NEL、技術顧問にアルモハCEO(元メルカリCTO) 柄沢聡太郎氏が就任
NEL株式会社のプレスリリース(2025年6月12日 11時00分)NEL、技術顧問にアルモハCEO(元メルカリCTO) 柄沢聡太郎氏が就任
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000049.000035504.html
「産業革命の中心を、ここに。」をパーパスに掲げ、市場規模150兆円のリテール領域の変革に挑むNELは、さらなる事業成長に向け、エンジニア採用に注力しています。
ブランドとお客様を“推し”でつなげるプラットフォーム「osina」やAIで顧客ニーズを汲み取り改善する「カスタマーAI」サービスを提供しているNELが、エンジニアの採用によって、今後どのように進化を遂げていこうとしているのか。
メルカリで執行役員CTO及びVP of Engineeringを経験し、現在はアルモハ共同創業者CEO兼CTOでありNELの技術顧問を務める柄沢聡太郎さんがインタビュアーとして、NELの事業や組織の現状、エンジニア採用への想い、そして未来の展望について、NEL代表の西田と対談しました。
柄沢:今日はよろしくお願いします! まず、自分自身のNELへの理解を深めるためにも事業や組織の現状を知りたいです。今のNELはどういうフェーズなんですか?
西田:NELは創業から7年半が経ち、いよいよグロースフェーズに入ってきたな、と感じています。最初の5年ぐらいはプロダクトをつくっても全然当たらなくて。20個ぐらいプロダクトをつくっても「こんなにもかすりもしないか」という時期や、ニーズはあってもマネタイズができない時期など、本当にいろんなフェーズを経験してきました。
転機となったのは、3年前から始めた広告代理店事業です。クライアントやクリエイターと取引する中で得たリアルなインサイトを基に「osina」というサービスが生まれました。osinaは、ユーザーが推している商品の紹介動画を投稿することで、商品代のキャッシュバックや動画の再生数に応じた報酬がもらえるプラットフォームです。前年比ユーザー数が3000%成長するなど、急成長を遂げています。
柄沢:3000%成長、というのは驚異的ですね。
西田:osinaは“インフルエンサーサービス”のように思われがちですが、実はそうでもなくて。例えば、元々OLだった方が会社を辞めてosinaだけで生計を立て、結婚したという事例もある。
osinaは単なるインフルエンサーサービスではなく、地方在住の方や、体力的に外で働くのが難しい方などにとって新しい働き方、収入の手段を提供できていると自負しています。
柄沢:なぜ、そこまでユーザー数が増えたんですか? 西田さんから見て、何が大きなポイントだったと思いますか?
西田:osinaのユーザーが増えた背景には、いくつかの要因があると思っています。まず、マクロな視点で見ると、日本の個人所得は減少傾向にあり、稼ぐ手段は多様化しているものの、誰もが大きく稼げるわけではないという現状があります。
また、従来の労働市場では、自分の時間を切り売りしてお金を得るのが一般的でした。ただ、SNSの普及により、個人の発信や社会的なつながりが価値を持つようになった。これを私たちは「ソーシャルキャピタル」と呼んでいます。
このソーシャルキャピタルをマネタイズする手段がまだ少なかったところに、osinaがうまく適合できた。私たちが何かをゼロから作り出したというよりは、時代のニーズに合ったサービスを適切な場所に提供できた、という感覚です。
柄沢:言われてみれば、ありそうでなかったサービスですね。
西田:そうなんです。ただ、シンプルに見えても、オペレーションは非常に煩雑です。そのため、会社としては引き続き、オペレーションの強化を重要な課題と捉えています。
柄沢:事業の成長にはユーザー数の増加と広告主の増加、両輪が不可欠だと思いますが、両方とも順調に伸びているのでしょうか。
西田:「鶏が先か、卵が先か」という話ですが、ユーザー数が伸びれば広告主にとって魅力的なマーケットになり、広告出稿が増えていけばユーザーへのリターンも増えていく。そういった好循環が生まれつつあります。
osinaのユーザー数は、全国に広がっています。これが47都道府県全てをカバーするようになれば、マス広告としての活用も可能になっていく。大手メーカーの場合、商品の売上構成比の9割がEコマースよりも実店舗での流通によるものです。
そのため、東京だけで1億円売り上げても全体から見れば一部です。デジタル広告だけではリーチしきれない地方の消費者にもアプローチする必要があり、現状ではテレビCMなどが主な手段となっています。osinaがさらに成長すれば、現在はデジタル広告の予算が中心ですが、将来的にはマス広告の予算も獲得できる可能性があると捉えています。
柄沢:次に「エンジニア採用」について話を聞かせてください。いま、NELはエンジニア採用を強化しているという話を聞きましたが、その背景や、採用したエンジニアと共にどのような組織を目指しているのか、戦略的なビジョンを教えてもらえますか?
