こんにちは、いつもご覧いただきありがとうございます。
「ナイスボール!」「もっと前、前!」 雲ひとつない秋晴れの空に、日本語とヒンディー語、そして歓声が入り混じります。
まだ暑さ真っ只中だった今年7月、体育館に笑い声が響き渡った「第1回 oyakataクリケット大会」から約5ヶ月。 最高のコンディションに恵まれた2025年11月16日、舞台を広々とした運動公園に移し、「第2回 oyakataクリケット大会」を開催しました!
今回は、勝負の熱気と共に、私たちが彼らの「成長」を感じて胸が熱くなった、ある一日の物語をお届けします。
「送迎」から「現地集合」へ。頼もしくなった背中
当日、集合場所に現れたインド人メンバーたちの姿を見て、私たちはハッとさせられました。
前回の開催時は、日本に来て間もなかった彼ら。右も左も分からず、受入企業の社員さんが車で送迎をしていました。 しかし今回は自分たちで電車に乗ってバラバラに会場までやってきたのです。
「オハヨウゴザイマス!」「今日は天気がいいですね」 交わす挨拶の日本語も、驚くほど流暢になっていました。 そして何より安心したのは、みんな日本の寒さに立ち向かうように、ちゃんと冬の服を着こなしていたこと。
「ああ、ちゃんと日本で生活しているんだな」 目の前で談笑している彼らの姿に、まるで親心のような安堵と、確かな成長を感じた朝でした。
勝負は真剣、心は優しく。この日だけの特別ルール
集まったのは、前回とほぼ同じメンバー。 しかし、5ヶ月という時間は、彼らの結束(同期の絆)をより強くしていました。
今回は屋外ということもあり、全3試合を実施。 ルールは前回同様、全員が楽しめる「変則ルール」を採用しましたが、その空気感は独特でした。
大人同士の場面では職場のプライドをかけた「真剣勝負」。 一転して子供たちが打席に立つと、全員が優しいお兄さんの顔になり、全力で盛り上げる「エンジョイ・クリケット」。
勝負に徹底する厳しさと、弱きを助ける優しさ。 その両方が自然と同居するグラウンドは、まさに私たちが目指すiTipsの精神そのものでした。
白熱!青空の下でのシーソーゲーム
第1試合、第2試合と連勝したのは、前回敗戦の雪辱に燃えるトーヨーテクノチーム。 MVPに輝いたヤシュさん(トーヨーテクノ)のファイトあふれるプレーがチームを牽引しました。
しかし、加藤工務店チームも黙ってはいません。 最終戦では大量62点を獲得する猛攻を見せ、意地の一勝! トータルでは2勝2敗の引き分けという、これ以上ないほど平和で、かつ白熱した結末となりました。
「言葉の壁」を超える、スポーツの魔法
試合中、特に心温まるシーンがありました。 それは、大人たちに混じって参加した子供たちの姿です。
卒業生が投げるボールを、小さな体で一生懸命打ち返す子供たち。 そして、子供たちがヒットを打つと、自分のことのように大喜びする卒業生たち。 「うまい!Good Job!」 ハイタッチを交わすその瞬間に、国籍や年齢、言葉の壁など存在しませんでした。
強打者を次々と打ち取る「ちびっこボウラー」の活躍には、会場中が驚きと笑顔に包まれました。
※編集後記:運営者としては、時間通りの進行や広いグランドでボールが無くならないか?などを気にしていましたが、卒業生たちは時間もボールの紛失も全く気にすることなく、楽しむこと、気持ちよくプレーすることを第一に考えていました。ここもお国柄の違いと感じながら、なんとかWin-Winに終わることができ、ホッとしています。
グラウンドで見えた、本当の「定着」
「日本で働く」ということは、ただ現場で作業をするだけではありません。 自分で行きたい場所へ行き、季節に合わせた服を選び、仲間と休日を笑って過ごす。 今回の大会で見られたのは、彼らが日本の生活にしっかりと根を下ろし、たくましく生きている姿そのものでした。
前回は「ゲスト」だった彼らが、今回は対等な「プレイヤー」として、そして子供たちを導く「リーダー」として輝いていました。 その頼もしい変化こそが、私たちにとって何よりの勝利です。
iTips卒業生たちの主催するクリケット大会!?
「将来は、卒業生たちが自分たちで企画・運営できるとよいですね」
iTips社員が帰りの車内でぽつりと言いました。今は、グランド予約や道具の準備など、iTipsが主体で運営していますが、このクリケット大会がそこまで発展したら、本当に彼らが日本に定着したことになるのではないでしょうか?そして私たちがゲストとして招待される、なんて妄想もしながら帰りました。
卒業生たちは、来日から6ヶ月という短時間のあいだに日本での暮らしにすっかり馴染みつつも、目の前のことに一生懸命取り組む姿勢はiTips職業訓練校時代から変わりませんでした。彼らが日本でクリケット大会を企画開催する日はそう遠くない気がしています。
最後に、場所の確保にご尽力いただいたトーヨーテクノの浅井様、そして休日にも関わらず参加してくださった全ての皆様に、心より感謝申し上げます。
また来年、このグラウンドで、さらに成長した彼らと共に会いましょう! 最後までお読みいただき、ありがとうございました。