八百鮮の魅力とは何なんだろうか。働く目線で、代表自ら書いてみようと思う。
テーマ
- 個店仕入主義(仕入れを任せること)
- リアルマーケティング
個店仕入主義
仕入を任せてもらえる仕事ってどれだけあるだろうか。
例えば営業職になったとして、自社の取り扱う商品の原価って知っているだろうか?と考えると、ほとんどの場合はわからないと思う。それは、販売職であっても同じだろう。
僕たち八百屋の業界でも、仕入に携わることができるということは稀で、バイヤーと呼ばれる本社の一部の人だけが、仕入を握っていることが多い。
八百鮮では、この仕入というものに着目して、多くの社員が仕入に携わるように事業設計されている。
なぜか?
ずばり、仕入が商売の中で一番面白い業務だから。
僕は28歳で起業した。毎日市場に仕入に行き、売ってみたい!食べてみたい!と思えるものを(まるで)宝探しのように探しては買い付けをして、それを日々売り切るということを繰り返してきた。
そして、この宝探しのような毎日が面白くてしかたなかった。
(↑ 担当者が独自に仕入れた商品を店舗に荷下ろししている写真)
会社が成長し、若いスタッフも入社してくるようになり気付いたのは、こんなに面白い仕事を自分だけのものにしていていいのだろうかという疑問だった。若い子たちにも、商売のおもしろさを伝えたいという気持ちは、仕入を任せるというスタイルへ昇華していった。
バイヤーによる仕入れは確かに効率的。一人のバイヤーが大量に仕入れることで、バイイングパワーを武器にできるし、物流も配送すれば効率的で理にかなっている。一方で、商売の醍醐味である仕入れ業務はほんの一部の人にしか体験できないというもどかしさが残る。
どちらを優先するべきか。僕の答えは明白だった。仕入を任せきろう!そう思った。
そして、八百鮮では個店仕入という手法を採用し、バイヤー制を一切禁止。
本社からの送り込み商品はゼロにしている。それぞれの個店が独自に仕入れを行い、値段設定から、レイアウト、値下げ、売り尽しまでの一連を店舗で完結する仕組みを構築した。
(↑ 八百鮮野田本店)
こうすることで、店舗数×仕入担当者が必要になる。仕入を任された者は、自分の店で売る分だけを考えて買付を行う。何を仕入れるか、いくらで売るかを店のオーナー感覚で決めることができる。まさに、僕が八百屋の仕事にハマっていった商売のおもしろさの核を多くの社員が体験できる仕組みだ。
自分の力で売上と利益が大きく左右する。店の成長=自分の成長であり、責任は重大だが、これほどのやりがいはない。
年間数億円のお金を動かし、数千万円の利益を上げることができる。
まさに経営者になったつもりで、自分お店を動かすことができる。
リアルマーケティング
仕入を任せられるようになると、次は売上利益をどう上げるかという戦いがはじまるわけだが、これがまた面白い。
何を仕入れるか、いくらで売るのか、どこに置くのか、どのようにお客様にアピールするのか
これはまさにマーケティングの世界だと思う。
リアル店舗だからこそ、お客様の動向をアンテナ高く察知して、なぜ売れるのか?なぜ売れないのか?を、目の前のお客様の動きから思考し続ける仕事となる。
逆に言えば、これほどわかりやすいマーケティングの勉強はない。
例えば、お客様がキャベツをかごに入れようとしてやめた。という瞬間を目にしたとする。そこからどんな仮説を立てるか。
かごに入れるのをやめたのはなぜか。
値段なのか、重さだったのか、巻が甘かったのか、置いてある場所が悪かったのか、もしかしたら、接客がわるかったのかもしれない。自分なりの仮説を立てて、売れなかった理由を考察する。そして、翌日はその反省を生かしてキャベツを売るということに向き合うわけだ。その改善の繰り返しを毎日行うことで、知らないうちにキャベツはいくらでると売れるのか、どういうキャベツが人気なのか、どこに置くとよく売れるのかが、つかめるようになってくる。
こんなPDCAを日常の中で当たり前に繰り返し続けた1年後のあなたは、間違いなく恐ろしいほどのマーケティングスキルを身に着けているはずだ。
キャベツひとつが売れない人間に、本当のマーケティングはわからない。僕たちの仕事には、そのすべてが詰まっている。
最後に、ここまで読んでいただきありがとうございます。
仕入を任せる環境と、リアルマーケを体得する環境を八百鮮は用意しています。社員一人一人が考える売場がここにあるから、八百鮮は10年間(2014年5億→2024年59億)で売上を10倍にすることができたのではないかと思います。日本一かっこいい八百屋をめざして突っ走る当社では、八百屋のスタープレイヤーを輩出するべく、採用活動を行っております。