先代が残した最期の壁。突然の新社長に任命された小林が想うこと | 株式会社D&I
13期(2021年7月~2022年6月)には過去最高売上を達成する見込みのD&Iですが、その前にはD&I史上最大の壁がありました。2021年6月に前代表取締役の杉本さんが心筋梗塞で急逝いたしまし...
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2025年2月13日、株式会社D&IはTOKYO PRO Market(以下TPM)に上場しました。この上場は、私たちにとってゴールではなく、ビジョン実現に向けた新たなスタートです。
なぜTPM上場を選んだのか。今後どのような未来を描き、どんな仲間とともに歩んでいきたいのか。節目を迎えた今、代表取締役の小林が語ります。
創業者・杉本との出会いと受け継いだ価値観
経営のバトンを受け取り、描いた指針
「障害者雇用のインフラカンパニー」を目指して
誰もが挑戦できる社会の実現に向けて
一緒に挑む仲間へ
採用担当: 上場についてお聞きする前に、D&I創業の背景を教えてください。
小林: 大学卒業後、新卒で人材系ベンチャーに入社しました。上司だったのがD&I創業者の杉本。障害者雇用の新規事業の立ち上げで共に仕事をすることになりました。
事業はやりがいがありましたが、リーマンショックで会社全体の先行きが不透明になり、そんなときに杉本から「独立しようと思う。一緒にやらないか」と声をかけてもらいました。ちょうど私もキャリアを見直していた時期で、即答でした。
採用担当: 迷いはなかったんですね。
小林: 決断は直感でした。杉本となら何があってもやっていけるという確信があった。彼は厳しい一方で、失敗にも真正面から向き合ってくれる人でした。
もう一つは、障害者雇用の常識を変えたいという強い想い。当時、企業の多くは障害者雇用に対して後ろ向きで、こちらの話すら聞いてもらえない。だからこそ、世の中にインパクトを与える存在になりたかったんです。
採用担当: 創業後、杉本さんと長く経営を共にされてきた中で、受け継いだことはどんなものでしょうか?
小林: ビジネスにおいても、人間関係においても、結局は“人”がすべてだという価値観です。義理や情、誠実さを大切にする姿勢。それが信頼を生み、事業を成り立たせる土台だと教わりました。
また、どんな困難な状況でも現実を正面から受け止め、最善策を考えて動く。その姿勢が、今の自分の基礎になっています。
そして、信念を貫くこと。成果が出るまでに時間がかかっても、愚直に続ける。私たちのミッション「誰もが挑戦できる社会をつくる」は、その積み重ねの先にあると信じています。
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採用担当: 会社を引き継いでから、何か変えた部分はありますか?
小林: 理念や姿勢は変えていません。ただ、私の代になってから、組織としてのビジョンを改めて定義し直しました。
経営者として何を考え、何を実現したいのか。それを明確に示すことが、社員みんなにとっての指針になると考えたからです。
私は長らくNo.2として経営に携わってきましたが、杉本が急逝し、代表を継ぐことになったとき、半年の時間をもらい、自分なりに向き合いました。
「トップが先頭を走る」のではなく、「組織全体で一つの方向を向く」ことが重要だと再確認しました。そこで導き出したのが、新たなビジョン「潜在労働者層の戦力化プラットフォームを構築し、日本の社会課題を解決する」という旗印です。
採用担当:ここからは上場の経緯について伺っていきたいと思います。最初にお伺いしたいのが、なぜ上場を目指すことに決めたのか?ということです。
小林:杉本さんが亡くなって1年くらいは、正直なところ、会社がどうなっていくか全然見えていませんでした。「小林にはついていけない」と、みんなが辞めてしまうことも覚悟していたほどです。
幸い、ほとんどのメンバーが残ってくれましたが、先行きに対する不安はありました。ただ、半年ほど時間をもらいながら、ビジョンや中期経営計画をつくる過程で、少しずつ未来を描けるようになっていきました。
上場は、杉本さんが生前に目指していたことでもあり、自分たちが掲げるビジョンに向かって進んでいくための、一つの通過点でもあると考えるようになりました。
「誰もが挑戦できる社会をつくる」というミッションを実現していくには、企業としての社会的信用力を高め、より広く社会に影響を与えられる存在になっていくことが重要です。自分たちの考え方や想いを世の中に届ける手段として、上場は非常に意義あるものだと感じました。
採用担当:TPM(TOKYO PRO Market)を目指したのはなぜでしょうか?
小林:私たちは当初、より広い認知と影響力を持つ市場での上場を思い描いていましたが、準備にかかる時間やタイミングを考えたとき、まずは段階的にステップを踏むことが現実的だと判断しました。そこで出会ったのがTPMという選択肢でした。
私たちにとって大事だったのは、「どの市場に出るか」よりも、「上場を通じて何を実現したいのか」ということ。透明性のある経営体制を整え、社会的信用を高め、より多くのステークホルダーと連携できる状態をつくる。それによって、事業の成長やミッションの実現を加速させていく——そのための一歩がTPMだったんです。
もちろん、上場には労力も費用もかかりますし、本当に意味があるのかと迷った時期もありました。でも実際に動いてみると、組織の意識や体制が変わり、社内の空気も変わっていきました。今では、それは未来への投資だったと確信しています。
TPMでしっかりと土台を築き、成長を続けていけば、やがて次の上場ステージも視野に入ってきます。今回の上場は、ミッションの達成やビジョンの実現に向けた“最初の一歩”だったと感じています。
採用担当:そして2025年2月13日、株式会社D&IはTPMに上場しました。上場当日はどんなことを感じましたか?
