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業界最大級のゲームスタジオ『COYOTE 3DCG STUDIO』のトップが語る、共に歩んできたスタジオの”これまで”と”これから”
クリーク・アンド・リバー社 デジタルコンテンツ・グループ COYOTE 3DCG STUDIO
スタジオ・チーフ 飯田貴寛
東京都出身。クリエイティブ業界を志すと同時に高卒で南カリフォルニアへ留学し、3年間アートを学ぶ。その後日本に戻り、映像制作会社に就職し、映画やCMのCGデザイナーとしてキャリアをスタート。その後CG制作会社にて初めてゲーム制作に携わったことをきっかけに、以降ゲーム業界に身を置く。現在はクリーク・アンド・リバー社(以下:C&R社)内の3DCG制作専門スタジオ『COYOTE 3DCG STUDIO』のチーフを務めている。
―今はスタジオのチーフを務められているの飯田さんですが、そもそもクリエイティブ業界を目指したのはどういうきっかけだったんですか?
元々いろんな夢があって、その中の1つに宇宙飛行士になるというのがありました。でもそれがとても難しい事だと分かり、実際そこへ行けないのであれば、SF映画の様に行かなくても行った様に見える状況を作れば良いじゃん!と思い…それでクリエイティブ業界を志しました。
絵の勉強のために南カリフォルニアへ留学し勉強をしていました。可能であれば、そのまま海外で絵を描く仕事をしようかと思っていたのですが、当時のアメリカがかなり不景気だったこともあって仕事が見つからず、日本に帰国しました。それから日本で就職するために専門学校のグラフィックデザイン科に入学して、絵はもちろんですが構成・企画・キャッチコピーといった幅広い範囲のことを学びました。あとはグラフィック業界にデジタル化が取り入れられ始めた時期でもあり、3DCGソフトにも少し触れる授業がありました
―なるほど。最初から3DCGを専門でやっていたわけではないんですね。
そうです。しかも、ゲーム業界を目指していた訳でもなくって、映画が好きだったので卒業後は映像制作会社に入社しました。でも当時は、3DCGを作る事ができるコンピューターって、すごく高価だったこともあり、作れる人が少なかったんですよね。そこで、学生時代に少し3DCGソフトに触れたことがあった私はモデリング、モーション、エフェクトなどを担当することになったんです。
―そこで3DCGをお仕事にされたんですね。卒業後すぐに活躍されて理想的なキャリアに思えます。
その後、映像制作会社を退社してフリーランスをやっていたんですが、CGプロダクションに勤める知人から声をかけてもらって、そこで就業することになります。その頃ちょうどゲームCGが流行り始めたということもあって、前の会社とは違いゲーム開発がメインになってきました。PCゲームや、PS2のゲーム…有名なIPにもいくつか関わらせてもらいましたね。
―とうとうゲーム制作に出会うんですね。初めてのゲーム制作はどうでしたか?
本当に忙しかったです(笑)某教養クイズ番組とのコラボゲーム制作では、実際にヨーロッパに行って、寝る間もないような超過密スケジュールのロケハンを行いました。帰国してからも専門家と時代考証をしながら、本当に必死に背景モデルを制作していました。
そのプロジェクトでは背景モデルでしたが、他のプロジェクトにアサインされると、モーションやらキャラモデルやら、その時足りないポジションで仕事を割り振られていましたね。
今でこそゲーム制作の現場は分業化が進んでいますが、当時は全部できたほうが良かったんです。私もオールラウンダーとして3Dに括られる色々な事をしてきました。その中で一番機会が多かったのは、モーション制作でしたね。当時は忙しくて何も考えられない程でしたが、そうやってがむしゃらに過ごしたあの7年間が、今に繋がっているんだと常に思っています。
―7年間、ゲーム制作をメインにいろいろなことに携わったあとでC&R社に出会うんですね。
ええ。大手にチャレンジしたいなと思い、転職のためにC&R社に登録して、そこから派遣として某大手ゲーム会社で8年間ほど働いていました。そこでもいろいろなタイトルで自社開発の経験を積むことができました。でも、社員と派遣の立場や待遇の違いなどにモヤッとしていた部分もあって…、「もっと自分の意見を取り入れてもらえる環境に身を置きたい」、そう思って当時のC&R社担当エージェントに相談しました。
そのエージェントが、「ここでなら、あなたの思っていることが出来ると思いますよ」と、その頃出来たばかりの社内スタジオである『COYOTE 3DCG STUDIO』を紹介してくれました。ずっと担当してもらっていたエージェントの言葉だったからかもしれませんが、私の心はすぐに決まりましたね。
―お互いを信頼しあっている関係だからこそ、エージェントの言葉を信じてCOYOTE 3DCG STUDIOに参画することにしたんですね。素敵です!入った後は順調だったんでしょうか?
