後、Vivianaさんからあたたかいメッセージをいただきました。
私にとって初めてのコンピューターサイエンスのインターンシップでしたが、メディフォンは手厚い指導と信頼を寄せてくれ、そのおかげでフロントエンドからバックエンド、LLMの実験、セキュリティ対策の強化に至るまで、開発スタック全体にわたる実践的な経験を積むことができました。
この経験を特に有意義なものにしたのは、「言語の壁をなくすことで、日本の医療を外国人が利用しやすくする」というメディフォンのミッションでした。私自身も同様の課題に直面した経験があったため、日本人と外国人の両方からなる多様で協力的なチームと共に働きながら、自身の経験と重なる理念に貢献できたことは、非常に大きなやりがいとなりました。
また、スタートアップという環境もあって、私の貢献は初日から尊重され、提案したアイデアはすべて何らかの形でワークフローに反映されました。その当事者意識は、あらゆる段階でいただいた励ましと相まって、夏の間ずっと高いモチベーションとインスピレーションを保つ原動力となりました。
総じて、メディフォンでの夏は、一人の人間として、そしてソフトウェアエンジニアとして成長する貴重な機会でした。実践的なCS経験を積みたい方や、日本のスタートアップ企業での就業を体験してみたい方には、誰にでもお勧めしたい素晴らしい環境です。
最後に
Vivianaさんは、素晴らしい成果と共に、多くの刺激と新しい視点を私たちに残してくれました。彼女がもたらしてくれた学びとエネルギーを糧に、メディフォンの開発チームはこれからも多様な仲間と共に、多様な人びとが生き生きと活躍する、あたらしい社会のための医療インフラを作るチャレンジを続けます!
メディフォンでは、一緒に働くメンバーを募集しています。
「すべての多様な人々が 自分の意思で、できるだけ長く いきいきと活躍する社会」をつくるというビジョンに共感し、一緒に挑戦していただける方との出会いを、お待ちしています!
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