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生成AIの登場によって、ビジネス環境が大きく変化する中で、今求められているのは「技術力」や「スキル」だけではない。事業のスケールとともに強い組織をどうつくるか──その答えは、「バリュー」にあるのかもしれない。生成AIを組み込んだプロダクトで急成長を遂げるフライル。共同創業者であり取締役COOとして経営と組織づくりを担う相羽輝に話を聞きました。
相羽輝/取締役COO
早稲田大学卒業後、リクルートへ入社。ユーザベースグループへ15年に転職。SPEEDAを始めとした3つのSaaSのマーケティング・インサイドセールス部を立ち上げ17年末まで統括。18年にNewsPicksへ転籍し、マーケティング、カンファレンス、新規事業の立ち上げなど多くのプロジェクトを牽引し、財部優一、荒井利晃と3人でフライルを創業。
3人共同創業だからこそ、創業初日からバリューを議論
─まず、3名での共同創業に至った経緯からお聞かせいただけますか。
はい。話は2016年頃に遡ります。当時、前職であるユーザベースの創業者、新野(良介)さんに「将来どうしたいのか」と問われたことがありました。その時、「本当に情熱を持てる領域が見つかれば、起業したいです」と話したんです。
すると新野さんから、「大きく成長し続ける会社を創りたいなら、一人での起業は勧めない。それぞれが補完関係にある創業メンバーを集めて、最初からチームで経営することを考えた方がいい」というアドバイスをもらいました。
その後もユーザベースで働く中で、強みが異なる多様な人々がチームとして連帯する強さを、多くの場面で実感しました。ですから、「お互いを補い合える創業チーム」と「心から情熱を注げる事業領域」、この2つの条件が揃った時には、迷わず挑戦しようと心に決めていました。
─実際に3名で創業されてみて、難しさを感じる場面はありましたか。
元々、お互いの強みを活かす「補完関係」を意識して集まったチームなので、正直なところ、創業そのものに大きな難しさは感じませんでした。それぞれの得意領域が明確で、弱みを補い合っていこうという共通認識が、始まる前からありました。
─とはいえ、初めて一緒に会社を経営するとなると、意見がぶつかることもあったのではないでしょうか。
おっしゃる通り、お互いに「この人たちとなら、うまくやっていけそうだ」という信頼はありましたが、長く一緒に働いた経験があったわけではありません。阿吽の呼吸ですべてを進めるのは、やはり難しかったですね。
いざ会社の組織や制度、採用戦略といった重要なテーマを議論し始めると、どこかに意思決定の「拠り所」となる軸がないと、スピードが上がらないという感覚がありました。
─その「拠り所」が、バリューだったのですね。
はい。それに加えて、私たちが起業した直後に、新型コロナウイルスのパンデミックが始まり、世界中がロックダウンするという、きわめて未来が不透明な状況でした。そんな先が見えない中で、「私たちは何を大切にするチームなのか」という共通の価値観を言語化する必要性を、強く感じたことも覚えています。そこで、創業してすぐにバリューを創ることにしたんです。
─創業初期、しかもまだ3名というタイミングでバリューを定めるのは、少し珍しいように感じます。
そうでしょうか。むしろ逆で、バリューのような組織のコアとなる価値観が決まっていなければ、採用も、組織戦略も、人事制度も、「何を基準に考えれば良いのか」が分からなくなってしまうと思うんです。
それに、どれだけ素晴らしい制度や施策を考えても、その背景にある「Why(なぜ、それを行うのか)」が不透明だと、決して仲間には理解されませんし、運用にも乗りません。その「Why」を説明する上で、バリューは非常に大きな役割を果たすと考えています。また、対外的にも、ミッションとバリューが公開されていれば、自分にこの会社は合う、好きになれそう、全然合わなそうなど、判断しやすくなります。
3つの視点で作った「フライルらしい」バリュー
─では、具体的にどのようにしてバリューを策定されていったのでしょうか。
はい。まず、バリュー候補を出し合う前に、議論の前提となる3つの観点を定めました。