西田:エンジニア採用の背景には、NELが身を置く業界構造が大きく関係しています。osinaが関わる広告マーケットは約3.6兆円規模ですが、その広告主であるメーカーの多くは、年間約160兆円規模の小売・流通マーケットに属しています。ただ、この巨大な流通マーケットにおいてエンジニアの数は全体の1%程度、約10万人程度と非常に少ないのが現状です。
柄沢:ビジネス職が中心で、テクノロジーを活用できる人材が圧倒的に不足している、と。
西田:その通りです。小売業やメーカーの方々と話していても、技術やデータに関しては「よく分からない」というケースが少なくありません。
社内のシステム管理なども外注や委託に頼ることが多くなっている。日本全体の生産性や産業の成長率を見ると、この分野の伸び悩みは明らかで、その根本原因の一つがデータやテクノロジーの未活用にあると考えています。
NELは、この課題に対してテクノロジーを通じてアプローチしていきたい、という基本方針があります。この業界においてエンジニアは圧倒的に希少価値が高く、最先端のテック産業で活躍するよりも、むしろ大きなレバレッジを効かせられる可能性がある。だからこそ、積極的にエンジニアを採用していきたいと思っています。
柄沢:エンジニアが増えることで、具体的にどのようなことに取り組んでいきたいですか?
西田:osinaを通じて得られるデータは、ユーザーが「本当に何が好きなのか」という非常に価値のある情報です。例えば、SNSに投稿する商品以外にも、ユーザーが持っている「愛用品」をアップロードすると10円がもらえるといった施策も行っています。私たちはこれを「界隈」と呼んでおり、例えば「韓国コスメ界隈」「エンジニア界隈」といったように、ユーザーがどの「界隈」に属しているかのデータを収集・分析しています。
このデータを活用し、メーカーとユーザーをより精度高くマッチングさせることで、マーケティング効果を最大化することができます。
この一連のデータの取得、構造化、そして活用に至るプロセス全体で、エンジニアの力は不可欠です 。ユーザーにとって使いやすいプロダクトであることはもちろん、クライアントが使う管理画面の使いやすさも追求していきたいと思っています。
柄沢:現在は業務委託のエンジニアを中心に開発を進めていると聞きました。osinaというユーザー向けの開発と、その裏側にある小売・流通の効率化システムの開発、それぞれの現状とリソース配分について教えてもらえますか?
西田:現在の開発リソースは、約8〜9割をosinaの開発、残りの1〜2割を「カスタマーAI」という小売・流通の効率化システムの開発に充てています。osinaに関しては、私たちが目指している目標の5%程度しか達成できていないと考えており、今後も新規機能の開発に大きな比重を置いていきます。
「カスタマーAI」については、ウエルシア薬局様に導入していただき、1年が経過して成果も見え始めている段階です。これからは他の企業へも展開し、PMF(プロダクトマーケットフィット)を達成していくフェーズだと考えています。
柄沢:エンジニアを採用し、開発を進めていくことで、実現できることはさらに広がっていきそうですね。エンジニアリングやテクノロジーが、NELのビジネスや事業にどのような影響を与え、強みとなっていくと思いますか?
