vol.02 社員インタビュー / 「マニュアル不要の“使いやすさ”」を追求。学校現場の“生の声”を形にする開発責任者の技術哲学
“使いやすさ”のその先へ──技術と情熱で挑む、自社サービス開発の舞台裏
自社SaaS「Bukatsu Page&アプリ」の開発責任者として、AI機能やPayPay決済などを次々と実装。「使いやすさ」に徹底的にこだわり、学校現場の声を形にしています。今回は、開発の裏側からサービスづくりの醍醐味、求める人材像などを伺いました。
【プロフィール】
杉林 紀郁
中学時代にプログラミングと出会い、ものづくり一筋でキャリアを歩む。ソフトウェア開発会社、人材系企業を経て、2020年にアーネストテクノロジーズへ参画。現在は部活動支援サービス「Bukatsu Page&アプリ」の開発責任者として、要件定義から設計・実装まで幅広く担当。AI機能やPayPay決済などを実装し、「使いやすさ」にこだわったサービス開発を推進している。
プログラミングとの出会いから、自社サービス開発へ
プログラミングに初めて触れたのは、中学3年生のときでした。その瞬間、「面白い!」と感じて、これを一生の仕事にしたいと思ったんです。
社会人としてのキャリアは、20数年前にソフトウェア開発会社に入社したところから始まりました。そこで10年以上にわたって開発業務に携わり、幅広い経験を積みました。
その後、人材採用コンサルティング会社に転職し、システム開発部門にてさまざまなサービスの開発を担当。約3年間勤めたのち、アーネストテクノロジーズに入社しました。
――これまでのキャリアの中で、特に印象に残っているプロジェクトはありますか?
前職で担当した「新入社員向けオンボーディングアプリ」の開発ですね。毎日「今の気持ちは?」「体調は?」といった質問に答える仕組みで、上司が部下の変化に気づけるよう設計しました。日報よりも気軽に使える、定着支援ツールを目指しました。
本プロジェクトでは、スマホ対応にあたって、当時まだ新しかった「Flutter」を初めて導入しました。苦労も多かったですが、今の開発にも活きている貴重な経験です。
――現在担当されている「Bukatsu Page&アプリ」の開発責任者になった経緯を教えてください。
自社サービスに取り組みたいという想いは、以前から社長に伝えていました。私だけでなく、開発メンバーの多くが関心を持っている分野です。その中で、社長の判断で私が担当することになりました。理由は…技術力を評価してもらえたからだと信じています(笑)。
希望が叶って嬉しかった反面、「ちゃんと売れるものにしなければ」というプレッシャーもありました。
使いやすさを軸に、差別化を生んだ開発アプローチ
――開発の過程で、最初に感じた課題や壁は?
最初はとにかくスピード重視でした。まずはサービスを立ち上げて、形にすることが求められていたので、「早くやらなくちゃ」という焦りがありましたね。どうすれば効率よく開発を進められるか、常に考えていました。
その後は要件定義からアーキテクチャ設計、実装まで、すべての工程に関わりました。私が案を出し、チームメンバーと意見をすり合わせながら形にしていくスタイルでした。
――ユーザー体験を最大化するために、特にこだわった機能や設計はありますか?
一番こだわったのは「使いやすさ」です。マニュアルがなくても直感的に操作できるよう、シンプルでわかりやすい設計を意識しました。
最近追加した機能の中では「AI機能」がお気に入りです。設定画面で記事のタイトルを入力してボタンを押すと、部活にふさわしい文章が自動生成される仕組みです。生徒さんたちが長文を書く負担を補えるので、とても便利になったと思います。
――学校の先生方や生徒さんから寄せられた要望で、印象的だったものはありますか?
印象的だったのは「集金機能」です。部費などのお金を集めて管理するのが大変で、「誰が払っていないのか分かりづらい」「金額が合わない」といった課題が多くあがっていました。そこで、決済機能を導入し、システム上で管理できるようにしました。今ではかなり多くの団体に利用いただいています。
――決済機能の実装は大変でしたか?
