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株式会社クラダシは、社会貢献型フードシェアリングプラットフォーム「KURADASHI」を運営している会社です。世界的な社会課題のひとつである”フードロス”を解決すべく事業を展開しています。
今回の記事では、クラダシを支えるメンバー紹介企画の第四弾として、設立当初から参画している技術顧問の荻野をご紹介します。自らも複数の企業を創業、設立する傍ら、一体なぜ社会貢献型ビジネスを手掛けるクラダシの技術顧問に就任したのか。インタビューを通してお届けいたします。
ーまずはじめに、これまでのご経歴について教えてください。
11歳から18歳までをオランダで過ごし、大学進学と同時に日本へ帰国しました。在学中にインターンとして参加していたインターネットサービスのスタートアップ企業にジョインし、3年間サービス開発に従事しました。その後フリーランスのフルスタックエンジニアとして独立、2016年に株式会社Konelの共同創業、2019年に株式会社知財図鑑を設立しました。
KURADASHIへは2015年ころ、創業の初期フェーズから技術的な相談役として関わりはじめました。
ー大学時代から現在まで様々なご経験をされているわけですが、そもそもITやWeb領域に興味を持ち始めたきっかけは何だったのでしょうか。
幼少期をオランダで過ごした経験が、今自分が携わっている領域に影響を与えていると感じています。オランダでは当時から各生徒が1人1台PCを所有し、Wordで書いた課題をHotmailで提出していました。Flashやプログラミングの授業もありましたので、私のデジタルの基礎はこの期間に形成されたと考えています。学生時代もWebに触れることが多く、それまでWeb=情報と捉えていたものが、実は見ている側と提供している側で双方向のやりとりがあると気づいた時は衝撃が走りました。いわゆるWEB2.0という時代になります。
新卒で入社したスタートアップでは開発だけでなく、要件定義や組織づくりなど、多くのことを自分たちで行う必要がありました。非常に大変ではありましたが、自らの手でサービスや組織、カルチャーの成長に寄与できる環境で働けたことはかけがえのない良い経験でした。一方で、自身のフィールドとしてはよりユーザーに近いUI/UXに特化した仕事をしていきたいと思うようになり、学生時代から考えていた独立に踏み切りました。今は興味の幅が広く「自分がやりたいことにどれだけ時間を割くことができるのか」を自分の指標として活動しています。
ーこれまでのバックグラウンドやご経歴からは、KURADASHIの扱う「食」「フードロス」といった分野との直接的な関係性はなさそうですが、何がきっかけで参画を決めたのでしょうか。
元々KURADASHIを知ったきっかけは、大学時代の知人からの紹介です。代表の関藤さんの話を聞いてすぐに事業内容に共感し、参画を決めました。何よりもサービス内容と哲学に強く可能性を感じたことが決め手です。自身の興味分野でいうと、まだまだ未開な食のテクノロジーや、大量のアクセス・購入があるサービスのグロースハックには関心を持っています。
また、自分のバックグラウンドとも強く関連していると思います。実はオランダという国は海抜より低く、温暖化で沈んでしまうため、環境問題に対して非常にストイックですし、麻薬やLGBTQ・安楽死など多くの社会問題に対して正面から向き合っている国でもあります。KURADASHIも同様にSDGs・環境問題・食品ロスなど多くの社会課題と向き合っていく組織という点で、強く共感を感じています。自身の祖父が農家で、幼いころから食品を無駄にすることに強い疑問を抱きながら育ったというのも影響していると思います。
ー現在KURADASHIでどのような業務を行っているのですか。
簡単にお伝えするとKURADASHIに関わる技術的な部分を全般的に監督しています。例えば技術・手法の選定や開発のディレクション、AWSを用いたインフラ構築のディレクション、時には社内のメールサーバーを移管したりすることもあります。また、現在KURADASHIに関わる開発チームは複数ありますので、各チームの連携をサポートしたり、スムーズに開発できる環境づくりなども行っています。現在はKURADASHIをテックカンパニーとして成長させるべく、採用・組織づくりにも力を入れています。
現在KURADASHIではPHPベースのECパッケージ(※)を用いて開発していますが、今後はユーザー体験と開発効率を向上すべく、「React.js」+「GraphQL」といった、モダンなフロントエンド技術にリプレイスしてきたいと考えています。
