前編では、これまでのキャリアやメドエックス参画の背景、そして「現役看護師がコンテンツをつくる意味」について伺いました。
後編では、SNS採用「メディッチ」の意義や現場でのやりがい、ひとみさんの人柄が伝わるエピソードを深掘りしていきます。
── SNS採用「メディッチ」についてどう感じていますか?
病院のホームページや求人票だけだと、どうしても表面的な情報になってしまって、現場の“本当の空気感”が伝わらないと思うんですよ。
私たち看護師は、写真や文章だけではわからない、そこで働く人たちの表情や日常が知りたいんですが、そこにアクセスできる手段がこれまではなかったんです。
SNSは、そのギャップを埋めることができるツールだと思いました。
動画だと普段のコミュニケーションや業務の合間の空気なんかを感じられる。それは求職者にとっても安心材料になりますし、病院側にとっても「ありのままの姿で魅力を伝える」ことにつながります。
もっと自然に、もっと手軽に。SNSだからこそ、双方にとってプラスになる仕組みだと感じています。
──なるほど、SNSだと看護師さんが本当に知りたい転職先の業務イメージや雰囲気が伝わりやすいんですね。
そうなんです。これまでの採用広報素材だと綺麗に作り込まれたものが多いですが、それだと働く人のリアルって伝わらないじゃないですか。
そのギャップが「はいってみたら想像と違った」という大きなストレスになって、結果として、せっかく採用されたのに辞めてしまうという残念な結果につながっているケースも多いと思うんですよね。
SNSなら、もっと肩の力を抜いた、自然体の現場の様子を届けられます。スタッフ同士のちょっとしたやりとりや、病棟の雰囲気、患者さんに寄り添う瞬間。そういった“素の表情”を感じ取れるからこそ、それを見た人も「ここで働く自分」を想像しやすくなる。
結果的に、採用のミスマッチを防ぎ、定着率が高くなる。コスト削減というのもメディッチの良いところだと思いますが、働く目線でいわせてもらうと“現場の安心感を伝えられること”こそがSNS採用の最大のメリットだと思っています。
実際のSNS発信内容画面
── 採用だけではなく、離職率の低下にも効果的ということですね。代表の右高さんや会社のビジョンに共感していることについても教えていただけますか?
私は看護学生の頃、「患者さんに優しく寄り添える看護師になりたい」と夢を描いていました。
でも、いざ現場にたってみると、そこには想像以上に厳しい現実が待っていました。病院は常に人材不足で、毎日が最低限の業務をこなすだけで精一杯。気づけば、あの頃思い描いていた理想の看護師像からどんどん遠ざかり、心が擦り切れてしまうような毎日に苦しくなることもありました。
だからこそ、人材のミスマッチをなくして医療現場を改善していこうとするメドエックスの取り組みは、本当に意義のあるものだと思っています。
右高さんが医療業界にこだわり続けて事業を進めてきた姿勢に強く共感しますし、私自身も業界を少しでも良くしていく一つの力になりたいと考えています。
── 看護師として働く中で「幸せ」を感じるのはどんなときですか?
私は今、緩和ケア病棟に勤務していので、ここでは患者さんの“看取り”の場面がとても多いです。最期を迎えるにあたり、ご本人が希望を口にできないこともよくあります。だからこそ、ご家族と一緒に「この方らしい最期の時間をどう過ごせるか」を考え、ご本人もご家族も悔いのないようにしたいと考えています。
「最期に〇〇できてよかったね」とご家族が口にしてくださる瞬間、その方が旅立たれる悲しさの中にも確かな安らぎを感じます。
お別れというとても悲しい時ではありますが、患者さんとご家族のお役に立てたという想いが同時に存在する、私にとってはかけがえのない瞬間です。
── ご自身の「自分らしさ」が発揮できるのはどんな場面ですか?
患者さんやご家族が感情を吐き出すときですね。やはり命という非常に重い現実に直面して、涙が止まらない方もいれば、怒りをぶつける方もいます。そうしたさまざまな感情を冷静に受け止めて、一緒に悲しみに寄り添ったり、一緒に病気に怒ったりすることができる、冷静さと共感、この二つのバランスを取れることが、私の“自分らしさ”だと思っています。
── 仲間からはどんなキャラクターだと思われていますか?
まぁ、そういう仕事のスタンスからか「いつも冷静」とか、クールな人と見られることが多いですね。実は本人の頭の中はプチパニックになっている時もあるんですけど(笑)
とりあえずできることから淡々と進めるので、周囲には落ち着いて見えているのかもしれませんね。
── 確かに、あせっている様子って周りにも伝染しますものね。見習いたいものです。では話題を変えましょう。小さいころの夢はなんでしたか?
小学生の頃は医師になるのが夢でした。医療という世界に漠然とした憧れを抱いていたんです。高校生のときに緩和ケアを知り、今度は「看護師になりたい」と強く思いました。
少し時をおいて転職を経て再び緩和ケア病棟に戻り、「やっぱり自分はここに導かれてきたんだ」と感じています。原点に立ち返ったような、不思議な感覚ですね。
── ひとみさんにとっては天職なのかもしれませんね。ちなみにお休みの日はどのように過ごしていますか?
語学の勉強をしています。いつかたくさん海外旅行に行きたいので、その準備をしています。いつか学んだことを現地で使い、コミュニケ―ションできる日を楽しみにしています。
── それでは最後にメドエックスへの入社を考えている方へメッセージをお願いします。
経営者としての右高さんも面白いですし、事業も本当に社会的意義のある取り組みです。看護師の私から見ても「応援したい」と心から思える活動です。
現場のリアルを知る人が声を上げなければ、医療業界はなかなか変わりません。でも、メドエックスにはその声を形にしていく仕組みがあります。
だからこそ、この挑戦に共感してくださる方が一人でも多く仲間になってくれたら嬉しいです。
看護学生の頃に描いた理想と、現場で突きつけられた厳しい現実。
その両方を知っているからこそ、ひとみさんの言葉には重みがあります。
「人材のミスマッチをなくして現場を良くする」というメドエックスの挑戦は、決して大げさな夢ではなく、一人ひとりの医療従事者の声から生まれたものです。現場を知る看護師のリアルな視点が、これからの医療業界を少しずつ変えていく原動力になるはずです。
患者さんに寄り添いながらも、仲間や次の世代のために未来を描こうとするひとみさんの姿勢は、多くの人に勇気を与えてくれます。
医療従事者が安心して働ける環境をともにつくるために、あなたもぜひこの挑戦に加わってみませんか。