はい、初めての取り組みだったので、まずはどんな決済サービスがあるのかを調べるところから始めました。部活動での利用に適したものを選定しながら、慎重に進めていきました。
なかでも特に技術的な挑戦だったのが「PayPay機能」の追加です。PayPayとは直接契約して連携する必要があり、かなり作り込みましたね。難しさはありましたが、部活動向けのサービスでPayPayに対応しているものは少ないので、大きな差別化ポイントになったと感じています。
現場の声に応える開発。技術の自由度が生む、次の進化
――杉林さんが開発を行ううえで、大切にしている考え方は?
それぞれのプラットフォームに最も適した技術や手法を選ぶことです。技術選定では、特に「カスタマイズ性」と「自由度の高さ」を重視しています。
便利なツールの中には、ワンクリックで機能を追加できるものもありますが、そうしたツールはあらかじめ用意された機能しか使えず、理想に合わせた細かな調整が難しいことが多いんです。だからこそ、自由度が高く、ドキュメントが充実していて、「どこまで」「どうやって」カスタマイズできるかが明確な技術を選ぶようにしています。
――PHPとWordPressを選択されたのも、その理由からですか?
はい。開発当初はスピードを重視していたこともあり、PHPとWordPressを採用しました。確かに古い技術ではありますが、カスタマイズの自由度が非常に高く、環境も整っているため、まったく不便さは感じていません。むしろ、この選択は正しかったと感じています。
――今後、追加したい機能やサービスのアイデアはありますか?
まず検討しているのが「出席管理機能」です。部員・顧問・保護者の三者が情報を共有でき、保護者が代わりに出欠連絡を行えるような仕組みをつくりたいと考えています。
次に「活動記録機能」です。どんな活動をしたのか、どんなスキルを得たのか、どのように成長したのかを記録・共有できるようにするもので、三者間での共有はもちろん、一部を一般公開することも視野に入れています。
さらに、面白い構想として「練習試合のマッチング機能」もあります。日程を調整して「この日に試合をしましょう」とスムーズに決められるような仕組みです。今後ユーザー数がさらに増えたタイミングで、実装を進めていきたいですね。
――「Bukatsu Page&アプリ」を通じて、部活動の未来をどう変えていきたいですか?
頑張っている人たちが、地域を超えてつながり、互いにモチベーションを高め合える──そんな存在を目指しています。SNSではなかなか実現できない、部活動に特化した新しいつながり方を提供していきたいですね。
ユーザーの声を近くに感じる、自社サービス開発のやりがい
――受託開発とは異なる、自社サービスを育てる意義や醍醐味は?
ユーザーである先生方や部員、保護者の方々の声を、より近くで感じられることですね。やはり“気持ちの入り方”が違います。自社サービスは会社の利益にも直結するので、「もっと多くの人に使ってもらいたい」「サービスを大ヒットさせたい」という思いが強くなります。正直、ヒットしたらボーナスにつながるかも…という気持ちもあります(笑)。
また、ユーザーの反応がすぐに見え、それをもとに素早く改善できる。そのスピード感も、自社サービスならではの醍醐味だと感じています。
――自社サービス開発のエンジニアとして、どんな方が活躍できると思いますか?
まずは、「ものづくりが好き」「プログラムを書くのが楽しい」という気持ちを持っていることが大切だと思います。
また、「このサービスに、こんな機能があったらもっと便利になるのでは?」といったアイデアを積極的に出せる人も向いていますね。まだまだ進化途中のサービスなので、固定観念にとらわれず、フラットな視点で意見を出せる人が活躍できると思います。
――会社全体の魅力や働きやすさについても教えてください。
とても自由な会社だと思います。自分のペースで出勤時間を調整したりと、柔軟に働ける環境です。もちろん「自由=甘え」ではなく、成果をしっかり出すことが前提。そのうえで、各自が裁量を持って働けるのが魅力ですね。
社員同士の関係もフラットです。ただし、昔ながらの馴れ合いではなく、新しく入った人もすぐに溶け込めるような雰囲気を大切にしています。
――最後に、読者のみなさんへメッセージをお願いします!
プログラムを書くことが好きで、自社サービスを一緒に育てていきたいという方をお待ちしています。ユーザーの声を身近に感じながら、共にサービスを成長させていきましょう!