こんにちは!広報担当の工藤です。
セカツクは芸能関係者を支援する取り組みの一環として、演劇団体のスポンサー事業を行っています。
「人を楽しませ、感動させる」
そんな表現者である役者さんや劇団関係者の皆様を応援したいという思いと、「変わりたい人が、変わり続けられる会社で在る」という当社のビジョンとのシナジーから始まった取り組みです。
俳優・声優・芸人など、多くの夢追い人が自分の可能性を信じて舞台に立つ姿に、私たちは深く共感しています!
今回は、実際に演劇業界の現場で活躍している皆様が何を考え、どのような思いでセカツクと関わってくださっているのか、インタビューを行いました。
第四弾となる今回は、元アナウンサーという異色の経歴を持ち、"小説”を軸に、独自の「文学エンターテイメント」を追求する演劇ユニット「Mido Labo」の主宰・松井 みどり(まつい みどり)さん。
松井さんはアナウンサーとして活躍後、演劇の世界へ。
2015年にMido Laboを立ち上げ、自らプロデュースと出演をこなしながら、
言葉の力を最大限に活かした舞台を創り続けていらっしゃいます。
そんな松井さんの、表現への深い洞察と、Mido Laboならではの創作の裏側について、お話を伺いました!
ぜひ、最後までご覧ください!
Mido Labo設立のきっかけを教えてください。
はい、Mido Laboは私が一人で始めたものなんです。
「みどりの実験室」という名前の通り、色々な表現方法を試す場としてスタートしました。
私は元々アナウンサーだったので、朗読はやっていたんですけれど、その中で「人に見られる中で読むってどういう意味があるんだろう?」ということにずっと興味があったんですよね。
声だけなら音声メディアで十分なのに、わざわざ劇場に来ていただく。それに対して、ただ読むだけじゃない、何かこちら側ができることがあるんじゃないかと。それを具現化するために、演出の菊池ともう一人ギタリストの方と3人で始めたのが最初の舞台です。
舞台上に立っているのは私とそのギタリストの方だけ、というところからスタートしました。
朗読とギター、意外な組み合わせですね。なぜギタリストの方を迎えたのですか?
実は朗読と音楽ってすごく親和性が高くて、特にギターは弦楽器なので声に寄り添ってくれるんです。
ピアノは打楽器なので結構強いんですが、ギターは繊細で。知り合いにちょうどいい方がいらっしゃったので、ぜひにとお願いしました。
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(左)みどりさん (右)ギタリストの竹内さん
どのようなコンセプトでやられているんですか?
私は元々本が大好きで、小さい頃からたくさん読んできたんですよ。最初のコンセプトは本当にシンプルで、「自分が面白いと思った本を皆さんにご紹介したい」ということでしたね。書評を書くのが得意な方は文字で伝えられるのでしょうけど、私の場合は"読むこと”が身近だったので、このやり方が一番伝えやすいんじゃないかなと。
Mido Laboも10年経って少しずつ変わってきましたが、小説のセリフと地の文を大事にして、脚本化せずに小説丸ごとを舞台化することは変わりません。本が好きな方にも、なかなか本を読めないなっていう方にも、一緒に楽しんでいただけるものを提供できたらいいな、というのはずっと変わらずにやっています。
松井さんはフジテレビのアナウンサーから演劇の世界へ、というご経歴ですが、何か大きなきっかけ があったのですか?
実はそこは全然リンクしていなくて、演劇をやりたいから会社を辞めたわけではなくてですね。部署が異動になって、喋ることが主ではなくなったことが一番大きな理由でしたね。
やっぱり声を使った仕事がしたかったので。
辞めた後に、たまたま元上司から「同級生が劇団をやっていて40代の女性を探しているから、やってみない?」と誘われたのがきっかけです。本当に軽いノリで(笑)。
いきなり4人芝居で、シアターグリーンという結構大きな劇場でした。それまではナレーションの仕事しかしていなかったので、舞台経験は全くなくて。
その出会いがなければ、演劇はやっていなかったかもしれません。
30代後半で演劇を始められたのですね。その年齢から役者の道に進む方は少ないのではないでしょうか。
本当にそう思います(笑)。不思議な人生ですよね。
でも、なんだかんだ続いていて、やっぱり好きだったんだなと思います。
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インタビュー中の松井さん
活動における苦労や、今後の挑戦について教えていただけますか?
