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サービスの可能性を広げる研究開発の道:みらい翻訳のリサーチャーとして感じる魅力と楽しさ

自己紹介

こんにちは!みらい翻訳でシニアリサーチエンジニアをしている、whatsこと岩月憲一です。2023年4月に当社に入社しました。主に自然言語処理の研究開発に携わっています。会社は東京・渋谷にありますが、私自身は愛知県に住みながら、リモートで仕事をしています。出社は任意なので、月に2回くらい渋谷に行っています(交通費は出ます)。

学生時代の研究

学生時代は、ずっと「論文」を相手に研究をしていました。

大学学部では、論文のレイアウトを分析し、書誌情報や見出し・図表などの要素を識別することに取り組んでいました。自然言語処理というよりもその前処理の前処理という感じでした。

大学院では、論文に出てくる数式や英語定型表現に着目して研究を進めていました。定型表現には、例えば"to the best of our knowledge"や"A value of p < 0.05 was considered statistically significant"などがあり、分野によっても異なります。こうした表現を自動的に集めて、分類する手法を研究し、博士号を取得しました。

転職理由

学生の頃、論文を読んでいて、この問題が解けたとして本当にうれしいのだろうか?と思うことが多く、かといって世の中にどんな課題があるのかも分からないでいました。鉄鋼メーカーに就職したのですが、それは解くべき問題を知るためでした。

多くのプロジェクトに参加する中で、製造業が抱えるリアルなDX課題を目の当たりにし、また自然言語処理技術へのニーズがどういったところにあるのかを知ることができました。そこで、次は自然言語処理技術そのものを追究する環境に身を置くことに決め、転職活動を始めました。

みらい翻訳に決めた理由

最も重視したのは、自然言語処理を本業とし、かつ本業で稼げていることです。言い換えると、ニーズのある自然言語処理をやっているということです。研究者の立場からみると、自然言語処理の研究開発が持続可能であるということでもあります。ほかのことをやりたくないわけではなかったのですが、自分の経験を活かすには自然言語処理の仕事をするのが一番だと考えたため、まずはこれを重視しました。みらい翻訳の本業は機械翻訳SaaSの開発・販売であり、2019年に黒字化を達成しています。この条件を満たしている会社は実は多くはありませんでした。

研究をやっている部門がまだ小さいことも私にとっては魅力的でした。短期的な翻訳モデルの改善は綿々と行われている一方で、中長期的な視座からの研究開発はこれからというフェーズにあり、プロダクトの方向性にも関与しうるタイミングでもありました。今のみらい翻訳なら、裁量もインパクトも大きいと判断しました。

次に勤務地です。どうしても愛知県に住みたかったため、愛知県に事業所のある会社か、フルリモートでの勤務が可能な会社に絞られました。在宅勤務制度がある会社はいくつかありますが、その温度感は様々です。出社に切り替えるIT企業も散見される中で、みらい翻訳はフルリモートを前提としており、居住地にかかわらずテレワークがカルチャーとして定着していることと、実際に首都圏以外(例えば北海道、宮城、大阪、京都、福岡、沖縄)に住んでいるメンバーがいることが分かり、安心して働ける会社だと判断しました。

みらい翻訳の研究開発

現在、エンジニアリング部Researchチームという部署にいます。ここでは、やや長期的な目線での研究開発を行っています。私は、大規模言語モデル(LLM)を用いた翻訳と翻訳周辺機能の研究開発を担当しています。入社するまで機械翻訳の経験はありませんでしたが、問題なく仕事を進められています。

何をやるのかを決めるのも重要な仕事です。論文をはじめとする技術情報を収集しながらも、お客様のご要望や、世の中全体でのAIの使われ方などに気を配り、みらい翻訳として今何をすべきなのかを常に考えています。半期ごとに会社としての研究開発方針を見直していますが、そこに自分の意見を反映させています。

一人ひとり担当するテーマは異なりますが、議論は活発です。毎週の会議だけでなく、突発的にSlack上で意見を交わすこともあります。ニックネーム文化のおかげで、上司やCEOも交えた技術的議論が頻繁に展開されています。また、論文や講演会など、最新技術に関する情報は逐次共有し合っています。

部内には、Researchチームのほか、翻訳の前処理・後処理を行うエンジンを開発するチーム、翻訳モデルの性能向上と評価を行うチームがあります。日常的にコミュニケーションをとっており、テーマによっては一緒に仕事をしています。また、セールス部門と交流会が定期的にあり、お客様のニーズに触れられる良い機会です。

難しさとやりがい

機械翻訳自体がレッドオーシャンです。そこにChatGPTを筆頭に生成AIの波が押し寄せています。こうした事業環境において、研究開発は競争力の源泉であると同時に、負けられない部分でもあります。ビジネスである以上は、技術的優位性だけでなく、コスト面も考えなければなりません。本当に、簡単なことはないものだと思います。

みらい翻訳はまだまだ小さな組織なので、研究テーマの取捨選択をタイムリーに行っていかねばなりません。ここに個人のセンスや能力が問われているような気がしています。とても難しいことですが、最も裁量を発揮できる部分でもあります。

直近では、2023年度後半になってLLMが扱いやすくなったため、翻訳前後の業務フローを巻き取るような機能を検討すべきだと主張したのです。ただ、何を作るかを決めるのに大変苦労しました。論文を読めばLLMが特定のタスクを解けそうかどうかは分かります。しかし、翻訳サービスと相乗効果のある機能が何なのかは判断しかねるため、ChatGPT活用本やSNSでの投稿など、ユーザ側の情報を積極的に得るようにしました。その結果、いくつかの候補を挙げ、実現可能かどうかを実験によって示すところまで進めることができました。

みらい翻訳ならではの特徴として、翻訳に軸足を置けるということがあります。私が転職活動をしていたのはChatGPTの発表前、入社したのは発表後でした。自然言語処理業界が大きく変化する中で、LLMを用いて何をするのかという点について迷走することなく、翻訳を基点として考えることができています。また、手法にこだわらず、良いものは何でも使っていこうという雰囲気があるのも良い点です。NTTやNICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)とも提携関係にあり、オープンな技術からクローズドな技術まで選択肢が豊富です。その分実験は大変ですが、自社開発した〇〇を絶対に使わないといけない、ということはありません。

個人的に成し遂げたいこと

学生のころから変わらないのですが、技術で世の中により多くの価値をもたらしたいと思い続けています。

自分の作った技術が製品に乗り、それによってお客様が本来注力すべきことに注力できるようになり、社会全体の価値が増えていくこと――これを何としても成し遂げたいし、みらい翻訳で成し遂げられると信じて日々取り組んでいます。

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