① 自分たちの「ありのまま」の言葉か
② 100年後も変わらない、普遍的なものか
③ 記憶に残り、心に響く言葉か
─それぞれの観点について、もう少し詳しくお聞かせいただけますか。
1つ目の「自分たちの言葉か」は、前職ユーザベースでの経験や、ある書籍の影響を強く受けています。ちょうど私たちがバリューを策定していたタイミングで、米国VCであるa16zの創業者ベン・ホロウィッツ氏の『WHO YOU ARE』という本が出版されたんです。
その本には「日々の行動の積み重ねが企業文化をつくる」「経営者がいないところで社員がどう行動するかが企業文化だ」という一節があります。これは前職の経営陣が語っていたこととも重なり、非常に納得感がありました。結局、普段から行動できていないような理想論をバリューに掲げても意味がない。だからこそ、私たちが自然に実践できていること、これまでの人生の節目で何を基準に意思決定してきたかを、深く振り返りました。
─2つ目の「100年後でも変わらない普遍性」というのは、変わった視点ですね。
私たちは、中長期的に成長し続ける会社を創りたいと本気で思っています。何十年もコミットする覚悟で起業していますし、先ほどお話ししたようにコロナ禍で創業したからこそ、世の中の変化に強い、しなやかな組織を創りたかった。
世界がどれだけ変わろうとも、ビジネスを成功させる上で組織に必要不可欠な価値観はあるはずですし、変化に順応していくための価値観もまた、必要だと考えました。
─3つ目の「記憶に残る言葉」についてはいかがですか。
これは、単なるスローガンや標語にしたくなかった、という想いが強いですね。昨今、多くのスタートアップがバリューを定めているので、どうしても似通ってしまいがちです。だからこそ、私たちのバリューの言葉と、その背景にあるストーリーが、きちんと従業員の心に残るためにはどんな言葉が良いのか、という観点も大切にしました。
「言葉」より「行動」が文化をつくる
─熟考の末にバリューを策定されたのですね。ただ、バリューも作って終わりでは機能しません。社内に浸透させるために、どのような工夫をされていますか。
特に重要だと考えていることが2つあります。
1つ目は「採用像とリンクさせること」です。私たちが掲げているバリューに、入社後に無理に合わせてもらう、という考え方はありません。そうではなく、元々、私たちのバリューに近い価値観を持って生きてこられた方と出会い、仲間になってもらうことが何より重要だと考えています。
例えば、私たちのバリューの一つに「すべては誠実さから始まる」というものがありますが、誠実さや真摯さの度合いは、後から簡単に変えられるものではないと思うんです。もちろん、バリューは採用戦略の重要な要素ですから、ごく限られた方にしか共感されないような、独りよがりなものにはしていません。
2つ目は、組織をつくる様々な制度や施策において、その背景にある「Why」をできる限り詳細に、繰り返し伝える努力をすることです。
例えば、リモートワークの導入や日々の朝会、成功事例を称え合う「Win Session」といった取り組み一つひとつに、「どういう考えや価値観に基づいて実施しているのか」という思想があります。それを丁寧に説明し続けるようにしています。とはいえ、まだまだできていない施策は本当に多くあります。
前述の「WHO YOU ARE」において、「リーダーが自分たちの文化をどう捉えているかはあまり大切ではない。リーダーや上層部が思う自分たちの「企業文化」は、社員の体験からはほど遠い。」という言葉を、心に留めるようにしています。
社内への発信や言語化を続けながら、自分たち含めて、どう行動したかにフォーカスをしていきたいと思います。
AI時代の「当たり前」を共に創る仲間を募集
─最後にどのような方々と一緒に働きたいか、メッセージをお願いします。
クラウド時代のHubspotやSalesforceのように、フライルはAI時代に世界中の企業で当たり前に使われるプロダクトを創り上げたいと本気で思っています。その道のりは決して平坦ではなく、課題だらけの毎日です。
だからこそ、同じ情熱を持って、共に高い目標へ挑んでくれる方と、ぜひ一緒に働きたいですね。