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【社内副業】従業員かつ業務委託という新しい働き方

近年、働き方の多様化が進み、「社内副業」を導入する企業も出てきました。

社内副業では、ジョブ・ローテーション(社員の能力開発・向上を目的として、部署・職務を異動する戦略的な人事異動)とは違い、契約や労務面が複雑になります。

この記事では、ライターの廣山さん視点のもと、社内副業の概要から実際の取り組みまで、「従業員かつ業務委託」という新しい働き方を実践するメンバーがいるガイアックスの事例と合わせてご紹介していきます。

この記事を読んでくださった企業の担当者の方にも、きっと参考にしていただけると思います。

目次

・そもそも社内起業とは
・ガイアックスに社内副業が導入された背景
・社内副業の事例
・社内副業の契約はどうなっているのか
・社内副業のメリット
・社内副業のデメリット
・社内副業で意識していること

そもそも社内副業とは

社内副業とは、事業部や部署など、社内の自分が所属する組織に籍を置きながら、他の事業部や部署の業務に携わることを指します。

社内副業の定義や具体的な働き方に関しては企業によって異なり、評価や報酬についての考え方も様々です。規定の業務時間内で社内副業に当てられる時間を定める場合もあれば、別途報酬を受けつつ支援するという形もあります。

ガイアックスに社内副業が導入された背景

社内副業を導入する企業が増えてきている一般的な背景には、メンバーのスキルアップや業務効率化があるようです。VUCAと呼ばれる予測不能な時代においては、特定のスキルを持ったスペシャリストに加え、幅広い知見や知識を持つT型人材の育成、採用ニーズが高まっています。社内副業を導入することで、メンバーの能力開発やスキルアップという効果が期待されていると考えられます。

ちなみに、ガイアックスの場合は、少し違った背景がありました。

もともと「出社は権利」「給料は自分で決める」というユニークな文化があり、メンバーは自分の働き方を自分で選択することができました。誰もが満足のいく働き方を選べるよう、常識にとらわれない組織の在り方を実践していく過程において、社内副業が導入されたのは自然なことだったのかもしれません。

社内副業の事例

社内副業がガイアックスの中で始まった事例としては、2つのパターンがあります。

✅社内でアルバイトを募集したパターン
✅スキルを複数部署に提供するパターン

それぞれについて、具体的な事例と合わせてご紹介していきます。

✅社内でアルバイトを募集したパターン

1つは、もともとある業務において短時間のアルバイトを募集していたけれど、応募状況が望ましくなく、採用コストが高かったことがあります。そこで、「社外で副業するくらいなら、社内で副業できることほどWin-Winなことはない」と考え、業務時間外に手伝ってもらうことを提案したという流れです。こちらのパターンは、社内のメンバーにアルバイトをしてもらうという形です。

こちらは、シェアオフィス事業を運営する事業部において、自社のイベントスペースを社外に貸し出す際の立ち会いスタッフとして案件が募集されました。

✅スキルを複数部署に提供するパターン

もう1つは、「副業的に新規事業を立ち上げ、それが事業部化し、引き続きその事業部に兼業として関わっていった」というパターン。「副業」という意識は薄くなりますが、こちらも社内副業の1つとされています。言い換えると、スキルを複数部署に提供する働き方であると言えます。

こちらのパターンは、この記事を書いている廣山が実際に経験した例をご紹介します。

社内で兼業的に新規事業の立ち上げにマーケティングの面で関わり、その事業が独立した事業部へと成長しました。結果として、元の部署での稼働時間を調整しつつ、2つの部署のWEBマーケティングを担当するという形になっています。

また、2004年に入社した木村は、会社との契約を業務委託契約に切り替えました。木村は所属している管理本部だけでなく、他事業部の要請に従って複数部署にスキルを提供しています。これはもはや社内副業の枠を超えていますが、メンバーはそれぞれのライフスタイルや能力に合わせて、多様な働き方を実践しています。

社内副業の契約はどうなっているのか

ここまで社内副業の定義から事例までをご紹介しましたが、さらにもう一歩踏み込み、実際の契約はどのようになっているかもご紹介します。

▼従業員かつ、業務委託のアイデア

かつては「他部署の仕事を手伝うのは社員として当たり前。そんなことに、別途報酬を払う必要はないのではないか」という意見がありました。これまでは、いくら他部署を手伝っても、感謝はされるものの、メインの業務ではないので給与には反映されず、他部署を手伝う人が疲弊してしまうこともありました。そこで、アルバイト扱いにして、他部署を手伝うことに給与を払う案が出ました。

しかし、勤務時間の管理や、煩雑な給与計算が必要になったり、給与を複数の部署で負担するための運用方法など、大きな負担が露呈する結果に。

そして、もっとシンプルに、業務を依頼する部署が本人に直接支払いたいという要望が強まりました。

また、社外で副業する人がいる一方で、社内では部署を越えた業務支援は評価されにくく、報酬にもほぼ反映されませんでした。他部署の仕事をやる時間があるなら、自部署の仕事に打ち込む方が見返りが期待できる。

このような社内の考えから「従業員かつ、業務委託」という契約形態がガイアックスの中では生まれました。

▼法律的には大丈夫なのか?

