今回は、営業調査レポート「Japan Sales Report」解説シリーズ第二弾ということで、「なぜその購買は実行されなかったのか」に着目した「Japan Sales Report 2022 〜Buying Study追加分析〜」の内容をご紹介します!
(第一弾はこちら:営業調査レポート「Japan Sales Report」を執筆者が解説! #1)
執筆者:株式会社マツリカ / 佐藤 風太(さとう ふうた)
横浜国立大学経営学部卒。在学中にインターンとして株式会社マツリカにジョインし、インサイドセールス、マーケティングを担当。2020/03~2021/03は学生社員として従事。CS Ops立ち上げ、Rev Ops立ち上げを行い、部門横断的な施策の立案/推進やオペレーション構築に従事。
現在はGrowth Marketing DivisionにてHR Marketing立ち上げを担当。
日本の営業組織に関する実態調査レポート『Japan Sales Report』発起人 / 分析・執筆
「Japan Sales Report」とは
Japan Sales Report とは、株式会社マツリカが刊行する日本の営業組織に関する実態調査レポートです。
日本企業における営業組織の発展を目的とし、国内営業組織の最新動向/トレンド、取り組み内容、課題、未来への示唆をまとめています。

マツリカが「Japan Sales Report」を刊行する理由
株式会社マツリカは「創造性高く遊ぶように働ける環境を創る」というビジョンを掲げ、その第一弾としてクラウド営業支援ツール「Senses」を提供し、営業パーソンの生産性向上と創造性の解放を支援しています。


営業パーソンが創造性高く働くためには、「テクノロジー」と「データ」の活用によって「再現性のある成長」を実現することが重要です。
営業活動を支援するテクノロジー(セールステック)は国内でも近年進化を遂げてきている一方、海外と比べて日本では営業に関する調査・研究はまだまだ発展途上であり、良質な「データ」が不十分な状態です。
そこで、日本の営業組織の発展に資するべく、国内営業組織に関する調査レポート「Japan Sales Report」を定期発刊することとなりました。
第一弾「Japan Sales Report 2021」は「コロナ禍における国内営業組織の動向調査」をテーマに、2021年12月に公開。
2022年6月、「日本企業の購買実態調査」をテーマとして、第二弾となる「Japan Sales Report 2022 〜Buying Study:購買活動の実態調査〜」を公開しました。
そして、Buying Studyの分析・執筆過程で生じた新たな仮説や、Buying Studyでは書ききれなかったポイントについてフォーカスした【Buying Study追加分析】を2022年8月に公開しました。
レポート解説!
![]()
調査企画:株式会社マツリカ
調査機関:クロス・マーケティング
調査方法:オンライン上でのアンケート調査
対 象:従業員100名以上の企業において、直近2年以内にソフトウェア製品(総額または年間価格が100万円以上)の購買/導入経験がある会社員
調査期間:2022年5月27日〜2022年5月30日
追加分析内容:質問「最終的に購買は実行されましたか。」に「いいえ」と回答した群(191件)における、購買中止要因の分析
⑴購買活動においては関与者との合意形成が最も苦労しやすく、営業による支援が求められる。
![]()
- 購買実行群(「最終的に購買が実行された」と回答したグループ)
- 購買中止群(「最終的に購買が実行されなかった」と回答したグループ)
上記二つのグループで回答内容を比較したところ、購買中止群は、購買実行群と比較して「検討プロジェクトのメンバー間合意」に苦労していることがわかりました。
⑵営業が支援すべきは、社内関与者(選定メンバー、承認者)との合意形成である。
![]()
購買中止群(「最終的に購買が実行されなかった」と回答したグループ)のうち、「営業にサポートしてもらえた」と回答したグループの過半数は社内承認に苦労していることが明らかになりました。
営業が購買者の社内関与者との合意形成・承認プロセスを支援することが重要であると言えるとともに、「営業による支援のみ」で購買プロジェクトを実行させることは難しく、購買者側における「社内合意に影響力を持ち、購買プロジェクトを推進することができる人材」の重要性が示唆されました。
⑶購買支援に画一的な解はなく、企業(購買者)に応じた購買プロジェクトメンバー組成が必要。
![]()
購買中止群に対して、購買プロジェクトにおける「選定メンバー(非決裁者)の人数」と「購買において苦労したこと」の関係性を分析したところ、
- 「選定メンバーの人数を減らすと、社内承認への苦労が増える」
- 「選定メンバーの人数を増やすと、メンバー間合意への苦労が増える」
という傾向が見られました。
購買者の社内関与者との合意形成・承認プロセスを前進させるためには、単純に関与者数を減らせば(増やせば)良いとは言えないようです。
⑷高役職者が検討初期段階から関与することの有効性が示唆される。
![]()
購買中止群が最も苦労している「社内承認」について、自分自身及び承認者の役職がどのような影響を及ぼす可能性があるか分析したところ、
- 自分自身の役職が上がるほど、社内承認は容易になる
- 承認者の役職が「役員以上」の場合、過半数が社内承認に苦労する
と言った傾向が見られました。
感覚的にもイメージしやすい内容ですが、購買プロジェクトを円滑に推進するためには、「高役職者が検討初期段階から関与すること」が有効であると言えそうです。
⑸一般的な営業プロセスは必ずしも購買プロセスに対応していない。
![]()
営業プロセスと比較して、購買プロセスは複雑で、苦労しやすい要素を多数有しています。
自社の営業プロセスだけでなく、顧客の購買プロセスにも目を向け、複雑なプロセスを前進させるための支援が求められそうです。
⑹検討したものの、購買を成立させることができないケースが最も多い。
![]()
購買者は「購買を実行しない」可能性が最も高いと言われているため、営業は「競合に勝つために、どのような対策をするか」という考え方だけでは不十分であり、「顧客の購買を成立させる」ための支援にも注力すべきであると言えそうです。
まとめ
本分析では、「企業の購買者は、商材選定プロセス(提案・機能・条件)と比して、自社内関与者との合意形成・承認プロセスに苦労している」という結果が示唆されました。
多くの営業パーソンに経験があることと推察されますが、提案と契約の間には”死の谷”が存在します。
一般的に営業サイドが意識しがちと言われる、営業パーソン軸での活動のみで顧客を導くことは難しく、顧客社内での購買における合意形成・承認プロセスへの支援は欠かせません。
現代の営業パーソンには提案力や交渉力だけでなく、顧客社内で何が起きているのか、これから何が起こることが予想されるか、高い解像度で理解・想像することが必要になります。
プロセスを前進させる打ち手を支援できるプロジェクトマネジメントスキルに近い能力が必要であると言えるのではないでしょうか。
今回のストーリーを見て、少しでもマツリカに興味を持っていただけたら嬉しいです。
「マツリカで働いてみたい」「マツリカの事業やカルチャーについてもっと知りたい」という方は、下記よりお気軽にエントリー下さい!
▼株式会社マツリカ 会社紹介資料
▼【代表インタビュー】「創造性高く遊ぶように働ける環境を創る」マツリカ創業ストーリー
▼オープン社内報「月刊マツリカ」