フルカイテンの取締役を務める宇津木です。去る2020年9月3日付で取締役に選任され、拝命しました。
※TOPの写真は心に火を灯すという趣旨で毎週行われている「焚き火会」というオンラインミーティングの一コマ
就任にあたり、このタイミングだから伝えられることはないかということで、入社して1年半・途中でボードメンバーになった身として、このあたりの観点でフルカイテンという会社を表現できたらなと思います。
フルカイテンを知っていただく上では、創業者の想いや考えはもちろんですが、その他役員やそこで働くメンバーの人物像も垣間見えた方がより理解してもらえるのではないかと思い、本フィードでは、
・私から見た代表の瀬川やBoardメンバーについて
・フルカイテンで働くメンバーについて
・今後フルカイテンをどんな組織にしていきたいか
などをつらつら書いていきたいなと思います。
私自身の自己紹介としましては、こちらなどを見ていただけると早いです。
読むのが面倒くさい方向けにサマると、SaaSだけやってきたアラフォー、とだけ認識いただければ、まぁ概ね問題ありません。
それではちょっと長いのですが、ぜひ最後までお付き合いください。
まずは最初に役員になった経緯を少し話したいなと思います。
と言いますのは、この経緯において個人的に成長企業で働く上でとても重要だと思える考え方に気付けた出来事があったためです。
私はフルカイテンに入社したのは去年(2019年)の7月で、役員の打診を受けたのは去年の10月でした。入って3ヶ月足らずということもあり、実は打診を受けた際は最もらしいことを言って一旦断っていました。
最もらしいとありますが、今でこそそう思うだけで、
・フルカイテンはこれからもっと優秀な人材が取れる会社になる
・その時点でその役割に足りうる人材を登用すればいいと思うし、そこで自分がそうであれば謹んでお受けする
というような回答を本音でしていました。
それに対して代表にslackで言われたのがこちら。
(さぶいってどうゆうことだろう??良い意味のさぶいってさらにどうゆう意味だろう?pen顔(注)でさぶいとなるとますます意味がわからないな。)
注・・・フルカイテン入社後に雑誌penに取材された時の私の掲載写真が「pen顔」と一時期いじられていた
と思いつつ、当時は組織の人数的にも、入社して間もないというのもあり、本当に今じゃないのではないかと思って断りを入れました。
↑入社直後の採用イベントで転職について登壇
が、今ならはっきり言えます。
マジで自分さぶいこと言っていたなと。
そう思えたきっかけは、打診を受けてからさらに4ヶ月ぐらいたったときにたまたま何かで知った、 WAmazing代表取締役社長CEO 加藤史子氏による下記の新聞寄稿記事です。
「恥より始めよ」闘志の源
※一部抜粋
“「自分ができるようになったらやろう」や「ふさわしい人間になってから応諾しよう」ではなく、まずやってみて恥をかくということだ。
自分では力不足だと恐縮する気持ちをおさえて、分不相応な場にまずは出てみて恥をかく。自分以外のみんなが立派に見えて恥ずかしくなるような舞台に我が身を置いてみると、結果として、やはり悔しさやふがいなさを感じるかもしれない。それでも「次は恥ずかしくない自分になれるように頑張ろう」という闘志も湧くだろう。
恥ずかしさを感じるということは成長意欲がある証拠だから「恥より始めよ」でいいのだ。「自分なんて無理だ」と尻込みをすることを謙虚、謙遜の美徳だと考えて言い訳にすることは、もうやめよう。
役割にふさわしい自分になるのを待っていても、いつまでたってもそんな自分にはなれない。完璧を目指して足が止まるよりも、身の丈以上に思える場に飛び込んでみることが非連続な成長をもたらしてくれるかもしれない。”
なんというか、この記事を読んで顔から火が出るぐらい恥ずかしくなりました。
ずっとスタートアップで働いてきて、起業も経験して、成長成長という環境で身を置いてきて一緒に働くメンバーにもたくさんのことを求めてきた立場にも関わらず、
「自分なんて無理だ」と尻込みをすることを謙虚、謙遜の美徳だと考えて言い訳にする
まさにこの状態であると気付かされたからです。
振り返ってみると、今回の件に関わらず、ビジネス人生において自分はこれに当てはまることが多かったのではないかと思うようになりました。
いや、20代は変にガツガツしていた気もするので、無意識下で失われていったのかもしれません。
かつて前職の同僚からも「そろそろ色々背負う覚悟を持っていいんじゃないか」と言われたことがあり、私はただただ謙遜していたのですが、その同僚は「その力があるんだから」という意味合いよりも、まさに「恥より始めよ」という意味合いで言っていたのだと思います。同僚はきっと私の上記のような気質を見抜いていたのでしょう。