苦労しているのは、やはり宣伝活動ですね。小さな劇団やユニットは皆そうだと思うのですが、たとえ良いものを作っても、それをなかなか皆さんに知っていただけない。これは主催者である私の課題なので、色々な方に知ってもらい、興味を持った方に見に来ていただくために何をしたらいいか、今も勉強中です。
挑戦してみたいことは、「皆さん名前は知っているけど、忙しくてなかなか読めない長編小説」を、 数時間でそのエッセンスが全てわかるような舞台にしたいですね。
理想は、作家の方や出版社、本屋さんから「Mido Laboさん、今度こういう本が出るんだけど、これで舞台化してもらえませんか?」と依頼されるくらいレベルアップして、文字媒体と一緒に盛り上げるような試みができたら最高です。
Mido Laboは松井さんと演出の菊池さんのお二人だけで、他の出演者さんはユニット形式で都度お願いしているそうですが、なぜその形式をとっていらっしゃるのですか?
一つは、劇団を運営して人を育てていくのが大変だということです。私も菊池も他に仕事を持っているので、なかなかそれだけにコミットできません。もう一つは、人を抱えてしまうと、どうしても「この人たちを出すために作品を選ぶ」という状況になりがちで、本当にやりたい作品ができなくなる可能性があると思うんです。
なのでそういったものに縛られず、やりたい作品を届けるために、その作品に合った方にお願いするユニット形式を選んでいます。
もちろんイメージに合う方を探すのは大変で今も次回のキャスティングで悩んでいる最中ですが(笑)。
私たちはその自由度を求めてこの形にしています。
出演者の方はどのように探していらっしゃるのですか?
基本は私か菊池が共演したことのある方、知っている方から選びたいのですが、そうもいかない場合は、過去にMido Laboに出演してくれた役者さんのお知り合いを紹介していただく、という形で広げています。
「この役に合う人いないかな?」と相談して、一緒に探してもらう感じです。
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舞台「嗤う伊右衛門」出演者の皆さま
固定メンバーではない中で、人間関係やマネジメントで大切にされていることはありますか?
Mido Laboは"人間重視”なんです。
どんなにお芝居が素晴らしくても、一緒にお仕事をしていく上で何か引っかかりを感じるような方とは、極力ご一緒しないようにしています。そこが一番大事にしているところですね。
もちろん、直接知らない方にお願いすることもありますが、間に立ってくれる方が「この人は絶対にMido Laboに合いますから」と推薦してくださる方にお願いしています。技術ももちろんですが、人柄の良い方々と一緒に作品を作っていく姿勢を大切にしています。
客観的な視点も大切にされているのですね。
そうですね。そもそも私たちがなにかを作る時、私と演出の菊地で全部決めるのではなく、出演者みんなに意見を言ってもらって、色々試して最終的に決めるという方法を採用しているんですね。
だから稽古場も、何か思ったことを否定せずに言えるような雰囲気作りを大切にしています。
稽古が本当に楽しいんですよ。みんなでそのシーンを創っている感覚ですね。
キャリアや年齢に関係なく、どんどん意見を出し合っています。
それは素晴らしいですね!弊社の社員の意見やアイデアを尊重する姿勢と通じるものがあるかもしれません。
ああ、そういうところにシナジーがあるんですね、きっと!
以前出演してくれた役者さんが、打ち上げで「ここは一人も黒い人がいませんでした」と言ってくれて(笑)。本当に気持ちの良い人たちと作っているので、稽古が楽しいんです。
少し話は変わりますが、弊社のようなスポンサー活動は、劇団や役者さんにとってどのような影響があると思われますか?
まず良い影響は、金銭面でバックアップしてくださるのがダイレクトに一番ありがたいです。私たちの活動はほとんどがチケット収入しかないので。
公演前にかかる費用、例えば稽古場の確保や、私たちは小説を舞台化しているので著作権料の支払いなど事前にかかる費用が結構あるんです。そういった部分をサポートしていただけるのは本当に助かります。
あとは、特に悪い影響というのはないのですが、セカツクさんのチラシは他の演劇チラシと明らかに違うので、「これは何?」「どういう会社?」と聞かれることはありますね(笑)。でも、こうしてサポートしてくださっている会社なんです、と説明すると皆さん納得してくださいます。
そうだったんですね(笑)弊社では、芸能活動をされている方が働きやすいようなシフト制度を導入していますが、こういった企業が増えることは、役者さんにとってどんな影響があると思われますか?