※パッケージ・・・標準的な業務に合わせて製品化されたシステム
ーサービス開始当初からKURADASHIを見てきたとのことですが、サイトの会員数が増えたり、会社のメンバーが増えたりと様々な変化があったと思います。その中で感じた面白さや大変さについても聞かせてください。
まずUI/UXの観点で言うと、参画当初から感じている難しさは、KURADASHIの「ECサイト」という側面と「社会課題の解決」という側面、この二面性をどう両立していくかという点です。一般的なECサイトであれば、なによりも重要なのは「購入させるデザインであるかどうか」ということ。その点、KURADASHIはただ商品を売って購入してもらうサイトではなく、フードロス削減という目標を掲げた「社会貢献型のショッピングサイト」です。
購入体験の質を高めるためには、社会貢献への寄与をわかりやすく伝える必要があります。例えば、現在購入者のマイページからは自分の社会貢献度がアイコンで見える化されていたり、購入時に支援金が目に付きやすい場所に表示されていたりしていますが、このような”一般的なECサイトにはない仕掛けや仕組み”を考えるのは一つの大きな挑戦でした。
もうひとつ、技術的な面で難しくもあり面白さを感じるのが、ECパッケージの枠を超えた業務オペレーションの最適化です。KURADASHIの特性として、一般的なECとは業務オペレーションが大きく異なるのですが、ECサイトとしての機能も必要なため、現在はECパッケージを大幅にカスタマイズして運用しています。ただ、パッケージを利用し続けることの限界も感じており、具体的なスケジュールについてはまだ検討中なのですが、1~2年をかけて独自システムへのリプレイスを予定しています。ゼロから作るということは当然難しいですし、大変さはありますが、それ以上にワクワクした気持ちを持っています。今のサービス品質を保ちながら、ユーザーがより快適に、裏側をできるだけオートメーションしながら少しずつリプレイスを進めていく予定です。
ー今後、KURADASHIをどんなサービスにしていきたいと考えていますか。
私がKURADASHIを通して実現したいことのひとつとして「社会全体の食の需要と供給を最適化するサービス」を作りたいと考えています。KURADASHIは現在、賞味切迫・パッケージリニューアルによって店頭に出せなくなった商品をECサイトで提供しています。購入金額の一部は社会貢献団体に寄付され、マイページ上で貢献度が見える形で表示されますが、これをインターネット上だけではなく、リアルな店舗にまで広げて行きたいと考えています。例えば、お店で購入したものの一部が寄付になる、貢献度の高い人が安く商品を購入できるようになる、最終的にはAIやビッグデータを用いて世の中の全ての食材が賞味期限や状態によって価値が自動算定されるようになると、食の需要と供給が最適化し、食品ロスという社会課題の解決にぐんと近づくのではないかと考えています。
ECとしても更なる成長を遂げたいと考えています。近い未来にはKURADASHIのサイト上でメーカーが直接出品できるようになる「ECプラットフォーム化」や、ロット数の多いものを共同購入できるようになる「ソーシャル EC」への進化も企んでいます。
ーこれから先KURADASHIを作っていく上で、開発チームとしてどんな人を仲間に迎えたいですか。
先程も少し触れましたが、これからパッケージのリプレイスなども控えており、KURADASHIの技術面はちょうど過渡期を迎えています。これまでは内製メンバーがおらず、パッケージを用いて社外の開発チームと一緒にサービスを支えてきましたが、これからは、より社会にサービスを浸透させていくために、社内にも強い開発チームを築いて、テックカンパニーに変貌していく必要があります。自分の持つ技術を社会課題の解決に寄与していきたい、より新しい技術を自分で取り組んでいきたい、0→1のサービス・開発作りに携わりたい方、そんな方がジョインするにはとても面白いタイミングだと考えています。KURADASHIをテックカンパニーにするべく一緒にカルチャーを作っていくことを楽しんでいける方が良いですね。
KURADASHIはビジネス側も非常にユニークで面白いです。「エンジニアだからマーケのことは分からない」、「デザイナーだからプログラミングのことは分からない」で終わらせるのではなく、自分なりに少しでも知ろうと努力ができるような、自分のフィールドを飛び越えていける人が仲間になってくれると心強いです。