まさに一言で言うと「さぶい」に尽きる。pen顔でさぶいこと言ってました。
「さぶい」という3文字に全てが集約されています。
「恥より始めよ」
人によっては当たり前の概念なのかもしれませんが、私にとっては間違いなく金言となりました。
そして、フルカイテンで一緒に働くメンバーにもこの考えはぜひ持ってもらいたいと思っています。
↑定例ボードミーティング。瀬川(右上)は毎回誰かしらの社員の写真を背景にして笑いを誘いに来るが、もはや慣れたので誰も触れずに会議は進んでいく。
私から見た代表の瀬川やBoardメンバー
このような経緯で今に至り、経緯紹介が少し長くなってしまいましたが、上の発言から見て取れるか分かりませんが、創業者の瀬川は兎にも角にも一点の曇りもないどストレートパンチの人間です。良いことも悪いことも、思っていることははっきり相手に伝える。
エピソードがあります。
とある商談にて、相手はFULL KAITEN拡販を担っていただけるかもしれない大手SIer企業の部長さん。いわゆる、一般的にはこちら側が立場が弱い商取引の場と言えるでしょう。具体的なプロジェクトもすでに動き出しており、これが形になればフルカイテンに取っても大きなビジネスインパクトとなる案件に関する商談の場でした。
その部長さんはまだプロジェクトに参画したばかりと言うこともあってか、若干我々に対してネガティブな印象を持っていると感じられる発言が散見されていました。
そんなことはよくあることだと思うので当然受け止めますが、その先のエンドクライアントに関するある部長さんの発言に対して、
「それは違うと思う。それは、あなたが言うべき言葉ではない。」
と瀬川ははっきり言いました。
商談の場はシーンと静まり返り、
(確かに引っかかる発言だったが、そこでそちらの立場の人がその指摘をできるのか。)
私含め、その場にいた全員がそう面食らったと思います。
しかし、後日さらに衝撃を受けることに。なんとその部長さんから瀬川宛に謝罪のメールが。
あんなに我々に対してトゲを感じる態度だった方から、こんな謝罪が来るなんて、それはそれは衝撃でした。
ただ、よく考えてみるとこれは必然かもしれない。
瀬川は私利私欲で相手に物申したのではなく、顧客に価値を本気で提供したい、そのために一切の妥協は惜しまないし、少しでも弊害となるなら相手が誰であるにせよ捨て身で切り込む、この姿勢が相手に伝わったのだと思います。
不純物のない純度100%のパッションを、周りの全ての人に伝えることができるのが瀬川だと思います。
そして、それがフルカイテンのカルチャーにもなりつつある。当然ですよね。TOPがそうであるので、それが当たり前なんだ、それでいいんだというマインドが必然的に醸成されていきます。
カルチャーは言葉で定義するのは簡単ですが、それよりも、是とする行動をひたすら繰り返すことでしか根付かないものだと思います。
時には、その純度100%のパッションが大きすぎて受け止めきれない事象が発生するのも事実。
1人のカリスマ的な熱狂だけでビジョナリーカンパニーになるのは難しいと感じているため、この熱量をどう組織や事業に最大限寄与できるようにすればいいか、それを自燃・可燃の人材の種火・推進力として起爆剤とするにはどうしたらいいか、この舵取りや活用方法を考案するのもボードメンバーの役割の一つだなと思います。
そういう意味では、ボードメンバーは自分自身含めまだまだ足りない。もっともっと意見をぶつけ合ってお互いを高め合っていけるようにならなければ。
↑フルカイテン創設メンバーの取締役・加藤(左)と代表・瀬川(右)
フルカイテンで働くメンバーについて
意見をぶつけ合ってお互いを高め合っていくという面では、メンバー間もメンバー・ボード間も同じで、それがワークするための前提には「素直さ」が必須だと考えます。
これはフルカイテンに限らず、企業で活躍する人材の共通点でもあると思っていて、とにかくメンバーに対して思うことは、性格は一癖二癖あるけど、成果を出すために素直に邁進していく人たちだなということ。
ここで言う素直とは、決して従順であるという意味ではなく、ビジネスの成長、個人の成長、クライアントの成功に寄与するものなどであれば柔軟に変化できるし、昨日の自分を否定できる、やらなければいけないことを素直に実行する、良いと思ったら・良くないと思ったら素直に発言する、というような文脈です。
やはり一緒に働いていて楽しい、刺激を受ける人材は上記のような素直な人間で、そういった仲間を増やしていきたいです。