ところがすぐに順調というわけにはいかなかったんです(笑)最初は請けた案件をスタジオ内で制作していたのですが、ある時案件数が急激に減っていってしまった時期があり、急遽スタジオの主要メンバー大半をクライアント先への常駐に切り替えなければならなくなったんです。
そうして常駐先で日々忙しく業務にあたっていたのですが、ある日突然上長から「社内のイベントがあるから出席して欲しい」と呼び出されました。何?!と思って会社に行ったら、本当に突然COYOTE 3DCG STUDIOのリーダーを任命されたんです。それで、イベントで挨拶して下さい。と言うんです…(笑)本当にびっくりしました。私はほとんど社内にいなかったですしね。
今思うと、その時参画していたプロジェクトがかなり炎上していた所を、なんとか取り回して整えようと試行錯誤していたことが評価されたのかもしれませんね。
―本当に突然だったんですね!それから、かなりCOYOTE 3DCG STUDIOは大きくなりましたよね。
そうですね。でも『COYOTE 3DCG STUDIO』が軌道に乗ってきたと感じられたのは本当にここ1~2年くらいの話です。総合職、専門職が協力し合って何年も試行錯誤を重ね何とか人数規模だけは自慢できる位になりました。これからも皆で協力し合って組織作りを進めて行くんですけど、地固めが出来つつある所で、自分のするべき新しいミッションが見え始めた気がしているんです。
―『COYOTE 3DCG STUDIO』の今後のミッションとは何なのでしょうか?
今までがむしゃらにモノ作りをしてきた私でしたが、この数年で作る物の内容がゲームデータから組織作りに変わりました。その中で改めて思う事は、『COYOTE 3DCG STUDIO』に入ってきてくれたクリエイターは、確実にキャリアを積むことができ、さらにうち以外の会社、ひいてはゲーム業界のトップクリエイターとして活躍できる様、ひとり、ひとりの価値を上げることです。例え話ですが、『COYOTE 3DCG STUDIO』をたくさんの売れっ子タレントが所属している芸能事務所みたいにしたいんです。
―芸能事務所ですか?ゲームスタジオとタレント事務所では一見関連性がないように思えますが……。
これは、ほんの例え話ですけど、世の中のエンタメ媒体の至る所にジャニーズ事務所や吉本興業所属のタレントさん達の露出が多いとは思いませんか?そんな風に、『COYOTE 3DCG STUDIO』でキャリアを積んだクリエイターがいろいろな会社やゲーム業界全体で活躍し、「COYOTE所属(出身)の人、どこに行っても居るし、活躍しているね!」と思ってもらえるようなポジションを業界で築いていきたいんです。
幸い、うちは、人材からスタートを切った会社が作ったスタジオなので、キャリアアップになる転職を歓迎または支援する環境や、親身にキャリア相談にのってくれるエージェントも大勢います。あとは一人でも多くのやる気と才能のある人材を受け入れ、送り出し、業界の活性化のお役に立ちたいと思っています。
―なるほど。COYOTE 3DCG STUDIOの展望について良く分かりました。飯田さん、ありがとうございました!