素晴らしいですね!本当にありがたいです。
皆さんが一番苦労しているのが、公演期間中や稽古期間にまとまって休まなければいけないことだと思うんです。それが仕事を続ける上ですごくネックになるので、理解のある会社さんが増えれば、若い方たちがもっと自由に表現の道を選べるようになるのではないでしょうか。
「ちゃんと生活できるんだな」という安心感は大きいです。
次回公演も決まっているとお伺いしたのですが、今後のご予定を教えてください!
はい、次回公演も決まっています。今回は、宮部みゆきさんの『この世の春』という作品で、上中下全3巻を1回の公演で上演します!
これまた無謀な実験をやらせていただくことにしまして。
宮部さんの作家生活30周年の記念作品で、私たちMido Laboも次回が20回記念公演、
そして10周年という節目なので、この壮大な物語に挑戦することにしました。
記念公演ですね!
そうなんです。内容としては、江戸時代を舞台にした、お家騒動、呪術、死者と語る力、多重人格など、様々な要素が詰まった大スペクタクルのような物語で。
これをMido Labo流にどう表現し、どこまでをイメージで補っていただくか、どんな風にやっていったらこの読後感の素晴らしさまでを伝えられるかが私たちの大きなチャレンジになりますね。
公演は12月の24日から28日なんですが、新しい年を迎えるのにぴったりの、良い気持ちになれる作品ですので、ぜひ多くの方にこの感動をお届けしたいです!
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次回公演「この世の春」
最後にMido Laboとして実現したい夢を教えてください。
まずは「Mido Labo」という団体があって、小説を脚本にせず、地の文を活かした形で舞台化している、朗読劇でもなく、お芝居でもない、コウモリ的な存在といいますか(笑)
こういう表現方法もあるんだよ、ということを皆さんに知っていただくことですね。
私も以前Mido Laboさんの舞台を拝見しましたが、役者さんが本を持っているのに、途中から全くそれを意識しなくなって、物語の情景が鮮明に浮かんできました。釣りをする川の様子や、館の緊迫感、松井さんが洗濯物を干している軒先の風景まで…。
嬉しいです!私たちが思う通りの受け止め方をしてくださってありがとうございます!
私たちは、本を持つことを「覚えられないから」という風な考えではなく、「表現の一つとしての演出」だという風に捉えています。どこで本を見て、どう視線を動かすのか。それによって観客の想像力を刺激したいんです。
やっぱり私は読書の、想像しながら物語を紡いでいくことが好きなんですよね。読書をする時の、想像力を掻き立てるような、聴覚の部分と、本にはない視覚の部分も刺激して、観客ひとりひとりの頭の中で物語をイメージして楽しんでもらう。
ハイブリッドな感じの「文学エンターテイメント」みたいなものができるといいなという風に思います。
進化系ですね。
そうですね。あとは、通常の演劇だと役者同士が向き合って会話するのを客席から見ますが、Mido Laboでは要所要所で役者が客席の方を向いて会話する"前芝居”を多く取り入れています。
これによって、観客が物語の外から見るのではなく、物語の中に入って登場人物の表情を間近に感じられる。そうすることで、作品への理解度や没入感が高まるのではと考えています。
まさに「文学エンターテイメント」ですね。作品自体も分かりやすく、エンタメとして楽しめるように作られていると感じました。
そうなんです。分かりにくいものはあまりやりたくなくて。原作の面白さを活かしつつ、楽しんでいただくことを大事にしています。
興味が湧いたら原作も読んでいただけると、カットした部分も含めてさらに深く物語を味わえるので、本好きとしてはそれも嬉しいですね。
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打ち上げの様子
言葉への深い愛情と、それを新たな形で表現しようとする情熱。
そして、関わる人々を大切にする温かいお人柄が印象的だった松井みどりさん。
"小説丸ごと舞台化”という挑戦と、観客を物語の世界に包み込む独自の演出は、
まさに「文学エンターテイメント」です!
役者さんが安心して活動できる環境の重要性についても語っていただき、セカツクが目指す世界とも重なる部分が多く、今回協賛させていただけたことを大変嬉しく思います!
Mido Laboの今後の挑戦、そして宮部みゆきさんの大作『この世の春』の舞台化を、セカツクとしても心から応援していきます!
Mido Laboのウェブサイト・Instagramはこちらから!
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