副業が「アルバイト」の場合、本業と副業の勤務時間を通算して管理しなければならず、給与も時間外の計算が必要で運用が煩雑になるため、社外の副業においては「業務委託」を推奨していました。ただ、その運用を社内に適用すると、残業管理の回避や過重労働を隠す手法として、悪用や批判を受けるリスクもありました。

そこで社労士に相談し、労基署の見解を確認しました。その結果、「社外で過度な副業をするより、社内なら稼働状況も見えやすくなる」と評価いただき、採用や新人教育のコストを抑えることも可能な案に、お墨付きを得ることができました。

社内副業のメリット

記事の後半では、社内副業の経済的効果やメリット・デメリットについて触れていきます。
まずはメリットからです。

▼育成の手間がない

まず大きなメリットとして、新規採用では起こらない「高いマッチング率」が挙げられます。社内のメンバーなので、仕事を依頼する時点で持っているスキルや能力も把握しやすくなります。また、依頼した仕事がうまくマッチングしなかった場合でも、転職ではなく副業なので双方にリスクがありません

▼複数部署に尖ったスキルの提供ができる

複数部署が欲するスキルを持っている場合は、その能力を複数部署に提供することができるため、会社としてもメリットが大きいでしょう。

▼部署異動にも繋がりやすい

社内副業から、より適正のある部署異動につながるケースもあります。

ガイアックスの場合でも、趣味でDJ配信をしていた元・人事支援チームの藤堂が、社内副業をきっかけにライブ配信事業部に異動しました。今では配信のエースになっています。
» 挑戦し続けることは自分ならではの場所を見つける旅路

▼ミーティングの時間調整などの融通が利かせやすい

社外の案件よりは、ミーティングの日程調整時の理解も得られやすいです。これが社外の案件だと、バッティングした際に本業先への説明がしにくい状況になります。

▼採用コスト削減

スキルを持っているか、途中で案件を放棄されたりしないか?などの不安や、エージェントを経由する採用コストを抑えることが可能になります。ガイアックスの場合だと、年間の採用コストが500万円削減、コミュニケーションコストが年間150万円削減されたと試算されています。

▼情報漏洩リスクの軽減

すでに社員に対して情報の取扱方法などを研修していれば、そのような研修を受けていない社外のメンバーよりも安心です。また使用される端末に関しても会社支給のものを使用してもらえるため、セキュリティ面での安全性が高くなります。

▼席や端末などの固定費が増えない

従業員数が増えるわけではないので、固定費も増えません。

社内副業のデメリット

ここまでにご紹介したように、メリットの多い社内副業ですが、デメリットもあります。

▼業務量が増加しすぎる可能性がある

特に「従業員かつ業務委託」という契約になると、フリーランスとして仕事を受ける部分でどれほど稼働しているか管理するのは自己責任になります。そのため、プロジェクトのタイミングによっては、時間的余裕がなくなり、社内副業が精神的にも悪影響を及ぼす可能性があります。また、コミットの仕方によっては、2つの部署のミーティングに参加することになり、作業時間の確保が難しくなる可能性もあります。

▼業務効率の低下の可能性がある

前述のような逼迫した状況になると、疲労により業務効率が低下する可能があります。そうならないように、業務量を自己責任でコントロールしていくことは欠かせません。

▼どちらの部署でも責任者になりづらくなる

こちらは特に、若手でも事業責任者になることの多いガイアックスだからこそ感じたことです。1つの部署にフルコミットしていない状態だと、その部署で事業部長クラスの責任をとっていくことが難しいと感じました。どうしても、事業部の結果よりも作業に対して責任をとっていく働き方になりやすいです。

社内副業で意識していること

前述のように、必ずしも全てパーフェクトではない社内副業を行っていく上で、どのようなコツがあるのか。意識していることをまとめてみました。

▼片方の部署で得たノウハウをもう1つの部署に還元する

1つは、「片方の部署で得たノウハウをもう1つの部署に還元する」というものです。

副業で得た知見を本業に生かす、本業で得た経験を副業に生かす。外からの新しいノウハウが入ってくることで、仕事の効率や成果が双方の部署で高まります。

▼自分のキャパシティを伝える

もう1つは、業務委託の方で「仕事を受けすぎない」というものです。

依頼されるがままに全てにYESで対応できたら良いのですが、体は1つなので、限界があります。緊急対応などが入ることも多いので、自分が思っている以上に納期には余裕を持つことが、周りに迷惑をかけず、高いパフォーマンスを発揮していくコツだと学びました。


社内副業は便利な制度で、効果的に導入できれば、会社のパフォーマンスを高めることができるので、この記事をご覧いただいた皆様の参考になれば本望です。

ライター:廣山 晃也

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※当ブログに記載の内容は、Gaiaxスタートアップスタジオ事業部記事の転載となっております。
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