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人不足といわれる中でも超属人的な経営を貫く、売上59億円の八百屋。

マニュアルなし!!人不足といわれる中でも超属人的な経営を貫く、売上59億円の八百屋。


はじまり

2010年、八百鮮が誕生。大阪の商店街の一角…15坪の小さな八百屋からスタートした。起業当時はとにかくお金がなく、なけなしの50万円を元手に仕入れを開始。卸売市場に初めて自分のお金を握りしめて買付をしたときは、人生の中で一番緊張したのではないか。買い付けを進めていくたびに資金はどんどん減っていく。「本当に売れるのだろうか?」という不安が僕を緊張へと導いていく。

同時に、八百屋でベンチャーをやるんだという腹の底から湧き上がってくる情熱は緊張を上回っていたようにも思う。なんとかして売るんだという気持ちが心を強くして、初めての仕入れを完遂した。

25万円売れれば、ひとまず予定通り。何とか食っていけると思っていた。しかし、蓋を開けてみると、売上は初日こそ23万円と惜しかったが、翌日には15万…その翌日には8万。さらには5万なんて言う日も。どんどん目減りしていく売上に僕の気持ちは折れそうになっていった。「なぜ売れないんだ?どうしたらお客さんは来てくれるのか?何が悪いのか?」頭の中はぐるぐると迷走していった。そんな折に、仲間の存在が僕の心をつなぎとめてくれた。


なぜ、八百鮮はここまで人にこだわるのか。

実は、八百鮮は大学時代のゼミ仲間3人で起業した会社。僕には仲間がいた。心が折れそうなときには、とにかく話し合った。すると、トマトは反応がいいから一番前に置いてみよう!とか、ジャガイモとにんじんは日持ちするから売りやすい!という意見が出てくる。僕たちは、話し合ったことを翌日の仕入れに反映させ、売場に反映させていった。時には、近所の〇〇スーパーが大根を198円で売っていたから、180円で売ってみよう!という具体的な駆け引きも営業時間中にすることもあった。

(大学時代の 代表 市原さん(写真左)と 副社長 岩崎さん(写真右) )

そんな試行錯誤のなかで、僕たちは少しずつ売上を回復させていった。仲間から出てくる改善という名の光明に僕は心が繋ぎ止められていた。とにかく毎日遅くまで店に残って、レイアウトを変更してみたり、議論を重ねたりしていた。朝は5時から仕入れに行くという生活は、まさに24時間仕事しているような状況だった。1か月ほど経過すると売上は15万円ほどになっていた。

折れそうな心は、ワクワク感に変わっていた。仲間の力を信じて、改善を繰り返し続けていく。するとお客さんが増えていく。同時に売上も伸びていく。そんな手ごたえを感じるようになっていた。たかが1か月だが、これを2年3年と続けていけば、売上は上がる一方でないか!いけるぞ、いける!という気持ちになっていた。

話は少し飛ぶが、僕たちの商売はこの時から変わっていない。創業から14年目に突入した今も、仕入れてきたものを売り切る。その売上金を翌日の仕入れに充てる。どうすれば売れるのかをチームで議論する。置く場所を変えてみる。値段を変えてみる。それを、仕入と売場にどんどん反映させていく。何を仕入れて、いくらで売るのか?どう売るのか?という自問自答を誰もがしている。それが僕たちの原点だから。商売の原点がそこにあるからだ。

この繰り返しの結果、売上は年間59億にまで到達した。元手50万円で始めた八百屋が59億へと成長した事実は、みなさんにはどう映るだろうか。

僕は、人の力や仲間の力の偉大さをそこに感じずにはいられない。事業づくりより大切な何かがそこにはあるような気がしてならない。

事業を作る前に人をつくれ。

詳細ブログ🔗年商28億の八百屋「八百鮮」の縁の下の力持ち!創業までの道のりと想いとは?



だから僕たちは人への投資をやめない。

今年の目標は75億を予定している。さらに、5年後の中期目標は150億を予定している。

これをすべて、人の力で成し遂げようと考えている。

店を増やせ、

事業をECに転換しろ、

新規事業をつくれ

と事業投資にばかり目が向いている小売業界もあり、我々の考え方は逆張りといわれるが、それでいい。


八百鮮が採用し続ける理由

ここまで読んでくれた方なら、気付いていただけたのではないかと思うが、

なぜ、八百鮮という商店街の名もなき八百屋が、これほどまでに採用にこだわるのか。八百鮮はぜ、人を採用し続けるのか?

そ れは仲間の大切さを知っているからに他ならないし、ワクワクできる仕事を生み出すのは人の力に他ならないことを身をもって体験してきたからに他ならない。


( ↑ 3か月に1度は各店の代表者が集まり、ビジョンや今後の施策・現状を共有)


企業は人なり。

成長ドライバーはいつでも人の力だった。仕入れて売り切るという事業モデルはいたってシンプルなもの。言い方を変えれば、事業モデルに革新性があるわけではないということだが、それこそが最大の差別化だと思っている。

効率化を求めるあまり、商売は無機質なものに転換されてしまった。僕たちは、あえて逆張りの戦略を突き進む。

仕入れは属人的に。店の運用は独立採算制で、業務をマニュアル化しすぎない。

そこには、創業当時にあったようなみんなで改善を繰り返し、そのための議論を重ね、こうしてみようああしてみようと店は進化し続けるための戦術が確かに存在している。

商売は本来は温かみのある有機的なものであるはずだ。


自分の手で、店を成長させるという経験は必ずあなたの仕事観を覆してくれると信じている。

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