小林:正直なところ、当日は「しっかり準備してきたからこそ当然の流れ」と思っていました。社員には誇りを感じてほしかったですが、自分にとっては通過点の一つという感覚でした。
でも、実際に証券取引所で社員たちとセレモニーに参加したとき、その気持ちは変わりました。手を振って迎えてくれたみんなや、「祝・上場」のボードを見た瞬間、胸が熱くなりました。創業時の苦労や杉本さんのことが思い出され、自然と感情が込み上げてきました。
自分が思っていた以上に、みんながこの日を喜んでくれていて、それが何より嬉しかったですね。
上場セレモニー後の社内祝賀会では、社員一人ひとりのこれまでの頑張りを称えながら、今後への決意を新たにするひとときとなりました。当日は奇しくも小林さんの誕生日と重なり、一層お祝いムードに包まれました。
採用担当: 上場後に取り組みたいことについて教えてください。
小林: D&Iが目指す方向は上場前と変わりません。特に今は、障害のある方の雇用と戦力化への注力を強めています。
将来的には、「障害者雇用といえばD&I」と第一に想起される存在に。社会にとっての“インフラ”的な企業を目指しています。
そのためには、テクノロジーの活用が不可欠です。障害のある方々が働きたくても働けない背景には、“出会いづらさ”や“働きづらさ”がある。そこにテクノロジーの力を掛け合わせることで、可能性は大きく広がると考えています。
たとえばテレワークのように、場所や時間の制約を解きほぐす仕組みが、障害のある方の可能性を押し広げる。私たちの支援力とテクノロジーを融合させて、社会全体に貢献できる仕組みを築いていきたいです。
採用担当: 目指す未来の実現に向けて、今後どういったことに注力していきますか?
小林: 何よりも“人”です。人を支える事業をしているからこそ、まずは社内の人材に向き合う必要がある。
2025年1月からは人事制度の改定にも着手し、D&Iの価値観を制度としても体現できる形にアップデートしています。社員一人ひとりが、やりがいや成長を実感できる環境を整えていくつもりです。
また、社内業務にもテクノロジーを積極的に取り入れていきます。社会課題は“ビジネスとして成立しづらい”からこそ放置されてきた背景があります。
だからこそ、生産性を向上させ、コストを抑えることで、持続可能なビジネスとして成立させたい。たとえば、AIの力で障害のある方の生産性が2倍、3倍になれば、「配慮が必要だから」ではなく「一緒に働きたいから」雇用される未来がつくれると信じています。
採用担当: 社会への影響について、どのように捉えていますか?
小林: 日本は今後、労働力人口の減少が確実に進みます。そこに対応するには、これまで活かされてこなかった“潜在労働力”をどう活かすかがカギになります。
人は「必要とされること」で幸せを実感します。しかし、働く選択肢が限られている現状では、その機会が奪われがちです。私たちはそれを変えたい。
自分の意思で仕事を選び、成長を実感し、誰かの役に立っていると感じられる。そんな場が増えれば、社会全体がもっと温かくなると考えています。
採用担当: 本人の意思で選べる環境をつくることはとても重要ですね。
小林: その想いを落とし込んだのが「D&Iプロミス」です。D&Iプロミスは、社員一人ひとりが幸せに働き続けるために、会社が責任を持って向き合うべきことを明文化したものです。
D&Iでは「スピリット」という行動指針がありますが、それは社員に期待する姿勢。一方で、会社も社員に対して果たすべき約束があるはずです。
まずは“意思を尊重する”こと。そのうえで挑戦を後押しし、仮に失敗してもその経験を成長に変えられる土壌をつくる。それが会社と社員、双方の成長につながっていくと信じています。
採用担当: どんな方と一緒に働きたいですか?
小林: 強い成長意欲を持ち、社会と真剣に向き合いたいと考えている方に来てほしいです。
D&Iのビジネスは、社会性と経済性の両立が求められます。簡単ではありませんが、その分挑戦の価値がある。今、私たちは障害者雇用領域で確かなポジションを築きつつあり、これからNo.1を目指していくフェーズです。
社会を変える実感を持ち、自分の市場価値も高めていける。そんな場所で働きたいと願う方と、ぜひお会いしたいですね。
採用担当: 最後に、D&Iに興味を持った方へのメッセージをお願いします。
小林: D&Iは非常に恵まれた状況にあると思っています。障害者雇用の領域でNo.1を目指せる立ち位置にいる。そんなフェーズの会社に加われるチャンスはあまり多くはないのではないでしょうか。
加えて、社会課題を解決し、世の中に好影響を与える仕事ができるのも大きな魅力です。想像してほしいのですが、社会に対して本当に影響力を持てる会社と出会う確率ってあまり高くないと思いませんか?こうした理由からも、ぜひD&Iという環境の面白さを感じていただければ嬉しいですね。
今回小林さんの想いをお聞きし、上場はあくまで通過点だと改めて実感しました。
D&Iは「誰もが挑戦できる社会」を目指し、次のステージへ歩みを進めます。誰もが自分らしく輝ける場をさらに広げ、皆さんの挑戦を力強く支え続けます。どうぞご期待ください!