また、この素直さは、意識して行動することを繰り返せば後天的にいくらでも増幅できるものだと思うので、意識して行動できる仕組みを作ることも重要です。
↑社員の写真撮影に並々ならぬこだわりを持つフルカイテン社の撮影風景 。参考ストーリーにはフルカイテンなりのカルチャーが表れている
↑そのこだわりレベルからすると、ただの棒立ちでありえない構図だしなんか黄色いしと叱責を受け、ダメな写真例として毎年活用されている写真(左が私)
今後フルカイテンをどんな組織にしていきたいか
まだまだ駆け出しの企業ではありますが、フルカイテンはいわゆる
・Enterprise向けVertical SaaS
とカテゴライズされる領域でビジネスをしており、会社規模としては少人数ながら、大手企業含む小売業をサクセスに導けるようになってきており、お客様の役に立てるサービスを提供できていると強く実感できます。手前味噌過ぎますが、こんな条件が揃っている事業はそうそう無いと思っているのでダイヤの原石を磨ける最高の機会に巡り会えたと思っています。
私は、提供しているサービスの中心がSaaSである以上、フルカイテンはプロダクト力で勝負する企業になりたいと思っていますが、その価値を最大限デリバリーするためにはビジネスサイドもとても重要です。
ビジネスという側面では、SaaSビジネスというのは(良い意味で)商売の原点に回帰せざるを得ないビジネスモデルだと思っています。
・新しく取引開始したお客様の成長、成功、満足をフックとした長期取引を目指す
・常にお客様の成功を促進するためにサービスを進化させる
上記はどのビジネスにも言えることではありますが、特にSaaSモデル(厳密にいうとSaaSをサブスクリプションで提供するモデル)は、選ばれるサービスとなるには必然的にお客様のことを考え続け実行することが必要となるため、提供側の業績とお客様へ提供できている価値がダイレクトに結びつきます。
つまり、お客様にとってもSaaSを使うことはプラスだと思っているので、つくづく双方にとってメリットが大きいモデルだと思います。(ある人はこれを「双方の経済合理性がマッチするモデル」と表現していました。)
↑展示会出展。個性的なブースはかなり注目されました
このような経営陣・メンバーと醸成するカルチャーのもと、このようなプロダクトを商売の原点回帰をしながら拡大していくにあたって、心がけていきたいことがあります。仕事をする上では悩みは尽きないと思いますが、私はそんなときに立ち返る言葉があります。
「どうすればできるか?それだけを考えればいい。」
というものです。とてもシンプル。あれこれ悩むけど、シンプルに「どうすればできるか」を突き詰める。私が最も尊敬するビジネスマン(?)高野誠鮮さんという方の言葉です。
”どうすればできるか、それだけを考えればいい。できない人はやらないからできないだけなんです。以前なにか提案したとき、70歳代の方に反対されました。「そんなことくらいは、わしだって考えていた」って。ぼくは言いましたよ。「いつまで考えているんですか?なぜ今までやらなかったんですか?」って。切れた電球の下で、暗いと不平をいったり、議論してたって、いつまでも明るくなんかならないですよ。実際に電球を変えなきゃ、明るくなんかならないんです。”
この方は、常識にとらわれないような方法で様々な分野で成功を納めてきた方で、僧侶・大学教授・公務員と何足ものわらじを履いていらっしゃいます。(元々は日本テレビの放送作家。この書籍はおすすめ。この記事も。知恵と工夫と熱意のオンパレード。)
当社は今はフェーズ的にも生みの苦しみがまだまだ大半を占めていて、あの手この手で何とか成果を出そうという「成果ドリブン」なマインドと行動が求められます。
こういうような状況下では短期的には組織的にも個人的にも分かりやすい成長を感じづらい側面があると思っています。ただし、ここで逃げずに成果のために踏ん張って足掻いた場合に限って、実は後から振り返ってみるとそのタイミングが最も成長の糧になっていたということが大半だと思います。そしてその経験が自信に繋がって、次の成果を生む下地になります。
結局スタートアップの成否は、自分たちが掲げた理想の世界をどれだけ本気で実現しようとしているか、の熱量の大きさと実行力に尽きると思うので、
「どうすればできるか?それだけを考えればいい。」
はとても本質的な問いかけだと思います。
これからも発生するであろう大量のハードルを一緒に乗り越えられる熱量の高い仲間にジョインしてほしいと思ってます。
↑カスタマーサクセスの議論風景
↑東京メンバーで初詣