西田:繰り返しになりますが、小売・流通業界全体を見渡すと、エンジニアから見れば想像もつかないほど、データやテクノロジーの活用が進んでいない現状があります。逆に言えば、そこに大きなビジネスチャンス、つまりアップサイドがあるということです。
小売企業は売上規模が5000億円から1兆円を超えるような大企業も多く、そうした企業に対してテクノロジーでインパクトを与え、その結果がドラッグストアの店頭などで目に見える形で現れるというのは、やりがいでもあり、面白さでもあります。実際に、「カスタマーAI」を通じて開発された商品が、この1年で店頭に並ぶといった実績も出ています。
私たちは裏側からサポートする形ですが、最終的には消費者の皆様に価値を届けられている、という実感があります。これはエンジニアだけでなく、NELで働く全員にとってのモチベーションになっています。技術の進化によって、より迅速に、より精緻なサービスを提供できるようになることが、NELにとって大きなインパクトを生み出すと考えています。
柄沢:NELが今、求めているエンジニア像についても教えてください。
西田:今のNELはグロースフェーズであり、技術的なこだわりももちろん重要ですが、それ以上にプロダクトを通じて事業や社会にインパクトを与えたいという想いを持つ方に来ていただきたいです。エンジニアという職種ではありますが、NELではどの職種であってもビジネスを創るということに主体的に関わっていただくことを期待しています。
エンジニアチームが事業部長や経営層の視点を持つことも大歓迎です。AIが進化すればするほど、人間はより付加価値の高い領域にシフトしていく必要があり、それが日本全体の最適化にも繋がると考えています。ですので、ビジネスサイドにも興味があり、挑戦してみたいという方が、NELとは非常に相性が良いと思います。
柄沢:事業そのものに興味がある人、ということですね。今のフェーズではそれが最も重要かもしれません。ちなみに過去に一緒に働いた方で、「この人ともう一度働きたい」と思う人の特徴は何ですか。
西田:まず「元気」であること。これは冗談のようですが、意外と大事です。しっかり食べて、エネルギッシュに活動できる人は魅力的ですね。
真面目な話でいうと、単に言われたものを作るだけでなく、「これは何のために作るんですか?」と目的を問いかけてくれる人は、相性が良いと思います。目的が明確でないまま機能を作っても、結局使われないものができてしまうことが多いからです。
もう一つは、コードを書くのが好きな方はもちろん大歓迎ですが、それだけではなくコードを書き何かを作った結果、世に問い、検証をしてみたいと言う好奇心旺盛な方です。
NELの社風として、ビジネスサイドも営業も、新しいことを試す際には「とりあえずやってみて、市場の反応を見よう」という文化があります。評価者は社内ではなく社外にいる、という考え方です。
この「社外からの評価を得ることを楽しめる」方は、過去一緒に働いた中でも、またぜひ一緒に働きたいと思う方々ですし、現在も業務委託で4年ほど継続して関わってくださっている方も、そういったタイプの方が多いです。
柄沢:ちなみに今回、私に技術顧問として声をかけていただいた理由についても、改めて聞かせてもらえますか?
西田:2025年度の事業計画を考えていた際、NELは営業やビジネスサイドのメンバーが中心で、このままではエンジニアリングの力で差別化を図ったり、付加価値の幅を広げたりすることが難しいと痛感しました。
私自身がエンジニア組織を細部まで見ることは難しいですし、新しく入社するエンジニアや既存のメンバーが成長できるプロセスを提供することも困難だと感じていたんです。
そこで、マーケットの視点を持ち、事業を創る経験も豊富で、かつエンジニア組織をどう作っていくかという知見をお持ちの柄沢さんに技術顧問をお願いしたいと考えました。実際にお願いしてから、社内のエンジニアリングに対する視座は確実に上がっています 。
柄沢:そう言っていただけて嬉しいです。具体的に何か変化はありましたか?
西田:以前は私が直接柄沢さんに相談することも多かったのですが、最近はプロダクトチームが柄沢さんに直接相談し、それをチーム内で咀嚼して実行に移すというプロセスを意識的に作っています。
私が間に入ると、どうしても私が聞いて理解したことを伝える形になってしまう。そうではなく、チーム自身が考え、試行錯誤することで成長が促されると考えています 。
その結果、チームから出てくるアウトプットの質や、「なぜこれが必要なのか」という理由の解像度が格段に上がりました。柄沢さんの経験に基づいたリアルな意見や、常に新しいことを学ばれている姿勢が、チームに良い影響を与えてくれていると実感しています。
柄沢:最後に、経営者として、あるいは会社を率いるリーダーとして、仕事の楽しさやモチベーション、「こういう仲間と一緒に働きたい」という想いについて聞かせください。
西田:私自身、一番楽しいと感じるのは、実験をすること。もともと好奇心が非常に旺盛なので、新しいことに挑戦するのが大好きなんです。
そして、その挑戦をするためには、安定した事業基盤、つまりお金が必要です。お金儲けそのものが目的ではなく、新しい価値を生み出すための挑戦を続けるために、お金という基盤を整える。ようやく、その基盤が整い、様々な挑戦ができるようになってきたのが、今のNELです。この挑戦を一緒に楽しめる仲間が増えれば、さらに楽しくなると思っています。少しでもNELに興味を持った人は、ぜひご連絡いただけたら嬉しいです!
柄沢:貴重なお話をありがとうございました。
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