【Our Voices】成長は事業継続の生命線、だから“育成”に本気で向き合う(前編)
InterRace株式会社 Vice President
森本 さやか
2003年リクルートに新卒入社。求人広告の新規開拓営業、大手営業を5年間担当した後、東京本社でHR領域のIT専任組織の立ち上げ、事業企画、商品企画を幅広く経験。その後、中途採用サービスの商品企画Mgr、人材紹介会社との提携事業の責任者を歴任。InterRaceには創業メンバーとして参画し、現在はHR領域およびパートナー連携の責任者を務める。
セカンドキャリアで問い直した、“何のために働くか”
──さやかさんは、元々リクルートご出身ですが、リクルート時代の経歴を教えてください。
リクルートに新卒で入社したのは、まだ求人誌『B-ing』が主流だった時代。採用メディアが紙からネットへと大きくシフトしていく過渡期でした。その中で、中途・新卒・アルバイトといった多様な領域に関わりながら、HRの現場に真っ向から向き合う日々を過ごしていました。
キャリアの始まりは新規開拓営業。TELアポや飛び込み訪問を重ねる営業の最前線からスタートし、やがて大手企業の採用支援を担当するように。そして5年目にはIT業界専門の新組織立ち上げメンバーとして東京へ異動。そこから営業に加えて、営業企画、事業企画、商品企画といった企画業務全般へと役割を広げていきました。
中でも、スカウトサービスの先駆けとなる「Nプロ」の商品企画マネージャーを任されたとき。クライアントと求職者、そして事業者それぞれの視点から価値を追求しサービスをつくる難しさと面白さを、そこで初めて本格的に経験しました。
その後は、リクルート版「ダイレクトリクルーティング」にあたる『RAN・キャリアカーバー』(現:リクルートダイレクトスカウト)の事業責任者としてプロダクトを管掌。部長格として小規模組織を束ねながら、HR領域の成長と変革の最前線に立ち続けました。この一連の経験が、今InterRaceでの挑戦にもそのまま活きています。
──さまざまな経験を重ねてこられた中で、なぜ次のチャレンジに踏み出そうと思ったのですか? また、次のステージでもHRを選ばれた理由は?
リクルートでは、先ほどお話ししたように、営業から企画、プロダクト、マネジメントに至るまで、HR領域の多様な役割に携わってきました。「ひと通りやりきった」と思えるくらいの経験をさせてもらったことで、「次にやりたいこと」が思い浮かばなくなってきたんです。
40代になり、子どもも小学校高学年。社会人人生を60歳までと想定すれば、残された時間はあと15年ほど。このタイミングなら、もう一度本気でチャレンジできる。──そう思い、ネクストキャリアを模索し始めました。
最初はいろいろな業界や職種に目を向けましたが、「経験やスキルを元に、貢献・チャレンジできる場所」、かつ社会的に本質的な価値を生む仕事がしたい。そして辿り着いたのが、やはり自分にとっての原点であるHRだったのです。
ありがたいことに、人材紹介事業の立ち上げや、メディア領域の責任者のポジションなど、いろんな企業からお声がけいただきました。でも、それならリクルートにいたままでも実現できる。すでにある枠組みの中で拡大を志向するビジネスには、あまり興味を持てなくなっていました。
だからこそ、自分の手で価値を生み出せる環境に身を置こうと決めたのです。それが、次のキャリアを選ぶうえでの大きな軸になっていきました。
もう一転、20年育ててもらったHRというフィールドで、次は自分が価値を還元していく番だという思いもありました。HR領域における社会の大きな課題に対して自ら課題を設定し、解決の糸口を探る。そんな挑戦ができる場所に身を置きたいという想いが強くなっていきました。
それまでは、正社員という枠組みの中で、企業の採用枠をどう充足するのかが仕事の中心でした。でも、それだけではもはや社会が回らない──そう感じていました。労働力不足や構造的なミスマッチといった課題に、より本気で向き合っていく必要がある──そう感じていました。
特に、労働人口が減少していく中で、伸びる力を持った企業が埋もれてしまい、本来出会うべき人材とつながれない。その構造そのものが、日本経済の停滞を招いているのではないか。そんな問題意識が、次第に自分の中で明確になっていきました。
これからのキャリアを通じて、社会に対してより深い価値を発揮したい。HRというフィールドで、自ら課題を見つけ、未解決のテーマに粘り強く向き合っていく。もちろん、一度にすべてを変えることはできません。それでも、「この手で変えられるはずだ」と実感できるリアリティのある場で働きたい。そんな思いが、次の一歩を後押ししました。
“共感できる思想”“規模感”“働く人”すべてがここにあった
──HRスタートアップが数多くある中で、なぜInterRaceを選んだのでしょうか。
理由として大きく3つあります。
1つ目は、取り組んでいる社会課題が自分の問題意識と合致していたこと。多くのHRスタートアップがある中で、InterRaceは「働き方」そのものの構造課題に切り込み、本質的なテーマに挑んでいると感じられた点に惹かれました。
2つ目は、事業と組織の両方に深く関わっていける「規模感」です。私は32歳から管理職になりましたが、年々マネジメントの比重が高まるにつれ、調整業務や“桁の違う事業計画”に追われ、次第に現場との距離が開いていく感覚がありました。そして、やれることを吐き出し続ける毎日にどこか虚しさも感じるようになっていました。
もう一度、自分の手で手触り感のある仕事をしながら、学び直したい。そう思ったときに、一メンバーとして入るだけでは影響力を発揮しにくいし、かといって大きすぎる組織ではまた同じ構造に逆戻りしてしまう。その点InterRaceは、その“現場感”と“影響力”、両方を肌で実感できる、まさにリアルに学び、リアルに動ける絶妙なサイズ感だったのです。
そして3つ目は、「誰と働くか」です。リクルートで繰り返し教えられてきたのは、「事業は人がつくる」という言葉でした。どんなに優れたアイデアやプロダクトも、それを事業として形にし、育て、広げていくのは人の力です。そこに意思があり、行動があり、スキルや経験が伴ってこそ、はじめてビジネスは動き出す。その本質を、現場で何度も実感してきました。今も、そう信じています。
InterRaceには立ち上げ当初から、まだ社員という形ではなかった人も含めて、“自分の足で歩こうとする人たち”が集っていました。誰かに任せて待つのではなく、自分なりのサイズ感で物事を前に進められる人たち。誠実で、信頼して背中を預けられる人たち。そうした人たちと、「ここでなら、自分ももう一度ネクストチャレンジができる」と思えたことが、最終的にInterRaceを選んだ決め手になっています。
昔から「キャリアの終盤はどう働いていたいか?」と問われると、いつも頭に浮かぶのは、ジョージー・クルーニーやブラッド・ピットが出演した映画『オーシャンズ11』でした。ああいうスペシャリストチームで仕事をすることです。信頼できる人たちが、それぞれの得意技を持ち寄りながら、それぞれの役割を果たしていく。そんな組織の中で自分も役割を果たせる人間でいたい、という感覚が、自分の根っこにはずっとありました。
InterRace創業当初はまさにその原点のような場所でした。大きさや知名度ではなく、「誰と、どんな思想で仕事をするか」。それを大切にした結果、私はここを選びました。
以上が、私がInterRaceへの入社を選んだ理由になります。
後半では、再度InterRaceならではの成長や育成方法について、InterRaceで働く魅力は何かというところについてお話を伺う予定です。
後編へ
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